- 著者
-
原口 美帆
安藤 元一
Haraguchi Miho
Motokazu Ando
- 巻号頁・発行日
- vol.59, no.2, pp.128-136,
明治時代から現在に至るハンターの関心事項の変遷を探るため,1891-2008年に発行された狩猟雑誌4誌(猟之友,銃猟界,狩猟と畜犬,狩猟界)の記事内容を調査した.雑誌1冊あたりの総ページ数,記事総数,広告数は,1950年代から1970年にかけての狩猟ブームの折に急増し,以降は減少傾向が続いた。これらの傾向は狩猟人口の変化と一致していたが,猟犬関連の記事にはそうした相関は見られなかった。記事が扱う鳥獣は,1950年代までは鳥類が主であったが,1980年代からは獣類の方が多くなった。クマは実際の捕獲数と比べて記事の数が多く,ハンターの関心の高さがうかがえた。獣類記事の中では1970年代までウサギが多かったが,1980年代以降はシカ・イノシシが8割以上を占めた。これらの傾向も実際の狩猟頭数や有害駆除頭数の変化を反映しており、狩猟がスポーツから獣害対策の手段に変化したことを示していた。