- 著者
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佐々木 正人
- 出版者
- 一般社団法人 日本発達心理学会
- 雑誌
- 発達心理学研究 (ISSN:09159029)
- 巻号頁・発行日
- vol.22, no.4, pp.357-368, 2011-12-20 (Released:2017-07-27)
- 被引用文献数
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乳幼児が屋内で出会う複数の段差が行為に与えることについて縦断的に観察した。観察した段差は,ベビー布団と床との縁,床上の建具突起,浴室や洗面所への境界にある段差,ベッド,ソファー,父親の膝,子ども用イス,階段であった。各段差はユニークな性質をもつことを,乳児の行為の柔軟性が示した。素材,高さ,形状,周囲のレイアウトの中での位置などから,各段差の意味について考察した。42の事例からこの時期の段差にまつわる行為を記号化し,それを一枚の図に表示した(Figure 23)。段差と行為からもたらされる系は,「落下」「繋留」,「飛越」に大別できることが明らかになった(Figure 24)。3種の系を発達の図にマッピングして(Figure 25)考察した。これらの段差に包囲されることが,移動を開始するまでの0歳児の行為の発達に多様性と制約をもたらすことが示された。