著者
松村 昌廣 Masahiro Matsumura
出版者
桃山学院大学総合研究所
雑誌
桃山学院大学総合研究所紀要 (ISSN:1346048X)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.27-45, 2008-06

Over the last two decades or so, the People's Republic of China has sustained very high economic growth rates. China is now a significant international factor for Japan's economic performance, given that Japan's bilateral trade with China has surpassed that with the United States, at least in volume.This study analyzes the widening multifaceted structural imbalances and other contradictions that have resulted from China's unidimensional growth, with a major focus on domestic and international political challenges that have been posed to the developmental dictatorship under the Chinese Communist Party. This analysis is followed by a preliminary discussion on the durability of the current regime under deepening socio-economic contradictions, and on its external policies, in the light of these two variables' dynamic interactions.Through the editing and translation of a series of this author's op-ed essays, published in English elsewhere, this work will take an interdisciplinary, comprehensive approach to the contemporary Chinese political economy, including many important issues such as Taiwan independence/unification and Japan's history debate.
著者
加藤 由香 麓 和善
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.74, no.644, pp.2257-2263, 2009-10-30 (Released:2010-01-22)

The Principal Tower of Nagoya Castle was restored on a large scale from 1752 to 1755. This paper evaluates and analyses the restoration process of the tower based on the drawings and specifications which have explained about the temporary constructions, such as: scaffolds and bridges that was built inner and outer of the tower. The historical materials that are connected to the plan of the temporary constructions as mentioned above as a large scale restoration might be limited, particularly in Edo Period. By this paper, those historical materials will be explained in detail.

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著者
天野藤男 著
出版者
日新閣
巻号頁・発行日
1920
著者
茂木 崇
出版者
日本マス・コミュニケーション学会
雑誌
マス・コミュニケーション研究 (ISSN:13411306)
巻号頁・発行日
vol.58, pp.142-153,222, 2001
被引用文献数
19

The New York Times has been under the control of the Oches and Sulzbergers since 1896.What all the publishers have in common is their belief that the main mission of the paper is to report the news without fear or favor.But The Times introduced a signed column in 1933 and the Op-Ed page in 1970.We analyze the role of this opinion page and contend that the Op-Ed page is an attempt to adapt to the diversification of American politics and society at its best.
著者
小渕 智之 樺島 祥介
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.76, no.3, pp.140-149, 2021-03-05 (Released:2021-03-05)
参考文献数
18

「史上初,ブラックホールの撮影に成功」というニュースを覚えておられる読者も多いだろう.この成功の裏には,観測数の足りない推定問題という不良設定問題をいかにして解くかという数理科学・情報科学における技術の進展があった.ポイントは「適切な表現のもとでデータはスパースに表現できる」と仮定することで,不良設定問題を現実的に解ける問題に置き換えることであった.このような方法論をスパースモデリング(SpM)とよぶ.もちろんこの仮定の良し悪しは別途検証されなければならない.ブラックホールの例では,人工擬似観測データや較正天体データを用いて,SpMによる方法がきちんとした性能を上げることが慎重に検証された.一方,個別問題における検証以外に,SpMによる方法論自体の限界を理論的に押さえておくことも重要である.すなわちデータの観測過程をモデル化,推定方式を定式化した上で,どういう条件なら真の信号が正しく復元できるかを理論的に問うのである.伝統的には統計学や情報理論で扱われる問題設定であるが,近年では統計力学を用いたアプローチも行われるようになってきている.情報統計力学とよばれる分野である.情報統計力学における近年の成果の1つとして,平均場近似を用いた汎用的な推定アルゴリズムの導出法と,その挙動を解析するためのマクロなダイナミクスの理論が整備されたことが挙げられる.このアルゴリズムは,Cavity法という平均場近似の一種を,確率伝搬法というベイズ推定における近似的アルゴリズムの観点から見直すことで導出される.このアルゴリズムの特徴は,計算量が非常に少ないこと,およびアルゴリズムを記述するパラメータ間の相関が熱力学極限で無視できるという点にある.後者のおかげで,系のマクロなダイナミクスが,それらパラメータの平均や二乗平均のみで記述できるという単純化が起こる.これにより,アルゴリズムによって到達可能な推定精度や収束までのスピードなどが議論できる.つまりアルゴリズムのある種の性能保証をすることが可能となる.面白いことに,このマクロなダイナミクスは系の大域的な平衡解析による結果と厳密に対応する.すなわち,このアルゴリズムによる推定精度限界(アルゴリズム限界)は,原理的に到達可能な限界(情報理論限界)と密接に関わっている,場合によっては厳密に一致する,ことが示される.この平均場アルゴリズムとマクロダイナミクス解析を,SpMの問題に応用することができる.推定方式としてベイズ推定やl1正則化付き線形回帰などが考えられるが,いずれの方式もこの方法論で系統的に解析することができる.特に興味深いのは,真の信号の復元に必要な観測数である.解析の結果,復元に必要な観測数はベイズ推定のほうが少なく済むこと,真の信号の非ゼロ要素の分布形状によってはベイズ推定のアルゴリズム限界が情報理論限界と一致することなど,SpMの理論性能を明らかにする上で有用な情報が明らかとなる.また,推定誤差は必要な観測数の前後でゼロから有限の値に立ち上がるが,これが物理的には相転移に対応し,l1線形回帰とベイズ推定では相転移の次数が異なることも同様に明らかとなる.
著者
水島 一郎 佐藤 力 綱島 祥隆
出版者
The Japan Society of Applied Physics
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.69, no.10, pp.1187-1191, 2000

SON (Silicon on Nothing) 構造を実現する技術として,厚さは1μm以下でありながらミリメートルサイズの広さを有する平板状の臣大空洞 (ESS: EmPty Spacein Sillcon) を,シリコン基板内部に形成する技術を開発した.この構造は,サブミクロンサイズの闘孔径のトレンチをシリコン基板上に形成したのち,水素などの還元性雰囲気中にて熱処理し,シリコン原子を表面マイグレーションさせることで実現できる.さらにトレンチの初期配列を制御することで,平板状だけでなく,管状,球状などいろいろな形状のESSを形成できる.本技術は,埋め込み絶縁層の比誘電率として1という最小値を実現できる方法として,これまで期待されながら作製困難であったSON構造を従来のプロセス技術により実現できるきわめて有望な手法であり, SOI技術の代替技術となりうるとともに,微細加工技術のーつとして幅広い応尾が期待される.
著者
沼田 正寛 河口 麻紀 中村 豊郎 荒川 信彦
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.39, no.5, pp.397-405, 1992-05-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
20
被引用文献数
1 2

海水塩および海水塩中の微量成分を所定の割合で塩化ナトリウムと混合した調製塩を用いて,タンパク質の抽出性,ミオシンBの加熱ゲル形成能および食肉加工品の品質に及ぼす影響を検討し,以下の結果を得た.(1)タンパク質の抽出性および抽出したタンパク質中に占めるミオシンの割合は,海水塩中の微量成分あるいは調製塩中の硫酸マグネシウム,塩化マグネシウムおよび硫酸カルシウムの増加に伴って上昇した.これらの変化は抽出液のイオン強度の変化と対応する傾向を示したが,硫酸カルシウムを含む調製塩では,ミオシンの抽割合が特に増加した.(2)ミオシンBの加熱ゲル強度も海水塩中の微量成分あるいは調製塩中の硫酸マグネシウム,塩化マグネシウムおよび硫酸カルシウムの増加に伴って上昇した.昇傾向は40℃から80℃まで,すべての加熱領域で認められたが,その範囲内では加熱温度が高いほど顕著であった.しかし,加熱ゲルの微細構造に供試食塩による差は認められなかった.(3)生ハム,ロースハムおよびボロニアソーセージの保水性や色調に供試食塩による差は認められなかった.前2者では加熱ゲル強度も変化しなかった.しかし,後者では前項までの結果が硬さの増加として現れる傾向を示し,それは硫酸カルシウムを含む調製塩で有意に認められた.呈味性は生ハムで変化がみられ,微量成分の割合が最も高い海水塩および塩化マグネシウムを含む調製塩でまろやかさが向上し,硫酸マグネシウム,塩化マグネシウムおよび硫酸カルシウムを含む調製塩では後味がよいと評価された.
著者
田中康 飯田元 松本健一
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.46, no.5, pp.1233-1245, 2005-05-15

ソフトウェアプロセスの適切なモデル化は,開発のフレームワークを提供するとともに,継続的なプロセス改善のベースラインを提供する意味においても重要な課題である.しかし,従来のプロセスのモデルは,変化を続ける現実の開発活動を適切にモデル化することが困難なために,当初定義したプロセスモデルが利用されず形骸化してしまう問題が起こっていた.そこで我々は,継続的なプロセス改善への適用に有効なプロセスモデルとして,成果物間の関連に着目したプロセスのモデル化方法「PReP(Product Relationship Process)」モデルを開発した.実際の開発プロジェクトに適用した結果,PRePモデルは,現実の開発活動のモデル化,理解の容易性,モデル化の柔軟性,そして再利用性にすぐれていることを確認した.PRePモデルを使用することにより,開発活動の実行とプロセスの継続的改善に効果的に利用できるプロセスモデルを定義することができる.
著者
武者 忠彦
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.57-69, 2021 (Released:2021-03-03)
参考文献数
20
被引用文献数
3

本稿の目的は,立地適正化計画によって都市はどのように変化し,それはコンパクト化として評価できるのかを明らかにすることである.立地適正化計画は,コンパクトシティの拠点形成の仕組みとして制度化されたが,計画を策定した都市のうち,大都市圏では,中心部における生活環境の充実などが課題に設定され,福祉や医療などの生活関連機能を中心に都市機能が誘導されはじめている.一方,地方都市の中心部では,計画の課題や生活需要とは別の論理で,補助金を活用した公共施設の再編が進む傾向にある.今後,コンパクトシティを実質化するためには,立地適正化計画にもとづく都市機能の配置だけでなく,中心部における生活スタイルの波及や共有による居住人口の増加が鍵となるだろう.
著者
河田 雅圭 杉本 亜砂子 牧野 能士 丸山 真一朗 横山 潤
出版者
東北大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

近年発見されたC. elegans の姉妹種であるC. inopinataを用いて、体長の進化に寄与した遺伝子を特定することを目的とした。二種間で大きな体長の差が生じるL4幼虫期と成虫期で、発現パターンが、種間で異なる遺伝子として2699遺伝子が検出された。6種の線虫のうち、C. inopinataの系統でのみ正の選択圧が42の遺伝子で検出され、その中に、daf-2があった。daf-2は細胞膜で発現するインスリン受容体で、C. elegansの変異体は体サイズが大きくなることが知られ、daf-2遺伝子の進化が体サイズの進化に対して大きな影響をもつ可能性が示唆された。
著者
遠藤 彰 斎藤 真澄 伏崎 弥三郎
出版者
The Chemical Society of Japan
雑誌
日本化學雜誌 (ISSN:03695387)
巻号頁・発行日
vol.85, no.9, pp.593-597,A47, 1964
被引用文献数
1

脂環式炭化水素類の環に直結した炭素間二重結合を有機過酸で酸化すると,一般のオレフィンと異なり環の拡大をともなうような例が報告されている。著者らはこの種の反応を詳しく調べるために,双環テルペンのカンフェンを過酢酸,過安息香酸で酸化しその反応生成物を調べ,また過酸の消費量を測定することによって反応速度を求めた。反応生成物は主としてカンフェニランアルデヒドで,その他に過酢酸酸化ではカンフユングリコールのモノ酢酸エステル,過安息香酸酸化ではカンフェンオキシドが認められた。反応速度は2次反応速度式で表わすことができ,種々の条件で2次反応速度定数が得られた。反応は溶媒の極性が大きいほど遅いことから,オレフィンの過酸によるエポキシ化反応と同じく分子機構で反応が進むと考えられる。
著者
篠田 昌宏 竹村 裕介 蛭川 和也 高岡 千恵 長谷川 康 尾原 秀明 北郷 実 阿部 雄太 八木 洋 松原 健太郎 山田 洋平 堀 周太郎 田中 真之 中野 容 板野 理 黒田 達夫 北川 雄光
出版者
南江堂
巻号頁・発行日
pp.101-108, 2021-02-01

わが国の肝移植は,かつてない大きな変革を遂げている.2019年,脳死肝移植は全移植数の1/5を数えるようになった.Allocation制度も大きく改変され,model for end-stage liver disease(MELD)制などが実臨床に大きな影響を与えている.ドナー情報を得られる機会が増加し,高MELDなど重症患者の増加も見込まれる中,脳死肝移植ナショナルデータ解析のプロジェクトもすすんでいる.さらに,働き方改革,互助制度,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)など新たな移植のスタイルが成り立とうとしている.
著者
鈴木 寛利 渋谷 丈太郎 半田 政志 小林 公彦
出版者
南江堂
巻号頁・発行日
pp.87-91, 2021-02-01

肺癌に対して第1世代上皮成長因子受容体チロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)を使用していると,T790M遺伝子変異によるEGFR-TKI耐性が生じると報告されている1).T790M遺伝子変異陽性の場合,第3世代EGFR-TKIであるosimertinibが奏効することから,肺癌の再生検がなされるようになった2).現在osimertinibは一次治療から使用できるようになったが,C797Sといった遺伝子変異による耐性が生じることが報告されている3).このようなEGFR-TKI耐性メカニズムの解明による新規の薬剤の開発に伴って,再生検が必要となった.確実な組織採取が可能である外科的生検の意義は大きいと思われる.しかしながら,これまでEGFR-TKI耐性獲得後の外科的生検に焦点をあてた報告は少ない4).そこで,EGFR-TKI耐性獲得後に外科的生検でT790M遺伝子変異を検索した症例の臨床的特徴を解析し,外科的生検の臨床的意義を検討することとした.