著者
松田 眞一 吉野 睦 仁科 健 石井 成
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.244-250, 2018-01-15 (Released:2018-02-15)
参考文献数
8

混合系直交配列表は実験計画でよく用いられるが,結果に応答曲面法を適用することがある.L18, L36直交配列表は2因子交互作用が他の列と均等に交絡しないことが知られているが,応答曲面法を適用する際の問題点は明らかではない.本論文では,交絡の可視化に基づくパターンの分類を行い,応答曲面法を適用する場合にどの列を用いるべきかをCNに基づいて検討する.結果として最適と思われる利用列を指摘することができた.
著者
岡本 歩 武山 直治 大沼 俊和 小林 加代子 上木 美智子
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.255, 2006

<b>〈緒言〉</B>検診効果を高めるためには、検診及び精検受診率の向上を図り、検診及び精検機関の精度を一定以上に維持する必要がある。そのためには地域の関係機関が連携し取り組む必要がある。旧高山市住民の胃がん検診は、H11より当検診センターで実施しているが、胃がん発見率が徐々に低下傾向にあった。そこで関係機関に胃がん検診検討会への参加を呼びかけ、共にこの地域における胃がん検診の現状を分析したので報告する。<BR><b>〈検討会開催方法〉</B>内容:(1)飛騨地域胃がん登録状況(2)検診と精度管理方法、(3)検診実績、(4)検診・精検受診勧奨の方法、(5)X線写真による症例説明を、各機関が発表し意見交換した。参加機関:飛騨地域保健所、高山市保健センター。精検医療機関(市内のT病院、開業医、当院)。<BR><b>〈結果〉</B>1.胃がん登録状況の分析:表1、2より飛騨地域の胃がん罹患率は全国とほぼ同じであるが、死亡率はやや高く近年上昇している。有効な検診に向けて取り組む必要がある。<BR>2.検診結果の分析:要精検率は年々低下し、消化器集検全国集計(H15)の10.8%と比較しても低い。また胃がん発見率はH14より低下傾向で全国集計の0.15%を下回っていた(表3)。この要因の一つに、初回受診率が低いことが考えられた。検診対象者の拡大に向けて申し込み方法の検討や啓蒙活動が必要である。<BR>3.精検精度の分析:(1)精検方法はほとんどが胃カメラであったがUGIの実施もあった(図1)。精検としてUGIを実施してよいか討論した。その結果、精検の場合は検診よりきれいな写真を撮る必要があるとの意見が出された。この意見を反映し、市で配布する「胃精密検査実施医療機関一覧」は、きちんと精検を行える機関であるか検討する方向性が出された。(2)精検機関の割合は開業医が半数、残り半数が当院とT病院であった(図2)。また胃がん発見割合は、当院が半数以上、開業医3割、T病院1割以下であった(図3)。精検実施数に比例した胃がん発見数が求められ、役割を果たすために、精度を高める努力が必要である。数値より分析することで問題が明確化し方向性を見出すことができた。今回の検討会により、関係機関が胃がん検診の現状を認識し問題点を共有することができた。この会を継続し、有効な胃がん検診の実施に向けて取り組みたい。
著者
木村 吉郎
出版者
日本農業気象学会
雑誌
農業気象 (ISSN:00218588)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.119-122, 1951
被引用文献数
1

この報告において著者は, 先の報告と同じ資料から日本の稻凶作に關する地域性について以下のような考察を行つた。<br>先の報告に示した第1表及び第1圖から, 凶作發現の地域的範圍を考察して本報の第1表に示すような3つの凶作型を分類した。<br>全國を1括してみると, 60年間中に1/2の30年は凶作が何れかの地方に現われていて, その凶作1年當り平均地方數は5.8地方に分布發現していることが認められる (以上第1表參照)。<br>以上3型間の相互的發現關係は第1圖に示すように, 3凶作型の各々が單獨發現する場合と, IとII又はIとIIIの兩型が同年發現する場合と, 3型全部が同年發現する場合との合計6發現型が存在することを認めた。<br>6發現型のうち, 日本の米作々況に最も大きい減收關係をもつているのは, 3型の同年發現した所謂全國型の場合であつて平均20.7%の減收を示し, 次は兩型の同年發現した場合の7.7%減收であつて, 各凶作型が單獨發現した場合は最も輕く平均0.7%の減收に過ぎないことが認められた。<br>3凶作型の各々と日本の米作々況との關係では, 北海道型が最も減收影響大きく, 東北型西南型の順に漸次小さくなつていることを認めた (以上第2表參照)。
著者
小菅 李音 高木 正則 市川 尚
雑誌
情報教育シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, pp.31-38, 2020-12-12

著者らの大学では,数学リメディアル科目を反転授業形式で行っている.この科目では,授業の最初に著者ら が開発したチャットボットを利用し,予習で利用した e ラーニング教材や予習の学習内容について,学生自身が理解 の足りていないと考えている箇所を対話形式で回答させている.これまでの実践において,理解不足箇所の抽出が不 十分であるものの,抽出した理解不足箇所に対してシステムと人による支援を混ぜて学習支援を行うことで学生の理 解度向上に繋がることが示唆されている.本研究では,反転授業における学生の理解度の向上を目的とし,チャット ボットを利用した数学のつまずき箇所の理解を支援する学習支援システムの改善を行った.また,2020 年度前期に本 学で実施された数学リメディアル科目において,オンライン授業下と対面授業下で本システムの利用実験を行った. システム評価の結果,本システムにより学習者の理解不足箇所に応じた学習支援を素早く行うことが可能となり,学 生の理解度を深めることに繋がることが示唆された.
著者
下島 優香子 西野 由香里 福井 理恵 黒田 寿美 鈴木 淳 貞升 健志
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.211-217, 2020-12-25 (Released:2020-12-25)
参考文献数
21
被引用文献数
8

サルモネラ汚染実態把握を目的として,2009~17年に東京都内に流通した食肉からのサルモネラの分離,血清型別,薬剤感受性試験を行った.サルモネラは鶏正肉353/849検体(41.6%),豚正肉9/657検体(1.4%),牛正肉1/517検体(0.2%),鶏内臓肉6/8検体(75.0%),豚内臓肉43/142検体(30.3%),牛内臓肉4/198検体(2.0%)から検出された.血清型は,国産鶏肉はS. Infantis,S. Schwarzengrundの順に多く,年次推移としてはS. Infantisの減少とS. Schwarzengrundの増加が認められた.輸入鶏肉はS. Heidelberg,豚肉はS. Typhimurium,O4:i:-,牛肉はS. Derbyが多かった.薬剤感受性は,全種類の食肉でTC耐性率が高く,カルバペネム系およびフルオロキノロン系薬剤には耐性は認められなかった.セフォタキシム耐性菌は14株,ESBL,AmpC産生菌はそれぞれ7株および23株,いずれも鶏肉から検出された.食肉の種類によりサルモネラの血清型,薬剤感受性が異なることが示された.
著者
林 真輝 田村 康宏 大谷 陽範 森岡 みほ子 笹本 剛生 橋本 常生
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.223-228, 2020-12-25 (Released:2020-12-25)
参考文献数
20

魚介類中のトリブチルスズ化合物(TBT)およびトリフェニルスズ化合物(TPT)の高速溶媒抽出装置(ASE)およびLC-MS/MSを用いた分析法を開発した.LC分離は,コアシェル性オクタデシル化シリカゲルカラムを用いて0.1%ギ酸70%メタノール溶液によるアイソクラティック移動相条件で行った.試料を抽出温度125℃,抽出溶媒n-ヘキサンの条件でASE抽出し,フロリジルカートリッジカラムを用いて精製した.これらにより,脂質が多い魚介類に対しても適用可能となった.定量は重水素標識したTBTおよびTPTを用いたサロゲート法により行い,検量線は0.2~250 ng/mLの範囲で直線性が得られた.本法による定量下限値はTBT,TPTともに0.8 ng/gであった.本法を用いて,TBTおよびTPTの認証値が付与されたホタテ貝柱の環境標準物質の分析を行ったところ,分析値は認証値と有意差がない結果が得られた.スズキ,ボラ,アナゴ,カレイ,アサリを対象に2併行,5日間の添加回収試験を行った結果,真度89.3~105.3%,併行精度(RSDr) 1.0~4.5%,室内精度(RSDwr) 1.3~7.6%の良好な結果が得られた.
著者
佐々木 隆宏 田原 正一 豊原 律子 森川 麻里 坂牧 成恵 貞升 友紀 牛山 慶子 山嶋 裕季子 小林 千種
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.229-234, 2020-12-25 (Released:2020-12-25)
参考文献数
8
被引用文献数
2

第2版食品中の食品添加物分析法の方法(2版法)において,チーズでは抽出液が懸濁する場合,固形物が浮遊して定容が困難な場合,夾雑成分によりHPLC-UV分析が困難な場合がある.清酒では,共沈操作が不要と考えた.そこで,チーズについては抽出液の懸濁の原因となる水酸化ナトリウム溶液の添加量を減らし,固形物を除くため吸引ろ過後に定容する方法を確立した.清酒については,希釈後,遠心分離する方法とした.また,カーボンモレキュラーシーブが充てんされたカートリッジによる固相抽出法も開発した.添加回収試験(n=5)では,91.3~99.6%(CV 0.9~4.5%)と平均回収率および併行精度が良好であり,チーズで0.010~0.20 g/kg,乳で0.010~0.20 g/L,清酒で0.010~0.10 g/kgの範囲に適用可能であった.本法は2版法の問題を解消し,操作が効率的である点で有用な分析法と考えられた.
著者
吉田 精作 渡邊 美咲 橋本 多美子
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.218-222, 2020-12-25 (Released:2020-12-25)
参考文献数
15
被引用文献数
1

精白米の調理過程における有機リン系難燃剤(PFRs)の消長を検討した.精白米にPFRsを添加(500 ng/g)した後,水洗および炊飯を行い,PFRsの減少を観察した.3回の水洗において,観察した7種類のPFRsでは添加量の68~86%が除去された.最初の水洗において,添加量の約50~70%のPFRsが除去されていた.水洗および炊飯後の飯中PFRsの除去率は,電気炊飯器では74~94%,電子レンジ炊飯器では78~96%であった.水洗なしの無洗米(500 ng/g)での除去率は水洗および加熱をした場合より低く,電気炊飯器では10~50%,電子レンジ炊飯器では10~70%であった.精白米からのPFRs摂取量の低減には,炊飯前の水洗が効果的である.
著者
荻原 文弘 両角 達男
出版者
全国数学教育学会
雑誌
数学教育学研究 : 全国数学教育学会誌 (ISSN:13412620)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.11-24, 2016-08-30 (Released:2019-01-17)
参考文献数
17

The purpose of this research is to consider students’ mathematical ideas of how the mensuration formula is deduced and how these ideas are applied in the process of first revising how to deduce the area of a circle and then trying to deduce the volume of a sphere through the teaching unit of integral calculus.  In this unit students express the process of finding the volume of a sphere mathematically and interpret it by reviewing the process of obtaining the area of a circle.  Therefore we design and practice the unit of integral calculus in order to deduct mensuration formula for circle and sphere.  We consider typical student’s activities by the qualitative method in the teaching unit of integral calculus.  Then we clarify students’ mathematical ideas and how the students apply these ideas effectively. Students’ activities through classes can be summarized into four points.  First, they expressed the description of the arithmetic textbook mathematically, which helped them interpret the area formula of a circle more deeply and give new ideas for deducing the volume formula of a sphere.  Secondly, students interpreted the process of deducing the volume formula of a sphere by connecting mathematical ideas in reproducing the area formula of a circle with transition between two dimensions and three dimensions.  Third, an encounter with a circular argument made the students recognize that they should always bear precondition in mind.  At the same time, it gave them a good opportunity to explain about their ideas to others.  Finally, students attempted to apply the ideas of the area formula of a circle and the volume formula of a sphere which were produced in the previous stage by modifying and improving their ideas.
著者
中村 玲子
出版者
JAPANESE SOCIETY FOR TUBERCULOSIS
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.60, no.10, pp.523-529, 1985-10-15 (Released:2011-05-24)
参考文献数
16

Tuberculin skin reaction is one of phenotypes of the immune responses to mycobacteria, which is mediated by the sensitized T cells and expressed as a delayed-type hyperse nsitivity. In mycobacteria-infected mice, this response is recognized as a footpad reaction specific to PPD. There are high and low responders in this reaction among various strains of mice. The difference in the responsiveness is controlled genetically. High respon siveness is dominant over low responsiveness. The results of linkage test using SWM/Ms, C3H/ He, and their hybrids, showed that this gene links to neither H-2, coat color, norIgh allotype.Strain differences in the resistance against virulent mycobacterial infection does not coincide with the natural resistance to BCG which is regulated by Ity-Bcg-Lsh gene on chromosome 1. Rather, the acquired immunity is related to delayed-hypersensitivity to BCG, although it is not mapped yet.Suppression of the immune response to BCG is observed in BCG-low-responder mice. The mechanism was found to be due to the induction of suppressor T cells which inhibit the induction of effector T cells. The surface antigens on macrophages and T cells are necessary to induce suppressor T cells. It seems that the suppressor T cell induction is regulated genetically. However, it is not clear what gene regulates the suppressor T cell induction and how it is related with the gene for delayed-type hypersensitivity.Genetic analysis of immunity to tuberculosis in human beings is difficult because the population is highly heterogeneous. Statistical analysis in a large scale would be a good way of the study. There is a report that HLA-Bw 15 might be related to tuberculosis, but accumulation of more information is necessary.