- 著者
-
島田 茉莉
- 出版者
- 日本耳鼻咽喉科感染症・エアロゾル学会
- 雑誌
- 日本耳鼻咽喉科感染症・エアロゾル学会会誌 (ISSN:21880077)
- 巻号頁・発行日
- vol.8, no.3, pp.172-175, 2020-11-20 (Released:2020-11-20)
- 参考文献数
- 7
風邪症候群は症状により「非特異的上気道炎型」,「急性鼻・副鼻腔炎型」,「急性咽頭・扁桃炎型」,「急性気管支炎型」の4つに分類される.非特異的上気道炎型は鼻・咽頭・咳症状が急性かつ同時に同程度現れる.急性鼻・副鼻腔炎型は鼻症状が主体であり,一旦軽快した症状が発症7~10日後に再増悪した場合は細菌性への移行を考慮し抗菌薬の使用を検討する.急性咽頭・扁桃炎型ではRed Flag疾患を見逃さないことが大切である.急性気管支炎型では,遷延する咳嗽の鑑別として感冒後咳嗽が多いが見逃しやすいものとして薬剤性,逆流性食道炎,咳喘息,マイコプラズマ肺炎,肺結核,百日咳などがある.その他,初期症状が風邪に類似する鑑別疾患として,悪性リンパ腫,膠原病,虚血性心疾患,大動脈解離,不明熱(感染性心内膜炎,腎盂腎炎)などが挙げられ,それぞれ丹念な問診や適切な追加検査を通じて確実な診断を心がける必要がある.