著者
稲垣 伸吉 丹羽 智哉 鈴木 達也
出版者
The Society of Instrument and Control Engineers
雑誌
計測自動制御学会論文集 (ISSN:04534654)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.282-290, 2011 (Released:2011-12-19)
参考文献数
12
被引用文献数
4 1

This paper proposes a novel locomotion control, called Follow-the-Contact-Point (FCP) gait control, for a centipede-like multi-legged robot. The centipede-like multi-legged robot is composed by connecting segments, which have a trunk and a pair of legs, via a passive joint. This control method is motivated from behavioral knowledge of a centipede that each leg always contacts on the point which the anterior leg contacted. The FCP gait control realizes the walking behavior of centipede via decentralized event-driven control structure. In addition, merely by planning and allocating the contact point of legs of a head segment adequately, the robot can change the moving direction and also climb over an obstacle. We clarify the feasibility of the FCP gait control by showing the result of physical simulation of a 20-legged robot.
著者
浅井 禎吾 大島 吉輝
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.112-116, 2014 (Released:2016-04-05)
参考文献数
19

天然物探索研究,いわゆる“ものとり”の醍醐味は,ヒトの想像力をはるかに超える新規な構造や薬理活性を持つ化合物を手にするところにある.しかし,今では胸躍るような新規物質との出会いはなかなか期待できず,やっとの思いで単離したものが既知化合物であったということは,天然物研究者なら誰もが経験したであろう.最近,次世代シーケンサーの登場によってゲノム科学が目覚ましく進展した.その結果,これまで多種多様な二次代謝物が見いだされた放線菌や糸状菌にあっても,そこにはいまだに多くの生合成遺伝子が利用されないまま埋もれていることが分かってきた.未利用生合成遺伝子は新規天然物の新たな鉱脈かもしれない.ここ数年,ゲノム情報に基づく手法や転写制御を利用する手法に加え,難培養微生物ゲノムを利用するメタゲノム法など,未利用生合成遺伝子を活用して新規物質を取得する新しいスタイルの天然物研究が急速に進んだ.本稿では,我々が近年力を入れている,エピジェネティック制御による未利用生合成遺伝子の活用と,そこで得られた多様な天然物を紹介したい.
著者
佐々木 徹郎
出版者
Japan Academic Society of Mathematics Education
雑誌
数学教育学研究 : 全国数学教育学会誌 (ISSN:13412620)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.25-31, 2005 (Released:2019-01-17)
参考文献数
15

数学の架空性は,数学が発展する上で,重要な役割を担っている。そのため,子どもが数学を学習するときに,理解できなくなる難所になることが多い。数学学習の過程において,どこでどのように架空性が生まれるのかを考察した。中学校1年生が「一次方程式」を学習する中で,「架空性」の問題が生じた事例を取り上げた。「創発モデル」の理論における「意味の連鎖」を用いて,それを分析した。その結果,「記母」が「記子」に結びつく過程,つまり記号化の過程の中で,架空性が生まれることがわかった。つまり,それぞれの記号化の中では,何らかの架空性が生じているのである。したがって,学習内容が現実的か架空的かは,本質的に個々人が,そのことを認識するかどうかに依存している。つまり,相対的なものである。また,架空性そのものが,必ずしも理解困難とは限らない。記号化が理解の助けとなることと同様に,数学的理解の助けになることもある。さらに,数学の学習において必ず現実的なモデルから始める必要はない。創発モデルは,個々の単元の中だけで,構想されるべきではない。数学の長期にわたる学習を全体論的に想定すべきである。