- 著者
-
諸岡 信久
- 出版者
- 一般社団法人 日本家政学会
- 雑誌
- 一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 59回大会(2007年)
- 巻号頁・発行日
- pp.209, 2007 (Released:2008-02-26)
目的:空中菌が原因となる感染症としては結核,レジオネラ症,インフルエンザ,アスペルギルス症や真菌によるアレルギー症がよく知られている.1類感染症で致死率の高い重症急性呼吸器症候群(SARSコロナウイルス)は室内空気が感染経路となっている.この研究は室内空中菌の挙動を明らかにするために,人の活動及び空調や換気などの影響を検討した.方法:室内空中浮遊菌は多孔板で単層式の衝突型空中浮遊菌測定器(MBS-1000,ミドリ安全),空中浮遊粉塵は0.3μm~5μmを6段階で測定できるレーザー光線による粉塵計(HHPC-6,リオン)を用いて測定した.微生物の採取にはソイビン・カゼインダイジェスト寒天培地(日水製薬)を用いた.培養と生菌数測定方法は25℃に調整したインキュベーターで培養して,2日目と5日目の生菌数を細菌と糸状菌に大別して計数して,室内空気1 m^3あたりのコロニー数(cfu/m^3)として示した.住空間は図書館3階のゼミ室で,週に3回程度使用されている容積108.7m^3,床面積(6,185mm×5,920mm),高さ2,970mmを用いた.結果:図書館3階のベランダの外気では糸状菌910(cfu/m^3),細菌50(cfu/m^3).室内に5名が椅子に座った静止状態では糸状菌280,細菌1,680.全員5分間歩行状態では各々130,6,250.続いて,静止して空調を運転した状態では150,4,070.さらに,窓と廊下の入り口を開けて換気した状態では390,320であった.また,歩行後1時間間隔で空中浮遊菌を測定したところ,糸状菌数は大きな変化を示さなかったが,浮遊細菌数は歩行活動で急増したが時間の経過とともに減衰して,3時間後には静止状態に戻った.