著者
木下 泰宏
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.80, no.810, pp.LH0036, 2014 (Released:2014-02-25)
参考文献数
40

The purpose of this paper is to clarify the factors which influenced the development of the technology in the Edo period. Especially, this paper tries to consider the influence on the mechanical technology development by the “Shinki-hatto”. “Shinki-hatto” law was promulgated in 1721. It has been proposed in the field of the history of engineering and intellectual property that invention is strictly prohibited by this law and the law causes Japan's stagnant technology development in the Edo period. This paper makes clear that the principal purpose of the law was to maintain the economic and institutional status quo. In addition, the paper suggests the possibility that the law fell short of expectations in terms of effectiveness.
著者
菱沼 光恵 田中 陽子 矢口 学 桒原 紀子 野本 たかと
出版者
一般社団法人 日本障害者歯科学会
雑誌
日本障害者歯科学会雑誌 (ISSN:09131663)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.605-615, 2015 (Released:2016-02-29)
参考文献数
73

口腔常在菌が口腔疾患だけでなく全身疾患の誘発に深く関与することが明らかにされてきている.障害児者や高齢者にとって,Porphyromonas gingivalis (P. gingivalis)を含む口腔常在菌を起因として,口腔機能や免疫機能の低下が相まった際に誘発される誤嚥性肺炎は,きわめて重篤な疾患となる.糖非分解性細菌であるP. gingivalisによってエネルギー獲得のために産生されたプロテアーゼは,タンパク質の代謝のみならず病原性にも関与しているとされている.P. gingivalisのゲノム解析が行われ,菌株の間で頻繁なゲノム再構成が起こっていることが明らかにされ,最近の研究でP. gingivalisのもつ線毛の遺伝子型(fimA)によってIからV型に分類した場合,fimA II型が進行性の歯周病患者に多いことが報告されている.また,P. gingivalisの産生するAminoacyl-histidine dipeptidase (PepD)はfimA II型に多く発現するプロテアーゼであることが明らかにされている.しかしながら,PepDに焦点をあてた報告はほとんどない.そこでわれわれはfimA II型P. gingivalisのPepDに着目し,気管上皮細胞に対する為害性について検索した.さらに将来的な新規分子標的治療薬開発の足掛かりとして,PepDを標的とした阻害剤についても,fimA I型P. gingivalisの増殖抑制効果が報告されているベスタチンを中心に検討を加えた.その結果,PepDは菌自身の生存に関与するだけでなく生体為害作用をもつことが明らかにされた.さらに,PepDがベスタチンの標的酵素であることが示唆され,P. gingivalisによって誘発される慢性炎症への新規治療薬としての可能性があることが考えられた.
著者
庄司 翼
出版者
奈良先端科学技術大学院大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

植物由来の天然物は古来より医薬、嗜好品、染料として利用されてきた。特に、12,000種類余の構造が知られるアルカロイドは、多くの有用生理活性物質を含んでいる。我々は、低ニコチンタバコ品種に利用されてきた遺伝子座にERF型転写因子が存在することを解明した。この転写因子はインドールアルカロイド合成のマスター遺伝子ORCA3と高い相同性を示す。マスター遺伝子を利用した次世代代謝工学が期待される。
著者
能川 元一
出版者
日本哲学会
雑誌
哲学 (ISSN:03873358)
巻号頁・発行日
vol.1995, no.45, pp.263-272,8, 1995-04-01 (Released:2009-07-23)

Le reproche de la «pensée objective», fait par Merleau-Ponty, aboutit à la révision de la notion de «comprendre». Il s'agit de savoir ce que c'est que la «logique de l'invention», qui gouverne le processus de compréhension non-objectiviste. L'analyse de la «parole parlante» et de sa compréhension nous suggère la diversité des fonctionnement des signs qui y participent. Et la part des signes non-dénotatifs, en particulier des signes exemplificatifs (N. Goodman). nous concluons, indique que la logique de l'invention n'est pas comparable à la logique classique fondée sur la notion de vérité.
著者
伊原 久裕
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第56回研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.G07, 2009 (Released:2009-06-16)

ノイラートによって開拓された図像統計の手法「アイソタイプ」は、1930年代にアメリカとヨーロッパで大きな影響を及ぼし、類似した試みが数多く登場した。そのうち、世界でもっとも活発な展開が見られたのはアメリカである。この報告では、こうした動きを「アイソタイプ運動」と総称し、1930年代のアメリカにおけるその動向を概観するとともに、普及の要因と特徴を探る。 まず、ルドルフ・モドレイの著作『How to Use Pictorial Statistics』を参照して、1930年代のアイソタイプ運動の代表的印刷物および制作者を概観する。次に、アメリカにおけるアイソタイプ運動の興隆の背景に同時期のニューディールがあったことを示す。最後にアメリカでの特徴として「アメリカ化」としばしば形容されていた図像統計のあり方について考察を加える。
著者
渡辺 茂 村山 美穂
出版者
慶應義塾大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2003

本研究では,1)ヒトで好奇心との関連が報告されているドーパミンD4受容体遺伝子多型領域の鳥類での解析,2)D4拮抗薬投与による好奇心の低下の検討、により行動特性の遺伝的側面からの解明を目指した。鳥類ではエキソン1領域にアミノ酸のプロリンをコードするCCNの反復配列が存在し、種間、種内で反復数に差があることを見いだした。個体の行動データがあるカササギ、カケス、ハトで遺伝子型を調べた。プロリン反復領域をPCR増幅して、ABI3100シーケンサー(アプライドバイオシステムズ)を用いて、BigDye V3.1キット(アプライドバイオシステムズ)によるdye terminator法で塩基配列を解析した。その結果、カラス、カササギ、カケス、オウム、ハトはそれぞれ3,3,3,3回反復遺伝子を持っており、種内多型は見いだされなかった。好奇心の強い種としてセキセイインコを用い、新奇刺激に対する接近行動を好奇心の指標として薬理実験を行った。D4拮抗薬としてはL-745,870を用い、0.1mg/Kgから0.2mg/Kgを筋肉内投与した。その結果、拮抗薬投与により、有意な接近行動低下が見られた。なお、一般活動性には薬物投与の効果は見られなかった。このことから、D4が鳥類においても好奇心に関係することがわかった。しかし、多くの種で種内の遺伝子多型が見られなかったため遺伝子多型と好奇心との関連は十分に解明されなかった。