著者
山内 廣隆
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

研究成果は『ヘーゲルから考える私たちの居場所』(晃洋書房)に凝縮されている。この本は昨年十一月に出版された。この研究の成果は以下のようにまとめられる。(1)国家と宗教の関係のあるべき姿を提示できた。(2)現代アメリカの新自由主義批判のための、理論的根拠を構築できた。以上の二つの成果を、私はドイツ実践哲学の代表者ルートヴィヒ・ジープのヘーゲル解釈に依拠しながら、導き出すことができた。
著者
山岸 健
出版者
三田哲學會
雑誌
哲学 (ISSN:05632099)
巻号頁・発行日
no.97, pp.p89-120, 1994-07

In a sense landscape is a proper spectacle of outer world, but it is also a state of mind. We are always involved in landscape-world as well as social world. All people are living in the midst of various landscape-world. Provence in southern France is not only a proper geographical space but also a unique cosmos which is ordered by several rivers, mountains, hills, fields, and la mer Mediterranee. Provence may be called as a unique historical cultural social world and also as a local landscape-world. We can understand Provence as a stage of people's life-long experiences or a everyday life-world. I think identity is in our everyday world-experiences: social experiences, spiritual experiences, and landscape-experiences. Although we can experience some aspects of Provence in every places or corners of this country, also we can find several proper aspects or phases of this Provence in many paintings or works by Cezanne or van Gogh. Provence may be in poems by Rene Char or phrases by Alphonse Daudet. Plaine de la Camargue is in a novel titled Malicroix written by Henri Bosco. Provence may emerge in various perspectives and lived experiences of people or travellers.
著者
中山,剛史
出版者
日本ヤスパース協会
雑誌
コムニカチオン
巻号頁・発行日
vol.9, no.9, 1997-03-31
著者
金 貞花 シュマッカー ヤンディャク 藤井 聡
出版者
人間環境学研究会
雑誌
人間環境学研究 (ISSN:13485253)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.71-77, 2012

スペインの哲学者オルテガ(1883~1955)の著書「大衆の反逆」(1930)に基づいて、社会ジレンマの問題は「傲慢性」の因子という心理的傾向性に影響がある可能性が指摘されている。本研究では、交通需要マネジメント施策の賛同と共感意識形成問題を社会的ジレンマ中の一つと見なし、『傲慢性』が「交通施策に対する賛同と共感意識形成」と負の関係があるという仮説に基づき進める。さらに、政府に対する信頼、環境問題に対する認知、公共交通や自転車、徒歩などの環境にやさしい交通手段に対する意識といった心理的要因も施策への賛同と共感意識の形成に影響する要素と考えている。本研究では、まず、アンケート調査を通じて上に述べた心理的要因に関するデータを収集してTDM施策に、主に環境税に対する受容可能性に対し影響を及ぼすという仮説を設定し、検証する。
著者
後藤 真理子
出版者
九州大学哲学会
雑誌
哲学論文集 (ISSN:0285774X)
巻号頁・発行日
vol.56, pp.19-39, 2020-12
著者
西本 優樹
出版者
北海道大学大学院文学研究院応用倫理・応用哲学研究教育センター
雑誌
応用倫理 (ISSN:18830110)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.22-44, 2021-03-25

本稿では、ビジネス倫理で「企業の道徳的行為者性」(corporate moral agency)をめぐって中心的な論点となる企業の意図の問題を、推論主義(Brandom 1994)と呼ばれる言語行為論の一類型を援用して検討する。 企業に行為の意図を認めることができるかという問題は、従来から心の哲学の心理主義と機能主義の対立を反映する形で議論されてきた。すなわち、意図に関して心理主義を支持するレンネガードとヴェラスキーズ(2017)が、心を持たない企業が意図を持つことはありえないと主張するのに対し、機能主義を支持する論者は、企業に意図の機能的特徴を見出すことができると主張する。 本稿では、この対立を概観した後、意図に関して言語論的な機能主義を支持する推論主義を援用することで、レンネガード、ヴェラスキーズの議論に反論を提起し、この議論で推論主義が適切であることを示す。この作業の後、本稿では、条件付きではあるが推論主義から企業の意図および企業の道徳的行為者性が正当化できることを示し、そうした議論から帰結する問題点を指摘する。
著者
三宅 威仁 Takehito Miyake
出版者
基督教研究会
雑誌
基督教研究 = Kirisutokyo Kenkyu (Studies in Christianity) (ISSN:03873080)
巻号頁・発行日
vol.77, no.2, pp.1-23, 2015-12-15

リチャード・スウィンバーンを第一人者とする哲学的有神論は、ア・ポステリオリな帰納的論証により、「神は存在する」という仮説の真である確率が真でない確率よりも高い(神の存在の蓋然性が2分の1以上である)と主張する。スウィンバーンはこの命題を論証するための方法論として、ベイズの定理に基づく確認理論を応用する。ベイズの定理により、「神は存在する」という仮説の事後確率は、この仮説の事前確率と証拠の事前確率と証拠の事後確率の関数として評定される。本稿はスウィンバーンのこの方法論を分析し、どのような場合に「神は存在する」という仮説の蓋然性が上下するかを検討する。
著者
橋口 倫介 鈴木 宣明 シロニス R.L. ペレス F. リーゼンフーバー K. 大谷 啓治
出版者
上智大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1989

本計画の2年目で最終年度に当る平成2年度は13世紀から15世紀までの学者の自己理解と知識観の変遷との関係が研究課題となった。この研究テ-マを計画通りに時代区分に従って3つの分野に分けて研究が進められた。1.13世紀の知識観は、大学とくに神学部と哲学部において形成されたものなので、パリ大学とオックスフォ-ド大学における学問論が主題となり、2.14・15世紀に関して、フランス・ドイツ・イギリスにおける「古き道」と「新しき道」という2通りの学問理解が研究され、3.14世紀後半〜15世紀は、イタリアの人文主義にみられる学問観が研究課題となった。1.に関して、13世紀大学において展開された知識観の内、3つの基本形態が区別できるようになった。(1)12世紀サン=ヴィクトル派の学問観を継承・発展させた旧フランシスコ会学派とくにボナヴェントゥラに代表される神学的学問観では、諸学問を神学の下で統一しようとする伝統的知識観、(2)ボエティウスを通して媒介されたアリストテレスの哲学的学問論を受け継いだドミニコ会とくにトマス・アクィナスによって代表される認識論的知識観、(3)オックスフォ-ドにおける、アラブ哲学とアウグスティヌス主義の光論を基盤とし、中期フランシスコ会学派とくにロジャ-・ベ-コンによって代表される数学的・実用主義的な知識観。2.に関して、14・15世紀ヨ-ロッパ北方において、(1)いわゆる「古き道」のアルベルトゥス学派、トマス学派、スコトゥス学派における体系的で思弁的な学問観、(2)「新しき道」を自称した形式論理的・唯名論的・経験論的な学問観、(3)とくにフランスにおいて登場した自然学・経済学・歴史学などの新学問によって特徴づけられた知識観。3.に関して、14・15世紀イタリアにおける学問を生活・文芸・人間形成と結びつけて考察する初期ルネサンスの知識観を研究し、その社会的背景と学者の精神性との連関性を明確にとらえることができた。
著者
小池 美穂
出版者
慶應義塾大学フランス文学研究室
雑誌
Cahiers d'études françaises Université Keio (ISSN:18845363)
巻号頁・発行日
no.16, pp.1-16, 2011

1. はじめに2. 「ファーブル」としての神話の役割とその限界3. 驚異的な話と迷信4. 歴史上の出来事5. 結論