著者
高木 繁光
出版者
同志社大学
雑誌
言語文化 (ISSN:13441418)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.355-379, 2005-12

本論はドイツの二つの零年に撮られたベルリンについての三つの映画の分析を通して映画的イメージの特性を考察する。『ドイツ零年』においてロッセリーニは、廃墟のベルリンを地獄絵図として描く。そこに属することを拒む少年は繰り返し螺旋階段を上り、ついには死へと身を投じる。この反復的な垂直方向の運動とともに、スクリーン上を幾度も横切る路面電車の水平方向の運動が、映画の構図上の基本線をなしている。ターナーの『ベルリン特急』は様々な数字の反復によって構成され、特に2はこの映画の主題である分身性、類似したものの反復を示している。車窓はスクリーンとしてメタ映画的な機能を果たし、そこにフランクフルトとベルリンという二つの街が破壊され瓦礫となり似通った風景として反復的に映し出される時、それらは都市としての固有性、一回性を失い、幽霊のような類似した二つのイメージとなって重なり合う。それは、一回限りのものから固有性を奪い、複製、コピーという反復的イメージを作り出す映画の本質に対応している。『新ドイツ零年』も相似、分身を表す2の反復によって構成されている。この映画は、「存在と非在」、歴史と精神の間を「揺れながら」、幽霊的な主体の複数性において回帰と逃走を繰り返す歴史という女性(たち)の「物語」である。ゴダールは、この超時間的な「物語」をとおして、第二の「零年」という一回的な時間を「闇の音楽」として聴かせようとする。Die Abhandlung fragt anhand einer Analyse von drei Filmen über Berlin nach dem gespensterhaften Wesen der filmischen Bilder. In Germania Zero zeichnet Rossellini die zerbomte Stadt Berlin als eine Hölle, die einen Knaben zum Selbstmord treibt. Er geht wiederholt die Spiraltreppen hinauf, die ihn zuletzt zum Tod führen. Mit diesen vertikalen Bewegungen bestimmen die horizontalen Bewegungen der Straßenbahnen die Grundkomposition des Films.Im Berlin Express Tourneurs werden auf das Fenster des Zugs, das als Leinwand funktioniert und metafilmisch das Wesen des Films enthüllt, die Anblicke der zerstörten Städte Frankfurt und Berlin projiziert. Die beiden Stadtbilder sind durch die Zerstörung ähnlich geworden: sie haben ihre Eigenartigkeit als Stadt verloren und ähneln sich wie gespensterhafte Doppelgänger. Allemagne année 90 neuf zero ist durch die Wiederholung der Zahl 2 gekennzeichnet, die auf Ähnlichkeit und Doppelgänger hindeutet. Hier ist von „jeunes filles sans uniforme" die Rede, die als gespensterhafte plurale Erscheinungsform der Geschichte selbst zwischen Sein und Nichtsein, Geschichte und Geist oszillierend immer auf die Welt wiederkehren und wieder erneut verschwinden.
著者
田中 智之
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.138, no.4, pp.477-486, 2018-04-01 (Released:2018-04-01)
参考文献数
23
被引用文献数
2

An increasing number of cases of research misconduct and whistle-blowing in the fields of medicine and life sciences has created public concern about research integrity. In Europe and the United States, there has been a large focus on poor reproducibility in life science research, and poor reproducibility is largely associated with research misconduct. Research integrity is equally crucial in the pharmaceutical sciences, which play an important role in medical and life sciences. Individual cases of research misconduct have not been investigated in detail in Japan, because it was generally believed that only researchers with strong or strange personalities would participate in misconduct. However, a better understanding of research misconduct will enable more in-depth discussions about research integrity, which is now known to be closely associated with normal research activities. Here I will introduce information on various contemporary activities being performed to create a sound research environment, drawn from practices in universities, pharmaceutical companies, and government agencies. I will also discuss ways in which individual researchers can promote research integrity.
著者
中山 次久 小森 学 高柳 博久 米本 友明 松脇 由典
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.82-91, 2008 (Released:2009-09-17)
参考文献数
25
被引用文献数
2

アレルギー性真菌性鼻副鼻腔炎 (AFRS) は真菌に対するI型・III型アレルギーにより発症し, 副鼻腔粘膜や鼻茸中に著明な好酸球の浸潤をきたす再発率の高い難治性鼻副鼻腔炎である。欧米ではAFRSの頻度は慢性鼻副鼻腔炎と診断され手術に至った症例のうち4~10%程度と報告されているが, 本邦では現在のところ多くが症例報告であり, 有病率に関しての検討は松脇らの3.9%との報告にとどまっている。そこで本邦におけるAFRSの有病率を調査するため, 2006年4月から2007年3月までに富士市立中央病院を受診し, 鼻副鼻腔炎の診断をもとに内視鏡下鼻内手術を施行した症例を対象として検討を行った。対象症例は50症例で, 米国アレルギー喘息免疫学会 (AAAAI) 等の定めた鼻副鼻腔炎に対するガイドラインの分類にのっとり診断した。診断結果は急性化膿性鼻副鼻腔炎 (ABRS): 2例, 鼻茸を伴わない慢性鼻副鼻腔炎 (CRSsNP): 19例, 鼻茸を伴う慢性鼻副鼻腔炎 (CRSwNP): 25例, AFRS: 4例であった。また, 50例中真菌性鼻副鼻腔炎は11例で認め, 慢性非浸潤性 (sinus mycetoma): 7例, AFRS: 4例であった。以上よりAFRSは手術に至った慢性鼻副鼻腔炎48例中8.3%で認められた。本邦においても欧米とほぼ同等の頻度でAFRS症例が存在することが確認され, 今まで難治性鼻副鼻腔炎として治療を行っていた症例の中にAFRS症例が存在する可能性が示唆された。
著者
田中 恭平
巻号頁・発行日
2016

筑波大学修士 (図書館情報学) 学位論文・平成28年3月25日授与 (35995号)
著者
荒川 唯
巻号頁・発行日
2014

筑波大学修士 (図書館情報学) 学位論文・平成26年3月25日授与 (32616号)
著者
田村 博
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.44, no.8, pp.961-966, 1990-08-20 (Released:2011-03-14)
参考文献数
10
被引用文献数
1
著者
田村 博
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.112-116, 2004 (Released:2006-10-06)
参考文献数
12

キーボードは書字下手な人々の悩みを解消した.そしてケータイは,移動中でも,ベットの中でも時や場所を選ばずに使える入力法を約束している.機械に合わせて人を訓練するのでなく,人に合わせた入力法の開発が格段の普及を促進するものと期待される.書字動作,キー入力,ケータイ入力に共通する人の特性についてのべ,最近の実験結果を含めて解説する.
著者
山脇, 玄修
出版者
巻号頁・発行日
vol.巻13, 1688
著者
幸野 晶
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.167-173, 2018-05-26 (Released:2018-06-08)
参考文献数
11

本調査は哲学研究の引用行動の把握を試みるために,引用の理由や機能等を分析する引用文脈分析を行なった.引用の理由や機能等を意味するカテゴリを作成し,哲学論文の引用箇所を対象にして他の学問領域との違いを分析した.分析の結果,哲学分野では他分野と比較して他の研究者への批判や否定を行なう目的での引用が行われること,また自身の論旨の展開に関わる研究を説明する目的のために行われる引用行動が多いこと,儀礼的な引用が比較的少ないことなどが明らかとなった.人文科学の下位領域とされる哲学に否定的な引用が多いという点は,先行研究を裏付ける結果となった.
著者
久永 忠範 渕田 孝康
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.127-133, 2018-05-26 (Released:2018-06-08)
参考文献数
4

近年,多くの行政・団体がオープンデータの公開,活用に取り組んでいるが政府の推進する「機械判読可能で人手を多くかけずにデータの2次利用が可能である」というデータ活用までには至っていない.これらのオープンデータを共通の述語を用いて簡易にRDF 形式に変換できれば、データの連携によるオープンデータの活用が促進される。本研究では、オープンデータとして開示されているデータのRDF[1]形式への変換をするためにWord2Vec[2]というアルゴリズムを活用した述語の自動生成の応用を考えた.オープンデータの各データ項目をベクトル化する述語ベクトル法という統計的処理を用いて項目名にあたる述語の共通化を図り、RDF 形式に変換するための述語の推薦手法の提案をおこなう.
著者
高久 雅生 小幡 将司 江草 由佳
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.111-120, 2018-05-26 (Released:2018-06-08)
参考文献数
36

図書館資料を対象とした文献検索における適合度順による検索結果ランキングを改善する手法として,OPAC 利用ログを用いた,A)書誌情報の閲覧回数の重み付けによるリランキング手法,B)同一セッション内で使われたクエリキーワードを加味する検索手法の2 つの手法を提案した.筑波大学附属図書館OPAC における約46 ヶ月間にわたるOPAC 利用ログを用いて,提案手法を適用して評価した.評価にあたっては,春日ラーニングコモンズにおける質問事例を参考にした評価用クエリセット16 件を作り,それぞれの手法による検索結果を人手により適合判定して評価した.結果,手法A とB はいずれもベースライン(書誌項目を用いたBM25F ランキング手法)に比べて高い評価が得られ,さらに,手法A よりは手法B のほうが高い評価が得られることが分かった.