著者
畑島 隆 谷本 茂明 金井 敦
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J101-D, no.10, pp.1414-1426, 2018-10-01

インターネットが社会基盤として重要になるにつれ情報セキュリティ対策の重要性が増し,内容も複雑化・高度化している.しかし,これら対策が複雑化し過ぎた場合,却って利用者のセキュリティ意識を低下させる恐れがある.米国国立標準技術研究所(NIST)からもSecurity Fatigue(情報セキュリティ疲れ)が提唱され,情報セキュリティ対策の実施によって生じる疲れが述べられている.一般に,情報セキュリティ疲れは全てのICT利用者に発生し得るものであり,この疲れに陥ることでセキュリティ対策の効果が抑止されることが課題である.本論文では,情報セキュリティ疲労対策の核となる情報セキュリティ疲労度測定を質問紙調査により実施する手法を提案する.具体的には,一般的な燃え尽き症候群(バーンアウト)の測定手法を援用した質問紙作成と大学生に対する調査実施により,「回避願望」,「消耗感」,「当事者意識」の下位尺度による13項目の質問からなる情報セキュリティ疲労度調査法を具現化した.更に,評価として新たに作成した質問紙調査により消耗感について男女別の尺度得点の平均値に1%水準で有意な差が見られることを示した.
著者
塚田 友二 岡 秀一
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2005, pp.193, 2005

<B>1.はじめに</B><BR> 都市や農村に残存する森林は,人間による影響が大きいため,環境条件に加えてさまざまなスケールの人為攪乱を含む歴史的要因を考える必要がある(大住2003).<BR> そこで本研究では,北海道石狩平野を対象として,人為攪乱をはじめとする歴史的要因が,森林の分布や植生構造にどのように関わってきているのかを明らかにする.<BR><B>2.方法</B><BR> 平野内の85地点で毎木調査を実施し多様度指数(H´),胸高断面積合計(BA)などを算出した.その結果とGISを用いて明らかにされた自然環境条件ならびに人為攪乱とを比較した.人為攪乱の内容には土地利用変化,植栽,流路変更,森林利用,都市化などがある.なお解析は石狩低地帯南部,石狩低地帯中部,石狩低地帯北西部,空知低地帯南部に区分しておこなった.<BR><B>3.結果と考察</B><BR> 森林は平野の8.6%にみられ,農地の強風からの保護を目的に設定された林帯幅数10mの幹線防風林と一部の平地林に残存する.石狩低地帯南部はH´が高く,BAは中庸である.これは明治時代にカシワの選択的伐採があったもののその後の植栽がなかったこと,河川からやや離れた場所の土壌の乾燥化が関係する.石狩低地帯北西部はBA,H´の分散が大きい.古砂丘地形に規定された植栽の有無,土地利用変化パターンが及ぼす種構成の違い,原植生の植生構造を残す旧河川の自然堤防に位置する林分など地域におけるさまざまな植生のタイプの存在が分散を大きくさせている.石狩低地帯中部,空知低地帯南部はBAの分散が大きい.原植生の多くが荒地,湿地,疎林であったことを考慮すると,BAは植栽年数が規定している.しかし戦後に開拓されたため,現在でも湿性な環境が維持されている.そのため絶滅危機種であるクロミサンザシなどの生育地になり,林分はレフュージアとしての可能性を持つ.<BR>この他に住民の管理と強風による倒木の影響を受けている森林が住宅地域に残存している.<BR><B>4.まとめ</B><BR> 平野の森林は,開拓から約140年の間に大なり小なり自然環境条件に規定された人為攪乱を受け,地域ごとに異なる植生構造を形成してきたことが分かった.その結果,1)明治時代の人為攪乱による作用を強く受けた林分,2)樹種構成の変化が起きている林分,3)流路変更の影響を受けず原植生が残る河川近傍の林分,4)自然林と植栽がモザイク状に分布する林分,5)湿性な環境が維持されている林分,6)都市化の影響を受けた林分,の6タイプに区分された.残存する森林は地域特有の歴史性や自然環境の中で培われてきており,それぞれは人為攪乱の影響を受けつつも固有の価値と可能性を持つものとして評価できる.
出版者
千葉大学 = Chiba University
巻号頁・発行日
2015

研究科: 千葉大学大学院医学薬学府(先端創薬科学専攻)

1 0 0 0 OA 日本国法学

著者
美濃部達吉 著
出版者
有斐閣書房
巻号頁・発行日
vol.上巻 上 総論, 1907
著者
三角 洋一
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.13-22, 1984-04-10 (Released:2017-08-01)

There are two texts for Hashihime Monogatari: one is thought to have been formed before Genji Monogatari and is called the "scattered old text", and the other is "emaki" revised in the middle ages. When we stndy the work, it's necessary to restore the old text as well as analyzing the revised one. At the time the old text was formed, the original legend was almost entirely forgotten in the aristocratic society. But in the medieval period, they constructed the new text, gathering every remaining memory of the original legend. The story also seems to have appeared in the world of literature in that period as Tofutan and Hitobashira Legend.

1 0 0 0 OA 柯則要摘

出版者
巻号頁・発行日
vol.[26],
著者
前原 寛
出版者
日本幼稚園協会
雑誌
幼児の教育 (ISSN:02890836)
巻号頁・発行日
vol.109, no.2, pp.30-33, 2010-02-01
著者
松本 誠一
出版者
Meteorological Society of Japan
雑誌
気象集誌. 第2輯 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.53-63, 1967 (Released:2008-05-27)
参考文献数
19
被引用文献数
6 14

北陸地方に設定した細かい観測網による高層観測資料に基ずき,熱および水収支を1963,1964および1965年の3ケ年分の特別観測期間につき比較した。水蒸気の収束量はこの3冬とも殆んど同じ値を示しているが,降水量は年々非常に変っている。海面からの蒸発および対流輸送量の違いはかなりあるけれども,降水の変動には主として凝結した水分の輸送が関係している。6時間間隔の水蒸気輸入量を領域内の6時間降水量と比較すると,風下側の観測点の降水量とよい関係があることが分る。平均流束による発散で計算すると顕熱増加量は潜熱減少量のほぼ2倍になることが示される.この関係は観測網の大きさに関係なく,とくに雲層内でよく成立っている。差引き過剰の熱エネルギーは対流活動により輸送されているものと考えられる。強い降雪が観測されるときには対流活動が盛んで,海面から補給される熱エネルギーよりも多い熱エネルギーを雲層に輸送していることが示唆される。本研究は北陸豪雪特別研究の一環としてなされたものである。
著者
瀬戸 真之 西 克幸 石田 武 田村 俊和
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理要旨集
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.88, 2007

<BR>I.はじめに<BR> 郡山・猪苗代両盆地の分水界に位置する御霊櫃峠(海抜約900m)には一種の「階状土」が発達し,少なくともその一部では現在も礫が移動していることが知られている(鈴木ほか,1985).田村ほか(2004)は,この微地形を「植被階状礫縞」と呼び,その形態的特徴を調査した.この植被階状礫縞は,基岩の岩質,節理の方向と斜面の向き,強い西風とそれによる高木の欠如,および少ない積雪等が要因となって形成され,維持されていると推測され,植被の部分的欠如には人為の関与も疑われる.その後,隣接する強風砂礫地で礫の移動状況や各種気候要素の観測を行っている(瀬戸ほか,2005, 2006; Seto et al. 2006).<BR> 今回,この植被階状礫縞を掘削してその断面を観察し,成因の考察に有用なデータが得られたので報告する.なお,本発表においても,植被階状礫縞という名称を用いる.<BR><BR>II.植被階状礫縞の概要<BR> 植被階状礫縞が発達しているのは,海抜925mのピークの南側(長さ約200m),西側(40m),北側(30m),北東側(40m)にかけての,傾斜10~20度(南側)および10~20度(南側以外)の,やや凸型の縦・横断面形をもつ斜面である.基岩は中新統大久保層(北村ほか,1965)の緑色凝灰質砂岩で,平行な細かい節理が発達し,薄く剥がれやすい.年間を通して強い西風が卓越する.積雪はかなり少ない模様である.その強風のせいもあってか,稜線部の植生は高木を欠き,高さ数10cmのツツジ群落,あるいはササ草原(ピークの北側斜面のみ)となっている.<BR> 植被階状礫縞は,扁平な角礫が露出した幅数10cm~2mほどの「上面」(tread)と,ツツジ(北側斜面ではササ)に覆われた比高・幅とも30cm~1.5m程度の「前面」(scarp)で構成される.この「上面」と「前面」の列は,ピークの南側から西側さらに北側の斜面ではほぼ東西にのび,しばしば分岐し,合流して,西方に向かうと階状より縞状の形態が明瞭になる.<BR> <BR>III.植被階状礫縞の断面<BR> 北側斜面に位置する植被階状礫縞で,階段を横断する方向に約150cmの長さの溝を掘削して観察した(図).<BR> 植被階状礫縞の「上面」では,地表に径15cm前後(最大径20cm)の扁平礫がオープンワークに堆積し,その下位には小角礫を大量に含む暗褐色腐植質砂壌土~壌土がある.この層の厚さは20~40cmで,基底面は斜面の一般的傾斜と調和的に10~20度ほど傾き,「前面」の地表下ではツツジの根やササの地下茎が密である.最下位には薄く剥がれやすい基岩が出現する.<BR><BR>IV.植被階状礫縞の形成プロセス<BR> 断面の観察から,階段状の形態を呈するのは地表面だけで,堆積物直下の基岩は階段状を呈さず,「上面」の部分でも「前面」の部分でもほぼ一様の傾斜を示すことが明らかになった.また,「前面」の部分にはツツジ群落が付き,その根やササの地下茎が堆積物の中にまで及んでいる.さらに,地表面の礫がツツジ群落中へ入り込んでいる様子も認められる.<BR> これらの特徴から,下記のプロセスが継起したことが窺われる:(1)高木がなくなり裸地となる;(2)植生が斜面最大傾斜方向と直行する向きに帯状に発達する;(3)礫が最大傾斜方向へ向かって斜面上を移動し,帯状植生によって堰き止められる;(4)礫が裸地と帯状植生の境界部分に堆積し,最終的には細粒物質も堰き止めるようになる;(5)裸地と帯状植生の境界部分で堆積物の層厚が厚くなる この一連のプロセスによって礫地は徐々に水平になり,帯状植生の部分は基岩とほぼ同じ傾斜を維持して,最終的には階段状の微地形を形成したと考えられる.植被のない方向には傾斜に沿って礫が連続的に移動し,縞状になったのであろう.<BR><BR>V.今後の課題<BR> 植被階状礫縞の断面から,その形成プロセスの一部を推定した.しかし,高木が失われた原因や,低木・草本植生が帯状に発達したプロセスは,今のところ明らかではない.帯状植生については近くの斜面で裸地上の礫が帯状に黒っぽく変色し,この部分に発芽が認められる箇所が存在する.この黒色に変色した部分は何らかの原因で地表・地中の水分条件が周囲の斜面とは異なると推定される.今後は,強風などの気象条件とも関連させて帯状植生の成因を探ることが,植被階状礫縞の形成プロセスを考える上で重要になると思われる.
著者
光田 寧
出版者
京都大学防災研究所
雑誌
京都大学防災研究所年報. A = Disaster Prevention Research Institute Annuals. A (ISSN:0386412X)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.377-383, 1967-03-01

本研究の目的は雨滴あるいは海面より舞上った水滴が空中に混在している場合・暴風の機械的破壊作用がそれを含まない場合に比して増大するかどうかということを再検討することにある。暴風雨の中に立てば顔に当る雨滴は我々に痛みを感ぜしめるし, また窓ガラスを打つ雨滴は非常に激しい音を立てる。しかし, その強さが我々が構造物を設計したりする時に考慮しなければならないほどの破壊作用を有するものかどうかということについてはあまり詳しく調べてられいなかったのが実情である。The effects of rain or Water drops on storm damages are studied. The increase ofmean air density from rain water contained in the air is negligibly small and wind forceexerted on the structure does not increase even in heavy rain. However, the momentumof each droplet is estimated to be large enough to destroy a small part of structures, such as coating surface.
著者
酒井 義法 船越 尚哉 家坂 義人 藤原 秀臣 猪瀬 留美子 江幡 恵子 荒川 克己
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集
巻号頁・発行日
vol.60, pp.456, 2011

東日本大震災により当院の所在する土浦市も震度6弱の揺れを経験した。直後に発生した停電により長時間のシステム停止を余儀なくされた。その状況を報告する。<br>1.震災による被害状況:1)サーバー類の状況:地震の直接的被害は免れた。メインサーバーは専用自家発電装置に接続されており停止せず。部門サーバーのうち非常電源に接続されたものは退避指示に従いシャットダウン。通常電源に接続されたサーバーはUPS(無停電装置)が作動し計画的にシャットダウンした。2)周辺機器の被害状況:デスクトップPC4台、ノートPC5台。PC用モニター4台。プリンター6台。PDA3台。放射線用高精細モニター4台。47型大型モニター1台。ネットワーク機器 4台(アクセスポイント2カ所、ハブ2カ所 )が破損。<br>当院には東京電力から二系統で送電されており長時間の停電は回避されると想定されていたが、未曾有の震災により約8時間の停電を経験した。メインサーバーは被害がなく、部門サーバー群も計画的にシャットダウンされ、電源供給再開後速やかに復旧した。しかし、周辺機器は転倒、転落で破損が発生し、また多くの周辺機器は通常電源に接続されており停電中は使用不能であった。破損した機器については予備の機器に直ちに交換した。また自家発電用の燃料の備蓄が枯渇寸前であったが、震災直後の交通網の混乱により供給は困難な状況であった。<br>2.地震対策:1)周辺機器設置場所の変更、周辺機器に転倒防止を施す2)サーバー類に関してはUPS、自家発電装置の定期点検を強化し停電に備える。3)予備の機器の確保。3.今後検討すべき課題:1)サーバー類のバックアップデータ保存方法の再検討。2)各種オーダーを一枚にまとめた非常用伝票の作成。3)非常電源に接続されたPCを各病棟や部署に1台確保し、停電時の情報伝達ツールとして活用する。4)自家発電用の燃料の確保。
著者
ホメーロス [著]
出版者
[土井晩翠]
巻号頁・発行日
vol.第3, 1941
著者
安武 伸朗
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.62, 2015

デザインシンキングにおいてグラフィックレコーディング(以下GR)を用いた振り返りやファシリテーションの活用が進んでいる。しかしGRの記録を活用する方法は定まっているとは言えず、記録の目的の明確化や効果の検証、記録品質の評価がなされていない状況といえる。一方、大学教育でアクティブラーニング(能動的学習)の実践が期待されている。本稿ではGRの複数の事例を比較して、表現手法と効果の関係について考察し、出来事をグラフィカルに構造化するプロセスに潜む、アクティブラーニングとしての効果について言及する。