著者
瓦林,達比古
出版者
日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, 1995-06-01

妊婦のパーソナリティタイプとつわり症状の重症度との関係を解析することを本研究の目的とした. パーソナリティ分析には妊娠初期および中期にキャッテル・パーソナリティテスト (西園修正版)を用い, つわりは悪心や嘔吐の持続期間と程度により強い群 (35人), 弱い群 (41人), 無い群 (19人)の3群に分別した. パーソナリティタイプは循環気質である Aから分裂気質である Eまで5型に分類したが, つわりの程度との間には有意な相関はみられなかった. しかしながら, その中の構成因子である対人態度, 特に社交性および支配性に有意差が認められた. すなわち, 社交的な態度を好む傾向があるにもかかわらず, 人からの反対に対抗的になり, 願望通りことが運ばないと自信を失いやすく, 心から真に人に気持ちを預けて欲求不満を癒すことができにくい妊婦は, 内心の葛藤を身体言語として表現した強いつわり症状を呈することが判明した. したがって, そのような妊婦に対しては, つわりの症状を妊娠に伴う当然の身体症状でしかもつわりの出やすい体質であるというような説明をするのではなく, このようなパーソナリティの不統合性に対するカウンセリングの必要性も示唆された.
著者
中野谷 一 安達 千波矢
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.77, no.4, pp.296-300, 2014 (Released:2016-09-28)
参考文献数
15

近年,熱活性化遅延蛍光(TADF: Thermally Activated Delayed Fluorescence)過程を有機EL素子の発光材料として利用す ることで,内部量子効率100%に達する高効率有機EL素子が実現され,非常に大きな注目を集めている.本研究では,TADF過程を利用した新たな発光機構として,TADF分子をドナー,蛍光分子をアクセプターとすることで,電流励起によりTADF分子上で生成した全ての励起子を蛍光分子へとエネルギー移動させることを提案し,従来の蛍光材料を発光中心とする有機EL素子においても,リン光素子,TADF素子と同様に理論限界に達する内部量子効率が実現可能であること,さらに,その有機EL素子耐久性も大幅に改善することを明らかとした.
著者
劉 穎
出版者
国文学研究資料館
雑誌
国際日本文学研究集会会議録 = PROCEEDINGS OF INTERNATIONAL CONFERENCE ON JAPANESE LITERATURE (ISSN:ISSN0387)
巻号頁・発行日
no.34, pp.141-153, 2011-03-31

“Zhinang (Chinou)” is a book of contriving schemes of the ancient compiled by Feng Menglong in late Chinese Ming dynasty. Although some things have been pointed out about acceptance of this book in early modern Japan, no systematic arrangement and general analysis have been made.In literature, kana-zoushi “CHIE-KAGAMI” (1660) by Tsujihara Genpo is based on this book. It is pointed out that “CHIE-KAGAMI” exerted more than a little influence on Ihara Saikaku and Ejima Kiseki’s ukiyo-zoushi, which, however, I must say was an indirect influence from “Zhinang”. In fact, this book and early modern Japanese literature have an intimate relation. For instance, excerpts from this book are confirmed in similar books published in Japan such as “Kunmou-koji-yougen” and “Yugu-zuihitsu”. Also, as to yomihon “Aoto-Fujitsuna-moryouan” by Kyokutei Bakin, several ideas in his works are considered to be based on this book and his works are deeply related to this book in terms of composition as well.On the other hand, until now, acceptance of “Zhinang” has been little mentioned in other areas except in literature. Now, I want to look at how this book has been accepted in the fields of education and academia in early modern Japan.National Diet Library houses a manuscript called “Chinou-kikigaki” copied by Confucian scholar Nakai Riken which is believed to be an explanatory booklet for this book. One fifth of “Choushou-ian” compiled by other Confucian scholar Tsusaka Touyou in the late Edo period was written based on this book. It shows the Confusion scholars’ high level of interest in this book. The reasons are not only the contents of the book, but also it seems to be affected by the fact that Feng Menglong was a Yangming Xue scholar.The publication of this book in Japan compiled by a Confucian scholar Ikai Keisho was a milestone in the history of its acceptance (1821). Then, the book became widely read and known than before. People began to acknowledge the value of the book gradually and the feudal government's school Shouhei-kou published the book as the government publication, and the Hiroshima Domain and the Yoshimi Domain followed suit. That shows the usefulness of this book as a textbook.Therefore, when we think about the history of acceptance, we must recognize the two sides of the book; one is the literary side providing materials and ideas to similar books in Japan, ukiyo-zoushi and yomihon, and the other is the educational side teaching knowledge and tenets to Confucian scholars.
著者
川添 登
出版者
近代建築社
雑誌
近代建築 (ISSN:00231479)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.32-35, 2007-01
著者
塩崎 謙
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2013-04-01

本年度は,前年度に引き続きトポロジカル結晶絶縁体・超伝導体の分類問題について取り組んだ.トポロジカル結晶絶縁体・超伝導体とは固体結晶が有する空間群の対称性によって守られた自由フェルミオンのトポロジカル相である.時間反転対称性,粒子・反粒子対称性といった基本的な対称性と空間群対称性が絡み合うことにより,莫大な数の独立な対称性クラスが存在する点に問題の難しさがある.固体物質のトポロジカル分類表の確立に向けて網羅的かつ系統的な分類問題の解決法を見出すことは早急に解決すべき課題である.本研究ではまず,空間群の対称性のみによって守られたトポロジカル結晶絶縁体に注目した.バルクのトポロジカル非自明性に起因したギャップレス表面状態の保護に寄与できる空間群対称性は,表面の存在と両立する2次元的な空間群対称性に限り,17種類の異なる2次元空間群が存在する.数学のK理論を用いることにより17種類の2次元空間群に対するトポロジカル結晶絶縁体の分類の計算を行った.その結果,いくつかの非共形な空間群対称性(点群操作に半端な並進を伴う空間群)によって守られたトポロジカル結晶絶縁体はZ_2の分類を示すことが新たに分かった.また対応する表面状態は,2つの自由度がある種のメビウスの帯のような構造を取っており,メビウスの帯がねじれる点において縮退が守られているといった新しいタイプの機構により表面状態が守られていることが分かった.

1 0 0 0 OA 遠島者

出版者
巻号頁・発行日
vol.[15] 遠島もの一件 安政五午年二月 奉福住省三,
著者
桑野 靖子 河原 ゆう子 佐宗 洋子 小林 由実 山中 なつみ 小川 宣子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成23年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.2, 2011 (Released:2011-08-30)

【目的】加水量,加熱方法,加熱工程の異なる炊飯方法で調理された飯について,甘みと香りの官能評価に対する理化学的な測定値に相関性があるか否かを検討した。 【方法】圧力IH炊飯器,IH炊飯器,ガス炊飯器の3機種で調理された飯とガス炊飯器の飯と同じ硬さとなるよう加水量を調整した飯の4種類を対象に,甘みの評価値として,糊化度と唾液アミラーゼによる人工消化後の還元糖生成量を測定した。香りの評価値として,主要な臭気成分量を定量化し,閾希釈倍数を算出した。官能評価は40歳代女性36名を対象に,各理化学的評価に対応した指標による評価と好みを炊きたてと炊飯後常温で4時間放置した飯(以下冷や)に対して行った。 【結果】「甘み」評価において,糊化度では飯間に差はなかった。人工消化による還元糖生成量ではガス炊飯器の飯とIH炊飯器の飯が有意に多かったが,官能評価ではガス炊飯器の飯と加水量を調整した飯の甘みが強いと評価され,IH炊飯器の飯は最も甘くないと評価された。ごはんの甘み評価には,ごはんの表層部と内部の水分量の違いが関与していると考えられる。「香り」評価手法については,炊きたてと冷やの違いは確認できたが,機種間の違いまでは確認できなかった。
著者
満保 雅浩
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.701, pp.95-100, 2000-03-16
参考文献数
7

匿名性を確保する技術はプライバシー保護等に利用される重要な技術であり, 各種暗号方式が有する匿名性について考察する必要がある.現在までに閾値署名と多重署名の機能を組み合わせた閾値多重署名と, 閾値署名と委任署名の機能を組み合わせた閾値委任署名が提案されている.本論文では, まず, これらの署名方式を匿名性の観点から考察し, 問題点を指摘する.そして, この問題点を解決する改良方式を示し, 匿名性や署名長などの改良方式の各種性質について考察する.

1 0 0 0 OA 續花押藪 7巻

著者
丸山可澄 輯
出版者
茨城多左衛門
巻号頁・発行日
vol.[5], 1711
著者
小島 大輔
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2017年度日本地理学会秋季学術大会
巻号頁・発行日
pp.100178, 2017 (Released:2017-10-26)

日本では,近年「インバウンド・バブル」と呼ばれるほど外国人観光者数が増大している。この動向は日本全国の観光地で注目され,市場化を目的として外国人観光者の行動パターンの詳細な把握が試みられている。 ところで,戦後日本の外国人観光者は一様に増大してきたのではない。1960年代,1970年代半ば~1980年代半ば,1980年代半ば~1990年代半ば,1990年代半ば~2000年代末,および2010年代以降といったような段階的な増大を示している。 これらの長期的な発展段階については,外国人観光者に関する全国的な統計データの整備が遅れたため,その行動パターンの空間的特徴やその時間的変化を国土スケールで検討することはなされていない。 そこで,本研究では,外国人入国者のゲートウェイの変遷から,日本におけるインバウンド・ツーリズムの時間的・空間的な発展傾向について検討する。 ゲートウェイという視点から分析する理由は以下の通りである。 まず,前述したように,外国人観光者の行動パターンの空間的特徴を長期的に比較検討可能な統計データが存在しないことがあげられる。そこで,本研究では,法務省『出入国管理統計年報』の港別入国・出国外国人に関する統計を使用した。電子化されていないものはデータベース化し,1961~2015年までの55年間の数値について分析を試みた。 また,観光者数の長期的な変動については,地理学では伝統的に観光地のライフサイクル(Tourism Area Life Cycle:TALC)という視点で検討がなされてきた。しかし,長期的な観光者数の変化とゲートウェイの変動という関係について検討した研究はほとんどない。 さらに,国籍別に出入国両ゲートウェイの関係を分析することによって,国籍別の日本国内の行動パターンの空間的特徴を抽出することが可能である。すなわち,入国港―出国港の関係を検討することで日本国内でのルートを類推することができる。 以上のことから,本研究は,近年増大する外国人観光者の集中する地域(インバウンド・クラスター)が発生する背景,およびそれら特定の地域における行動パターンを説明に寄与することも想定している。 各発展段階を通して,ゲートウェイは一様に発展しておらず,各発展段階においてその構成が大きく変化していることが明らかになった。ゲートウェイは,インフラ整備の影響によって,まず東京への集中および地域的ゲートウェイの出現による多極化が進展していった。続いて,「ゴールデン・ルート」に代表される「定番ルート」の形成によって,さらに多極化の特徴が強くなった。その後,「定番ルート」からのトリクルダウン,チャーター便を利用したツアー,特定の観光対象の出現・衰退,およびクルーズ船寄港などによって多様化が生じていった。 なお,これらの特徴は,外国人の国籍によって大きく異なっていることも明らかになった。欧米からの観光者のゲートウェイは,東京への集中傾向が強く,発展段階を通じてその変化も小さかった。一方,東アジアからの観光者のゲートウェイについては,入国者数の増大に伴い多様化が進展していったこと,および国籍別に集中するゲートウェイが異なることが明らかになった。   付記:本研究はJSPS科研費15H03274の助成を受けたものである。

1 0 0 0 OA 史記 130卷

著者
(漢) 司馬遷 撰
出版者
[出版者不明]
巻号頁・発行日
vol.第4册, 1606