著者
小林 亮太 池内 淳
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)
巻号頁・発行日
vol.2012-HCI-147, no.29, pp.1-7, 2012-03-14

本稿は,表示媒体と表示内容の相違が学習能率にもたらす影響を把握することを目的とする.36 名の被験者に対して,タブレット端末と紙媒体のそれぞれを用いて,文学的文章と説明的文章からなる 2 タイプの文章を読ませ,主観評価および読み速度,記憶テスト,理解テストの結果を比較した.その結果,第一に,主観的な読みやすさの面では,iPad はすでに紙と同等の性能を実現していることがわかった.iPad を支持する理由としては,文字表示の鮮明さやページめくりのしやすさが上位を占める一方,紙では読書時の疲労が少ないことや集中しやすさが上位となった.第二に,文字情報のみからなるコンテンツの場合,読み速度や逐語的記憶では,説明的文章において表示媒体による有意差が認められた.また,文章理解ではタブレット端末よりも紙媒体に優位性があることが明らかになった.
著者
山﨑 文夫
出版者
国士舘大学法学会
雑誌
國士舘法學 = KOKUSHIKAN HOGAKU = KOKUSHIKAN LAW REVIEW (ISSN:02868911)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.195-222, 2017-12-20

目次はじめに一 性的暴行罪と虚偽申告二 痴漢事件と虚偽申告三 セクハラ民事事件と虚偽申告むすび
著者
國武 悠人
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2021-HCI-194, no.2, pp.1-4, 2021-08-16

VR 空間での擬似感覚は,VRChat 等の VR プラットフォームの普及により近年注目を浴びつつある.そのような中で,VR プラットフォームユーザーから「HMD 利用経験の有無が,VR 空間内での擬似的な触覚や嗅覚に影響しているのではないか」という非公式な報告が寄せられた.そのため本研究では予備的調査として,HMD 利用経験の有無によって VR 空間にて感じる触覚及び嗅覚に差が存在するのかを検証するため,継続的に HMD を利用したことのない 31 名と,継続的に HMD を利用している 31 名を対象として実験を行った.その結果,HMD 利用経験の有無により感覚の回答に有意な差は無いことが分かった.VR 空間での落下感覚については有意な差が存在することが先行研究によって明らかとなっているため,今後は落下感覚との違いを調査していく.
著者
埴原 和郎
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 : 国際日本文化研究センター紀要 (ISSN:09150900)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.11-33, 1996-03-31

奥州藤原家四代の遺体(ミイラ)については、一九五〇(昭和二五)年の調査に参加された長谷部言人、鈴木尚、古畑種基氏らによる詳細な報告があるものの、現在もなお疑問のまま残されている問題が多い。
著者
前田 博 進士 五十八 Hiroshi MAEDA SHINJI Isoya 東京農業大学大学院農学研究科環境共生学専攻 東京農業大学地域環境科学部造園科学科 Specialize of Environment Symbiosis Department of Agriculture Tokyo University of Agriculture Department of Landscape Architecture Science Faculty of Regional Environment Science Tokyo University of Agriculture
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.274-282,

平成15年の地方自治法の改正によって公の施設に関して「指定管理者制度」が導入されることとなり,地方公共団体の所有する各種の施設と並んで都市公園もその対象となった。導入時のいきさつから招かれざるものとして公園管理者に受け止められた制度であるが,施行から2年を経過した現在比較的好印象で迎えられているように感じられる。そこで,都市公園管理史の観点から「指定管理者制度」の導入が都市公園の管理行政にどのような意味を持つかを検証した。考察の結果,「指定管理者制度」の導入は太政官布達第16号以来の都市公園管理史における転換期の特徴である外圧性と偶然性を持ち,近年の都市公園管理行政の閉塞感を打破する可能性,むしろ将来的に市民利用本位の公園管理のあり方を示唆する主要方策のひとつであることがわかった。具体的には ○1公園管理を再点検 ○2正確な数量把握による予算確保 ○3評価のための利用者意向把握等の動きが見られ,財政悪化時代を迎え危機的状況にあった公園管理行政の転換点となった。
著者
田村 慶子
出版者
北九州市立大学法学会
雑誌
北九州市立大学法政論集 (ISSN:13472631)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3・4合併号, pp.127-162, 2020-03

シンガポール史跡巡りツアーの名物ガイドである顔夕子さんのライフヒストリーを、シンガポール・日本関係の変遷と重ねながら綴ったエッセイ。
著者
村川 庸子 Yoko MURAKAWA
雑誌
環境情報研究 = Journal of Environmental Studies
巻号頁・発行日
no.9, pp.113-124, 2001-04-30

This is a part of the cooperative study entitled "Empirical Research on the Social and Cultural Characteristics of the Surrounding Area of Sanrizuka, Narita in Chiba Prefecture. Paying attention to the fact that there were some settlers, who were originally from Kumejima, Okinawa, had immigrated and had been repatriated from abroad after defeat of Japan, the present writer traces their "postwar history"-how they reestablished their lives in Sanrizuka, keeping the social and cultural ties and solidarity in the Okinawan community, and how they coped with the eviction problem from the airport site. Their stories provide a fresh perspective for looking at historical and contemporary significances both "Okinawa" and "Narita" in the postwar history of Japan.
著者
前畠 ひろみ Hiromi MAEHATA
雑誌
神戸女学院大学論集 = KOBE COLLEGE STUDIES
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.175-194, 2006-12-20

Naginata appeared as a practical weapon instead of Hoko, which was one of Nagadogu (a generic name of some martial weapons such as spear, sword, and Naginata) in the past, and it was used mainly by samurai, monks or soldiers. From the end of Kamakura era, a weapon for battles switched it from Naginata to spears. Naginata was getting unused by an appearance of Nobunaga Oda. After the Edo era, Naginata revived as a decoration of the entrance hall of high-class samurai's house or as women and children's acquaintance of samurai family. The women's effect in home of such samurai families was not to use Naginata in a battlefield, but to use it for protecting themselves, families and for training their sons. Martial arts declined by the policy of dismantling a family with samurai antecedents in new Meiji government. Afterwards, Japan Butoku Asssociation (1895-1946) was established and the system to commend a martial artist in this group was completed. It was resolved to include Naginata and archery in the regular curriculum of physical education for girls in secondary school in 1936. The leaders and trainers of Naginata were educated in Butokuden (the training school) of Kyoto and Shuutokukan of Tokyo. After that, Naginata education was performed in all the elementary and junior high schools. The education of Naginata came to the prime of time in the provisional system during the Pacific Wars. However, after defeat of August 15, 1945, the class of Naginata at school carried out under the wartime was called off. Butoku Festival was performed in Kyoto on May 4, 1953 after the war, when the consultation was held to make an organization of Naginata. As a result, All Japan Naginata Federation was founded on May 4, 1955. Though the name of Naginata written in three types of letters had not been unified since the old days, it was finally expressed with the kana letters which are a letter of a woman from Heian period. Now, martial arts Naginata of Mothers revives.
出版者
総合研究大学院大学学融合推進センター
巻号頁・発行日
2014-07

総合研究大学院大学学融合推進センター戦略的共同研究Ⅰ:「テクノロジーアセスメント報告の試作—ヒト全ゲノム解読の時代の社会的課題を例に」
著者
坪内 佑樹 古川 雅大 松本 亮介
雑誌
インターネットと運用技術シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, pp.64-71, 2019-11-28

Web サービスの利用者による多様な要求に応えるために,Web サービスを構成する分散システムが複雑化している.その結果,システム管理者が分散システム内のプロセス間の依存関係を把握することが難しくなる.そのような状況では,システムを変更するときに,変更の影響範囲を特定できず,想定よりも大きな障害につながることがある.そこで,システム管理者にとって未知のプロセス間の依存関係を自動で追跡することが重要となる.先行手法は,ネットワーク接続を終端するホスト上で Linux のパケットフィルタを利用してトランスポート接続を検知することにより依存関係を発見する.しかし,Linux カーネル内のパケット処理に追加の処理を加えることになるため,アプリケーションの通信に追加の遅延を与えることになる.そこで,本論文では,サーバ用途で広く利用されている Linux を前提に,TCP/UDP 接続の終端点であるネットワークソケットに含まれる接続情報を監視することにより,未知のプロセス間の依存関係を網羅的に追跡可能なアーキテクチャを提案する.このアーキテクチャにより,プロセスが Linux カーネルの TCP/UDP 通信機構を利用する限り,未知のプロセスの依存を見逃さずに追跡できる.また,接続情報の監視処理は,ソケットがすでに保持する接続情報を読み取るだけとなり,アプリケーションの通信処理とは独立するため,アプリケーションの通信遅延に影響を与えない.最後に,先行手法との比較実験を行い,応答遅延オーバーヘッドとリソース負荷を評価した結果,応答遅延オーバーヘッドを 13-20%,リソース負荷を 43.5% 低減させていることを確認した.
著者
瀬尾 和大
出版者
宮城教育大学附属教育復興支援センター
雑誌
教育復興支援センター紀要 = Bulletin of Support Center for Revival in Education, Miyagi University of Education (ISSN:21884080)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.1-6, 2015-03-11

前報では,宮城県内のいくつかの学校を訪問することによって,津波被害と津波避難行動の実態について学ぶことができた。本報では,今後における学校の津波対策を防災教育・防災計画に基づいた確固たるものにするために,学校が置かれている地域毎の津波に対する脆弱性について考察することを目的として,津波に対する死者率という指標を用いてさらなる検討を試みた。前報でも注目された石巻市立大川小学校ならびにその周辺地域における死者率は他の地域に比して突出して大きいことが判かった。このような高い死者率を低減させるためには,地震・津波対策の視点から,学校が地域社会にどのように関わることができるかとの視点が重要であり,地域社会と一体となって防災対策を構築することは当然のこととして,その中で地域社会の雰囲気に飲み込まれるのではなく,地域社会に対して適切なリーダーシップを存分に発揮できるような態勢を日頃から整えておく必要があるのではないかと考えられた。