5 0 0 0 OA 慕帰絵々詞

著者
慈俊 著
出版者
巻号頁・発行日
vol.巻5,
著者
下市 善紀 春木 淳二 若山 育郎
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.37-53, 2014 (Released:2014-04-23)
参考文献数
53

【目的】日本で実施された腰痛に対する鍼の randomized controlled trial (RCT) をレビューし、 「日本の鍼治療」 が 「日本人の腰痛」 に対して有効であるかどうかを検証する。 【方法】医学中央雑誌、 PubMed などのデータベース検索およびデータベース掲載のない論文については日本鍼灸治療学会誌、 日本東洋医学会誌などの雑誌のハンドサーチを行い、 論文を抽出した。 収集した論文は、 Modified Jadad Quality Score と改編 Chalmers Score (Chalmers Score を一部鍼灸用に改編したもの) を用いて質を評価し、 Cochrane Review Manager 5 を用いて meta-analysis (MA)を行った。 【結果】19 編の研究論文が抽出された。 Modified Jadad Quality Score は、 最高 5 点で最低 1 点、 平均 3.5 点であった。 改編 Chalmers Score は、 50 点以上が 2 編、 平均 34 点であった。 19 編の研究論文から 2 つのサブグループを作り 3 つの MA を行った。 (1)マニュアル (置鍼) と偽鍼を比較した 5 編で、 Visual analogue scale (VAS) を評価項目としたものは、 VAS の standardized mean difference (SMD) が-1.79 (95%信頼区間-2.89~-0.69) となり、 マニュアル刺激に置鍼を加えた治療は、 偽鍼と比較し有意な腰痛軽減効果が確認された(P =0.001)。 (2)マニュアル (置鍼) と偽鍼を比較した 3 編で、 Roland Morris Disability Questionnaire (RDQ) を評価項目としたものは、 RDQ の SMD が-1.23 (95%信頼区間-2.07~-0.38) となり、 マニュアル刺激に置鍼を加えた治療は、 偽鍼と比較し有意な腰痛軽減効果が確認された(P =0.004)。 (3)マニュアル (雀啄術) と偽鍼を比較した 3 編で、 VAS を評価項目としたものは、 VAS の SMD が-0.49(95%信頼区間-0.98~-0.00) となり、 マニュアル (雀啄術) 刺激は、 偽鍼と比較し有意な腰痛軽減効果が確認された (P =0.05)。 【結論】今回収集した研究論文の質については、 簡便な評価法である Modified Jadad Quality Score は比較的得点が高い傾向にあったが、 より詳細な質の評価を行う改編 Chalmers Score では得点が低く今後の改善が期待される。 MA では、 鍼治療は偽鍼に比べ有効性が示唆されるという結果であったが、 研究者に偏りがあった。 日本における腰痛に対する鍼治療の効果を確定するには、 今後同様の手法を用いた複数の研究者による再現性の確認とさらに大規模な臨床試験が必要と考えられた。
著者
上村 剛史 横井 成行
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2019年大会
巻号頁・発行日
2019-03-14

学校教育においては,日常生活や社会の様々な事物を,教科・科目に細分化し学習している.中学や高等学校では,教科ごとに専門の教員が授業を行うが,教室での生徒は受身であることが多い.それに対して,身の回りにある事物は,色々な教科・科目の内容が混在しており,それを取り巻く様々な社会的な問題は,複雑かつ解決困難であることが多い.そのような問題に向き合うためには,対象となる事物を多角的に捉え,異分野の人たちと協力し,粘り強く取り組む力が必要である.そこで,演者らは前任校で同僚教員と協力して,中学3年から高校2年の希望者15名程度を対象にした「総合フィールド演習」という講座を2017年に立ち上げ,2年間にわたり実施した.この講座では,学習対象を「地域」と設定し,多様な参加者が「地域」を実際に歩いて観察することで,総合的に「地域」を捉えることを目的とした.担当教員は,地学,日本史,国語と異なる教科・科目の教員で構成され,できるだけ生徒と同じ目線に立って議論しながら,共に学ぶ態度を大切にした.また,あらかじめ学校内で参加者での話し合いの機会を何度も設け,そこでの提案や希望に基づいて訪問先を設定した.実際のフィールドワークは,学校近隣の品川から始まり,神事でつながる府中へと発展して計3回行った.また,夏休みを利用して大阪で2泊3日のフィールドワークも行った.例えば,大阪でのフィールドワークでは,上町台地という地形とその周辺の文化財を中心に巡りながら,1400年以上の長い歴史を持つ四天王寺を訪れた.まず四天王寺の参道から西側に見える大きな下り坂を前に,地学教員が上町台地を形成した断層運動と坂道の関係を説明する.次に,日本史教員が境内の歴史的建造物を案内しながら,安政地震津波碑の存在を紹介する.この碑は,1854年に起こった安政南海地震と安政東海地震による犠牲者の供養と災害の記憶を後世に伝えるため,町人によって四天王寺の境内に建てられたものである.実際の碑の前に行くと,生徒は日本史と国語教員と議論しながら,碑文の解読を始める.さらに,安政の地震津波については,日本史と地学の教員が先導して話が弾む.四天王寺の見学が終わると,上町台地の下り坂周辺の寺社仏閣をもう少し歩いてみようと,再び歩き始めるというような形でフィールドワークが進んでいく.このようにして,日本史で四天王寺の成り立ちを,地学で上町台地のような地形の形成を,国語では古典や漢文をというように,普段は切り分けてきた教科・科目の枠がなくなり,目の前にある事物を取り囲んでいる歴史や地形などの要素が混在していることが実感できた.また,大きな方向性は教員側で誘導しても,途中で生徒の反応を見ながら臨機応変に変更し,生徒や教員という立場を相互に変えながら,主体的で深い学びを行うことができた.
著者
萬年 一剛
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2019年大会
巻号頁・発行日
2019-03-14

現在、NHK総合で土曜日の午後7:30から8:15に放映されている「ブラタモリ」は、タモリと女性アナウンサーが地元の専門家とともに歩き、地域の歴史や成り立ちを解き明かしていく番組である。2008年から東京とその周辺を巡る深夜放送として始まり、2011年に日本地理学会賞を受賞したほか、現在の放映時間になった2015年以降は、国土地理院の「『測量の日』功労者」、日本地質学会表彰、地盤工学貢献賞(地盤工学会)を矢継ぎ早に受賞するなど、地球科学の専門家から高い評価を受けている。本セッションは、地球科学の専門家も満足できるエンターテイメント番組がどのようにして作られているのか、制作者の意図や工夫、出演者の経験、番組視聴者の分析など、多角的な視点から解き明かし、地球科学のアウトリーチ活動へのヒントを探ろうと企画された。以下では、参考までに私が出演した回の日程と感想を述べる。私は同番組の「箱根」(2017年4月22日本放映、以下括弧内本放映日)、「箱根関所」(同年5月13日)、「箱根の温泉」(2018年10月6日)の3回に箱根の地質の専門家として出演した。2017年放映分についていうと、協力依頼の電話が初めてあったのは2016年12月末であった。その後、翌年1月中は各所での材料集めに費やされたが、2月中頃にはおおまかなストーリーが決まり、案内人としての出演依頼がされた。3月初めには具体的なセリフが入った「構成」が示されて現地の下見が行われ、中旬に収録が行われた。収録後は、ナレーションのセリフや解説のアニメーションについて適切かどうかの問い合わせが放映の2週間前まであった。ブラタモリの制作で印象的だったのは、取材期間で様々な材料が検討・取材された上で、放送内容が専門家の意見も踏まえて決まっていく番組製作過程である。また、出演者が楽しみながら地域を回れるよう配慮しているスタッフの努力には感銘を受けた。昨今、研究者が納税者である市民に向き合い、自分の研究を説明するアウトリーチの機会が増えている。そのような研究者にとって、ブラタモリの製作過程からは、伝えられそうな内容をたくさん集める「取材力」、素材を精選し地域の本質を捉える「洞察力」、伝えるべき内容を載せるストーリーを作る「構成力」、ナレーションやアニメーションを用いた「表現力」、収録現場を明るく楽しくする「現場力」など、必要な「力」とそのあり方を学ぶことができる。一方、番組でとりあげられる専門的な内容は大幅な簡略化が行われており、専門家としてはどの辺まで許容できるか、呻吟するところとなる。講演では、私の直面した若干の具体例を紹介し、検討を加えたい。

5 0 0 0 OA ダイヤの鍵

著者
佃順 著
出版者
川流堂書房
巻号頁・発行日
1949
著者
中村 幸代 堀内 成子 柳井 晴夫
出版者
日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.3-12, 2013-12-20

要旨 目的:冷え症の妊婦と,そうではない妊婦での,微弱陣痛および遷延分娩の発生率の相違の分析および,因果効果の推定を行うことである. 方法:研究デザインは後向きコホート研究である.調査期間は2009年10月19日〜2010年10月8日までの12ヵ月であり,病院に入院中の分娩後の女性2,540名を分析の対象とした(回収率60.8%).調査方法は,質問紙調査と医療記録からのデータ抽出である.分析では,共分散分析と層別解析にて傾向スコアを用いて交絡因子の調整を行った. 結果:冷え症であった女性は41.9%であった.微弱陣痛では,冷え症の回帰係数0.69,p<0.001,オッズ比2.00であった(共分散分析).遷延分娩では,冷え症の回帰係数0.83,p<0.001,オッズ比2.38であった(共分散分析). 結論:微弱陣痛では,冷え症である妊婦の微弱陣痛発生率の割合は,冷え症ではない妊婦に比べ,2倍であり,遷延分娩では約2.3倍であった.因果効果の推定では,冷え症と微弱陣痛ならびに遷延分娩の間で因果効果の可能性があることが推定された.
著者
野口 良造 関根 千里
出版者
農業情報学会
雑誌
農業情報研究 (ISSN:09169482)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.86-94, 2010 (Released:2010-12-27)
参考文献数
26
被引用文献数
1

飲食店・食品加工場,清掃業者,地方自治体を対象にアンケートを行い,グリストラップの清掃頻度と費用,排水中の動植物性油脂を利用したCO 2排出量の削減をともなうエネルギー利用の可能性,公共下水道の建設・維持管理について検討を行った.飲食店・食品加工場は,動植物性油脂を含む排水に対する問題意識が低いが,グリストラップ清掃業者や地方自治体は,このような排水に対して高い問題意識があった.排水管の閉塞による追加的な維持管理費用や,環境汚染による社会的費用を,動植物性油脂を排出していた飲食店・食品加工場が負担することになれば,油脂回収装置の導入が進む可能性があることが示された.また,油脂回収装置によって回収できた油脂によって,CO 2排出量の削減をともなうエネルギー利用が可能であれば,油脂回収装置の導入経費の削減に寄与できることが示された.さらに,公共下水道を管理する地方自治体の立場からみれば,排水中の動植物性油脂が引き起こす公共下水道の閉塞を改善するためには,現在の下水道を改善するよりも,排出側のモラルを向上させるととともに,排出規制を厳しくしたほうが効果的であることが明らかとなった.
著者
蔵本 由紀
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:05252997)
巻号頁・発行日
vol.83, no.4, pp.459-489, 2005-01-20
被引用文献数
1

この論文は国立情報学研究所の電子図書館事業により電子化されました。
著者
富山 典彦
出版者
日本オーストリア文学会
雑誌
オーストリア文学 (ISSN:09123539)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.18-25, 1988-03-31 (Released:2017-03-31)

Am 28. August 1982 feierten die Zeitungen im deutschsprachigen Raum den 100. Geburtstag von Ernst Weiss. Im selben Jahr hatte schon der Suhrkamp Verlag die gesammelte Werke von Ernst Weiss in 16 Banden herausgegeben. Wer ist denn Ernst Weiss?" - diese Frage werden wahrscheinlich viele Leser "gestellt haben. In diesem Aufsatz versuche ich das Leben und die Werke von Ernst Weiss zu schildern. Ernst Weiss ist einer der im Exil vergessenen Schriftsteller. Er war in Brunn (Mahren) als zweiter Sohn eines judischen Tuchhandlers geboren und studierte in Prag und Wien Medizin. Wahrend des ersten Weltkrieges wurde er als Miltitararzt der Ostfront zugewiesen. Als Arzt hatte er immer korperliche und seelische Krankheiten der Menschen beobachtet. Daraus entstand sein erster Roman "Die Galeere" (1913). In diesem Werk beschreibt Weiss Leben und Tod eines durch innere Begierden getriebenen Arztes. Nach dem Weltkrieg lebte er hauptsachlich in Berlin und beschaftigte sich mit seinen Romanen und Erzahlungen, in denen er die Brutalitat der Menschheit entlarvt und analysiert. Wahrend des Exils in Paris veroffentlichte er zwei Romane, "Der arme Vershwender" (1936) und "Der Verfuhrer" (1938), in denen er den Zerfall der osterreichischen Kultur und Gesellschaft baschreibt. In seinem letzten Roman, "Der Augenzeuge" (1963), der nach seinem Tod publiziert wurde, beleuchtet er die Verrucktheit Hitlers. Der Wahnsinn dieses Zeitalters ist, nach seiner Diagnose, der Wahnsinn dieses Mannes, dessen Blindheit durch Psychotherapie geheilt wurde. Wenn man die gesammelten Werke von Weiss durchsieht, kann man zu dem Ergebnis kommen, dass er in seinen Werken die grossen gesellschaftlichen und besonders geistigen Varanderungen Osterreichs der Zwischenkriegszeit beschreibt.

5 0 0 0 OA コーチの本質

著者
内山 治樹
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.677-697, 2013 (Released:2013-12-07)
参考文献数
70
被引用文献数
7 3

The present study was conducted to clarify the roles of coaches in sports instruction and the essentials of these roles. Up to now, there has been no unified definition of coaching, and the conditions and grounds for selecting coaches and analyzing them collectively have remained unclear. In addition, logically, “induction” rather should be “extracted,” and the existing intelligence of the contents (intension) of the concept can be logically assumed. Accordingly, this approach seems inappropriate for revealing the essence of coaching. In order to overcome this problem, this research classifies into occasions of entities and consistence of existence. Under the subject of existence, entities theoretically transcend this through individualization, and this method is used to reach the existence of entities. As a result of this consideration, coaches first “tame” athletes to a system of physical techniques in order to address specific items, and then they endeavor to maintain the same level of play. It was clarified that coaches are specialists who are able to help athletes “transcend” from their current conditions. Moreover, coaches can using external force to compel a “physical change” in athletes, as leaders who can control athletes intelligently and actively, using a process that consists of and production based on theoretical knowledge. Thus, coaching involves the use of “compelling power” to rise from restrictions under specific conditions, and to encourage constant excellence.
著者
野津 司
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.102, no.1, pp.90-95, 2013 (Released:2014-01-10)
参考文献数
8

機能性腹痛症候群は,消化管機能と関連が乏しい慢性の腹痛を来す疾患である.うつや不安障害などの精神疾患を合併し,ドクターショッピングを繰り返すQOLが高度に障害された症例が多い.病態として,中枢性の内臓知覚過敏の存在が推測されている.精神科的な治療が中心となるが,内科を受診することが多く,良好な医師患者関係の構築が疾患対応として特に重要である.内科医は本疾患の概念を理解し,適切に対応しなければならない.