著者
松本 一弥
出版者
杏林医学会
雑誌
杏林医学会雑誌 (ISSN:03685829)
巻号頁・発行日
vol.11, no.4, pp.327-341, 1980

交代制勤務者を対象として, 平常夜間睡眠と夜勤直後の昼間睡眠ポリグラフムを記録し, 両者を比較検討した結果, 以下のことが明らかとなった。夜勤あけ直後の昼間睡眠では, 就床時間全睡眠時間の短縮, 中途覚醒の増加, REM睡眠潜時の短縮, 初回REM睡眠持続時間の延長, S_3やS_4睡眠潜時の有意な延長等がみられた。また, 昼間睡眠では10名の対象者中3名に入眠時のREM睡眠の出現, 即ちSleep onset REM periodの特異的現象が認められた。さらに, 昼間睡眠では夜間睡眠に比して, 入眠より2時間ないし3時間におけるREM睡眠量の増加とS_4睡眠量の有意な減少, あるいはREM睡眠の出現が睡眠の前期から中期にかけて多いなど夜間睡眠の分布と異なる現象が明らかとなった。これらのことより, REM睡眠はcircadian rhythmに依存し, S_4は入眠前の覚醒時間の長さに依存して出現するものと推論された。一方, 脈拍数は夜間睡眠に比して昼間睡眠でそのレベルが高く, また睡眠段階との関連で内的非同期化がみられた。
著者
姜 東賢 飯田 訓久 梅田 幹雄
出版者
農業食料工学会
雑誌
農業機械學會誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.63-71, 2009-01-01
参考文献数
20

本研究では,農場の中で作物の生育や障害を調査するのに,圃場中を移動する脚型ロボットが有効に活用できるかを明らかにするための試験用プラットフォームとして,六脚ロボットを開発した。この六脚ロボットは,赤外線無線通信による遠隔制御と赤外線測距センサを用いた自律制御の2つの方法で制御される。ロボットは不整地を移動するため,三脚台歩容,四脚台歩容,及び五脚台歩容のような歩行パターンを適用した。実験では,各歩容に対する歩行速度や電池の持久力の関係を測定した。この測定結果から,ロボットは最高2.8m/minの速さで歩くことができ,1個のバッテリーで30m以上歩行できた。また,傾斜角15℃の斜面をロボットは登ることが出来た。最後に,赤外線測距センサを用いて衝突を回避しながら,2列に並べた木柱やトウモロコシの間を自律的に通り抜けることができた。
著者
小泉義之 [著]
出版者
河出書房新社
巻号頁・発行日
2003
著者
並木 美太郎 副田 俊介 繁富利恵 笹田 耕一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.15, pp.73-80, 2005-02-18
参考文献数
6
被引用文献数
5

文部科学省の「IT人材育成プロジェクト」において、ITに関する知識・技能を有する高校生のアイデア・スキルを発揮させることで独創性を向上させる「ITスクール」の実施例について報告する。5泊6日の合宿形式で全30名の生徒に、Squeakを用いてオブジェクト指向の概念を講義・実習し、自由研究で小規模なシステムを作成させた。結果としては、概ね好評、自由研究などでも完成度の高い作品を作成するなど、一定の効果を得ることができた。また、受講後、各高校でITの推進役を務めるなど、高度IT人材育成の役割を果たすことができた。ただ、開催形態、テーマ、時期などについてさらなる検討が必要であり、今後の課題となっている。This paper reports "IT school"that educates advanced IT knowledge and skill to improve originality for high school students.In the school planed as a part of "IT Jinzai Ikusei Project"of the Ministry of Education,the concept of object-oriented was lectured and practiced by using Squeak for 30 high school students in the training camp on the 6 days stay.Small systems in free research themes could be developed with the knowledge lectured and practiced.As the result,the students could take abilities of advanced IT and be served as the leader of IT in each high school after the school.
著者
直良信夫著
出版者
校倉書房
巻号頁・発行日
1965
著者
遠藤 貢 成高 義彦 五十畑 則之 浅香 晋一 山口 健太郎 村山 実 勝部 隆男 小川 健治 布田 伸一 大塚 邦明
出版者
日本外科系連合学会
雑誌
日本外科系連合学会誌 (ISSN:03857883)
巻号頁・発行日
vol.34, no.6, pp.1066-1070, 2009 (Released:2010-12-30)
参考文献数
14
被引用文献数
1 1

今回われわれは,心臓移植14年後に発症した悪性リンパ腫による腸閉塞の1例を経験したので報告する. 症例は37歳の男性.23歳時に拡張型心筋症で心臓移植の既往がある.2008年2月より,下血で発症した悪性リンパ腫に対し化学療法を2クール施行したが,腸閉塞を発症した.イレウス管造影で空腸に高度な狭窄像を認め,外科的治療を施行した.病理組織所見では悪性リンパ腫による腸管狭窄であった.周術期は免疫抑制剤の投与量を調節しながら,厳重な術後管理により良好に経過した. 心臓移植後に消化管手術を施行した報告は少なく,周術期における免疫抑制剤の投与法や術後管理に関する知見も極めて少ない.本症例は貴重な経験と考え報告した.
著者
小林 史歩
出版者
社団法人 プラズマ・核融合学会
雑誌
プラズマ・核融合学会誌 (ISSN:09187928)
巻号頁・発行日
vol.78, no.7, pp.678-684, 2002 (Released:2005-12-08)
参考文献数
16

Gamma-raybursts (GRBs) are the most explosive events after the big bang. For a few seconds a GRB be comes the brightest object in the Universe, overshining the rest of the Universe combined. Clearly this reflects extreme conditions that are fascinating and worth exploring. GRB observations were recently revolutionised by the discovery of the delayed X-ray emission, called ”afterglow”. These observations revealed that the deceleration of relativistically expanding fireballs causes GRBs. I discuss special relativistic effects that play an important role in the fireball model.
著者
御堂岡 潔
出版者
東京女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1995

地球社会的諸問題に対して、日本・日本人がグローバルな貢献をすることが期待されている状況から、日本人にとって、偏狭な自国意識から脱却し、グローバリスムにのっとった世界意識を養い、さらに、その世界意識と両立する適切な自国意識を培うことが、必要と考えられる。本研究の目的は、日本人の世界意識と自国意識のダイナミクスを、その相互関連をとらえつつ、かつ歴史的経緯を踏まえながら、意識調査により体系的に把握し、日本人にとって好ましい世界意識、自国意識のあり方とそこへといたる過程を、理論的・実証的に探究することにある。上記目的を達成するために、理論的検討を随時進めた。実証的研究としては、平成7年度は学生とその父母を対象に予備調査をおこない、(1)調査の枠組みの洗練、(2)世代差の検討、(3)世代間伝達の可能性の検討をおこなった。この予備調査の結果と理論的検討を踏まえ、平成8年度は、無作為抽出法により選ばれた一般個人合計1,550名を対象に、本調査(全国調査と首都圏調査)を実施した。その結果から、(1)日本人の世界意識と自国意識のダイナミクスの実態把握が明らかになり、偏狭な意識の存在が確認された。また、(2)首都圏調査から、首都圏の人々の世界意識と自国意識の時系列的変化が検討され、「国際化」「地球社会」などが唱道されてきたにも関わらず、この10年間で、偏狭な意識が薄れているということはなく、むしろ部分的には強まっていることが明らかとなった。