著者
潮木 守一
出版者
日本教育社会学会
雑誌
教育社会学研究 (ISSN:03873145)
巻号頁・発行日
vol.83, pp.5-22, 2008-12-15 (Released:2016-11-05)
被引用文献数
7 1

Yano and Hamanaka have analyzed recent trends in the ratio of advancement to higher education in Japan, and concluded that the increased financial burden on households has been a blocking factor in recent years. They argue that a public policy for reducing the financial burden is needed, and that if such a policy is implemented, it will lead to increased advancement to higher education. As methodology they adopt a time-series multi regression of Japan as a single unit, using several economic variables such as starting salary of high school graduates, household income, unemployment rate and tuition fees. In this paper, the author uses a similar time-series multi regression, but broken down into 47 prefectures, and with the addition of variables describing the educational system such as student capacity in metropolitan areas and in local prefectures. From this analysis, the author finds that economic factors do not have a significant effect on the advancement ratio, and that educational system variables have a greater influence in determining the advancement ratio. In contrast to Yano and Hamanaka, the author argues that the negative attitude toward advancement to higher education in recent years lies not outside of the educational system, but rather inside of the system of higher education. Curricular innovation to provide more relevant content is the key to attracting more students to higher education. In an age where more than 50% of youngsters advance to higher education, enriching teaching content is a more important task than providing financial support. Researchers on higher education should pay greater attention to the educational system itself rather than factors outside of the system.
著者
犬井 正
出版者
日本森林学会
雑誌
森林科学 (ISSN:09171908)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.15-20, 1996-10-01 (Released:2017-07-31)
被引用文献数
2
著者
三津橋 佳奈 前沢 智美 川村 和之 工藤 慎太郎
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.30, no.6, pp.861-865, 2015 (Released:2016-01-09)
参考文献数
15
被引用文献数
1

〔目的〕超音波画像診断装置を用いて,歩行時の側腹筋群の動態を観察した.〔対象〕健常男性30名の側腹筋群とした.〔方法〕超音波画像診断装置を用い,臍レベルで腹直筋,外・内腹斜筋,腹横筋が同時に得られる部位に,プローブを固定した.超音波画像診断装置とデジタルビデオカメラを同期し,歩行を側方から観察し,側腹筋群の超音波動画と側方からの歩容の動画を記録した.〔結果〕3筋はいずれもMSt~TStにかけて腹側へ移動し,遊脚相では背側へ移動する動態を示し,筋厚変化率は腹横筋が外腹斜筋に比べ有意に大きかった.〔結語〕歩行中の側腹筋群の動態は,立脚相で腹側,遊脚相で背側へ移動していた.
著者
森野 ほのほ
出版者
創出版
雑誌
巻号頁・発行日
vol.29, no.10, pp.144-147, 1999-11
著者
谷口 弘一 浦 光博
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.157-164, 2005 (Released:2006-02-18)
参考文献数
20

本研究は,親子関係の内的ワーキングモデルと友人関係に対する認知が友人関係におけるサポート授受に及ぼす影響について縦断的に検討を行った。242名の高校生が調査に参加し,親の養育態度,親子関係と友人関係の特質,並びに友人関係におけるサポート授受を測定する尺度に回答した。親の養育態度と親子関係の特質が親子関係の内的ワーキングモデルの指標として,友人関係の特質が友人関係に対する認知の指標としてそれぞれ用いられた。調査は,1学期と3学期の2回に渡って実施された。共分散構造分析の結果,関係の初期段階では,親子関係の内的ワーキングモデルと友人関係に対する認知の両方が,友人とのサポート授受に対して直接的な影響を与えていた。一方,関係が長期的になった段階では,親子関係の内的ワーキングモデルの直接的影響は消失し,友人関係に対する認知のみが友人とのサポート授受に直接的な影響を与えていた。
出版者
テ-ミス
雑誌
月刊テ-ミス
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.102-103, 2001-01
著者
梅村 晋一郎
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.168-176, 2015-01-01 (Released:2015-01-01)
参考文献数
16
被引用文献数
2

本稿では,強力集束超音波治療,特に加熱凝固治療を中心としてその理工学的基礎について述べる.超音波の持つエネルギーは分子レベルでは希薄であるが,それを熱として蓄積することにより,生体組織に不可逆変化をもたらすことができる.強力集束超音波(HIFU)による治療はその応用に相当する.超音波エネルギーが熱に変換される効率すなわち吸収係数は超音波周波数におよそ比例するので,超音波が治療目的組織まで生体中を伝搬する距離に応じて,周波数を選択する必要がある.また,超音波照射時間を,熱伝導による拡散が目立たない時間内に設定すれば,集束超音波の空間的選択性を生かすことができる.一方,治療目的外組織の過熱を防ぐには,血液灌流による冷却のための休止時間を置く必要があり,これがHIFU治療のスループットを低めている.これらをできる限り原理から説明するとともに,HIFUを照準し治療を監視するイメージング手段や,治療スループットを向上させる研究についても言及する.
著者
叶内 宏明
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.13-17, 2015 (Released:2015-02-20)
参考文献数
24

ビタミンB6 (B6) の抗腫瘍作用が報告されており, その作用機序を検討した。乳癌細胞株MCF-7を用いてB6がp53タンパク質を介して細胞増殖を抑制することを明らかにした。また, B6の中でピリドキサール (PL) が最も強い作用を持つこと, PLは他のB6に比べて細胞膜親和性が高いことを見いだした。B6を必要とする代謝の1つにホモシステイン (Hcy) 代謝がある。疫学調査の結果から, 高Hcy血症と認知症の関連が示唆されている。神経芽細胞腫SH-SY5Yと星状膠細胞U-251MGを用い, Hcyの神経細胞傷害にU-251MGから放出される未知な細胞死誘導因子が関係することを見いだした。鹿児島県あまみ地域住民における血漿Hcy濃度と食品摂取状況の横断的疫学研究から, 血漿Hcyを下げる因子として男性および閉経後の女性では豆類の高頻度摂取, さらに女性では卵の高頻度摂取が関係することを見いだした。
著者
中園 美紀 岩佐 真宏
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.59-65, 2015 (Released:2015-07-04)
参考文献数
14

本研究では,地表棲小型哺乳類の生態研究への応用を目的とした自動撮影センサーカメラの使用法を検討した.まず通常の水平方向での撮影を行ったところ,被写体はきれいに撮影されるものの,種同定に重要な情報になり得る体サイズを把握することができなかった.そこで,被写体の焦点距離を一定にできるよう,三脚に自動撮影センサーカメラを固定して上方から垂直方向に撮影する方法を試行した.その際,地面には10 mmメッシュの方眼が描かれたカッターマットを敷き,そのマット中央に誘因用の餌(オートミール)が入った釣り用のサビキカゴを固定して設置した.またカメラバッテリーを24時間以上維持させるため,撮影のインターバルを1分間とした.その結果,ほぼ一定の倍率で被写体が撮影され,体サイズを計測することが可能になり,尾長等からドブネズミRattus norvegicusやヒミズUrotrichus talpoidesは容易に同定可能であった.一方,形態の酷似するアカネズミApodemus speciosusとヒメネズミA. argenteusは,眼球直径と左右の眼球間の外縁幅と内縁幅の差を用いることで正確に同定できた.さらに本使用法により,アカネズミの活動時間帯について,2013年11月~2014年10月に神奈川県藤沢市石川丸山谷戸で調査したところ,日没前後から日出前までの時間帯に撮影されたことから,先行研究と同様,本種はほぼ夜行性であることが示唆された.したがって,本研究で検討した自動撮影センサーカメラの使用法は,地表棲小型哺乳類の生態研究に活用できることが明らかになった.