著者
池間 愛梨
出版者
東洋大学大学院
雑誌
大学院紀要 = Bulletin of the Graduate School, Toyo University (ISSN:02890445)
巻号頁・発行日
vol.54, pp.105-119, 2017

本研究は,児童ポルノ対策に関する国内外の動向を概観し,さらに国内における児童ポルノ事犯の発生状況および防犯対策の現状を把握することを目的として,新聞記事および警察や政府が公表している資料を用いて犯罪心理学的研究を行った。児童ポルノ事犯の発生状況について分析を行った結果,児童ポルノ事犯の多くがコミュニティサイトを利用し,児童買春を介したものであることが示された。また,加害者は男性で,年齢層では20~39歳の者が多く,職業は学校関係者が多くを占めることが明らかとなった。児童ポルノ事犯の対策については,現在,政府や警察等で強化,推進されてはいるが,児童ポルノ禁止法が改正されたばかりということもあり,現在も児童ポルノ事犯の件数は増加傾向にある。児童ポルノ根絶に向けたより効果的な対策や取締りを行うためにも,縦断的に対策や取締りの効果を検討する必要がある。This study aimed to examine the trends in domestic and foreign regulations on child pornography and to know about the situation thereof. We collected the data to be analyzed from newspaper articles and materials published by the police and government. The results of the analysis revealed that a great deal of child pornography crimes utilize community sites and/or dating sites through the intermediaries of child prostitution. In addition, we reported that many of the offenders were school officials and aged between 20 and 39 years. Regulations on child pornography crimes are being strengthened and promoted by the government, police, etc. Although the law on child pornography has recently been revised, the number of child pornography crimes is increasing. To implement more effective regulations on child pornography crimes, a longitudinal study on the effects of regulation is needed.

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著者
中村 喜和
出版者
日本評論社
雑誌
一橋論叢 (ISSN:00182818)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.138-164, 1970-04

論文タイプ||論説
著者
多田 ゆりえ 細羽 竜也
出版者
県立広島大学
雑誌
人間と科学 : 県立広島大学保健福祉学部誌 = Humanity and science : journal of the Faculty of Health and Welfare (ISSN:13463217)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.51-58, 2018-03

本研究では就労継続支援A型事業所を利用している精神障害者が一般就労への移行にどの程度関心を持っているかの実情を検討した。方法として,A型事業所を利用している精神障害者3名に,A型の利用目的と利用状況についてインタビューを行った。厚生労働省の方針である「一般就労への移行」を支援するA型の機能を中心に,調査協力者の就労ニーズを検討した。3名中2名はA型の利用にあたり一般就労への移行に関心を持っていたが,家庭の事情や今の職場の人間関係のよさから離れがたい気持ち,また新しい環境への不安などの理由から一般就労への移行を躊躇しているケースもあった。一般就労への移行としてのA 型の機能に重点を置く際には,利用者個々人の事情に対して,より細やかな支援が必要になると考えられる。This study conducted a preliminary examination to measure the interest toward facilitating regular employment for workers who use continued support for employment Type A. To conduct this examination, three mentally disabled workers who use continued employment support for employment Type A were interviewed about the purpose of their Type A employment, work space, and condition. With a focus on the function of employment Type A, which is to support "facilitating regular employment" according to the Ministry of Health, Labour and Welfare, the three interviewees' employment needs were examined. Two of the three showed interest in the facilitation of regular employment; however, they were hesitant because of some private issues, the good human relations present in their current work spaces, and anxiety about working in a new place. The Ministry of Health, Labour and Welfare wants to advocate the importance of facilitating regular employment; however, only promoting it is not enough. It may be necessary to support workers in tackling their individual issues as well.報告
著者
久田 智之 工藤 慎太郎 颯田 季央
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.48101248, 2013

【はじめに、目的】腰背筋群は内側筋群の多裂筋と外側筋群の最長筋・腰腸肋筋からなると言われており,内側筋群と外側筋群は神経支配,機能とも異なることが知られている.その中で,内側筋群である多裂筋の機能は姿勢保持や腰椎のコントロール,障害予防など臨床的に重要である.多裂筋の筋機能を測定するために表面筋電図が多く使われているが,筋電図学的には腰背筋群を脊柱起立筋群として捉えていることが多く,内側筋群・外側筋群を分けて考えられていない.また,多くの研究で使われている筋電図電極貼付け位置は海外の報告を引用していることが多く,日本人の体型に適しているのかという検討はされていない.さらに,我々は第47 回本学会において,超音波画像診断より内側筋群において多裂筋の同定は困難な例も存在し,横突棘筋と捉えることが望ましいと報告している.そこで,本研究の目的は超音波画像診断装置を用いて,多裂筋を含む横突棘筋における従来の筋電貼付け位置の妥当性を検討することとした.【方法】対象は腰部に障害を有してない健常成人男性20 名(平均身長172.8 ± 6.1cm,平均体重61.6 ± 9.2kg)の右側とした.超音波画像装置にはMyLab25(株式会社日立メディコ社製)を使用し,測定はBモード,プローブには12MHzのリニアプローブを使用した.腹臥位にてL2・4 棘突起から3cm,L4 棘突起から6cm外側の3 部位を測定部位とし,短軸像を撮影した.固有背筋の同定は先行研究に従い,横突棘筋と最長筋を同定し,L2・4 棘突起から3cm外側の位置での横突棘筋の有無を観察した.さらに(a)棘突起から横突棘筋外縁までの距離,(b)棘突起から横突棘筋最表層までの距離,(c)棘突起から3cmの位置に存在する筋の筋厚を計測した.すべての測定は同一検者が行い,測定方法においては検者内信頼性が高いことを確認した(ICC(1,1)=0.90 〜0.99).また,L2・4 の棘突起から横突棘筋外縁までの距離と身長,体重,腹囲,上前腸骨棘間の距離の関係をspeamanの順位相関係数により検討した.【倫理的配慮、説明と同意】対象には本研究の趣旨,対象者の権利を説明し紙面にて同意を得た.【結果】L2 レベルにおいて棘突起3cm外側に横突棘筋の存在した例は2 例,最長筋の存在した例は18 例であった.L4 レベルでは横突棘筋の存在した例は4 例,最長筋の存在した例は16 例であった.L2・4 レベルともに,横突棘筋の表層に最長筋が存在した.L4 棘突起6cm外側にはすべての例において腰腸肋筋が存在した.また,(a)棘突起から横突棘筋外縁までの距離はL2 レベルで2.55 ± 0.41cm,L4 レベルで2.76 ± 0.36cmであった.(b)棘突起から横突棘筋最表層までの距離はL2,L4レベルともに0.39 ± 0.07cmであった.(c)棘突起3cm外側に存在する最長筋の筋厚はL2 レベル2.69 ± 0.01cm,L4 レベルで2.63 ± 0.55cmであった.棘突起から横突棘筋外縁までの距離はL2 レベルにおいて,上前腸骨棘間の距離のみ相関関係を認めた(r=0.44,p<0.05).【考察】表面筋電における多裂筋の電極貼付け位置はVinksらにおけるL4 外側3cmの位置が多く引用されている.しかしながら,本研究の結果からL4 レベルにおいて棘突起から外側3cmの深層には多くの例で多裂筋を含む横突棘筋は存在しないことが明らかになった.さらに,多くの例でL4 レベルの棘突起外側3cmには最長筋を主とする外側筋群が2 〜3cmの厚みで存在する.そのため,現在までの表面筋電における報告は腰背筋群の外側筋群の筋電位を測定している可能性がある.表面筋電の電極貼り付け位置として,横突棘筋が最表層部に来る位置が考えられるが,棘突起から横突棘筋最表層部までの距離は3 〜4mmとなり,棘突起に非常に近く,アーチファクトの影響を受けやすいと考えられる.また,Vinksらは最長筋の表面筋電の電極貼り付け位置として,L2棘突起外側3cm を提唱している.今回の計測においても,L2 外側3cmには最長筋を主とする腰背筋群の外側筋群が存在していた.そのため同部位での筋活動の測定は最長筋の筋活動を測定できている可能性が高い.L2 棘突起から横突棘筋外縁までの距離と上前腸骨棘間の距離に相関がみられた.骨盤から起始し,下位腰椎に付着する横突棘筋は隣接する椎体に停止する線維束と幾つかの椎体をまたいで停止する線維束に分類できる.後者ほど筋束の外縁を走行するため,より高位の横突棘筋は骨盤の大きさと相関したと考えられる.つまり,Vinksらの結果は黄色人種と比較して,大きな人種を対象にしているため,今回の測定結果の相違が生まれたと考えた.【理学療法学研究としての意義】本研究により従来の多裂筋の表面筋電でよく引用されていた電極貼り付け位置は多裂筋ではなく外側筋群の筋電を測定していた可能性がある.そのため従来の研究結果は電極の種類や貼り付け位置を考慮する必要がある.
著者
ポンサピタックサンティ ピヤ ポンサピタックサンティ ピヤ
出版者
長崎県立大学 東アジア研究所
雑誌
東アジア評論 (ISSN:18836712)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.65-74, 2016-03

本研究の目的は、現代タイ社会における若者の精霊信仰にメディアが及ぼす影響を明らかにすることである。筆者は、2015年夏に、タイの若者の精霊信仰に対する考えかたを調査するために、タイ・バンコクの大学生を対象にアンケート調査をおこなった。本論文は、その調査の中で特に、マスメディアと精霊信仰の役割についての質問項目をとりあげ分析考察をめざすものである。調査の結果、タイの若者の多くは、テレビドラマやテレビ番組、映画から精霊に関するイメージや情報を得ていることが明らかになった。また、若者がイメージする男性精霊は特定のものに集中しているが、イメージされる女性精霊は多様であることがわかる。さらに、現代タイ社会において女性の精霊は怖いイメージとして捉えられているが、男性の精霊は優しいイメージとして捉えられている。このような研究結果により、タイの若者は、テレビや映画などのメディアに表象される精霊イメージの影響を受けていると考えられる。
著者
酒井 シヅ
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂醫事雑誌 (ISSN:21879737)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.112-119, 2013

順天堂三代目堂主・佐藤進は明治時代, 日本でもっとも有名な医師であった. 進は明治2年 (1869), パスポート第1号をもって明治7年 (1874) までドイツに留学, アジア人として最初にベルリン大学医学部卒業生となり, 医学博士号を取得して帰国. この間, 家族との往復書簡が残る. それと進の自伝をもとに, 進の留学生活を述べた.
著者
村井 章介
出版者
公益財団法人 史学会
雑誌
史学雑誌 (ISSN:00182478)
巻号頁・発行日
vol.127, no.2, pp.1-41, 2018

室町幕府の首長が明皇帝によって日本国王に封じられるという、日中関係史における画期について、1402(建文4)年でなく1404(永楽2)年が正しいとする学説が有力になっている。しかしそれらは厳密な史料の読みに裏づけられた学説とはいいがたい。<br>根拠とする史料が原態からどれくらい隔たっているかを正確に測定しながら、一歩一歩史実を確定していくという、古文書学的な手法を用いて検証してみると、1404年説を採った場合に受封者と認定しうるのは、足利義満・豊臣秀吉の二人しか残らない。室町幕府の首長が東アジアの国際社会で日本国王として承認されるという、「封」の実質を重視する観点からは、1402年のほうがはるかに重要な画期である。皇帝が「封」の実質を実現するために発給する文書には、誥命・詔書・勅諭など、対象者のランクに応じて多様な様式が使い分けられていた。<br>琉球の中山・山南・山北の三王に目を転じると、三山相互、あるいは明との関係の推移にともなって、皇帝が王を「封」ずる文書のほか、暦・印・冠服などがさまざまなタイミングと順番と目的に従って与えられていく状況が観察できる。「封」をめぐる多様な皇帝文書の使い分けは琉球の場合にも認められ、しかも比較的短い間に移り変わっていた。<br>さらに対象を「東南夷」(東アジア~インド沿海部の諸国)に拡げて見ていくと、洪武・建文年間には「封」が最高ランクの文書「誥命」でおこなわれたのは高麗・朝鮮のみだったが、永楽年間には一変して、印とのセットで遠距離の諸国に気前よく与えられるようになる。その背景には、鄭和の大遠征に象徴されるような、天下に威と徳を及ぼそうとする永楽帝の対外姿勢があった。<br>最後に、琉球をふくむ日本列島地域に伝えられた史料、すなわち何通かの外交文書の原本や『歴代宝案』『善隣国宝記』という外交文書集には、明代の国際秩序の解明にとって他に換えがたい価値があることを指摘した。