- 著者
-
仲村 拓真
- 出版者
- 日本図書館情報学会
- 雑誌
- 日本図書館情報学会誌 (ISSN:13448668)
- 巻号頁・発行日
- vol.66, no.3, pp.73-92, 2020 (Released:2020-09-19)
- 参考文献数
- 76
本研究の目的は,昭和前期において,五大都市立図書館が共通して有していた特徴や課題を明らかにすることである。分析のために,五大都市立図書館の関係者で構成された「五大都市市立図書館振興協議会」の開催状況及び議論を整理し,類似する会議の議論との比較を試みた。史料として,各会議の議事録,雑誌や図書館報に掲載された報告記事を用いた。結果として,同協議会の議論から,五大都市立図書館の主な課題として,①共同事業の提案,②読書の普及・指導,③図書の購入・選定,④職員の確保・待遇,を見出した。類似する会議と共通する議題も多く取り上げられていたが,広く図書館界や社会全体に貢献する事業を企図したこと,読書普及のために分館制の在り方を検討したことなど,大都市独自と見なせる議論も展開されていた。