- 著者
-
宍倉 正展
- 出版者
- 安全工学会
- 雑誌
- 安全工学 (ISSN:05704480)
- 巻号頁・発行日
- vol.54, no.5, pp.331-339, 2015-10-15 (Released:2016-07-01)
- 参考文献数
- 31
2011 年東北地方太平洋沖地震では津波が沿岸各地を襲い,甚大な被害をもたらした.その巨大な規模から想定外が叫ばれたが,実は古文書や地形・地質の痕跡から,過去にも同様の津波が襲っていたことがわかっていた.このことから東日本大震災後,過去の地震や津波を探る研究(古地震・古津波研究)が注目を浴び,日本列島各地で行われるようになった.一方,行政は想定外をなくすために,過去の事実に関係なく,予め最大クラスの想定を行うようになった.あまりに巨大な想定は,かえって地元住民を困惑させることになってしまいかねない.そこで古地震・古津波の研究者は,新たなアプローチで過去の巨大津波の実態を解明しようと試みている.