著者
水谷 司 飯島 怜 武田 智信 築嶋 大輔 佐々木 崇人
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A1(構造・地震工学) (ISSN:21854653)
巻号頁・発行日
vol.72, no.4, pp.I_604-I_618, 2016 (Released:2016-05-20)
参考文献数
57
被引用文献数
1 1

東北地方太平洋沖地震において新幹線高架橋上のPC(プレストレストコンクリート)製電車線柱が多数傾斜・折損し復旧に時間を要したため,電車線柱の地震対策が急務である.本研究では,新幹線高架橋上のPC製電車線柱の耐震性能を精度よく評価するため,電車線・電線,調整桁などまで考慮した高架橋・電車線柱の三次元連成系骨組みモデルを構築し,地震応答解析により各構造要素間の連成の影響や動的特性を明らかにした.その上で,既存のPC製電車線柱の大規模地震対策として,現行対策である高靭性化補強および鋼管ビームによる門型化,今回新たに提案したTMDによる震動制御について,連成系モデルによる機能評価,費用,施工,メンテナンスなどの側面から多角的に比較検討し,相対的に安価で機能性や施工性に優れたTMDによる震動制御の優位性を示した.
著者
王 財源 池田 裕子 遠藤 宏 川本 正純 藤川 治 吉備 登 北村 智 森川 和宥 河内 明
出版者
関西鍼灸大学
雑誌
関西鍼灸短期大学年報 (ISSN:09129545)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.25-29, 1997-10-25

『山海経』東山経には"その下箴石多し",『説文解字』にも"〓石をもって病を刺す", 『帝王世紀』には"太昊九針を製し"などの記載文が認められる。中国医学の歴史はその時代の発展状況に応じて,鍼灸医学,漢方医学,気功学も多くの学説が唱えられた。注目すべきことは,何時の時代にしろ,学説,学派の出現が多いほど,学術論争が激しく,また中国医学の発展も加速されていた。今回は学派の地域別,手技別分類を行い,悠久な鍼灸医学発展の歴史を,古代中国文献を参考に明らかにするものである。尚,筆者らはチベット医学,モンゴル医学を調査するために,敦煌の莫高窟を始めとする内陸部にも現地調査を進めるが,これには限界があるため,本文では現在調査中のものを触れずに報告する。
著者
野村 雅昭 伊藤 菊子
出版者
計量国語学会
雑誌
計量国語学 (ISSN:04534611)
巻号頁・発行日
vol.11, no.7, pp.p306-311, 1978
被引用文献数
1

3 0 0 0 OA 加藤清正伝

著者
中野嘉太郎 編
出版者
隆文館
巻号頁・発行日
1909
著者
大川 豊 矢後 清和 太田 真 山田 義則 高野 宰 関田 欣治
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
海洋開発論文集 (ISSN:09127348)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.1217-1222, 2004 (Released:2011-06-27)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

This paper describes the technical feasibility study and the economical evaluation of the floating wind power system. The box-girder type floating structure installed three wind turbines is proposed as a concept. The 5MW class propeller type turbines are adopted. The box girder with simple structures is favorable in the cost performance. Moreover, the wave induced motion and the righting moment can be optimized easily. The estimations of the static inclination and the wave induced motion were carried out in technical study. The relations between wind loads and motions or inclinations were investigated by the wind tunnel test. On the numerical analysis of motions, the fluid dynamic forces were calculated using the potential theory with zero draft assumption in the estimation of motion. The floating structure model was consisted by beam elements of FEM. The calculation result showed that the motion and the inclination in an operation condition are less than 5 degrees. According to the economic estimation, it was presumed that the proposed concept can be attained to the equally cost of water-power generation and others.
著者
藤木 文彦 深井 信吾
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会年次大会講演予稿集 2013 (ISSN:13431846)
巻号頁・発行日
pp.8-1-1-_8-1-2_, 2013-08-28 (Released:2017-05-24)

2013年2月15日にロシアに落下した隕石の映像に、UFOが映りこんでいるというものが、ロシア国営テレビのニュースに流され、日本でも話題となったが、分析の結果この映像はガラス面での光の屈折に過ぎないことが明らかとなった。部分的映像拡大に伴うノイズが出ているなどさまざまな映像的特徴が分かるにもかかわらず国営機関すらだまされてしまったことは、映像に関する教育の不足が原因と考えられる。映像情報を判断するための教育が急務であると考える。
著者
笠井 雅直
出版者
名古屋学院大学総合研究所
雑誌
名古屋学院大学論集 社会科学篇 = THE NAGOYA GAKUIN DAIGAKU RONSYU; Journal of Nagoya Gakuin University; SOCIAL SCIENCES (ISSN:03850048)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.109-126, 2015-10-31

トヨタ自動車工業の創業者であった豊田喜一郎は,それまでの豊田の事業が基盤とした綿業中心からの転換を図るべく自動車事業に参入し,挙母町に広大な用地を確保し,自動車の大量生産の体制を構築するのであるが,その一方で,航空機に関する試行も継続していた。トヨタ自動車工業は戦時下,陸軍からの要請により川崎航空機工業と共同で東海飛行機を設立し航空機分野に参入するが,その生産は企業整備の対象となっていた旧中央紡績の工場を活用したものであり,トヨタ自動車工業の挙母工場では自動車生産に集中していた。豊田喜一郎の志向は民需用の航空機にあった。
著者
小松 孝徳 山田 誠二 小林 一樹 船越 孝太郎 中野 幹生
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.25, no.6, pp.733-741, 2010 (Released:2010-09-14)
参考文献数
17
被引用文献数
3 2

We describe artificial subtle expressions (ASEs) as intuitive notification methodology for artificial agents especially in order to convey their internal states for users. We prepared two types of audio ASEs; one is a flat artificial sound (flat ASE), and the other is a decreasing sound (decreasing ASE). These two ASEs were played after a robot made a suggestion to the users. Specifically, we expected that the decreasing ASE will inform users of the robot's lower confidence about the suggestions. We then conducted a simple experiment to observe whether the participants accepted or rejected the robot's suggestion in terms of the ASEs. The result showed that they accepted the robot's suggestion when the flat ASE was used, while they rejected it when the decreasing ASE was used. Therefore, we found that the ASEs succeeded in conveying the robot's internal state to the users accurately and intuitively.
著者
野島 那津子
出版者
日本保健医療社会学会
雑誌
保健医療社会学論集 (ISSN:13430203)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.77-87, 2018-07-31

<p>「論争中の病(contested illnesses)」は検査で異常が確認されないため、当事者の多くは長期にわたる未診断状態や精神疾患等の「誤診」を経験する。そのため、先行研究では未診断状態の困難と当事者における診断の肯定的帰結が強調されてきたが、診断の効果の時間的変動や他者の影響は十分に検討されていない。本稿は、こうした点を考慮し、筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群と線維筋痛症を患う人々の語りから、診断が当事者にもたらす影響について検討を行った。その結果、安心感の獲得、患い/苦しみの正統化、自責の念からの解放といった診断の効果が当事者個人に生じていた一方で、診断後も患いに対する他者の評価は低いままであり、病名を伝えても病気と見なされないという「診断のパラドックス」が生じていた。診断のパラドックスは、病者の周囲による脱正統化作用の大きさを浮き彫りにし、診断それ自体の正統性が脆弱であることを示唆する。</p>
著者
川上 英明
出版者
一般社団法人 日本教育学会
雑誌
教育学研究 (ISSN:03873161)
巻号頁・発行日
vol.87, no.3, pp.367-378, 2020 (Released:2021-01-09)
参考文献数
35

本稿は、森昭における人間の「生成」の歴史性と自然性に関する議論を、京都学派の思想圏との関係性に着目しながら検討し、その可能性と限界を見定めることを目的とする。具体的には、森のハイデガー解釈に着目し、それが和辻哲郎と高坂正顕によるハイデガー解釈と関連していることを示すことで、本稿の目的に迫る。この検討は、人間生成の歴史性と自然性との緊張を緊張として思考する地平を切り開くものとなる。