著者
清田 辰巳
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.50, no.5, pp.400-404, 2009-05-15

現在,大規模システムの開発で一般的に採用されているウォータフォールモデルでの開発では,発注者は要件を開発者に伝えるとシステムが納品される検収テストまで,成果物の品質を確認する機会が少ない.東京証券取引所では,システムの信頼性向上を図るには上流工程でのプロセス改善が重要との認識の下,発注企業として要件定義,外部設計の品質を強化することはもちろんのこと,開発ベンダで作成される設計書の品質管理を開発者側と一体となって実施できるようさまざまな取り組みを進めている.なお,本稿での上流工程とは要件定義から基本・詳細設計までをいう.本稿では,それらのうち,要件定義書等上流工程での成果物の品質確保の取り組みや,要件から設計に至るトレーサビリティの確保による品質向上の取り組みについて紹介する.
著者
三木 陽太
出版者
東京海洋大学
巻号頁・発行日
2012

東京海洋大学修士学位論文 平成24年度(2012) 食機能保全科学 第1612号
著者
美添一樹
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.49, no.6, pp.686-693, 2008-06-15

囲碁は,主なボードゲームの中でコンピュータの挑戦を拒み続けてきた唯一のゲームである.囲碁の難しさは良い評価関数を作ることが困難であるということに起因していた.しかし2006年にコンピュータ囲碁の世界にまったく新しいアルゴリズムがもたらされた.評価関数が不要という画期的な探索アルゴリズム,通称,モンテカルロ木探索と呼ばれるものである.登場から2年あまりで9路盤ではプロ棋士を破るほどの強さを獲得した.そのアルゴリズムの性質や理論的背景について述べ,今後の展望を探る.
著者
藤井 仁奈
出版者
文教大学
雑誌
文学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Language and Literature (ISSN:09145729)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.1-22, 2012-09-01

井上ひさしは、「シェイクスピア大全集」を謳い文句にした劇作『天保十二年のシェイクスピア』へ、シェイクスピア作品の筋を巧みに持ち込んでいる。私は、『井上ひさし・追悼プロジェクト『天保十二年のシェイクスピア』研究』に参加し、その際、論文「『天保十二年のシェイクスピア』論―佐渡の三世次について―」のなかで、佐渡の三世次が作品全体の不条理さに関わり、三世次さえも不条理に破滅するという点を明らかにし、井上がこの作品で、「人が何の理由もなく次々に死んでいかなくてはならぬこのご時勢」において、「ばたばたと無造作に命を落とす」という「不条理」を強調して描こうとしたこと、そしてその不条理が不完全な「策略家」である三世次に集約されていることを指摘した。だが、『ハムレット』については、きじるしの王次の「きじるし」が三世次によって引き起こされ、『ハムレット』の筋を主軸にする登場人物たちの死が三世次に起因することを指摘するにとどめた。三世次が井上自身を投影した登場人物であり、不完全な策略家であることの指摘を目的としていたためだ。しかし、三世次が『ハムレット』の筋にからむことによって、『ハムレット』におけるオフィーリアの役割を担うお冬が、王次の言動によって狂気に陥り、死を遂げるという結末は、いっそう不条理なものになるという点も論証したかった。あくまでも「オフェーリアはお冬に[…]転生している」ようにしか見えないお冬も、井上によって巧妙に作り変えられている。お冬の死に至る過程には、一見三世次が無関係のように思われる。しかし、三世次こそがお冬に不条理をもたらすのであり、その不条理は『ハムレット』におけるオフィーリアの悲劇とは異質のものなのだ。お冬の不条理さを先の論文で書き切れなかったことは非常に心残りであり、私個人の「井上ひさし追悼研究」はお冬を論証することで完結させたいと思う。したがって、本論では『ハムレット』におけるオフィーリアと『天保十二年のシェイクスピア』におけるお冬を比較考察し、お冬の狂気の原因が、三世次のことばによるものであることを明らかにすると同時に、お冬について、井上がオフィーリアをパロディ化する巧みさを指摘したい。
著者
小林 健二 小林 健二
雑誌
鉄心斎文庫総目録稿 = Tetsushinsai-Bunko total catalog draft
巻号頁・発行日
no.1, pp.1-28, 2019-03-29

○本目録稿は国文学研究資料館共同研究「鉄心斎文庫伊勢物語資料の基礎的研究」(研究代表者:小林健二)の成果報告である。
著者
吉田 春夫 Haruo YOSHIDA
出版者
総合研究大学院大学
雑誌
非線形現象の数理
巻号頁・発行日
pp.68-83, 1997-03

吉田春夫[国立天文台・総研大]
著者
竹内 聖悟
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2016論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.21-27, 2016-10-28

人工知能(以下AI)の研究開発が広く行われ,医療への利用や自動運転など社会の中でも利用される場面が今後増えていくことが期待されている.一方で,人間の経験的知識やAIが見逃すエラーの存在などからも,人間とAIとが協調し,より効率的に処理を行うようなシステムが必要となる.ヒューマンエラーへの対処としてはAIによるチェックを,AI が見逃すエラーに対しては人間によるチェックなど問題に応じて適切なシステムを構築する必要がある.本研究では,人間とAI が協調して効率的な処理を行うシステムとして,人間がアドバイスを与え,それを受けてAIが効率的に処理を行うようなシステムの実現を目的とする.人工知能のテストベッドとして利用されてきたゲームを対象として,アドバイスによって効率的な処理を行うシステムを構築する.本稿では,将棋を対象として,アドバイスをゲームAI が有効活用するシステムを提案した.提案手法の有用性を示すために対戦実験を行った.アドバイスを与えるプレイヤを人間ではなくゲームAIを利用し,アドバイスを受けたゲームAI はそうでないゲームAI に対して有意に勝ち越し,目的であるアドバイスを活用するシステムの構築を確認できた.また,異種多数決合議との比較でも提案手法は有意に勝ち越し,提案手法の有用性を示すことができた.
著者
小峯 和明
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.141, pp.81-96, 2008-03-31

十二世紀(院政期)における天皇の生と死をめぐる儀礼とその記録や仏事儀礼に供された唱導資料(願文・表白)を中心に検証する。死に関しては堀河院をめぐって、関白忠実の日記や女官の日記、大江匡房の願文などから取り出し、とりわけ追善法会における願文表現の意義を追究した。生に関しては安徳天皇の誕生を例に、中山忠親の日記、『平家物語』諸本、安居院澄憲の表白、密教の事相書、御産記録等々から検討した。