著者
孫寧 安倍 正人 根元 義章
雑誌
情報処理学会研究報告グラフィクスとCAD(CG)
巻号頁・発行日
vol.1994, no.110(1994-CG-072), pp.169-176, 1994-12-16

距離尺度は手書き文字認識システムの精度を左右する重要な要素の一つであるため,これまで数多くの距離尺度が提案され,理論的に論じてきた.代表的距離尺度として,シティブロック距離,ユークリッド距離,重みつきユークリッド距離,部分空間法,複合類似度法,ベーズ法,マハラノビス距離などが挙げられる.しかし,大規模な手書き文字認識システムの距離尺度として,それぞれの距離尺度が実際どの程度の効果があるかについては,大変重要にもかかわらず,殆ど議論されていない.本稿では,認識システムにとって,最も重要な認識精度に重点をおき,代表的な7種類の距離尺度について,実験的にそれぞれの有効性を比較し,最も有効な距離尺度を明らかにする.さらに,比較実験によって得られた最も有効な距離尺度(マハラノビス距離)に対し,軸の分散特徴を考慮した高速かつ高精度な改良型マハラノビス距離を提案する.提案する改良型マハラノビス距離を用いた認識実験では,ETL9Bの全セットに対し,平均98.24%(オープン)の高い認識率が得られた.本稿では,距離尺度に関する比較実験および改良型マハラノビス距離を中心に報告する.
著者
松本章代 坂本泰伸 松澤茂 武田敦志 櫻井優 柏葉俊輔 柴田美夏
雑誌
第76回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, no.1, pp.71-72, 2014-03-11

我々は,認知症の早期発見を目的として,高齢者の起床・就寝時刻や外出時刻などを記録するタブレット端末用アプリおよびデータ蓄積サーバを開発した。このシステムによって長期的に収集されたログから,認知症の初期症状を検知するための解析手法を提案する。認知症が進行していくと起こりうる変化として,入力を忘れる回数や外れ値の回数の増加などが推測される。そこで,ログ収集開始直後の一定期間を「正常値」とみなし,直近の一定期間との入力傾向(データの分散や入力忘れの頻度,外れ値の頻度,など)の差を比較して違いを判定する。判定にあたり,曜日による生活リズムを加味する工夫を施す。
著者
酒井 茂幸
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.130, pp.239-258, 2006-03-25

国立歴史民俗博物館蔵田中穣氏旧蔵『広幢集』(以下『広幢集』と略称)は、稿者により近時全文翻刻が公表された新出資料である。その資料的価値は、従来未詳であった、広幢の晩年の伝記的事蹟が明らかになるとともに、『広幢集』に記載のある兼載・心敬・顕天・用林顕材・岩城由隆・兼純との交流関係や相互の人的ネットワークが新たに判明するところに存する。本稿では、まず、これら六人の人物について『広幢集』の和歌の解釈をもとに、従来知られていた史(資)料と照合し、広幢を取り巻く地域社会の政治的・宗教的思潮の一端を叙述し、広幢を岩城の禅長寺出身の数寄の隠遁者と推定した。また、兼純の項において、岩城に拠点を置き、京都との往復によりその道の第一人者へ師事し、岩城氏ら在地の国人領主や戦国大名の扶助を受ける行動様式を、同時代の宗長・宗牧との差異性から指摘し、同様な行動様式が、兼純から長珊へと受け継がれていることを論述した。『広幢集』の特色に道歌や哀傷歌・追善歌等が多いことが挙げられるが、これは集中にも記される母の死を契機とした事象で、最晩年に至って広幢は禅僧への回帰を余儀なくされたのである。連歌師の家としての猪苗代家の源流は、広幢であり、その和歌・連歌の世界における活躍は、『広幢集』に描かれるとおりである。しかし、兼載が堯恵から古今伝授を受けており、兼純に『古今集』の講釈をする資格があったのに対して、広幢は誰からも古今伝授を受けていなかったため、兼純に古今伝授ができず、和歌の家、猪苗代家の創始者とはなり得なかった。古今伝授の師資相承に広幢の名が見えず、猪苗代家の系図からも広幢の名が消えていった。兼純が広幢から受け継ぎ、長柵に伝えた連歌師の一行動様式を掘り起こしたのが本稿である。
著者
新居雅行
雑誌
研究報告データベースシステム(DBS)
巻号頁・発行日
vol.2012-DBS-155, no.14, pp.1-8, 2012-11-12

Web アプリケーション開発では,クライアントサイドの JavaScript を利用するスタイルが積極的に行われるようになった.本論文では,クライアントサイドで JavaScript を活用した Web アプリケーションにおける,認証認可処理の実装方法について検討を行う.通常の Web アプリケーションでは,ログインページや認証,認可の処理をすべてサーバ側で行う.一方で JavaScript を活用した Web アプリケーションでは,サーバとクライアントの双方での処理分担を設計する必要がある.本論文では,ページ遷移を引き起こす事なく認証認可の処理を実現するための,クライアントとサーバサイドでの処理割当について考察を行い,その割当に基づき効率的に Web アプリケーションを開発するためのフレームワークを開発した.クライアント側に処理機能があることから,その機能をアプリケーション開発者が意図していない利用をする可能性があり,その点から考えられる対策についても検討した.
著者
岡 正明 内海 菜央子
出版者
宮城教育大学附属教育復興支援センター
雑誌
教育復興支援センター紀要 = Bulletin of Support Center for Revival in Education, Miyagi University of Education (ISSN:21884080)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.117-122, 2015-03-11

東日本大震災の津波被害で,多くの学校の花壇・圃場の土壌が塩分を含む状況となった。多量の塩分を含む土壌では,これまで小中学校の教材として用いられてきた多くの植物は栽培することができない。その中で,アイスプラントが耐塩性極強の植物として注目された。最近では独特な食感を持つ葉菜類としても市販されている。本研究では,アイスプラントの生理的・形態的特徴に関する基礎的な調査を行い,栽培教育における教材植物としての有用性を検証した。
著者
後藤 智章 柴原 一友 乾 伸雄 小谷 善行
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2003論文集
巻号頁・発行日
vol.2003, pp.25-32, 2003-11-07

将棋は状態空間が非常に大きく,解を求めることは不可能とされている.本研究では,盤を小さくした将棋の解を求め,ルールによる解と計算量に関して議論する.具体的には,端にだけ駒を置く配置の3×3と3×4の将棋の解を分析した.その結果,3×3は約98%,3×4は約56%の解を求めることができた.また,3×3は先手必勝と後手必勝が約2
著者
徳永 裕己
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.55, no.7, pp.695-701, 2014-06-15

量子コンピュータで取り扱う量子状態は原理的に誤りが起こりやすいため,量子計算に誤り訂正技術を組み込むことは必須と考えられる.本稿では近年発展した物理に即した量子誤り訂正技術であるトポロジカル表面符号および,これを用いて符号化したまま計算を行うフォールトトレラント量子計算の解説を行う.
著者
Yukio Tsuruoka
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, 2016-02-15

Cloud computing is a modern form of advanced information system that has developed with the proliferation of the Internet, broadband access networks and high-speed processors, and it is continuing to spread. Cloud computing enables users to use IT resources, such as processors and storage, through the network, by simply paying a fee and without needing to own servers. Running costs are reduced because resources can be used on-demand only as needed. Since hardware provisioning is not necessary, software development and launching new services can be done quickly. Cloud computing also drives innovation in information systems. For example, cloud computing has made it easy to build cluster systems using virtual machines, which has led to the development of scalable data stores such as object storage and key-value stores. Cloud computing also led to the development of software defined networks and software defined storage, to respond rapidly to the requirements of users and applications. In this paper, the benefits of cloud computing are reviewed and technologies supporting it and new technologies arising from it are outlined. Directions for cloud computing in the future are also discussed.\n------------------------------This is a preprint of an article intended for publication Journal ofInformation Processing(JIP). This preprint should not be cited. Thisarticle should be cited as: Journal of Information Processing Vol.24(2016) No.2 (online)------------------------------
著者
中嶋慶輔 福地健太郎
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)
巻号頁・発行日
vol.2013-HCI-152, no.8, pp.1-7, 2013-03-06

スポーツの中継映像は,実際の現場での視界のごく一部しか視聴の対象になっていない.人間の視覚特性では周辺視野部では特に動きの知覚に優れているため,中継映像では速度感覚への刺激が実際に比べて低下していると考えられる.我々は今回,画面周辺部に動き提示のみを目的とした LED アレイを設置し,画面内の動きにあわせて LED を点灯させることで,速度感を増強するシステムを提案する.評価実験ではこの LED 表示により,被験者の速度感覚に影響を及ぼすことができることが確認できた.本手法は視界が制約させるコックピットや遠隔操作システムやなどにも応用することで制御精度の向上も期待できる.

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雑誌
立教大学教育学科研究年報
巻号頁・発行日
vol.59, 2016-02-28
著者
筧 捷彦
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.670-672, 2006-06-15

第68回全国大会の2日目の午後に開かれたシンポジウム「日本学術会議と「情報学」の新展開」について報告する.2005年に日本学術会議の第20期の会員が決まったが,全学問領域にわたる210名の会員の中に15名の「情報学」の研究者が選ばれた.それだけ「情報学」の広がりが認知されたといえる.これを期に日本学術会議会員を招いて,日本学術会議が何を目指すのか,その中で「情報学」にどんな展開が期待されるのかを語っていただいた.