著者
脇本 竜太郎
出版者
The Japanese Group Dynamics Association
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.165-179, 2005
被引用文献数
1

人間の社会的行動は,自尊心への欲求から説明されることが多かった。しかしながら,その自尊心への欲求自体が,"なぜ"人間にとって重要なのかは実証的に検討されてこなかった。この"なぜ自尊心の欲求が重要なのか"という問に存在脅威(死の不可避性の認識に基づく脅威)の緩衝という観点から答え,人間の社会的行動を包括的に説明する枠組みたるべくして登場したのが存在脅威管理理論である。本稿では,まず存在脅威管理理論の概要について紹介する。次に,既存の研究を概観し,存在脅威管理理論がもたらした成果と,個々の社会的行動の実証的検討における課題について述べる。最後に,近年報告されている存在脅威管理方略の差異に関する知見を紹介し,そのような文化内・文化間差を存在脅威管理理論がいかに捉え,組み込んでいくべきかについて展望を述べる。<br>
著者
鳥海 不二夫 山本 仁志
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.53, no.11, pp.2507-2515, 2012-11-15

近年,ソーシャルメディアの発達が目覚しく,FacebookやTwitterなど数多くのソーシャルメディアがWeb上で運営され,多くのユーザによって利用されている.ソーシャルメディアへの記事投稿にはコストが必要であるにもかかわらず,自発的に記事が投稿されるメカニズムは明らかとなっていない.ここで,ソーシャルメディアの基本的な仕組みは,多数の情報がコストをかけて投稿され誰もがアクセスし利用することができることから,公共財としての性質を持っているといえる.公共財への貢献を促進する仕組みとしては,協調しない者に対し罰則を与える規範ゲーム・メタ規範ゲームが提案されている.しかし,ソーシャルメディア上では非参加者を罰するということは不可能である.そこで,懲罰ではなく協調者にたいして報酬を与えるという方法を取ることが考えられる.一方で,報酬よりも懲罰のほうが効果的であるという報告があり,通常の条件下ではソーシャルメディアでは協調は進化しないと考えられる.そこで本研究では,報酬しか与えられない公共財ゲームであるソーシャルメディア上で,どのような条件が整った時に協調が促進されるのかを,エージェントシミュレーションによって明らかにする.
著者
CSキャッチャー研究会
出版者
日本建築仕上学会
雑誌
Finex (ISSN:09156224)
巻号頁・発行日
vol.24, no.142, pp.59-63, 2012-05
著者
小沢 和弘 相川 直幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CAS, 回路とシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.575, pp.21-28, 2001-01-19
被引用文献数
10

サンプリングレート変換は、サブコーディングやA/D・D/A変換などに広く用いられる重要な技術の一つです。通常、サンプリングコンバーターにはナイキストフィルタやフィルタバンクが用いられる。しかし、それらは非常に多くのメモリを必要とし、サンプリングレートが変わるたびに再設計しなければならない。そこで以前、我々は2次関数を用いた新しい補間カーネルの設計法について提案した。しかしながら、その方法ではより大きな阻止域減衰量を得るために1振幅あたりに使用する2次関数の数を増やそうとすると、多くのメモリが必要となってしまう。そこで本報告では補間処理の高速化ならびにカーネルを構成するために必要なメモリ量が少ない効果的な構造とその設計法を提案する。また、今回提案するカーネルは従来のカーネルと同様に任意のサンプリングレートに対応することが可能であるという利点を持っている。

3 0 0 0 OA 食人風俗考

著者
寺石正路 著
出版者
東京堂
巻号頁・発行日
1898
著者
本間 恵美 粥川 晶子 遠藤 仁子
出版者
東海学院大学・東海女子短期大学
雑誌
東海女子短期大学紀要 (ISSN:02863170)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.27-34, 1994-03-31

おせち料理に対する意識および実態は,家庭によって差があるが,母親による影響が大きいことがわかった。要約すると次のようになる。 1)おせち料理を用意する家庭は全体の97.6%あった。そのうち全て手作りで整えている家庭は5.7%,市販品だけで済ませている家庭は2.1%であった。 2)各家庭毎の料理の品数は8〜11品の家庭が多い。 3)多くの家庭で取り入れられている料理は,黒豆・田作り・数の子・かまぼこ・卵焼き・野菜のうま煮・昆布巻き・きんとんなど,伝統的なものであった。 4)祝い肴を80%以上の家庭に取り入れられており,祝い肴を三種そろえて用意している家庭は65.2%あった。 5)おせち料理のうち手作り料理は55.3%,市販品が44.7%で,各家庭の平均品数は手作り料理5.5品,市販品4.6品であり,手作り料理の方がわずかに多かった。 6)重箱を用いている家庭は62.8%あったが,年度別にみると次第に減少の傾向にある。詰め方は形式にこだわらず,各家庭まちまちであった。 7)正月に対する意識は,「家族全員で祝いたい」,「おせち料理は欠かせないと思う」,「正月用の特別の食器を使いたい」の順に高かった。 8)おせち料理の整え方について,手作りしたいと思っているものは,母親・学生とも約60%あった。両者の間に有意差は認められなかったが,「手作りしたい」という意識は母親の方が高く,「特別にしなくてよい」という意識は学生の方がわずかに高い傾向にあった。 9)母親の手作り意識別に,実際の手作り度をみると手作りの志向の高い家庭は,手作り度が高く,手作り料理の品数も多かった。 10)伝承は実家の母親から受けたものが多く,婚家より実家のおせち料理の方が,圧倒的に多く伝承されていくようである。 11)伝承を受けたものは,「おせち料理は欠かせない」という意識が高く,伝承がなければおせち料理に対する意識も次第に薄れていくものと思われる。 12)「献立を考える」・「買い物をする」・「料理をする」「盛り付け・重詰めをする」について,学生の手伝いの程度を調べた結果,「買い物」は「よく手伝った」といえるものが他の項目よりは多いが,全体的に手伝いの程度は低いといえる。 13)よく手伝いをしているものほど,「おせち料理は欠かせない」という意識が高い。 行事食はその国の文化の一つである。食生活が多様化し,わが国の伝統の料理が日常の食卓から遠のいて行きがちな現在,おせち料理を作り,新春を祝うことを通して,日本の文化を伝承していくことが大切である。時代に即したおせち料理に変化させながらも,伝統の味を受け継いでいきたい。
著者
川岸 克己
出版者
安田女子大学
雑誌
安田女子大学紀要 (ISSN:02896494)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.11-19, 2011-02-28
著者
猪俣 美知子 河村 フジ子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.100-103, 1982-06-20
被引用文献数
3

透明度の高いスープを得る手法として、卵白とひき肉を併用することの効果とその要領について検討した結果を要約すると次のようになる。1) 30℃の原液に、卵白とひき肉を混合し、70℃まで攪拌しつつ温度を上げ、以後そのまま加熱し,94±1℃で10分以上保つと透明なスープが得られる。 2) 卵白量が1%でも、ひき肉を併用すると顕著に透明度は高くなる。しかし、ひき肉量に対して卵白量が多すぎると、pHが上昇し、スープの透明度は低下する。 3) 脂肪の多いひき肉や多量の脂肪がエマルジョン状となって分散している原液の場合も、卵白とひき肉の併用効果は顕著である。ただし、この場合は、脂肪の一部が油滴となって表面に浮上してくる。
著者
大野 義一朗 宮田 敬博
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.42-50, 2000-03
被引用文献数
1

1998年9月, 越冬中の各国基地医師にファックス, 電子メールを送り医療現状調査をおこない昭和基地と比較した。7基地から直接回答があり10ヵ国14基地の情報を収集した。医師数は日本隊が2名で他は1名であった。医師以外の医療従事者がいるのは1基地のみ。手術室のある基地は多いが実際に手術を行っている基地は少ない。集計死亡数76件のうち病死9%, 事故死72%, 不明19%。病死では急性心疾患が最多で, 事故死の73%が航空機事故だった。日本隊の死亡1名は実数でも比率でも少ない。その理由は隊員選抜の健康診断が有効に機能していてこれまで致命的な疾患が発生していないことと, 大陸間航空路がなく航空機関連事故が起きていないためと考えられる。昭和基地でも重症患者の救命に不可欠な緊急搬出用航空路をどのようにして安全に導入するかが課題である。