著者
山口 創 鈴木 晶夫
出版者
The Japanese Group Dynamics Association
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.219-229, 1996-12-10 (Released:2010-06-04)
参考文献数
32
被引用文献数
1 1

本研究の目的は, 気分に及ぼす座席配置の構成要因を明らかにすることである。実験Iでは日常場面でよく見られる座席配置を用いて, 座席配置と喚起される気分についての検討を行った。またどちらが先に座っているかの効果についても検討した。その結果, 2者が近距離で座るほど緊張感と親密感がともに高くなり, 相手から見られていることが緊張感との間に関連が見られることが示唆された。実験IIでは座席配置の構成要因を距離, 位置, 身体方向にわけてこれらを統制した場面を設けてそれぞれと気分との関連を検討した。その結果, 緊張感に及ぼす座席配置の要因は距離と, 相手に対して自分がとる位置であること, 親密感に及ぼす座席配置の要因は距離と, 相手と自分との座席の対称性であることがわかった。実験IIIでは, 座席配置の構成要因の中で, 視線と気分の関連性について検討した。その結果, 緊張感に及ぼす位置の効果は相手から受ける視線と同一であること, 視線に関わらず, 相手との対称性によって親密感が喚起されることが明らかになった。
著者
柴田 悠
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

全国郵送質問紙調査を実施し、公的サポートである「保育」(保育所への通園)と、私的サポートである「家庭育児」(先行研究によれば親の社会経済地位によってその質は異なる)の、交互作用に考慮に入れながら、それらが成人後の幸福感やその諸要因に与える長期的影響を、保育所通園の傾向スコアを用いた因果推論によって検討した。その結果、「不利な家庭」(社会経済地位:下位1/2)出身の20~44歳回答者では、保育所に通うと(幼稚園のみに通う場合と比べて)、将来、非正規雇用になりにくくなる、有配偶者の確率が高まる、対面交流の頻度が増えるなどの傾向が見られ、さらにそれらの結果として主観的幸福感が高まる傾向が見出された。
著者
黒木 邦弘
出版者
西九州大学
巻号頁・発行日
2018

元資料の権利情報 : CC BY-NC-ND
著者
深山 慶介 植野 拓 藤田 隆 大平 美咲 中司 貴大
出版者
九州理学療法士・作業療法士合同学会
雑誌
九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 第32回九州理学療法士・作業療法士合同学会 (ISSN:09152032)
巻号頁・発行日
pp.165, 2010 (Released:2011-01-15)

【はじめに】腰痛には様々な要因があり、治療に難渋することは臨床でよくみられる。腰痛に関連するものの一つとして、骨盤の前後傾運動の報告はみられるが、骨盤の開閉に関する報告は少ない。今回は、骨盤の開閉の評価を行い腰痛との関連ついて検討したのでここに報告する。【対象】本研究に関する説明を行い、同意が得られた成人男女23名(男性9名 女性14名 平均年齢27歳±8歳)。【方法】骨盤の開閉の評価として、両上前腸骨棘間距離(以下両ASIS間距離)を後上腸骨棘間距離(以下両PSIS間距離)で割った比率を、骨盤の開閉比率とした。またその開閉比率を、立位で足部の内側を揃えた中間位(以下中間位)、踵を揃えてつま先を最大に開いた外旋位(以下外旋位)、つま先を揃えて踵を最大に開いた内旋位(以下内旋位)で、それぞれ求め、中間位と外旋位、中間位と内旋位の比較をt-検定により分析した(p<0.01)。 次に腰痛との関連について、腰痛の有無にて2群(腰痛有り14名、腰痛なし9名)に分け、骨盤中間位の開閉比率の比較をwilcoxon順位和検定により分析した(p<0.05)。【結果】 中間位の開閉比率の平均が2.17、外旋位が2.65、内旋位が1.8で、それぞれ中間位と外旋位、中間位と内旋位における骨盤の開閉比率において、有意に骨盤の開閉に差が見られた。次に腰痛の有無による2群間の開閉比率において、腰痛がある群の開閉比率の平均が2.35、腰痛がない群の開閉比率の平均が2.01で、腰痛がある人の開閉比率が腰痛がない人の開閉比率に比べ優位に高かった。【考察・まとめ】骨盤の開閉の動きは、仙腸関節により誘導される。動かない関節と言われている文献も少なくないが、今回の結果より、仙腸関節による骨盤の開閉の動きが認められたと考える。また、荷重伝達機能を持つ仙腸関節で結合されている骨盤は、様々な姿勢により影響を受ける事が予測される。今回、腰痛がある群が腰痛がない群に比べ、骨盤の開閉比率が優位に高かった事より、骨盤の開きが大きい人は腰痛になりやすいという傾向が示唆された。
著者
内田 知宏 Tomohiro Uchida
雑誌
尚絅学院大学紀要 = Bulletin of Shokei Gakuin University (ISSN:2433507X)
巻号頁・発行日
no.80, pp.17-27, 2020-12-18

統合失調症患者において体験される妄想の発生・維持に認知の歪みが関わっていると考えられているが、こうした病理モデルを健常者の妄想様体験(パラノイア)に当てはめ検討していく取り組みは、統合失調症を含む精神病の早期発見、早期介入という観点から重要であると考えられている。本研究において、大学生200名を対象に質問紙調査を実施した結果、認知的洞察や自己・他者スキーマといった認知的側面や、抑うつ、不安といった感情は、それぞれ単独でもパラノイア傾向と相関していたが、これらの心理的要因を組み合わせて検討することで、とくに、自己確信性で示されるような認知の硬さ、他者へのスキーマ、および抑うつがパラノイア傾向に影響を与えることが示された。こうした知見は、パラノイア傾向の強い個人の心理的要因を包括的に理解する上で、また認知行動療法を中心とした介入の標的を特定する上で役立つ可能性があると考えられた。
著者
藤原 直紀 徳山 豪
雑誌
研究報告アルゴリズム(AL) (ISSN:21888566)
巻号頁・発行日
vol.2023-AL-191, no.2, pp.1-8, 2023-01-12

d 次元の n 個のベクトル列が与えられたとき,列ベクトルを並べ替えて d×n の行列として考える.行列の様子は列ベクトルの順序によるが,これを目的関数を最大/最小にするような列ベクトルの順列を見つける問題として定式化する.目的関数は,行列の各行に対するファーストフィット非減少部分列の要素の効用の和で定義することで,最大化問題をソーティング問題の自然な一般化として考えることができる.本論文では,d が定数の場合には,多項式時間アルゴリズムが構成できることを示し,d が一般である場合に対しては,集合被覆問題や劣モジュラ最適化との関係を調査し,計算複雑度を考察する.
著者
半揚 稔雄 Hanyou Toshio
出版者
宇宙科学研究所
雑誌
宇宙科学研究所報告 (ISSN:02852853)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.1-102, 1986-12

In the trajectory design to Jupiter, various interplanetary flight modes have been investigated. In this paper, the general characteristics of four interplanetary flight modes, that is, direct Earth-Jupiter trajectories, Mars gravity assist trajectories, deep space &htri;V-Earth gravity assist trajectories, and Venus-Earth gravity assist trajectories, are considered. Each mode is evaluated in terms of required &htri;V and flight time, and the periodicity of the launch opportunity for each mode is classified. The solutions are obtained by a new trajectory generation method which seeks the optimal trajectories including the intermediate impulses and the powered swingbys. Also, the procedure which gives the initial values to reach the optimal trajectories is described.
著者
横山 悟
出版者
千葉科学大学
雑誌
千葉科学大学紀要 = The University Bulletin of Chiba Institute of Science (ISSN:18823505)
巻号頁・発行日
no.9, pp.9-16, 2016-02-28

近年、学科試験を受けない形で大学に入学させる、アドミッションオフィス入学試験(AO入試)方式や推薦入試などによる入学者選抜方式の利用が増加している。主に高校における成績、各種部活動や委員会などの活動実績、志望理由、面接、小論文などにより、入学希望者を多角的に評価し、入学者を選抜する方法である。しかし、中央教育審議会の場などにおいて、これらのAO入試や推薦入試が大学生の基礎学力低下を引き起こしている可能性がある、と危惧する声も上がっている。このような状況に対し、本論文では、中学・高校・大学において必修科目とされている英語科目の成績を指標とし、入学試験の方式により分類した初年次学生の英語に関するテスト結果のうち、初年次前期の講義開始前に行った英語科目のプレースメントテスト、及び初年次前期の英語科目にて全学的に行った共通定期試験のスコアを項目反応理論による解析を通じて、入学試験区分によって実際の大学入学者の学力差が見られるのかを検証した。結果として、プレースメントテスト、定期試験ともに、AO入試の区分の学生のスコア平均は低く、学科試験を課す入試区分の学生のスコア平均が高かった。一方、学校法人内での特待生推薦入試の区分の学生はスコア平均が高く、一般入試やセンター試験など実質的に学科試験がある入学区分と同等の学力を持っていた。特待生推薦入試の区分では、全ての学生が特待生になるわけではないが、特待生の枠での採用が設定されていることから、学費の減免を目的として、優秀な学生が受験してきている可能性が示唆される。以上より、AO入試・推薦入試の区分が全て学力不足である、という短絡的な一般化には至らないことが確認され、特待生枠などの設定により、学科試験が課されずとも学力が高い学生を確保する方法がある可能性が示された。
著者
北原 曜
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.53-66, 2022-07-31 (Released:2022-09-09)
参考文献数
13

Following up on many eyewitness reports of Eastern Pale Clouded Yellow (Colias erate) in the Alpine Clouded Yellow (C. palaeno) habitat in the Asama mountain range as well as several reports of C. erate ♂ mating with C. palaeno ♀, distribution surveys and feeding and mating studies were conducted to clarify the presence and effect of C. erate in the C. palaeno habitat. The results confirmed mating interference of adult C. erate ♂ with C. palaeno in C. palaeno habitats of Mt. Yunomaru and Mt. Eboshi but that geneticintrogression was unlikely. Measures for the conservation of C. palaeno were discussed.
著者
弓永 久哲 鈴木 俊明 米田 浩久 若山 育郎
出版者
関西理学療法学会
雑誌
関西理学療法 (ISSN:13469606)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.83-89, 2005 (Released:2006-01-26)
参考文献数
8
被引用文献数
1

The purpose of this study was to investigate the trunk muscles causing associated reactions in a hemiplegia patient with cerebrovascular disoders. Clinical evaluation and surface electromyographic based motion analysis were performed to confirm impairment problems in the patient. He showed associated reaction of left elbow flexion and left forearm supination caused by left anterior tilt to right posterior tilt of the trunk in the stance phase shift to the swing phase in gait. Surface electromyographic evaluation was performed while practing a similar gait task. The results indicated that high muscle activity of the affected side biceps brachii muscle was caused by high muscle activity of the unaffected side low back muscles. These finding suggest that not causing hypertonia of unaffected side low back muscles in normal movement of gait is very important.
著者
松葉 ひろ美
出版者
千葉大学
巻号頁・発行日
2014

学位:千大院人博甲第学22号

2 0 0 0 OA 脳と硫化水素

著者
木村 英雄
出版者
日本医療ガス学会
雑誌
Medical Gases (ISSN:24346152)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.40-43, 2017 (Released:2019-09-17)
参考文献数
24