著者
渡邊 崇 古郡 規雄 下田 和孝 Takashi Watanabe Norio Furukori Kazutaka Shimoda
出版者
獨協医学会
雑誌
Dokkyo Journal of Medical Sciences (ISSN:03855023)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.73-78, 2020-07-25

父娘がともに注意欠如・多動症(attention-deficit/hyperactivity disorder;ADHD)を発症した2症例を経験した.ADHDは児童思春期に診察される場合が多いが,成人後にも症状が残遺することもあり,慢性的な疾患であると考えられる.この症例報告では,家族間であっても,有効な治療薬において差異が認められた.このような家族間での差異を多面発現性と多遺伝子モデルに基づいて考察した.
著者
角南 俊介
出版者
東洋大学経済研究会
雑誌
経済論集 (ISSN:03850358)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.51-57, 2014-12
著者
西山 裕子 Hiroko NISHIYAMA
雑誌
教育学研究論集 (ISSN:21877432)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.80-87, 2020-03-20

英語教育において2020 年度から新たな取り組みが始まる。この現状にあって,英語表現力を高めることは教える側と学ぶ側にとって早急に策を講じるべき課題のひとつである。これまで英語力を測定する際に大きな比重を占めていた「読む」「聞く」という2技能に加えて,「話す」「書く」技能がより重視されていく今後の4技能統合型の英語学修において,一つひとつを分離させた指導方法では,社会で求められるレベルのスキル修得への対応が困難であるため,いっそう領域統合型の授業運営が求められるようになるからである。では,4技能のうち特に「読む」と「話す」技能について,これからの英語教育で外国語コミュニケーションにむけた英語表現力を向上させるために,どのように対応することが望ましいのであろうか。結論からいえば,新中学校学習指導要領を念頭に置くとき,多読と精読の双方は,個別の学修活動として捉えられるべきではない。この二つの技法は,アウトプット型の言語活動を補完し合いながら,小学校の外国語活動と,外国語科を経て,中学校の外国語科(英語)を接続し,コミュニケーション・スキルの基盤を確立する可能性を多分に含意している。
著者
岩口 尭史 久保 尋之 川崎 洋
雑誌
研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:21888701)
巻号頁・発行日
vol.2022-CVIM-229, no.19, pp.1-4, 2022-03-03

本発表ではすりガラスなどの拡散体の背後にある鏡面反射物体形状の再構成に取り組む.拡散体背後の物体は環境光の下ではボケて観測されるため形状の復元は困難だが,拡散体上の微小領域に光源を照射すると,拡散板の表面には反射による集光模様であるコースティックスが現れる.本論文では,光学現象を考慮した微分可能レンダリングによりコースティクスを解析し拡散板の背後にある物体の表面法線を復元する方法を提案する.提案するレンダリング手法はメッシュ表現を利用するため,レンダリング画像だけでなく,幾何学的なパラメータを対象に最適化を行うことができる.実験では,反射光分布から形状を復元し,反射光の位置から幾何学的パラメータを最適化することが可能であることを示す.さらに,正確なコースティクスの再現が要求される Goal-based caustics へ応用しレンダリング能力を示す.
著者
大津 尚志 Takashi OTSU
出版者
武庫川女子大学学校教育センター
雑誌
学校教育センター紀要 = Bulletin of School Education Center (ISSN:24353396)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.29-42, 2023-02-28

大阪府内では2017 年に「黒染を強要された」ことを理由に生徒が校則をめぐって訴訟を提起するということがあった。提訴の後,大阪府教育委員会は高校の校則の点検や公開を指示するようになった。それでは,大阪府内の市立(区立)中学校について校則についていかなる実態があるのか。それは,30 年前の中学校の校則や現在の高校の校則と比するとどのような特徴があるのか。現在の高校の校則とはどう違うのか。「細かすぎる校則」や「理由の説明が難しい校則」がやはり存在するのではないか。校則が生徒の権利を意味なく侵害するものになっていないのか。本稿ではそういった観点から校則を分析することを試みる。そして,現在改訂が予定されている『生徒指導提要』の「改訂案」をもとに,現状の問題点を指摘することを考える。
著者
吉田 達矢
出版者
名古屋学院大学総合研究所
雑誌
名古屋学院大学論集 言語・文化篇 = THE NAGOYA GAKUIN DAIGAKU RONSHU; Journal of Nagoya Gakuin University; LANGUAGE and CULTURE (ISSN:1344364X)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.81-99, 2023-03-31

本稿では,オスマン帝国史において「改革の時代」とされる19世紀前半における地方軍政官の人事に着目し,オスマン帝国中央政府の地方社会に対する統治方針の一端について考察した。考察対象の場所は現在のギリシア北部に存在していたヤンヤ県とし,考察対象の時期は18世紀末よりヤンヤ県を中心に中央政府から半ば自立した勢力として広大な領域を支配したアルバニア人豪族テペデレンリ・アリー・パシャの討伐が始まった1820年から,ヤンヤ県にタンズィマート改革が導入され,ヤンヤ州が新たに設立された1846年前後までとした。当該時期に就任したヤンヤ県軍政官各自の履歴,選出・離任理由などについて考察した結果,ギリシア独立戦争やアルバニア人豪族の統御などの問題に対処するため,1830年代前半まではアルバニア人豪族の任用,有力政治家の親子2代にわたる長期の統治がみられ,「第二のテペデレンリ・アリー・パシャ」が出現する可能性があったことなどを指摘した。
著者
野口 和恵
出版者
香川生物学会
雑誌
香川生物 = Bulletin of the Biological Society of Kagawa (ISSN:02876531)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.27-32, 2000-05-01

大阪南港において越冬期(1998年11月21日~1999年2月22日)のトラフズクAsio otusのペリット143個を採集し, 食性の分析を行った。ペリットには哺乳類齧歯目ネズミ科ハツカネズミMus musculus, クマネズミRattus rattus, ドブネズミR.norvegicusと鳥類3種, および昆虫類直翅目エンマコオロギGreyllus emma, 半翅目シラホシカメムシ属Eysarcoris sp.の1種, および鞘翅目ゴミムシダマシ科の1種が含まれていた。餌動物218個体の中で最も数が多かったのはハツカネズミ(82.6%)であり, 鳥類(9.6%), クマネズミ属(7.8%)が続く。この種類構成は, 調査地の関係において小動物相が乏しいことと関係している結果と考えられた。しかし, これまで報告されたトラフズクの食性は小哺乳類を主体としており, 同様な現象が今回の越冬期の埋め立て地においてもみられたといえる。また, ハツカネズミを上顎第1~3臼歯の摩耗によって令査定を行い, 1998年に生まれた個体が多いことが推測された。
著者
齋藤 宜之
出版者
中央大学文学部
雑誌
文学部紀要 哲学 (ISSN:05296803)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.185-210, 2015-02-25
著者
葉養 正明
出版者
文教大学
雑誌
教育学部紀要 = Annual Report of The Faculty of Education (ISSN:03882144)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.73-77, 2019-12-20

本稿は,東北地方沿岸部の少子化・人口減の中長期的なトレンドのもとで発生した東日本大震災後の,①小中学校の再建再編の進行,子どもの教育圏に生じた変化の記述を進めるとともに,②「学校統廃合の社会的費用1)」に関連する先行研究2)や学校統廃合の財政効果に関するいくつかの自治体3)の試算などのレビューを進め,②「学校統廃合の社会的費用」に迫る枠組みについて検討を進めようとする研究に向けた序論である.本稿が対象にする東日本沿岸部の場合,中長期的に少子化・人口減が進行すると同時に被災からの教育復興という二重苦に直面している.そこで,本稿は,「学校統廃合の社会的費用」という切り口を設定し,就学人口の中長期的縮小と被災に伴う就学人口の変動,教育復旧・復興の必要性という諸要因の絡んだ学校規模や配置のあり方問題の検討を進めることにする.