著者
Asajiro OKA
出版者
The Japan Academy
雑誌
Proceedings of the Imperial Academy (ISSN:03699846)
巻号頁・発行日
vol.7, no.10, pp.387-389, 1931 (Released:2008-03-19)
参考文献数
6
被引用文献数
1 1
著者
壁谷 彰慶
出版者
学校法人 植草学園短期大学
雑誌
植草学園短期大学紀要 (ISSN:18847811)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.77-82, 2019 (Released:2019-03-28)

フランツ・カフカの短編「断食芸人」の終幕で、断食を続ける芸人が、見世物小屋の監督に対し、自らの 生き方は世間からの「感心」に値しないことを吐露するやりとりがある。彼が死に際に残したこの言葉は、 読み手にいくつかの解釈の余地を残しており、その多義性は、「よい/悪い」や「幸福/不幸」などの価値 に関わる倫理的概念について、哲学的な示唆を与えるように思われる。以下では、「断食芸人」の終幕から 読み取れる「感心」の多義性を整理し、この作品が価値や「幸福」に関して示唆することを確認する。
著者
申 昌浩 シン チャンホウ Chang Ho SHIN
出版者
総合研究大学院大学
巻号頁・発行日
2000-03-24

本博士論文は、現在の韓国政治、文化の枠組を支える「韓国的ナショナリズム」の形成過程に、いかに宗教が大きな役割を果たしているかについて考察したものである。その宗教は、特に、日本という近代国家によって開国を迫られ、近代化の課題に直面していた朝鮮半島において、東学、親日仏教、プロテスタント(改新教)の三つが新たに成立したのである。そして、それらの成立の背景としては、東アジアを取り巻く国際情勢、とりわけ日本と韓国との政治的ダイナミズムが深い関わりをもっている。それゆえ、本論文では三つの宗教のそれぞれの成立と展開を、政治的な背景と関連させつつ、考察する。<br /> 第一に東学について。東学は19世紀後半、朝鮮半島で初めて成立した自生宗教であり、朝鮮王朝の封建的な儒教中心の既存の政治体制と両班による政治政権の掌握と運用に新たな変革を求めたものである。それは民族の宗教としての始まりと、民衆の真意を反映した民族主義と民族運動を成立させる役割を果たした。そして、特権身分階級として政治的・経済的な支配者である両班とその儒教体制による封建的な社会構造に対して挑戦を挑んだ民衆レベルの宗教であった。この東学の誕生は、間接的な原因ではあるが19世紀の朝鮮王朝の支配を突き崩すほどの力を発揮したといえるだろう。民衆運動と宗教運動を基盤にして形成された東学は、開国以後、日本帝国の経済的な進出に対しても積極的に対抗し、民族の自主と自立の精神を培養しようとした。この東学の民族主義は、宗教の問題であると同時に、政治的な問題であるといった方がよいだろう。東学が唱えていた思想は、朝鮮末期の政治問題や経済問題に民衆を結集させ、宗教的な内容よりもむしろ自由民権の宗教的哲学根拠を提供し、近代的な改革や社会変革を求める政治的な内容がより強く表出するものであった。この時期に形成され始めた民族主義は、国家ナショナリズムというよりも、民衆レベルでの民族の危機意識と開化精神の始まりといえよう。東学思想は19世紀後半期において、封建体制の対外的危機に対応する、農民や商人、賎民、没落両班の階級的利害、欲望、要求を反映した民衆運動として登場し、韓国の民族主義形成に大きく関わりを持っている政治的なものであった。しかし、日韓併合後の東学は日本帝国の政治的な力の前に内部分裂を繰り返し、民族宗教としての存在感が薄くなってしまった。その結果、解放後においても民族を支える宗教としての役割や政治舞台の中心に立つことはできなかったのである。<br /> 第二に親日仏教について。これまで仏教は幾度も民族的な危機に際して民衆を支えてきた伝統宗教であった。しかし、朝鮮時代の儒教的な政治体制から排除されることによって、町からその姿を消し、山に閉じこもるようになった。政治政権を掌握している儒者たち、いわゆる両班からの政治的な抑圧と蔑視と差別によって、朝鮮の仏教は非政治的な宗教集団となっていた。この仏教が、1876年の開国と共に朝鮮半島に進出してきた日本の僧侶によって復活し、政治的にも再生されるようになった。朝鮮仏教の宗教活動が解禁されたのは、日本帝国の経済的な進出が活発な時期であり、朝鮮王朝の儒教思想にも民衆を統制する力がなく、国運が傾き始めた頃のことでもあった。開国以来、日本の経済的な進出と1895年の日本の僧侶による嘆願によって、解禁されたため近代韓国仏教の始まりを「親日」仏教の始まりであるともいっている。朝鮮仏教は日韓併合後も政治的性格が日本の政治的支配や宗教政策に対して大きな反発を示す宗教運動や政治的な活動や動きも少なかった。また、解放後の成立した新政府による仏教浄化政策よって、親日仏教というレッテルを貼られるようになった。<br /> 第三はプロテスタント。1880年代に入ってきたキリスト教は、いわゆるプロテスタントのことであるが、儒教社会に迫害を受けたカトリックとは違い、封建的な社会であった朝鮮に近代的な先進文物や教育をもたらした宗教である。キリスト教は国を失った人々に、独立に対する熱望と組織的な体制を与え、近代韓国に本格的な民族的アイデンティティをもたらし、自覚することを可能にしたといえる。キリスト教教会は信者を中心に一般民衆が独立運動や民衆運動に積極的に参加する基盤を提供する役割を果たすと共に成長した。この韓国的キリスト教は、いわば純粋な聖書を土台にした信仰の基礎を作り上げることによって形成されたものではなく、愛国啓蒙運動や抗日民族運動の拠点を築く際に形成されたのである。それが日本帝国の植民地下での反日民族独立運動に参加し、韓国特有の民族イデオロギーを形成し、成長させることに結びつくことになる。その後、日本植民地からの解放されたキリスト教は、政治的・宗教的な苦難に対抗したことを様々な民族的な苦難を乗り越えてきた信仰的伝統にも結びつけるのである。そして、多くのキリスト教者は解放に伴って成立した新国家建設に参与し、教会の再建を図るために、儒教的な権威主義を背景にもつ西洋キリスト教者と結びつくようになったのである。<br /> 以上、三つの宗教を取り上げ、韓国的な民族主義宗教の形成と展開を近代韓国における、いわゆる政治と宗教の状況について論じてきた。封建的な儒教体制に挑戦するために民衆を結集させた力を持つ東学、親日的政治的な性格が付けられている韓国の近代仏教、日本帝国に立ち向かい愛国啓蒙運動や民族主義運動の立て役者となり、解放後は南北に分断された国土で共産主義に対抗し、大きく成長、定着したキリスト教に要約されよう。要するに、韓国的ナショナリズムの形成は、とりわけ宗教が同時に政治思想を帯びていたことを特徴とするのである。
著者
笹川 智子 金井 嘉宏 陳 峻斐 嶋田 洋徳 坂野 雄二
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.285-295, 2008-09-30 (Released:2019-04-06)

本研究の目的は、児童期の行動抑制(behavioralinhibition:BI)傾向を測定するRetrospectiveSelf-ReportofInhibition(RSRI;Reznicketal.,1992)の日本語版を作成し、標準化することであった。都市部近郊に住む546名の大学生と38名の社会不安障害患者を対象に、自己記入式の質問紙調査を実施した。探索的因子分析の結果、原版と同様の2因子構造(「対人場面における行動抑制」と「非対人場面における行動抑制」)が確認された。また、内的整合性(α=.84)や再テスト信頼性(r=.87)の値も十分に高いことが示された。不安障害やうつ病の既往歴をもつと回答した調査対象者では有意に高いRSRI得点が報告され、児童期の行動抑制の自己評定と親評定は、中程度の相関関係にあった。このことから、RSRI日本語版は十分な信頼性と妥当性を有することが明らかにされた。
著者
張 修志
出版者
弘前大学大学院地域社会研究科
雑誌
弘前大学大学院地域社会研究科年報 (ISSN:13498282)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.23-38, 2022-03-24

1990年代以降、中国政府は社区の建設を大いに推進しはじめた。「社区」とは、「一定の地域範囲に居住する人々が構成する社会生活共同体」であり、一般的に「居民委員会とその管轄区域」を指す。中国では改革開放に伴う国営企業の解体などによって、社会構造の末端が職場=単位制から社区制に転換しつつある。そこで本研究ではまず、「単位制から社区制へ」という現代中国の社会構造の変化を捉える概念化を、単位制に遡りながら明示する。そのうえで、単位制とは異なり社区制はまだ模索の段階にあり、特に政府が主導するかたちで「ガバナンス」のモデルが模索されている段階にあることを整理する。すなわち上海、瀋陽、江漢、塩田(深圳)、銅陵、南京などを素材として、(1)政府主導型、(2)社区自治型、(3)協力型に分類し、住民参加の焦点や行政機構改革の力点の相違を明らかにする。最後に、これまでの社区ガバナンスの模索で集合住宅管理の問題が残されていることを指摘したい。
著者
Manmohan JOSHI Surya Raj ACHARYA Krishna BHATTARAI
出版者
Eastern Asia Society for Transportation Studies
雑誌
Journal of the Eastern Asia Society for Transportation Studies (ISSN:18811124)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.484-500, 2022-03-11 (Released:2022-06-24)
参考文献数
38

Research involves collection of Revealed and Stated preference data and analyze intercity mode choice behavior using an econometric model. Discrete choice models, multinomial logit model and nested logit model, are used to analyze SP & RP data. Mode choice modeling studies provide reliable estimates on mode shift into a new mode and establish a strong basis for setting fare structure and service attributes. This study first explores the mode choice scenario after railway is introduced and then builds up evidence for railway, a mode, for intercity travel sustainability. It is found that the mode choice behavior of intercity travelers in Nepal is influenced by time, cost, distance, travel partner, cost bearer, age, income, car ownership, and family size. Moreover, the utility of travel mode is found more sensitive towards time than cost. Finally, it is concluded that demand and preference for railways is relatively higher than existing modes.
著者
吉住 浩平 永井 良治 金子 秀雄 吉野 絵美 梅田 泰光 大木 誠竜
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.36 Suppl. No.2 (第44回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.A3P1114, 2009 (Released:2009-04-25)

【目的】月経時において仙腸関節痛を訴える女性は多い.一般に仙腸関節の疼痛に関して、その不安定性が大きな影響を与えていると考えられている.今回、月経時と非月経時の仙腸関節の安定性について比較し、仙腸関節不安定性の有無についての検討をおこなった.【方法】対象は健常女性13名(平均年齢25.4±3.3歳).仙腸関節痛の評価として、仙腸関節痛の再現テストであるPosterior Pelvic Pain Provocation test(以下、PPPP)を実施し、疼痛発生の有無を聴取した.仙腸関節の安定性の評価として下肢伸展挙上運動(以下、 ASLR-t:Active Straight Leg Raise test)を用いた.ASLR-testにおいて主観的運動強度(6段階評価、0:非常に楽である~5:不可能)を聴取するとともに、20cm挙上位における股関節屈曲運動の随意的最大等尺性収縮トルク(以下、股関節屈曲トルク)を等速度運動器(Chattex社製KIN/COM500H)を用いて測定した.測定時期は月経時、非月経時で、股関節屈曲トルクの測定は4秒間の等尺性収縮時の最大トルクを計測した.左右とも4回行い、PPPPにて疼痛を認めるものに関しては疼痛側を、疼痛を認めないものに関しては任意の一側のASLR-tから得られたデータの最大値、最小値を除いた値の平均値を採用した.また、個人差を考慮して得られた股関節屈曲トルクを下肢長、体重で正規化(Nm/Kg)した.計測に先立ち、被験者に本研究の趣旨を口頭、書面にて説明し、研究参加への同意を得た.統計処理に関して主観的運動強度についてはWilcoxon符号付順位和検定を、股関節屈曲トルクについてはt検定を用いた.なお、有意水準は5%未満とした.【結果】主観的運動強度と股関節屈曲トルクに関して有意な差を認めた(p<0.05).ASLR-test時の主観的運動強度は非月経時に1.0点、月経時に2.1点であり、月経時において有意に主観的運動強度の増加を認めた.股関節屈曲トルクは非月経時1.12Nm/kg、月経時は0.92Nm/kgであり、月経時において有意に低値を示した.なお、月経時のPPPPに伴い仙腸関節痛が発生したのは13名中8名であった.【考察】仙腸関節の安定性の評価としてASLR-testは妥当性・信頼性共に高いテストである.今回得られた結果より、月経時に仙腸関節の不安定性が存在する可能性が示唆された.このため月経時の仙腸関節痛に関して、仙腸関節の不安定性という機械的因子も関与している可能性があると考えることができる.

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著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1939年04月19日, 1939-04-19
著者
内野 昌孝 内村 泰 駒形 和男
出版者
Japan Association of Food Preservation Scientists
雑誌
日本食品保蔵科学会誌 (ISSN:13441213)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.161-167, 1999-08-30 (Released:2011-05-20)
参考文献数
3

さまざまな種類の細菌を純水中で低温・常温両条件下で保存し, 保存前後の菌数を測定することで微生物の水中での生残性を確認した。乳酸菌や納豆菌を含む10属30種, 44株を用いて保存1年後に菌数を計測した。生残菌数については, ほとんどの菌株で102~104のオーダーで減少はみられるものの, 死滅せず生残が確認された。さらに, 微生物の種類により, 生残しやすい温度領域のあることが明らかとなった。以上のことから, 腐敗菌のみならず多くの菌株が食品保蔵中で不活性化した状態で存在できることが明らかとなった。食品中で各種の細菌が常在していることから保存の長期化が進む今日, 細菌の存在と殺菌等を考慮しなければならないと考える。
著者
ネスポロ マッシモ
出版者
日本結晶学会
雑誌
日本結晶学会誌 (ISSN:03694585)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2-3, pp.80-87, 2018-05-31 (Released:2018-06-02)
参考文献数
12
被引用文献数
1
著者
ネスポロ マッシモ
出版者
日本結晶学会
雑誌
日本結晶学会誌 (ISSN:03694585)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.82-94, 2019-05-31 (Released:2019-06-05)
参考文献数
10