著者
榊原 弘之 高木 将志
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.90-97, 2022-04-25 (Released:2022-04-25)
参考文献数
15

近年,特に地方部において,地域活性化における大学生の貢献が期待されている.一方,多くの地方大学が大学所在地域に関する学習プログラムを導入しつつある.本研究では,中国・四国・九州地方の大学生を対象としたウェブアンケート調査を実施し,地域に関する学習プログラムが学生のまちづくり参加意識に及ぼす影響を定量的に評価した.調査の結果,学所在地に関する学習経験を有する学生は,そのような経験のない学生と比較して,WS,インターンシップ,イベント運営への参加意欲がいずれも有意に高いことが示された.特に,他大学との交流が少ない学生や地方部の学生など,社会ネットワークの形成において相対的に不利な立場にあると考えられる学生ほど,学習プログラムが参加意識の向上に与える効果が高いことが示唆された.
著者
川中 紫音 鈴木 雅之
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.65-78, 2022-02-20 (Released:2022-03-15)
参考文献数
55

本研究では高校生を対象に調査を行い,有機的統合理論に基づいた学習動機づけと部活動動機づけの関連について検討した.その結果,学習における内的調整と部活動における内的調整など,同じ調整スタイル間には正の相関がみられた.そのため,学習に自律的に取り組んでいる生徒は,部活動にも自律的に取り組む傾向にあり,学習に被統制感を持っている生徒は,部活動でも被統制感を持っている傾向にあるといえる. また,学習と部活動それぞれにおける内的調整と同一化的調整は,基本的心理欲求充足と正の相関を示した.さらに,Big Five と基本的心理欲求充足を統制した場合には,調整スタイル間の関連は弱いものとなった.これらの結果から,部活動,あるいは学習に自律的に取り組むことによって学校生活における基本的心理欲求が満たされ,基本的心理欲求の充足が学習,あるいは部活動に対する自律的な取り組みを促すという可能性が示唆された.
著者
渡辺 一郎
出版者
The Society of Synthetic Organic Chemistry, Japan
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.169-176, 1988-02-01 (Released:2009-11-13)
参考文献数
20
被引用文献数
2 2

Acrylamide is industrially produced by catalytic hydration of acrylonitrile with reduced copper salts. However, the preparation and regeneration of the catalyst are laborious and the process requires a high temperature. It has therefore been considered very desirable to establish a process for producing acrylamide under moderate conditions, because compounds containing double bonds in the molecule are readily polymerizable.There is a growing interest in the synthesis of useful organic compounds by biological process for its specificity and moderate reaction condition. Therefore, we attempted to produce acrylamide from acrylonitrile using microbial enzyme and we found a bacterium having a high acrylamide producing enzyme (nitrile hydratase).This paper describes the details and merits of the development of microbial production of acrylamide.
著者
茂登山 清文
出版者
日本図学会
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.39, no.Supplement1, pp.129-132, 2005 (Released:2010-08-25)
参考文献数
7

ジェフ・ウォールの作品《戦死した兵士たちは語る (1986年冬, アフガニスタンのモコル付近における赤軍偵察隊の待ち伏せ攻撃のあとの幻影) 》は, 一見, 戦闘後の悲惨な光景を撮った写真のように見える.しかし実際には, 周到な準備とパートごとに分けての撮影, そしてその後のコンピュータによるディジタル処理をへて, 可能となった現代の歴史画である.スーザン・ソンタグは, その著『他者の苦痛へのまなざし』の最終章において, この作品をとりあげ, 写真というメディアが一過的で, 倫理的政治的には無力でしかないという.しかし, この作品をひとたび芸術として見るなら, そこにはまた異なった意味が見いだされる.鑑賞者が感情移入しようとしてはぐらかされるという, イメージとの共感の不可能性, コミュニケーションの不在は, イメージのなかの人物たち相互の関係性と呼応し, お互いを補強し, 強力なメタメッセージを発信しているのである.
著者
栗田 泰市郎
出版者
日本視覚学会
雑誌
VISION (ISSN:09171142)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.154-163, 2012 (Released:2018-11-29)
被引用文献数
1
著者
山本 敦子 橋本 健志 森本 優香 加藤 正樹 木下 利彦 四本 かやの
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.213-221, 2019-04-15 (Released:2019-04-15)
参考文献数
20
被引用文献数
1

本研究の目的は,地域で生活する統合失調症患者の社交不安症状に対する作業療法の効果を検討することである.ケースシリーズ研究で,3症例に対する6ヵ月間の作業療法介入前後の社交不安障害尺度得点,陽性・陰性症状評価尺度得点,日常生活場面での対人交流の状態を比較した.結果,6ヵ月間の作業療法介入によって,統合失調症患者の社交不安症状に改善がみられ,対象者全員に精神症状の改善も認められた.社交不安症状が中等度の患者は,重度の患者と比較し,より大きな改善がみられた.作業療法介入が,統合失調症患者の社交不安症状の改善に寄与できる可能性が示唆された.
著者
新山 大翔 沖 真帆 塚田 浩二
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2016論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.252-258, 2016-11-05

従来のジョイントは,金型を用いて工場で製作される高精度なワンオフの接合方法(例:嵌め合わせ)が市販製品では多く見られる一方,個人レベルでは,接着剤などを用いて,外観や構造を気にせずに「とりあえずくっつけばよい」という刹那的な固定方法が一般的であった.このため,個人の作るプロトタイプと市販製品では,その外観や強度等に大きな差が出ていた.一方,近年の低価格な3D プリンターの普及に伴い,個人レベルでも3D モデルを設計/出力してワンオフのジョイントを出力できる環境が整いつつある.しかしながら,3D プリンターの特性を考慮しつつ,実用的なジョイントを設計することは一般の利用者には難しい.そこで本研究では,3D プリンターの利用を前提として,様々な部品や日用品同士を固定/調整可能なジョイント機構を設計,及びジョイントの調整が可能なシステムの構築を行い,ファブ時代の構造設計の効率化を目指す.