著者
宮崎 圭子 篠崎 恵
出版者
跡見学園女子大学附属心理教育相談所
雑誌
跡見学園女子大学附属心理教育相談所紀要 (ISSN:21867291)
巻号頁・発行日
no.12, pp.29-38, 2016-03

本研究の目的は、現代の女子学生が結婚・育児を通して「働く」ということへのイメージとジェンダー・アイデンティティ、キャリア成熟度および結婚願望との関連を明らかにすることであった。関東圏内の女子学部生50名および大学院生(女子)13名を対象に調査を行った。2種類の刺激文を提示し、物語を作成してもらった。また、ジェンダー・アイデンティティ尺度15項目(佐々木・尾崎,2007)、成人キャリア成熟尺度27項目(坂柳,1999)および将来家庭を持ちたいと思うかの1項目(2件法)の質問に回答してもらった。作成された物語を3群(仕事と家庭の両立群、仕事を辞めて家庭を選択した群、葛藤群)に分類した。上記2つの尺度を従属変数、家庭を持ちたいかを独立変数とした2要因分散分析を行った。その結果、将来家庭をもちたいと回答した人の方が1%水準で「展望的性同一性」の得点が高く、5%水準で「自己一貫性同一性」の得点が高いという結果になった。また、判別分析も行った。その結果、展望的性同一性と自己一致的性同一性、人生キャリア自律性の得点が高い傾向にある学生ほど家庭をもちたいと思っている傾向にあり、他者一致的性同一性と人生キャリア計画性の得点が高い傾向にある学生ほど家庭をもちたくないと思っている傾向が見られた。
著者
山口 諭 鈴木 三義 口田 圭吾 瀬尾 哲也 古村 圭子 柏村 文郎
出版者
北海道畜産学会
雑誌
北海道畜産学会報 = Animal Science and Agriculture Hokkaido (ISSN:09193235)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.47-51, 2002-03

ばんえい競馬において,第2障害越えの成否は競走結果に大きな影響を及ぼす.本研究では,ばんえい競走馬が第2障害を登坂するときの運動の特徴を数値化し,それらの値と競走結果との関係を検討した.延べ37頭の競走馬について登坂運動時のフォームをデジタルビデオカメラで録画した.画像解析プログラムを用い馬体水平線と胴引との角度を求め(胴引き角度),その角度から馬の腰の上下運動を数値化した.競走結果(競走タイム,着順,登坂時間,登坂順位)に影響を及ぼす要因として,登板時の停止の有無,歩法(常歩 : 駈歩),および胴引き角度(18.3度以上 : 以下)と年齢(2歳 : 3歳以上)の交互作用について分析した.その結果,登坂時に停止しない馬の競走結果が良く,また2歳馬においては胴引き角度の大きい(腰の高い)馬が,一方3歳以上の馬においては胴引き角度の小さい(腰の低い)馬の競走結呆が良い傾向が示された.2歳馬と3歳以上の馬で異なる結果が示されたのは,ばんえい重量が登坂運動時のフォームに影響を及ぼし,さらにそれが競走結果にも影響するためではないかと推察した.
著者
靱 勝彦
雑誌
第83回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2021, no.1, pp.61-62, 2021-03-04

日本中央競馬会の2010年から2016年までの,各レースのレース番号、競馬場、重量条件、出走頭数、トラック条件を入力とし,そのレースが10.10倍以上の単勝オッズで決着するかどうかの分類を行った。分類機にはRandomForestを用いた2値分類のモデルの構築を行い,そのモデルによる荒れるレースの予測の有用性を確認した。
著者
寺田 麻佑
出版者
国際基督教大学
雑誌
社会科学ジャーナル = The Journal of Social Science (ISSN:04542134)
巻号頁・発行日
no.86, pp.89-109, 2019-03-31

本稿は、従わなければならないのは人である統治者の決める法なのか、古来、慣習として信じられ、存在が認められてきた、神々の法としての法なのかという問題について、アンチゴーヌをどのように読み解くのかという問題から、神の法・人の法について考察をおこなうものである。 アンチゴーヌは、神々の掟(法)に基づき、国王が定めた国(人)の法に抵抗した。これは、国という権力、国王という権力に対抗した、ということができるかもしれない。 アンチゴーヌはこう語る。「法がどこからくるか、知っている人はいない。法は永久に続くもの。」 古代や中世との比較において現代社会の法をみるとき、その特色は、個人の尊厳と個人の尊重を中核とし、基本的人権の制度的保障体系が憲法や法律のなかに確立され、整備されていることだということである。 しかし、法は、だれが、どのように作ることができるのかということに関する答えはない。法律の内容は(とくに間接民主制を採用する社会においては)議会の「公開の」審議を通して討議されて確定されるべきであるが、現実の法制定過程をみてみると、審議は行われず、あらかじめ定められた、もしくは予定された通りに国会を通過していくものも多い。 また、法が社会状況に追いつかない問題も常に生じる。法と社会のずれの問題は、どの社会においても起こるが、日本においてもそうである。このような法と社会のずれの問題は、何を「法」と考えるのかという問題とつながっている。 そこで、本稿は、アンチゴーヌを主題としてそこから現れる神の法・人の法の相違について検討を加えたうえで、現代社会の法と社会、人の法と神の法の問題をアンチゴーヌがどのように解釈しているのかということを通して考察を行う。
著者
吉海 直人 YOSHIKAI Naoto
出版者
京田辺
雑誌
同志社女子大學學術研究年報 = Doshisha Women's College of Liberal Arts annual reports of studies (ISSN:04180038)
巻号頁・発行日
vol.70, pp.146-139, 2020-01-08

冷泉家には古い百人秀歌の他に、もう一冊(四冊目の)百人秀歌が所蔵されていた。それは冷泉為村筆の写本であり、為村の跋文が付されている。その跋文には、百人秀歌こそは『明月記』の記事に書かれているものであり、百人一首は為家が後に改訂したものと説かれている。本書は書写年代こそ新しいが、従来の百人秀歌草稿本説を二百年ほど遡らせる貴重な証言資料と思われるので、ここに紹介かたがた内容の考察を行なってみた次第である。
著者
石黒 祥生
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.63, no.12, pp.696-698, 2022-11-15

今回ご紹介するAge of Entanglementという論文は,人間の創造的活動をクエン酸サイクルに準えてわかりやすく説明しています.研究の着想,応用,発展をどうすべきか,現状どういう状況に陥っているかを知る手がかりとなります.研究活動ではどういう問題をどのように解決するかは常に考えていますが,ふと気がつくと機能改善に終始し,「作りました」で満足し,問題解決に繋がらない時があります.そんな時に,この論文のKrebs Cycle of Creativityという考え方が役に立ちます.発展目覚ましい情報技術のSOTA論文を紹介すべきか迷いましたが,HCI研究者として,あえてこの論文を紹介します.
著者
池脇 信直 園田 徹 東 和弘 いけわき のぶなお そのだ とおる あずま かずひろ Nobunao IKEWAKI Tohru SONODA Kazuhiro AZUMA
雑誌
九州保健福祉大学研究紀要 = Journal of Kyushu University of Health and Welfare
巻号頁・発行日
no.20, pp.69-74, 2019-03-25

水素発生装置(スイソニア)から発生する水素ガス(濃度0.1%~ 0.3%)を含む蒸気混合ガスXENを鼻カニューラで吸入した。吸入後、A型およびB型インフルエンザウイルス由来のhemagglutinin(HA)抗原に対する唾液中IgA2抗体価を自主開発の酵素免疫測定法で解析した。その結果、XEN吸入15分後、A型インフルエンザウイルス株(A/California/7/2009/H1N1とA/Hong Kong/4801/2014/H3N2)由来のHA抗原に対する唾液中IgA2抗体価は、吸入前と比較して有意に増加した(P=0.028およびP=0.047)。さらに、XEN吸入15分後、A型とB型インフルエンザウイルス株(A/Singapore/GP1908/2015/H1N1、A/HongKong/4801/2014/H3N2、B/Texas/2/2013/Victoria system、B/Phuket/1307/2013 /Yamagata system)由来のHA抗原(ワクチンタイプ)に対する唾液中IgA2抗体価も吸入前と比較して有意に増加した(P=0.039)。以上の結果から、XENにはHA抗原に対する唾液中IgA2抗体価の増強作用があることがわかった。
著者
李 徳泳 吉田 章子 Duck-Young LEE Akiko YOSHIDA オーストラリア国立大学日本センター オーストラリア国立大学日本センター Japan Centre Faculty of Asian Studies Australian National University Graduate School of Asian Studies Japan Centre Australian National University
雑誌
世界の日本語教育. 日本語教育論集 = Japanese language education around the globe ; Japanese language education around the globe (ISSN:09172920)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.223-237, 2002-06-28

「けど」は日本語の会話においてもっとも頻繁に使われる表現の一つであるが、特に「んだ」と共起して「んだけど」の形で用いられる場合が多い(本研究のデータは「けど節」全体の 58% が「んだ + けど」)。これは、「んだ」と「けど」が組み合わされることによってそれぞれの機能や特性が結合し、会話で頻繁に用いられる何らかの効果を生み出しているのにその理由があると考えられるのである。本研究の目的は、会話における「けど」の役割や「んだ」 の特性を調べ、これらの結合のメカニズムを明らかにすることである。 分析の結果をまとめると、まず、発話に「けど節」が主節(本稿では「関連要素」)と一緒に現れた場合に、「けど節」は「前置き」または「補足」としての役割を果たすが、ここで「んだ + けど」の組み合わせは、聞き手の注意を喚起する働きを持つ。また主節は現れず「けど節」が単独で使われた場合には、「んだ + けど」は、一方では話し手の気持ちを一通り表し、他方ではそれがあまり強く直線的にならないように抑える二重的な働きを持つ。この二重的な働きにより話し手は自分の気持ち感情を過不足なく表すことができ、また聞き手の注意を喚起する働きにしても、主節における主メッセージを相手に理解してもらう上で重要である。このようにして「んだけど」の表現は、円滑なコミュニケーションを行なう上で重要なストラテジーとして好まれるのだと考えられる。
著者
保里 和樹 細部 博史
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2017-HCI-172, no.26, pp.1-7, 2017-02-27

パズルには多くの種類があり,昔から多くの人に楽しまれている.特に近年はスマートフォンやタブレット上でパズルを楽しむ人が増えている.しかし,既存のパズルは多様なルールがあるにもかかわらず,限られた形状をしていることが多い.パズルの形状を大きく変化させる研究として,杉山らは,既存のパズルは抽象化を経て他のメディアに変換できるとする,抽象化とメディア変換と呼ばれる体系的アプローチを提案した.本研究では,抽象化とメディア変換を杉山らの研究とは異なる種類のパズルに適用することで,より幅広い形状を可能とした新しいパズルを提案する.具体的には,多様なパズルが二次元の格子状であることに着目し,各マスをノード,となりあうマスの関係をエッジとみることで,格子状のパズルをネットワーク,すなわち,グラフとして一般化して表現する.格子状のパズルとして,本研究では特に加算パズルを扱う.さらに,グラフ可視化技術と複数の列の表現方法を用いて,提案するパズルの可視化を行う.グラフ可視化技術として,Kamada-Kawai 法を改良したものを用い,列の表現方法として,列ごとの色分けと,折曲点の生成の 2 つの方法を用いる.
著者
伊藤 迅 水野 慎士
雑誌
第84回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2022, no.1, pp.505-506, 2022-02-17

本研究では論理的思考力を学ぶための教材の提案とプロトタイプシステムの開発を行った.この教材では花火を作成することをモチーフとする.花火玉を並べて目的の形や色の花火を打ち上げることを考えることで,論理的な思考を養うことを目指す.