著者
高橋 健太 比良田真史 三村 昌弘 手塚 悟
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.49, no.9, pp.3016-3027, 2008-09-15
被引用文献数
1

銀行ATMや入退管理などへ生体認証技術の導入が進み,今後はインターネット決済などにおけるリモート認証への適用が期待される.しかし指紋や静脈などの生体情報は,プライバシ情報であると同時に一生涯変更できない情報であり,厳密な保護が要求される.本稿ではリモート生体認証における脅威を分析してセキュリティ要件を明確化するとともに,これを満たすリモート生体認証プロトコルを提案する.提案プロトコルは,キャンセラブルバイオメトリクスとゼロ知識証明を組み合わせることで,生体情報の漏洩やなりすましといった脅威に対抗する.提案プロトコルにより,ネットワークを介したセキュアな生体認証システムが実現可能となる.Due to the high security and convenience, biometric authentication is used for access control, ATM and many kinds of identity verification. However, biometric data such as fingerprint and vein pattern is permanent feature which cannot be changed like passwords, and so must be protected securely. In this paper we analyze the threats to remote biometric authentication systems such as impersonation and compromise of biometric data, and specify security requirements. Then we propose a novel protocol scheme based on “cancelable biometrics” and zero knowledge interactive proof. The proposed protocol satisfies all the specified requirements and enables secure online biometric authentication.
著者
中村 泰治 ナカムラ ヤスハル Yasuharu Nakamura
雑誌
浦和論叢
巻号頁・発行日
no.50, pp.85-98, 2014-02

金融システムの機能は景気循環の各局面に応じて変化する。典型的な景気循環において、好況期の上昇局面では、金融システムは資本蓄積を積極的に促進するが、不況期の下降局面では、むしろ資本蓄積をマイナスに促進する。独占段階になると、大恐慌のように長期の下降局面が現れることがあるが、こうした局面では金融システムの機能の逆転性はヨリ明確になる。しかしこの機能変化は金融システム自身に原因があるのではない。資本蓄積の変化が基礎にあり、金融システムはその変化を増幅する機能を果たしているに過ぎないのである。The financial system plays the different functions in each phase in a business cycle.In the typical business cycle, it promotes the accumulation of capital positively inthe rising phase, but it reduces the amount of capital in the declining phase. On thestage of monopolistic capitalism, the contrary function of the financial system appearsclearly in such a declining phase as the Great Depression. But the financial systemdoes not change the function independently. It only expands the change in thecondition of the accumulation of capital.
著者
石井 優 草なぎ 祐紀 大谷 俊博 仲庭 正義
出版者
The Japanese Society for Non-Destructive Inspection
雑誌
非破壊検査 (ISSN:03675866)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.179-183, 2015

In this study, we apply non-contacting nonlinear resonant ultrasound spectroscopy (NNRUS) to the evaluation of fatigue damage in pure copper. NNRUS is a combination of a contactless transducer, electromagnetic acoustic transducer (EMAT), and nonlinear resonant ultrasound spectroscopy (NRUS). The NRUS technique is exploits the significant nonlinear behavior of damaged materials. The resonant frequency of an object is studied as a function of its excitation level. As the excitation level increases, the elastic nonlinearity is manifested by a shift in the resonance frequency. The change in nonlinearity rapidly increases from 80% of fatigue life and is synchronized with the change in the attenuation coefficient with fatigue progression. This novel phenomenon is interpreted in terms of change in dislocation mobility and the dislocation rearrangement. TEM (Transmission Electron Microscope) observations supported this view. This technique has the potential to assess the level of damage and to predict the fatigue life of metals.
著者
中村 泰治 ナカムラ ヤスハル Yasuharu Nakamura
雑誌
浦和論叢
巻号頁・発行日
no.44, pp.15-29, 2011-01

商業銀行の基本業務は預金収集と手形割引であり、商業銀行といえども、基本的には他のタイプの銀行と同様に金融仲介機関である。しかし商業銀行は別の業務も行う。たとえば手形割引の拡大のために銀行券を発行するが、この信用創造は、商業銀行の基本業務というより、基本業務をベースにして行う商業銀行の特徴的業務といえる。また、商業銀行は銀行券による預金収集や手形交換を行うし、銀行間で短期金融業務も行う。これらの業務も基本業務をベースにして登場し、基本業務を増幅すると同時に信用創造を拡大する意義をもつものということができる。Collecting deposits and discounting bills are basic services of a commercial bank which is a financial intermediary just like other types of banks. But it makes more services. Issuing service of bank notes to expand discounting bills is what is called credit creation, which is not a basic service but a characteristic service of a commercial bank. It also makes depositing service of bank notes, clearing service of bills and financing service of short-term loans. These services are of significance to amplify basic ones and credit creation of a commercial bank.
著者
鈴木 与範 小磯 知之 阿部 洋丈 加藤 和彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.48, pp.9-14, 2005-05-25
参考文献数
16
被引用文献数
1

ネットワークやハードウェア,ソフトウェアなどの障害によって,ネットワーク上のサービスはしばしばサービス不能状態に陥ることがある.本研究の目的は,クライアントからの要求によってサーバの状態が更新されるような形態のインターネットサービスに対して,ハードウェア障害や通信障害などを自律的に乗り越えるシステムを設計することである.我々は自律的に環境変化を克服できるサービスをSustainable Serviceと呼んでいる.本稿では,仮想機械の技術とPeer-to-Peerネットワークを用いたSustainable Serviceの実現方式について述べ,さらにそれらを発展させた内容についても考察する.Network services sometimes fall into unavailable in some reason(network error, hardware error, software error, etc.). The objective of our research is to develop a system which can make survices on this system sustainable. Our system aims to cover not only static services but dynamic services. We describe a service as Sustainable Service when it can stand any error autonomically. In this paper, we introduce the method to realize Sustainable Service by using virtual machine technology and Peer-to-Peer networks. Moreover, we discuss advanced techniques for improving proposal system.
著者
"大亀 衛/加藤 泰治/槇原 義典" "オオカメ マモル/カトウ ヤスハル/マキハラ ヨシノリ" "Ohkame Mamoru/Katoh Yasuharu/Makihara Yosinori"
雑誌
岡山理科大学紀要. A, 自然科学
巻号頁・発行日
vol.26, pp.41-54, 1990

"かえでの種子は最初不規則な落下運動をするが, まもなくそれは自転運動と公転運動とにじり運動をあわせた規則性のある落下運動に変わる。この規則運動をしながら落下する種子の運動方程式がつくられ, 数値解析が行なわれた。規則運動を始めたところの高さや羽根の長さを種の長さで割った比が大きいほど種子の滞空時間は大きく, 羽根の長さの方向の傾きや種の厚さと密度の積や羽根の厚さと密度の積が大きいほどそれは小さくなっている。種子の自転の角速度の大きさがπ1/sあたりより大きいと, 種子の滞空時間はこれの影響を受けない。さまざまの滞空時間で落下するこれらの種子はいろいろな速さの風に運ばれて広く飛散する。これは自然淘汰にうちかってかえでが繁殖できた理由の一つであろう。""The equations of motion for a maple seed are made, and the flight duration of maple seeds is investigated by means of numerical calculation. The flight duration is generally different from each other. Therefore, the seeds are carried down extensively on the wind. This is one of the reasons why maples grow well in spite of natural selection."
著者
高野 忠 山田 隆弘 周東 晃四郎 金川 信康 田中 俊之
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙科学研究所報告. 特集 (ISSN:02859920)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.1-10, 1991-03

1990年1月24日に打ち上げられた「ひてん」OBC(搭載コンピュータ)を用いたフォールトトレランス実験の概要及び結果について報告する。本実験は, (1)人為的に発生させた誤りへのシステムの対応, (2)軌道上での稼働状況を見るものである。人為的に発生させた誤りに対してはシステムは設計仕様通り動作することを確認した。軌道上での稼働状況監視については, 誤り発生を記録する機能を打ち上げ後にOBCへのリモートローディングにより追加した。この機能により7月5日14 : 16(UT)から8月3日10 : 05(UT)の28.86日間に, RAMでSEUによって8回の1ビット誤りが観測された。このうち7月26日02 : 09 : 14(UT)にCell Cで発生したSEUは, 7月25日22 : 00∿7月26日01 : 51(UT)に発生した重要度2Nの太陽フレアの影響と見られ, 他のSEUは太陽フレアとの相関は認められず, 銀河宇宙線に由来するものと考えられる。
著者
KITCHELL J. A.
雑誌
Science
巻号頁・発行日
vol.243, pp.1614-1615, 1989
被引用文献数
1 5
著者
鈴木 裕美
出版者
日経BP社
雑誌
日経レストラン (ISSN:09147845)
巻号頁・発行日
no.354, pp.138-142, 2005-05

価はいずれも高い。東京の下町、上野にあっても、洋食店「さくらい」ではオムライスが1260円、ハンバーグは1470円、ビーフカツレツに至っては単品で2940円もする。しかも、店舗はビルの7階。銀座線上野広小路駅から徒歩1分の大通りに面しているものの、一見客がふらりと立ち寄れる立地ではない。 しかし、エレベーターが7階で開くと、そこには席が空くのを待つお客がずらりと並ぶ。
著者
古西 勇 佐藤 成登志 玉越 敬悟
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2015, 2016

【はじめに,目的】臨床実習を通して学生は成長する。それは,卒業後の生涯学習の基盤として重要であり,指導者の熱意や寛容さにより多大な支援を得て成し遂げられている。しかし,学生の視点から指導者と施設に対して感じたことを評価する信頼性のある尺度は少ない。本研究の目的は,臨床実習で指導者と施設に対して学生が感じたことを評価するための新たな尺度を開発し,信頼性を検討することである。【方法】対象は,理学療法士養成課程のある地方大学の総合臨床実習を終了した4年生の学生とした。10週間の実習後,翌週にGoogleドライブのフォームを用いて実習後アンケートへの回答を依頼した。「問1 実習中に指導者の先生に対して次のようなことを感じたことがどれくらいありましたか?」「問2 実習施設に対して次のようなことを感じたことがどれくらいありましたか?」の設問の下に,それぞれ9問の質問項目を設けた。回答は,順序尺度(『一度もなかった(1点)』~『常にあった(5点)』の5段階)であてはまるものを選択してもらった。得られたデータから因子分析を行い,抽出された因子ごとにアルファ係数を算出して信頼性を検討した。統計解析には,SPSS Statistics 17.0を用いた。【結果】回答者(n=81)のデータから初回の因子分析を行った。前後の因子間の固有値の差を検討し,因子数を4とした。第4因子までの累積寄与率は71.6%であった。続いての因子分析は主因子法でプロマックス回転により分析した。因子抽出後の共通性に著しく低い項目はなかった。第1因子(7項目)は「話しを聴いてくれる」「安心させてくれる」「楽しいと感じさせてくれる」など指導者の包容力を反映していると解釈できる。第2因子(6項目)は「リハビリテーション部門の体制が整っている」「職員の教育・研修の体制が整備されている」など組織や体制の魅力を反映していると解釈できる。第3因子(3項目)は「時間の使い方の指導を受けたことがあった」「日々の目標に関して助言を受けたことがあった」など指導者の教育的配慮を反映していると解釈できる。第4因子(2項目)は在宅ケアと退院後の療養環境の調整に関することが行なわれているという地域包括性を反映していると解釈できる。各因子の項目のCronbachのアルファは第1因子(包容力)で0.896,第2因子(組織や体制の魅力)で0.883,第3因子(教育的配慮)で0.764,第4因子(地域包括性)で0.889と,高い信頼性を示した。今回の対象者について,項目平均値で各因子の下位尺度得点を算出したところ,平均値の降順で第2因子(3.99±0.71),第1因子(3.98±0.78),第4因子(3.75±0.87),第3因子(3.25±0.88)であった。【結論】学生の視点から指導者と施設に対して感じたことを評価する尺度を開発し,高い信頼性が得られた。各因子の下位尺度得点の高い群と低い群で他の得点を比較して実用性を検討するなど,さらなる研究が必要と考える。
著者
鳥居 明雄
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.38, no.6, pp.30-40, 1989

流離と場所愛(トポフィリア)のトポスである河原院の造営と伝領に関して、源融と宇多院との間に交わされる葛藤は、王権イデオロギーをめぐる怪異譚として説話化されている。この王朝期の融伝説を中世期において受容し、あらだな展開相を拓いたのが世阿弥作の「融」であった。「融」は、河原院を媒介として美的規範を占有しようとする足利義満の要請を底流にして、義満に奉仕する世阿弥の猿楽芸能者としての立場を明らかにするものである。
著者
渡辺 三男
出版者
駒澤大学
雑誌
駒澤國文 (ISSN:04523652)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.1-11, 1984-02