著者
野口 尚孝
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.61-68, 1995-05-31
被引用文献数
3

本研究の目的は,直接的にはデザイン発想支援の枠組みを明らかにすることであるが,それを通じて把握された限りでの,設計行為およびデザイン行為の本質および発想の構造をも明らかにすることを目指す。第1報では,普遍的な意味での設計行為と設計行為における発想の構造について述べたが,第2報(本報)では,これに基づき,設計行為の一側面としてのデザイン行為とデザイン行為における発想の特徴について述べる。デザイン行為の本質は,人工物の使用の場における使用者の感性的要求を充たすという目的のため,その実現手段として人工物の感性的機能を持つ属性の形式を決定することであると規定する。また,デザイン行為における発想は,形態イメージ探索の過程で発生し,その本質上,目的手段連関の一時的逆行における抽象から具体への落差が大きいことを指摘する。最後にデザイン行為およびデザイン発想における,これらの特徴に見合った発想支援の基本的な考え方を提起する。
著者
東京経済大学コミュニケーション学部社会調査グループ
出版者
東京経済大学コミュニケーション学会
雑誌
コミュニケーション科学 (ISSN:1340587X)
巻号頁・発行日
no.40, pp.71-125, 2014

2013 年度東京経済大学コミュニケーション学部社会調査グループ:阿部奈々子,井手魁利,宇田川和弥,奥みゆ希,奥山葉月,小俣享子,金子智洋,木野知美,佐藤由花,杉野裕子,鈴木麻子,仙崎大河,中野瑛絵,西田良輔,西村一希,野崎壮太,原島彰憲,蛭田希和,正村千華,村上理沙,召田春花,山岡新,山田直弘,渡邊美咲(*:下線は報告書執筆班)(指導教員)山田晴通
著者
中村 薫
出版者
日本水産學會
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.215-219, 1989
被引用文献数
2

Microvilli of diverticular cells in the midgut gland of the prawn <i>Penaeus japonicus</i> were observed under a scanning electron microscope. Three different types of the microvilli were distinguished by their pattern based on the arrangement, density and behaviour. The microvilli distribution of two types was discernible cellularly from another type, and both of them showed a destruction phase caused by the explosion of each cell body probably due to ageing. The area of another microvilli spread without cellular partition, exhibiting only irregular grooves among the cloud of microvilli. Each of these types of microvilli seemed to belong to respective cells named as the light, dark and vacuolated which constitute the epithelial layer of diverticula. Furthermore, it was suggested that the vacuolated cell derived from the light cell in this prawn.
著者
淡路 雅彦
出版者
水産庁養殖研究所
雑誌
養殖研究所研究報告 (ISSN:03895858)
巻号頁・発行日
no.15, pp.p19-27, 1989

クルマエビ中腸腺初代培養に混入し,継代培養されてきた鞭毛菌類をクローニングした。得られた1クローンの遊走子は体側面にほぼ等長の2本の鞭毛を有し,その1本は羽型であった。この形質から,分離されたクローンは卵菌綱に属することが示された。遊走子は培養液中で遊泳した後,鞭毛を失い直径約3μmの球状の栄養体となり,次第に径を増し直径15から20μmの多核体となった。多核体の細胞質内には管状クリステを有するミトコンドリア,ゴルジ体,2種の顆粒や粗面小胞体が観察された。また多核体が運動性の小さい小栄養体に分裂することが顕微鏡映画および電子顕微鏡像で確認された。これらの性状から本菌はthraustochytridsに属する菌と考えられた。本菌の初代培養への混入経路について考察した。
著者
吉田 綾子 今井田 雅示
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.288-293_1, 1980
被引用文献数
5

エビを亜硫酸塩類溶液に浸漬し漂白を行うと, ホルムアルデヒド (FA) が生成することを確認し, 漂白条件と生成量の関係, エビ中に含まれるトリメチルアミンオキシド (TMO) とFA生成の関連性などについて検討した. FA生成量は亜硫酸濃度と共に増加し, 1.5%以上で一定となった. 1.5%溶液での処理を繰り返すと, さらにFAが生成した. エビを透析した外液をTLCにより分画し, TMOが存在する画分からのみ, FAが生成することを確認した. 透析液に亜硫酸水を加えるとFAが生成し, FA生成とTMOの減少との間には量的な相関関係が見られた. このことから, TMOがFA生成の要因であると考えられた.
著者
要海 敏和
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.51, no.6, pp.700-710, 2010-06-15
出版者
日経BP社
雑誌
日経エレクトロニクス (ISSN:03851680)
巻号頁・発行日
no.1011, pp.69-74, 2009-08-24

「本格的なモバイル・ブロードバンド時代の幕が開いた」(UQコミュニケーションズ 代表取締役社長の田中孝司氏)。 2009年は,実効10Mビット/秒級の移動体通信サービスが続々と登場する年となった。
著者
阿部 皓一 石橋 恭子 大前 雅彦 河部 靖 勝井 五一郎
出版者
日本ビタミン学会
雑誌
ビタミン (ISSN:0006386X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.111-117, 1977-03-25
被引用文献数
2

A Method for the determination of ubiquinone homologues (UQ) in serum and liver is described. Serum or liver homogenate was saponified with methanolic alkaline solution after addition of 2,3,6-trimethyl-5-nonaprenyl-1,4-benzoquinone (TQ-9) as an internal standard and then extracted with n-hexane. The n-hexane extract was evaporated under N_2 gas at 30℃, and the residue was dissolved in dioxane. The sample solution was applied to the high-speed liquid chromatography (HSLC) using a Permaphase ODS column and ethanol・water (80 : 20) as a mobile phase. The peaks of UQ and TQ-9 were not disturbed by other fat-soluble substances when an on-line high-sensitive multiple wavelength detector set at 275 nm (absorption maximum of UQ) was used as a detector. The proposed HSLC method was found to be more simple and specific than the other conventional determination methods.
著者
北川 尚史
出版者
日本植物分類学会
雑誌
植物分類・地理 (ISSN:00016799)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.1-7, 1984-05-29

1982年7月から8月にかけて6週間、服部植物研究所の岩月善之助助博士と私はニューカレドニアとフィジーで野外調査を行った。文部省の科学研究費補助金によって服部植物研究所が計画・実施した海外学術調査である。調査隊のメンバーは私たちの二人だけで、対象をコケだけに限定した密度の高い念り多い調査であった。フィジーは次回のための予備調査で滞在期間も短かったが、ニューカレドニアでは存分に調査を行い、予想以上の成果を収めることができた。現地の研究機関(ORSTOM)と植物学者の全面的な協力のもとに、私たちが全島を駆けめぐり、キャンプを重ね、寸暇を惜しんで採集したコケの標本は4000点以上に達した。ニューカレドニアは西南太平洋の珊瑚海に浮かぶ、日本の四国とほぼ同じ面積を持つ海洋島である。脊梁には標高1000m前後の山脈が幾筋も縦走し、パニエ山(標高1628m)、フンボルト山(同1618m)など幾多の高峰が重畳として連なっている。低地は乾燥しているが、標高1000m以上の山岳地帯は比較的湿潤で、シダやコケが豊富である。古い地質時代に大陸から遠く分離し、隔離された環境下で、この島の植物はきわめて特異な分化を遂げた。植物相の特異性は特に種子植物に著しく、156科、680属、2750種の自生の種子植物のうち、属の16%、種の80%が固有である。ニューカレドニアのコケ相についても、HERZOGは「非常に美しく独自性の強いコケがこれほど集中していることはほとんど信じがたいほどであり、面積の狭さを考慮すれば、断然、地球上の多のいかなる地域をも凌駕する」と指摘している。私はニューカレドニアの苔類とツノゴケ類に関する文献を渉猟してこれまでに同島から記録されてきた種を網羅した。そして、その中から裸名を除き、異名を整理し、妥当な属への組合せを採用してチェックリストを作成した。その結果、従来ニューカレドニアから32科、94属、449種の苔類とツノゴケ類が報告されていることが判明した。そのうち、217種が固有で、種レベルの固有率は非常に高い(48.3%)が、固有の属はPerssoniella HERZ.の1属だけである。私たちのコレクションの約半分は苔類であるが、その中には若干の新種を初め、ニューカレドニアに未記録の種がかなりある。本論文ではそのうちの一つ新属新種Acroscyphus iwatsukiiを記載した。そして、この属をヤクシマゴケ科Balantiopsidaceaeに入れたが、この所属は未だ決定的ではない。この科の最も重要な特徴からは朔がらせん状にねじれた弁をもつことである-この重要な特徴を共有するという主たる理由で、GROLLEやSCHUSTERはかつてのヤクシマゴケ科Isotachidaceaeをバランティオプシス科Balantiopsidaceaeに含めた(したがって、その広い意味のBalantiopsidaceaeに対してはヤクシマゴケ科の和名が適用される)。Acroscyphus iwatsukiiの2点の標本が私たちのコレクション中に見出されたが。そのうちの1点(基準標本)には雌雄の植物体が揃っており、少数の胞子体も見出されたが、その胞子体は残念ながら若すぎるため、上記の科の特徴を確認することができない(他の1点はステリルであった)。しかし、配偶体のいくつかの重要な形質において、この新属はBalantiopsis MITT.およびNeesioscyphus GRO.に共通しているので、両属が所属する広義のヤクシマゴケ科の一員と見なした。この新属新種の産地、スルス山はニューカレドニアの西南部に位置する標高1000m余りの蛇紋岩地域の山岳で、Perssoniella vitreocincta HERZ., Acromastigum homodictyon (HERZ.) GRO., Nardia huerlimammii VANA &GRO., Haplomitrium monoicum ENGELなど、きわめて顕著な種のタイプ産地となっている-上記のうち、3番目の種は明らかにNardiaではなく、タスマニア産の単型属Brevianthus ENGEL & SCHUST.に類縁をもつと思われる新属の可能性がある(ステリルの材料に基づいて記載せれた種であり、私たちのコレクション中に雄の植物体が見つかったが、雌は見出されない)。
著者
西本 匡克
出版者
関西学院大学
雑誌
人文論究 (ISSN:02866773)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.66-75, 1976-06
著者
渡辺 章充 南風原 明子 黒澤 信行 渡部 誠一
出版者
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.591-594, 2011-01-30

ロタウイルス感染に伴う急性脳症を2例経験した。<br>〔症例1〕2歳11か月の女児で全身強直間代性けいれんで発症した。人工呼吸管理まで要したが,後遺症なく回復した。<br>〔症例2〕2歳2か月の女児で不機嫌状態が遷延し,脳波の徐波化,頭部MRIで小脳に異常信号を認めた。運動機能は回復したが,高次脳機能と軽度の小脳症状が残った。<br> ロタウイルスによる脳症には,けいれん発作主体のものだけでなく,小脳に主病変を示すタイプがある。前者は診断・治療とも他のウイルス性急性脳症に準ずることで大きな問題はないが,後者は早期診断に苦慮することもあり,また,有効な治療法も確立されていない。
著者
MARINKOVIC Slobodan STOSIC-OPINCAL Tatjana STRBAC Mile TOMIC Irina TOMIC Oliver DJORDJEVIC Drago
出版者
Tohoku University Medical Press
雑誌
Tohoku journal of experimental medicine (ISSN:00408727)
巻号頁・発行日
vol.222, no.4, pp.297-302, 2010-12-01
被引用文献数
2

Radiology has attracted the world of art with the esthetic value of its images, and as a new medium for the artistic expression. In order to investigate the links between neuroradiology and art, we examined 12,763 artworks presented in corresponding publications and in Google images on the Internet. The selected artworks were created by 1,964 authors. To give our own contribution to this field, we produced several artful radiological images using the X-ray of 4 cerebral hemispheres, one dissected brain, serial sections of one head and brain, the vascular casts of 2 brains, the magnetic resonance imaging (MRI) scans of one volunteer, and various options in Photoshop. Among the examined artworks, neuroradiological images were used in 129 artworks (1.01%) that were created by 31 artists (1.58%). The artists applied different radiological techniques: X-ray, angiography, computed tomography (CT), multislice CT, MRI, functional MRI, positron emission tomography (PET) or single-photon emission computed tomography (SPECT), either alone or in various combinations. They used the original images, i.e. radiographs or scans, or their electronic modifications in Photoshop or three-dimensional (3D) software. Some artworks presented the skull, yet others the brain, and still others both, either with or without a head image. The neuroradiological artworks were created as paintings, photographs, digital works and sculptures. Their authors were professional artists, designers, amateurs and radiologists. In conclusion, thanks to the esthetics of some radiological images and the valuable creations of certain artists, neuroradiology has become an important field of contemporary art.