著者
劉 亜氷
出版者
目白大学
雑誌
目白大学経営学研究 = Mejiro Journal of Managemant (ISSN:13485776)
巻号頁・発行日
no.20, pp.1-15, 2022-03-31

本稿は新型コロナウイルス感染症の感染拡大を契機に増加したインターネット通販の非対面受取方法に焦点を当て,コンジョイント分析を用いて,消費者が非対面受取方法を利用する時に重視する属性を探った。コンジョイント分析の結果から,非対面受取方法の利用において,消費者が安心安全に荷物を受け取ることを意味する「確実性」を最も重視し,「確実性」,「コスト」,「移動」の順で優先度がつけられていることがわかった。クラスタ分析の結果から,確実性をきわめて重視するグループ,費用の節減を重視するグループ,確実性を重視しながらも費用の節減や移動を嫌がるグループという3つの利用者層の存在が明らかになった。以上のことから,「確実性」への懸念を軽減しない限り,非対面受取の普及はそれほど期待できないといえよう。また,受け取りにともなう費用の発生を嫌がる人が多数存在することから,確実性向上の措置を取る際に,消費者の負担を軽減する対策も必要であると考える。
著者
小松 佳代子 橋本 大輔
出版者
長岡造形大学
雑誌
長岡造形大学研究紀要 = Nagaoka Institute of Design Bulletin (ISSN:13499033)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.6-13, 2019-03-01

The philosophical movement of the Speculative Realism together with New Materialism has deeply influenced on art in this decade. These theories criticized the correlationism and tried to consider the possibility of the world without human-beings. This article summarized this philosophical trend in relation to art, and examined the theoretical range of it. In response to these theories we tried to rethink the possibility of the inquiry in art.
著者
渡辺 和子
出版者
秋山書店
雑誌
現代宗教
巻号頁・発行日
pp.29-48, 2012-07
著者
川上 輝昭
出版者
名古屋女子大学
雑誌
名古屋女子大学紀要. 家政・自然編, 人文・社会編 = Journal of Nagoya women's University (ISSN:21857962)
巻号頁・発行日
no.67, pp.45-57, 2021-03-10

本稿の課題は、障害者を対象とした生活介護支援施設(以下、支援施設)の現状と課題について若干の考察を試みることである。障害があるために一般就労が困難な人たちを対象に、生活介護支援施設が設けられている。支援の内容は食事、排せつ、軽作業等を主とした日中活動である。この施設を利用者している人たちは、それぞれ障害の種類も程度も異なっている。したがって生活を支えている支援員には障害に対する広い知識と高い専門性が求められている。しかし、慢性的な人手不足に加えて、日々、多忙で研修の時間さえ確保しにくいという現実もある。生活介護支援施設は、今後も多様な人たちの利用が想定されているだけに、個の思いに寄り添った支援のあり方やその内容が問われている。
著者
大橋 盛徳 藤村 滋 土屋 志高 中平 篤
雑誌
研究報告コンピュータセキュリティ(CSEC) (ISSN:21888655)
巻号頁・発行日
vol.2021-CSEC-94, no.24, pp.1-6, 2021-07-12

個人を当事者とした取引において各個人の志向がその実効性に大きくかかわると考えられることから,個人を当事者としたデータ取引の信頼性を高めるために個々人の特性を考慮し,活用することに着眼した.個人特性を行動ログから推定し,人に合わせた適切な条件設定や提示方法を確立することで,個人を当事者として含むデータ取引の信頼性向上へ繋げられると期待する.今回,個人特性の中でも,取引に不可欠なルール遵守に大きく関係する「一貫性」に着目した.日本語版の一貫性選好尺度を作成し,一貫性の選好度合いとルール遵守に関する態度や日常行動の関係を調査した.Web 質問紙調査の結果,一貫性選好度の弱いユーザは,ルールを行動選択の中心的基準としていると推測される一方で,一貫性選好度の強いユーザは,ルールのほかに,自分の周囲環境への変化の低減も行動判断基準として持つ可能性が得られた.また,一貫性の選好度合いは,商品の購買傾向や日常生活内のルーティンとして表出する可能性が示唆された.
著者
矢島 壮平
出版者
中央大学国際情報学部
雑誌
国際情報学研究 (ISSN:2435855X)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.119-134, 2022-03-25

This is a Japanese translation of nineteenth-century British philosopher Henry Sidgwick's article"The Theory of Evolution in Its Application to Practice,"published in the first issue of journal Mind in 1876.This translation could be of significance to Japanese readers at least in two points :(1)since Sidgwick is relatively unknown in Japan despite his importance in the history of Western philosophy,this translation may contribute to enhance his recognition in Japan ; (2)precisely understanding and overcoming his negative views on normative evolutionary ethics may serve to further develop the study of evolutionary ethics in twenty-first-century Japan.
著者
長井 真弓 桂 理江子 鈴木 誠
出版者
東北文化学園大学医療福祉学部リハビリテーション学科
雑誌
東北文化学園大学医療福祉学部リハビリテーション学科紀要 : リハビリテーション科学 = Rehabilitation science : memoirs of the Tohoku Bunka Gakuen University Faculty of Medical Science & Welfare, Department of Rehabilitation (ISSN:13497197)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.27-31, 2022-03-31

2013年度より我々は,主に重複障害を有する児童生徒が通う支援学校にて,外部支援専門員として継続的な活動を行ってきた.しかし,重複障害の児童生徒に関わる教員が,理学療法士に対してどのような支援を求めているかは検討されていない.そこで,支援学校教員を対象に理学療法士に対する支援ニーズの把握を目的にアンケート調査を実施したので報告する.アンケート結果から,支援学校の教員は,下肢の身体機能面に関する助言が有用と感じていた.また研修会など情報共有の場の確保,理学療法士の積極的な活用を望んでいた.今後の活動では,児童生徒の教育に活かせるように支援するためにも,理学療法士からの一方的な支援ではなく,相互理解が進む方法を検討する必要があると考えられた.
著者
長井 真弓 釼明 佳代子 桂 理江子 小野部 純 小林 武
出版者
東北文化学園大学医療福祉学部リハビリテーション学科
雑誌
東北文化学園大学医療福祉学部リハビリテーション学科紀要 : リハビリテーション科学 = Rehabilitation science : memoirs of the Tohoku Bunka Gakuen University Faculty of Medical Science & Welfare, Department of Rehabilitation (ISSN:13497197)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.33-39, 2022-03-31

2020年度の一般企業による新規卒業者採用は,COVID-19感染拡大の影響を受け,採用時期が例年よりも遅かった.しかし,理学療法学生の就職活動状況に変化があったのかは不明である.そこで,学生の就職活動状況と養成校に届いた求人件数を2019年度と比較した.2019年度と2020年度に東北文化学園大学理学療法学専攻に4年次生として在籍し,アンケートに回答した95名のデータを分析した.2019年度,2020年度ともに95%以上の学生が医療機関から内定を得ていた.2020年度の内定月の最頻値は2019年度よりも1ヶ月遅く,第一希望施設から内定を得た学生割合も2020 年度の方が少なかった.求人件数についても2020年度は,2019年度よりも約80件少なかった.内定時期が1ヶ月遅かったことと第一希望施設から内定を得られなかった学生が多かったことは,緊急事態宣言などの影響により早期に募集定員が満たされたことも原因と推察され,2020年度の就職活動状況は少なからずCOVID-19による影響を受けたと考えられる.
著者
竹内 幸絵 Yukie Takeuchi
出版者
同志社大学社会学会
雑誌
評論・社会科学 = Hyoron Shakaikagaku (Social Science Review) (ISSN:02862840)
巻号頁・発行日
no.140, pp.55-78, 2022-03-31

本稿の目的は,黎明期の「フィルムによる広告」の実態を明らかにし,それへの当時の社会認識とその後の広告への接合について考証することにある。最初の広告の「上映」は明治24(1891)年の「廣告幻燈会」だった。その後明治42(1909)年に特設会場での無料イベントにおいて初めて「動く広告」が上映された。この際の広告は戦後のPR広告と近い性質を持っていた。観客に広告を広告として視聴する態度がまだ十分に育っていなかったため,上質な演目に広告を埋め込む「広告映画番組」であることが求められたからである。一方映画館においては昭和初期に,番組内で商品を扱う「タイアップ広告」映画が上映されたが長くは続かなかった。業界関係者の「動く広告」への期待は大きく活発に議論がされ,昭和初期には実験的な短編広告動画も制作された。特設会場での「広告映画番組」の上映は昭和初期まで長期間継続した。これは昭和14(1939)年に施行された映画法が定めた「文化映画」という新たな属性に「広告映画番組」がニュース映画などと一体的に包摂されていく土壌となった。
著者
伊藤 高史 Takashi Ito
出版者
同志社大学社会学会
雑誌
評論・社会科学 = Hyoron Shakaikagaku (Social Science Review) (ISSN:02862840)
巻号頁・発行日
no.140, pp.1-21, 2022-03-31

本稿では,メディア論としての社会システム論という観点から,スター歌手として大衆的認知を獲得した森高千里が,「人形」や「アンドロイド」などといった非人間的な存在感を示す言葉で表現されたことの社会的意味を考察する。このことを通じて,大衆文化が持つ創造性とそれを生み出すメカニズムを明らかにすることが本稿の目的である。森高はメディアを通じて表象された「複製」こそが消費システムにとっては「オリジナル」として体験され,実際の森高は「複製の再認」であるという倒錯した状況を観察し,そのことを表現するパフォーマンスを行った。「人形」や「アンドロイド」といった表現が示唆するのはメディア的表象の中にあっても森高は独特の質感を持った存在として,「メディア的身体性」と呼び得るものを獲得していたことである。消費システムは文化産業システムと創作システムの作動の中に,消費システムがいかにして観察されているのかを観察し,そのことによって森高のパフォーマンスに「リアルなもの」としての意味を見出した。森高がメディア的身体性を獲得したことの分析を通じて,大衆文化における創造性は,様々な社会システムが複合的,重層的に連鎖し,相互に観察し合うことを通じて生み出されていることが明らかになる。