著者
中村 大輝 田村 智哉 小林 誠 永田 さくら 大森 一磨 大野 俊一 堀田 晃毅 松浦 拓也
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
科学教育研究 (ISSN:03864553)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.215-233, 2020 (Released:2021-02-05)
参考文献数
65

This study aims to determine the expected effect size of intervention studies in science lessons through meta-analysis. Intervention studies were collected from education-center websites in every Japanese prefecture to calculate the average effect size and examine the moderation effect. The results of the quantitative analysis showed that the mean effect size of multi-valued items was g=0.594 [0.557, 0.630] (k=626, N=9122). The moderator analysis revealed relatively low effect sizes for learning in the geology domain, and differences in effect size for various types of academic indicators. In addition, we provided basic statistics to help determine the sample size needed for future studies.
著者
大野 俊尚 三嶋 博之
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.358-364, 2023-09-01 (Released:2023-09-15)
参考文献数
10

How do people judge the “kakkoyosa” (coolness) of a performance? In this study, we define “coolness” as “conformity to norms” and examine the factors that determine “coolness,” excluding “skillfulness,” toward freestyle basketball (FB) performers. Six males who had served as judges in FB battles were presented with ten experimental stimulus movies in which the performers were modeled in 3D and asked to rate their impressions. After the experiment was completed, they were asked to explain their ratings. The ratings were not consistent among the experimental participants. It is thought that the experimental participants evaluated the stimulus movies by looking for “specific FB mental images” that could be the “norm” for the stimulus movies and comparing them to the stimulus movies as the “FB norms.” However, we believe that the participants’ evaluations differed because of the different “FB norms” applied by the experimental participants. A qualitative examination of the interviews revealed that participants noticed differences in performer movements in the stimulus movies with regard to “waiting” and “entering.” Particularly, they tended to judge “coolness” in terms of the “waiting” situation, when the performers await their performing turn. It is thought that the “FB norms,” which are easily associated with “skillfulness,” were not used to judge “coolness” in the “waiting” situation. We believe that instead of the “FB norm,” the “performance norm,” referring to whether the performer behaved as a performer being watched by the audience while awaiting his/her turn to perform, was used to evaluate “coolness.”
著者
大野 俊和 長谷川 由希子
出版者
The Japanese Group Dynamics Association
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.87-94, 2001-07-15 (Released:2010-06-04)
参考文献数
12
被引用文献数
2 3

本研究では, いじめの被害者に対する外見的ステレオタイプについて検討した。調査対象者に, 彼らとはまったく面識のない, 中学校の卒業アルバムから得た2クラス分の生徒写真 (49枚) を刺激として提示し, いじめの被害者を判断させた場合, 彼らの判断がどの程度一致するかを検討した。その結果, 多くの写真において調査対象者間の判断が一致することはなかったが, 数枚の写真において判断は強く一致していた。ある写真では, 約70%の調査対象者による判断の一致が示された。また, 別調査の結果, 強い一致が見られた写真の外見的特徴として, 一般的な弱さが示された。そして, クラスに在籍していた級友に対して実際のいじめの被害者が誰であったかを調査した結果, 面識のない調査対象者が, いじめの被害者として想定した人物の多くは, 実際のいじめの被害者ではないが, 調査対象者の7割がいじめの被害者として想定する1名の人物は, 級友から実際にいじめの被害者であったとの報告を最も多く得ていた。
著者
大野 俊和
出版者
The Japanese Group Dynamics Association
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.230-239, 1996-12-10 (Released:2010-06-04)
参考文献数
31
被引用文献数
1 1

「いじめの被害者にも問題がある」とする見解は, 一般的によく聞かれる見解である。本研究の目的は, 攻撃が「いじめ」として定義される特徴的な形によって, この見解が生じてしまう可能性について検討することにある。本実験では, 以下の2つの仮説が検討された。(1) ある攻撃が, 単独の加害者により行われる場合に比べ, 集団により行われた場合の方が, 被害者は否定的に評価される。(2) ある攻撃が, 一時的に行われる場合に比べ, 継続的に行われた場合の方が, 被害者は否定的に評価される。本実験の結果により, 仮説1は支持されたが, 仮説2は支持されなかった。また予備実験の結果から, 否定的評価と関連する個人差要因として「自己統制能力への自信」と「社会一般に対する不信感」と解釈される2つの信念・態度の存在が指摘された。
著者
大野 俊 Ohno Shun
出版者
九州大学アジア総合政策センター
雑誌
九州大学アジア総合政策センター紀要 (ISSN:18814220)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.139-150, 2009-03

In multiethnic American society, intercultural and interethnic care for the elderly has been practiced for a longtime. The author investigated several care facilities for Japanese American (Nikkei) elderly in major cities of California, and found various efforts to overcome cultural and linguistic differences between the carer (Filipino and other ethnic minorities) and the cared (Nikkei). In general, direct-care workers do not have high capacity to take different ethnicities of the cared into consideration partly due to the U.S.'s low-wage policy for these workers and its insufficient public care security system. Under such circumstances, care facility managers tend to place great importance on care workers' feeling and past experiences more than their ability of a mother language of the cared. This empirical consideration win be relevant for Japan that just began to accept Indonesian and Filipino care workers into its labor market.多民族社会アメリカの高齢者介護施設では、異文化・異民族間のケアが早くから実践されている。筆者はカリフォルニア州の主要都市で、最も高齢化したエスニック・マイノリティである日系人向けの施設を視察・調査した。そこでは、フィリピン人移民、ヒスパニックなどのマイノリティが日本人移民や日系人を世話し、文化や言語の違いを克服しようとするケアの試みが見られた。公的介護保障制度が整わないアメリカで、介護職は専門職補佐の低賃金労働になり、一般的にエスニシティなどの違いに十分配慮する余裕はない。そうした環境下での施設ケアは、移民の出自国の言語よりも感性や過去のケア経験などが重視される傾向が見られた。こうした経験則は、インドネシアやフィリピンから介護・看護労働者の受け入れを始めた日本にも示唆を与える。
著者
飯島 真里子 大野 俊
出版者
九州大学アジア総合政策センター
雑誌
九州大学アジア総合政策センター紀要 (ISSN:18814220)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.35-54, 2010-03

One of the conspicuous new-comer ethnic groups of Japan in recent years is Nikkeijin (Nikkei or descendants of Japanese ancestry) from Brazil, Peru, the Philippines, Indonesia and others. It is estimated that more or less than 400,000 Nikkeijin and their family members are currently residing in Japan. The authors have focused on 'returned' Philippine Nikkeijin (descendants of pre-Pacific War Japanese immigrants to the Philippines), whose population has been rapidly increasing for the last decade. They examined their lives, citizenships and identities based on the analysis of the nationwide questionnaire survey conducted in Japan during the period from December 2008 to March 2009. The results suggest that the number of permanent visa and dual citizenship holders has been increasing. They also found that the number of Yonsei (the fourth generation) workers has increased in parallel with activating of the generation 'upgrading' movement among the Philippine Nikkeijin community. Over 30 % of the respondents answered that their "homeland" is both of Philippines and Japan, and they seemed to have dual identity.日本には現在、40万人前後の外国籍の日系人とその家族が暮らしているが、この中には近隣アジア諸国から「帰還」した日系人もいる。その中でも近年、急増したフィリピン日系人(戦前期フィリピンへの日本人移民の子孫) について、筆者たちは2008年12月から2009年3月にかけて、彼らの生活・市民権・アイデンティティなどを探る質問票配布による全国実態調査を実施した。その結果、日本での滞在長期化・定住化が進み、永住権や日比の二重国籍の保有者が増加傾向にあることが示唆された。世界の日系人社会の中でも特異な「世代格上げ」が広がり、合法的に就労する4世が増えている実情も判明した。さらに、フィリピンと日本の両方を「祖国」と認識する回答者が3割を超えるなど、ダブル・アイデンティティの持ち主が少なくないこともわかった。
著者
大野 俊
出版者
清泉女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

日本のメディア界では近年、中国、韓国などは「反日」、フィリピン、インドネシアなどの東南アジア諸国は「親日」といった二分論的な対日観を示す記事や出版物の刊行が目立つ。ステレオタイプ化した対日認識の実情をよく吟味するため、中国、韓国、フィリピン、インドネシア、東ティモールで関係者多数への面談調査、大学生らとのグループ・ディスカション、配布票調査などを実施した。関係国の研究者を招いて国際シンポジウムも開催した。その結果、近隣アジア諸国市民の対日認識は各国とも多様化し、彼らの認識は各国の戦後の政治情勢・日本による経済援助認識・日本の大衆文化受容の相違や訪日経験の有無とも関連していることもわかった。
著者
松江 寿記 大野 俊介 木村 浩 班目 春樹
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会 年会・大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2005, pp.11, 2005

日本の技術倫理教育では、倫理を知識として獲得する事に重点を置く傾向がある。しかし、倫理問題を解決するには、型にはまった技術倫理の知識だけでは不十分といえる。そこで、我々のグループが開発しているe-ラーニングソフトウェア『技術倫理討論会』は、「ケーススタディ」と「ディスカッション」を中心に据えて設計・構築されている。具体的には、倫理的判断が難しい事例を「ケーススタディ」としてFLASHムービーを用いて表示した。加えて、ケーススタディ別に電子掲示板を用意し、ユーザーがケーススタディの解決方法に関する「ディスカッション」を行う場を提供した。ここで討論することにより、ユーザーは自分自身では思いつかなかったような対処法や他人の価値観を知り、独り善がりな考え方に陥る事を予防する。本ソフトウェアをWWW上で公開し、その結果を検討・考察し、より効果的な教育プログラムの開発を進めていく。
著者
大野 俊和
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.230-239, 1996
被引用文献数
1

「いじめの被害者にも問題がある」とする見解は, 一般的によく聞かれる見解である。本研究の目的は, 攻撃が「いじめ」として定義される特徴的な形によって, この見解が生じてしまう可能性について検討することにある。本実験では, 以下の2つの仮説が検討された。(1) ある攻撃が, 単独の加害者により行われる場合に比べ, 集団により行われた場合の方が, 被害者は否定的に評価される。(2) ある攻撃が, 一時的に行われる場合に比べ, 継続的に行われた場合の方が, 被害者は否定的に評価される。本実験の結果により, 仮説1は支持されたが, 仮説2は支持されなかった。また予備実験の結果から, 否定的評価と関連する個人差要因として「自己統制能力への自信」と「社会一般に対する不信感」と解釈される2つの信念・態度の存在が指摘された。
著者
小林 博仁 熊谷 仁平 大野 俊一 酒井 真人 平野 美和 手島 伸一 井上 滋彦 河村 毅
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.96, no.3, pp.462-465, 2005-03-20
参考文献数
14

症例は81歳男性.1999年1月14日に排尿困難を主訴に当科受診.経直腸的超音波検査上, 前立腺に接して長径4cmの多房性嚢胞を認めたが, 本人精査希望せず放置していた.2002年8月頃より排尿困難が悪化, 尿閉となり精査目的に9月10日入院となる.RUG, DIPで膀胱, 前立腺部尿道の左側への圧排を認め, CTでは骨盤内に径12×7cmの多房性嚢胞を認めた.その他に骨盤MRI, リンパ管シンチ, 精管造影, 注腸造影等施行するも, 骨盤内嚢胞の由来は確定できなかった.PSA 3.7ng/ml, CEA 1.2ng/mlと正常であったが, CA19-9は111.4U/mlと高値であった.排尿状態改善のため10月1日骨盤内嚢胞摘除術施行.病理組織診断は前立腺嚢胞性腺腫であった.術後排尿状態は良好となり, 現在外来経過観察中である.
著者
平野 裕子 小川 玲子 川口 貞親 大野 俊 大野 俊
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

2008年より日本インドネシア経済連携協定(以下「JIEPA」)に基づき、インドネシア人看護師らが来日したのを皮切りに、2009年からは、日本フィリピン経済連携協定(以下「JPEPA」)に基づくフィリピン人看護師らが来日した。本制度における外国人看護師の導入は、国が公的な形で導入した最初の医療福祉専門職の受入れにあたり、今後の日本の受入れ態勢を整備すると同時に、国際化社会における看護師の移住の観点から起こりうる様々な問題を抱えていた。本研究では、JIEPA,JPEPA制度に基づく外国人看護師の移住のパターンの比較を行う。本研究の研究成果の概要は以下のとおりである。1.JIEPA、JPEPAでは、看護師の受入れスキームは一部を除き、ほぼ共通していたが、実際に来日する看護師たちの社会的人口学的特徴及び来日動機は、インドネシア人、フィリピン人の間でかなり異なっていた。2.看護師の国籍によってかなり特徴は見られたにもかかわらず、日本の病院側は、「学習意欲がある者」「患者に対する接遇態度がよい者」を高く評価する傾向があり、その傾向には国籍別に差は見られなかった。3.病院側は、外国人看護師を受入れた後に職場が活性化したことを高く評価しており、その傾向には、受入れた看護師の国籍別に差は見られなかった。