著者
向井 孝徳 宮下 裕充 若木 利子 松永 久美子 福本 太郎 沢村 一 新田 克己
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. AI, 人工知能と知識処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.38, pp.1-6, 2006-05-11

これ迄,マルチ議論エージェントシステムにおいて,各エージェントの知識ベースは,対象問題に関する言明文(ルール)で表現され、オントロジー知識は用いられていない.一般にWeb上の電子商取引等の問題では,売り手と買い手の売買に関するそれぞれの固有の戦略的知識以外にオントロジー知識を用いた推論が必要と考えられる.本研究では、各議論エージェントがセマンティックWeb上のOWL DL言語,または,記述論理SHOIN(D)で表現された共有知識としてのオントロジーと,EALP(或は,ELP)の論理プログラムで表現された各自のルールベースの知識の両者を議論・推論で扱えることを目的として,オントロジーに関する単調な記述論理推論系と対話的証明論に基づくマルチ議論エージェントの非単調な推論との統合推論方式の提案,及び,それに基づく議論エージェントシステムとセマンティックWeb推論系の統合推論システムの試作と評価を行なった.
著者
林 賢紀
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.65, no.10, pp.424-429, 2015-10-01

リンクリゾルバのアクセスログを解析することで,よく利用されるサービスを把握でき,利用者の行動把握とサービスの改善に繋げることが可能である。本稿では,リンクリゾルバのログ分析による業務改善に資するため,SFXを例としたログ解析の手法を示した。具体的には,SFXが有する統計出力機能を使用して,利用者がどのような文献データベースから文献の入手を試みているか,また特定の文献データベースの検索結果から入手を試みたがオンラインでは入手できなかった雑誌タイトルの集計などを行った。これにより,電子ジャーナルの利用統計だけでは把握できない情報資源を連携させた利用の様態を明らかにし,業務改善に資することができる。
著者
畑埜 晃平 法常 知子
出版者
九州大学附属図書館
雑誌
九州大学附属図書館研究開発室年報 (ISSN:18813542)
巻号頁・発行日
vol.2015, pp.1-5, 2016-08

本報告では,電子ジャーナルの包括契約を雑誌毎の個別契約に切り替える際に生じる雑誌の選択問題を扱う.本事例報告では,梅谷のアプローチに基づき,九州大学における2014年度の電子ジャーナルの購読・ダウンロードデータを用いて,電子ジャーナル購読計画の数理最適化を試みる.結果として,包括契約においてダウンロードされた論文を7割以上充足しつつ,かつ分野毎の公平性をある程度保証する個別契約の雑誌の組合せを求めることができた.
著者
宮園 章 奥村 裕弥
出版者
北海道立水産試験場
雑誌
北海道立水産試験場研究報告 (ISSN:09146830)
巻号頁・発行日
no.73, pp.31-34, 2008-03

2006年9月に噴火湾の表面泥中の硫化物(AVS-S)の水平分布を調査した。硫化物濃度(>0.2mg-S/g-乾泥)の高い泥は湾奥部の水深70-90mの等深線の間に分布した。高い硫化物濃度は有機物量の多いエリア(強熱減量>10%)にみられた。1979年の調査結果と比べると、硫化物量が0.2mg-S/g-乾泥を越えたエリアと強熱減量が2.0%以上のエリアはともに半分程度の面積に縮小していた。これらの結果は前田らによって提唱されている仮説「過剰に養殖されているホタテガイの糞粒は噴火湾の底質悪化を招いている」を支持しない。
著者
鎌田 泰彦 近藤 寛
出版者
長崎大学教育学部
雑誌
長崎大学教育学部自然科学研究報告 (ISSN:0386443X)
巻号頁・発行日
no.32, pp.p99-114, 1981-03

The continental shelf of Hyuga-nada, off Miyazaki Prefecture has an average width of about 20 km. The depth at the shelf break are 130-140 m in the northern area and 160-170 m in the southern area. The bottom sediments of the shelf are classified into three sediment types according to the grain size distribution, namely Sand (II), Transition sand (IIIa) and Mud (III). The distribution of these sedimenttypes are shown in Figure 5.The average content of organic carbon, total hydrogen and total nitrogen in the 42 bottom sediment samples of the Hyuga-nada shelf are 0.34, 0.25 and 0.052%,respectovely. The average of total content of C, H and N is 0.625%. The bottom sediment of the inner shelf of the northern area has less than 0.3% of carbon and 0.05% of nitrogen contents. On the other side, the inner shelf sediments of the southern area have more than 0.5% of carbon and 0.07% of nitrogencontents. The C/N ratio ranges from 3.33 to 8.20 with an average of 6.12. This value is slightly less than 7.0 which is taken from the Atlantic continental margin of the United States.
著者
中井 誠一 新矢 博美 芳田 哲也 寄本 明 井上 芳光 森本 武利
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.437-444, 2007-08-01
被引用文献数
8 14

従来の運動指針では,WBGT 28℃が厳重警戒(激しい運動は中止)としており,日常生活を含めた予防指針の基準となると考えられる.従って,高温への順化不足,子どもと高齢者および着衣条件について1段階下げる厳しい基準とした.市民マラソンでは1段階下げた基準としていることも参考とした.今回提案する予防指針は,暑熱順化,年齢,着衣条件が伴う場合はWBGT 25℃以上を厳重警戒とする.日本体育協会によるスポーツ活動時の熱中症予防指針を基準にTable 1に示した.熱中症の発生要因はきわめて複雑であり,思わぬ事態で発生があるのも忘れてはならない.また厳しい基準であるので,日常生活も含め積極的に運動を実施する場合の妨げになることが考えられるが,予防対策を十分に取ることにより解消出来ると考えられる.また,初期症状を見逃さないで早期発見による対応が望まれる.また積極的に屋外での活動を日常生活に取り人れることで早期に暑熱順化を獲得することが必要である.
著者
近藤 香里 酒井 幸弘 内藤 尚久 玉置 明野 市川 一夫 磯谷 尚輝 小島 隆司 中村 友昭 城山 敬康
出版者
JAPANESE ASSOCIATION OF CERTIFIED ORTHOPTISTS
雑誌
Japanese orthoptic journal (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.181-190, 2010-12-29

<B>【目的】</B>回折型多焦点IOL挿入術における50歳代から80歳代までの年代別術後成績の検討。<BR><B>【対象と方法】</B>対象は平成19年1月から平成21年5月までに、両眼に回折型多焦点IOL(AMO社製ZM900 16例32眼、Alcon社製SA60D3 5例10眼)を挿入した21例42眼。年代別症例数は、50歳代10例20眼、60歳代5例10眼、70歳代3例6眼、80歳代3例6眼。遠見矯正視力、遠見矯正下近見視力の術後経過、コントラスト感度、アンケート結果を年代別に比較検討した。<BR><B>【結果】</B>50・60歳代は、術後早期より良好な視力が得られたが、70・80歳代は不安定で、80歳代では、最高視力が得られるまでに3ヶ月程度を要した。術後3ヶ月の視力・コントラスト感度は80歳代がやや劣るものの、遠見裸眼視力 0.96、遠見矯正視力 1.24、遠見矯正下近見視力0.91と良好な結果であった。70・80歳代の近用眼鏡使用率は0%であった。80歳代のハロー・グレアの訴えはなく、高い術後満足度が得られた。<BR><B>【結論】</B>70・80歳代における回折型多焦点IOLは、視力の安定には時間を要するものの、日常生活に関するアンケートでは高い満足度が得られた。症例数が少ないため、さらに症例を重ね検討する必要があるが、高齢者においても十分なインフォームド・コンセントを行った上で、回折型多焦点IOLは選択肢になりうる。
著者
望月 善次 MOCHIZUKI Yoshitsugu
出版者
岩手大学教育学部附属教育工学センター
雑誌
教育工学研究 (ISSN:02852128)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.53-66, 1989-03-01

野口芳宏氏(木更津市立波岡小学校教頭)は、授業の名手として名高い。野口氏の(「国語」)授業力の考察は、生成途上にある国語科授業研究の上に示唆するところ大きいのではないかと考えられる。氏の授業力の「構造」を明らかにし、それに基づいた「国語科教師教育教程」を作成しようとするのが、野口氏の授業を考察しようとする筆者の全体構想である。今回は、それに至る一つの道程として、氏の授業の中でも著名なものの一つである「うとてとこ」(谷川俊太郎」についての第1回の考察を行う。許された誌面の関係から、「授業記録」の提出がその中心的作業となる。
著者
草場 喜一郎 真野 富也
雑誌
あたらしい眼科 = Journal of the eye (ISSN:09101810)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.81-82, 2011-01-30
被引用文献数
2
著者
森川 みき 金光 祥臣 塚本 宏樹 森川 昭正 富岡 佳久
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.200-205, 2016

症例は,牛乳アレルギーおよび気管支喘息既往歴を有する6歳女児.インフルエンザB型に罹患し,ラニナミビルオクタン酸エステル水和物吸入粉末剤(イナビル®)を使用後にアナフィラキシーを起こした.プリックテスト並びに薬剤刺激好塩基球活性化試験を実施したところ,イナビル®と添加剤の乳糖水和物に陽性を示し,ラニナミビルオクタン酸エステル水和物は陰性を示した.本症例では,添加剤の乳糖に夾雑する乳タンパク質がアレルゲンとなった可能性が考えられ,その同定を試みた.ウェスタンブロット(WB)により,添加剤の乳糖水和物中からβ-ラクトグロブリン(β-LG)が検出され,その分子量およびin vitro実験の結果から糖鎖付加体であると推定した.さらに患者血清を用いたWBの結果から,本症例のアレルゲンが,糖鎖付加されたβ-LGである可能性が高いと判断した.本研究は,吸入粉末製剤の添加剤乳糖が乳アレルギーを起こす危険性を示す結果となった.本症例のようなインフルエンザ患者は,気道過敏性が亢進しているため特に注意が必要である.
著者
山田 雅子 齋藤 美穂
出版者
一般社団法人日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.183-194, 2007-09-01
被引用文献数
1

顔からその人の性別を判断する際、肌色という要素も手がかりとして作用する。そして、その作用は専ら肌色が持つジェンダーステレオタイプに沿ったもの、すなわち、男性は色黒、女性は色白という方向性を持つものであることが報告されている(山田・齋藤、2004)。本研究では更に顔の形態パタンの変化に着目し、肌色と形態の両要素の連関を検討した。種々の実験の結果、特に男女の顔合成率が拮抗する場合には、肌の色がステレオタイプ的に作用することが分かった。逆に、顔の形態が男女の何れかに近い場合は、肌の色の作用は消失する傾向にあった。つまり、肌色が作用するためには顔の形態的要素における条件があるといえる。また、観察条件や課題の種類が既述の2要素の連関に影響する可能性も得られた。
著者
金 銀好 向井 徹 飯田 浩二
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
2016
被引用文献数
2

北海道噴火湾周辺海域において,周波数 38, 120, 200 kHz の計量魚群探知機を用いて音響散乱層の特徴を調べ,その構成生物であるオキアミ類とカイアシ類の識別方法を検討した。生物の確認は,直径 80 cm のリングネットによる垂直曳網で行った。オキアミ類とカイアシ類は,周波数 38 kHz よりも 120 kHz と 200 kHz でより強い音響散乱を示し,さらにこれら 2 周波数の SV 差は,オキアミ類で−1.5~1.3 dB,カイアシ類で 2.2-3.7 dB となり,この SV 差を利用して両種を識別する可能性が示された。