著者
永野 由祐 中田 真一 上田 浩三 松下 浩一 高橋 和昭
出版者
Japanese Society of Animal Science
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.85, no.2, pp.139-143, 2014

未利用海藻ノコギリモクの乾燥粉末給与が鶏卵品質に及ぼす影響を産卵ステージの異なるニワトリを用いて調査した.飼料としては,トウモロコシ─大豆粕を主体とした市販の採卵鶏用飼料とこの飼料の40%を籾米と置換した飼料を用いた.供試鶏として,産卵最盛期または廃棄直前の国産鶏と産卵後期の外国産鶏を用いた.卵黄中ヨウ素濃度は産卵時期や使用したニワトリの種類にかかわらず,ノコギリモク添加区で無添加区に比較して増加した.卵黄中<i>β</i>-カロチン濃度は国産鶏を用いた試験において,ノコギリモク添加区で無添加区に比較して増加した.また,ノコギリモク添加による卵黄中<i>β</i>-カロチン濃度の増加は,籾米混合飼料を使用した時に顕著であった.卵殻厚は,廃棄直前鶏に籾米混合飼料を給与した時に,ノコギリモク添加による増加が観察された.一方で,外国産鶏へのノコギリモク添加給与は,卵殻厚に影響を及ぼさなかったが,卵殻強度の有意な上昇が認められた.以上のことから,ノコギリモクは採卵鶏において卵黄中ヨウ素および<i>β</i>-カロチン濃度を増加させ,産卵後期におけるニワトリの卵殻質を改善させる有用な未利用資源となる可能性が示された.
著者
岩田 淳 香川 景一郎 川人 祥二 緒方 智壽子 谷田 純
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.39, no.17, pp.21-22, 2015-05-01

歯周病は日本人の8割が罹患していると言われている.現在,歯周病の診察は定性的であることが多く,時間を要するだけでなく医者の技量に依存する.短時間に多人数を診る集団検診においても簡易に適用でき,定量性をもった診察を可能とする技術が必要とされている.そこで我々は歯肉の三次元形状,酸素飽和度,全ヘモグロビンなどの定量性のある情報の取得と歯槽粘膜境の画像化を目標とし,デジタルデンタルミラーと呼ぶ多機能小型カメラを開発している.本研究では基礎研究として,コルクボードの三次元形状をマルチベースラインステレオを用いて計測した.
著者
永田 千晶
出版者
岩手大学大学院人文社会科学研究科
雑誌
岩手大学大学院人文社会科学研究科研究紀要
巻号頁・発行日
no.24, pp.41-62, 2015-06

筆者は修士論文において,中世末期から近世初頭のドイツで著された法的文献の一つ『クラークシュピーゲル(Klagspiegel)』1)(以下,Ksp.)に関して,その法制史的,とりわけ刑事実体法史的な意義を検討した。本論文は,修士論文で述べた内容のうちKsp.における故意/過失,未遂にトピックを絞り,構成し直したものである。
著者
小黒 芳男 大久保 堯夫
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会誌 (ISSN:03864812)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.141-146, 1986
被引用文献数
1

人力による片手持ち型運搬作業における取り扱う運搬物の至適重量, 作業後の回復時間などの作業条件を検討するための基礎的資料を得る目的で, 青年男子10人を被験者として, 取り扱う運搬物の重量の違う7通りの片手持ち型運搬作業を行わせ, 作業時の心拍数, 体温, 血圧, 疲労感調査などを測定し, 取り扱う運搬物の重量の違いと作業負担との関係を明らかにした.その結果, 心拍数, 最高血圧値およびおよび疲労感調査は取り扱う運搬物の重量とは密な相関関係があり, それぞれ回帰方程式が得られた.また, これらの指標を基にして, 総合的な判断を行うと, 取り扱う運搬物の重量については, 被験者の体重に対する30〜35%程度以下までは許容できるものと考えられる.そして, 作業後の回復時間については, 重量の5%増ごとに作業の実働時間に対して23%程度増の休憩時間が必要であることがわかった.
著者
宮内 [サトシ]
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.1991, no.83, pp.43-50, 1991

本稿は,家具の基本形態の一つである櫃を対象に,デザインと技術のかかわりについて検討したものである。その結果,次の諸点を明らかにした。1.時代をさかのぼるほど,選択できる技術の幅が狭く,実現された形態も使い方も限定的で,デザインと技術の結びつきは強い。2.技術の目標とされたものは,大型化,気密化,優美化,堅牢化,防水処理,規格化などである。それらの実現のために板の矧ぎ合わせや接合方法の精妙化,強度の発揮と軽量化,量産性などが追求された。軍用では,化学的・組織的な技術開発が行われた。3.広義のデザインと木工技術とのかかわりは,技術の発展にともなう櫃の普及,生活への浸透があげられる。一方,中国の柩には古い櫃の製作方法が継承されている。4.I960年代の後半から,フォークリフトなどの機械力による荷役を基盤とした陸・海・空一貫の輸送システムが出現する。その結果,人力による運搬を前提とした櫃の開発は終焉する。
著者
吉本 陽二 長野 聖 井上 悟 柴田 政彦
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2003, pp.C0906-C0906, 2004

【はじめに】<BR> 我々、理学療法士は疼痛の軽減を治療の目的として運動療法、物理療法を施行する。しかし、疼痛を主症状とした症例に対して疼痛軽減のみを目標に理学療法を行った場合に治療が難渋する場合が多くある。<BR> そこで今回、我々は、ペインクリニック外来を受診した患者に対してアンケートを行い、日常生活の動作能力や心理面に対する疼痛の影響について調査した。これらの結果より、疼痛を主症状とした症例に対する理学療法の目標について検討を行った。<BR>【対象】<BR> 大阪府・兵庫県の9施設のペインクリニック外来を受診し、筋骨格系疾患の診断を受けた606名を対象とした。対象者は男性284名、女性322名であり、平均年齢は56.2 ± 16.4 歳であった。<BR>【調査の方法と内容】<BR> 調査は、ペインクリニック外来初診日に以下の内容について調査を行った。疼痛の程度の評価としてvisual analog scale (VAS )と疼痛発症頻度の調査を行った。日常生活動作の障害の有無は、Pain Disability Assessment Scaleにて行い、抑うつ、不安はHospital Anxiety and Depression Scaleにて行った。<BR>【統計学的解析】<BR> VASは平均値よりも高値であった群と低値であった群の2群に分け、疼痛頻度は3群に分け、能力障害、抑うつ、不安は「ある」「なし」の2群に分けた。それらの群の関連性について年齢、性別にて調整し、多重ロジテック回帰分析を用いて統計学的解析行った。<BR>【結果】<BR> VAS と日常生活動作の能力障害の間には、関連性は認められなかった。また、疼痛頻度と能力障害の間にも有意な関連性は認められなかった。疼痛頻度と抑うつ、不安の間には有意な関連性が認められなかったが、VAS と抑うつ(オッズ比2.25、95%CI:1.25-4.07)、不安(オッズ比2.12、95%CI:1.17-4.14)の間には、有意な関連性が認められた。また、能力障害と抑うつ(オッズ比3.54、95%CI:1.95-6.41)、不安(オッズ比7.06、95%CI:3.21-15.51)の間には、有意な関連性が認められた。<BR>【考察】<BR> 今回の調査によるVAS および疼痛発生頻度と能力障害の有無に関連性が無かった結果の解釈は、VAS と抑うつ、不安と関連性がある結果からも疼痛軽減を目的とした理学療法を否定するものではない。疼痛症例の能力障害は、疼痛の程度や発生頻度に影響を受けるのではなく、活動の必要性や本人の意欲によって左右される症例像を示すものと考えられる。二次的障害の予防や能力障害と抑うつ、不安に有意な関連性があることからも疼痛症例に対する理学療法は、疼痛に対するアプローチのみを行うのではなく、早期に能力障害改善のアプローチを行うことが重要であることが示唆された。
著者
望月 本多 高 新居 康彦 蓑輪 利光
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
信学総合大会, 1995-03
巻号頁・発行日
1995
被引用文献数
2

列車や航空機の発着案内を行う自動案内放送システムでは、単語音声を接続する編集合成方式が採用されている。このシステムにおいて、もし既存のDB(データベース)から新しい単語音声を生成することができれば、新たな単語音声が必要になった際に、音声DBを再構築することなくシステムの継続運用が可能となる。本報告では、収録済みの単語音声を用いて新しい単語音声を生成するシステムについて検討した結果を報告する。
著者
吉本 陽二
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.C0963-C0963, 2007

【目的】<BR>我々、理学療法士は痛みを主症状とする患者を担当し治療を行う。しかし、治療効果が明確に現れず、治療が難渋する場合が多くある。そこで今回、我々は、ペインクリニック外来を受診した患者に対してアンケートを行い、疼痛を主症状とする患者の痛みに関する要因を調査した。これらの結果より、痛みを主症状とした症例に対する理学療法について検討を行った。【対象】<BR>大阪府下のペインクリニック外来を受診した251名を対象とした。対象者は男性113名、女性138名であり、平均年齢は55.7 ± 17.3歳であった。疾患は腰椎椎間板ヘルニアが81名、椎間関節症、60名、筋々膜性腰痛、19名、脊椎狭窄症、20名、その他が67名であった。<BR>【方法】<BR>アンケート調査は、ペインクリニック外来初診日に以下の内容について調査を行った。痛みはvisual analog scale (VAS )と痛みの頻度と罹病期間について質問を行った。日常生活動作の障害は、Pain Disability Assessment Scaleにて調査を行い、抑うつ、不安はHospital Anxiety and Depression Scaleにて調査を行った。加えて、睡眠障害の程度についても調査を行った。統計学的解析は、Pearsonの相関係数にて相関を確認し、年齢、性別にて調整し、強制投入法による多重ロジテック回帰分析を用いて行った。<BR>【結果】<BR>Pearsonの相関係数にて罹病期間は全ての項目と相関が認められなかったが、その他の項目間では相関が認められた。特に抑うつと不安の間には強い相関(r=0.71)が認められた。次に多重ロジテック回帰分析を用いて能力障害との関連性を認めた項目は、抑うつ(オッズ比1.13、95%CI:1.04-1.22)と不安(オッズ比1.24、95%CI:1.12-1.37)であった。<BR>【考察】<BR>日常生活の能力障害に関連していた項目は抑うつ・不安であった。痛みの代表的な心理的反応である不安と抑うつは、身体活動意欲の低下につながり、日常生活動作の能力障害<BR>を増悪する可能性がある。また、能力障害は身体の活動性を低下させ、廃用性症候群を助長し痛みの増悪につながると考えられる。理学療法士として対応できる項目としては、痛みに対するアプローチの他に日常生活動作の改善を行う必要があると考えられる。<BR>【まとめ】<BR>1、ペインクリニック外来受診患者に対してアンケート調査を行い、痛みに関する要因について検討を行った。<BR>2、日常生活動作の能力障害は、抑うつ、不安と関連性があった。<BR>3、痛みを主症状とする患者の能力障害に対しては不安・抑うつへの対応が重要である。
著者
小坂谷 壽一 小玉 成人 川守田 礼子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.491, pp.37-42, 2009-03-20

八戸工業大学を取り巻く地域伝統音楽環境の特色として、津軽と南部伝統芸能の狭間に位置している為、この伝統音楽(特に津軽三味線、南部三味線)を次の時代を担う若年層演奏者に口伝ではなく、未来永劫譜面として正確に記録する技術が、特に地域伝統芸能継承者や市の地域伝統音楽保存会より強く望まれている。今回、三味線に弦単位のピックアップマイクロフォンを備えたいわゆる"エレクトリック三味線"と、この音源から譜面を自動的に作成する自動採譜装置を試作した。本研究では・音源の解析処理〜・採譜処理〜・譜面の記録処理に関する基礎技術を確立し、今後、他の伝統楽器や声楽等にも自動採譜の応用展開を図る予定である。
出版者
日経BP社
雑誌
日経コンピュータ (ISSN:02854619)
巻号頁・発行日
no.849, pp.96-98, 2013-12-12

NTTコミュニーケーションズのインターネット接続サービス「OCN」で2013年6月、接続用のパスワード756件が改ざんされた。原因はロジテック製ルーターの脆弱性だ。ルーターを踏み台にしたDDoS攻撃も発生。
著者
森 周子
出版者
社会政策学会
雑誌
社会政策 (ISSN:18831850)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.17-27, 2015-01-25

本稿では,ドイツで2005年に創設された「求職者基礎保障制度」の対象者(稼得能力を有する困窮者)への就労支援の一種である「1ユーロジョブ」について考察した。就労困難な長期失業者を対象とした,追加的かつ公共的な低時給の労働である1ユーロジョブは,通常の労働への就労促進を目的とするが,実際には通常の労働への橋渡し効果が弱く,1ユーロジョブに従事さえすれば求職者基礎保障制度において所得保障が行われるという,ベーシック・インカムの一種である「参加所得」的な要素が見られる。そして,批判が高まるなかで1ユーロジョブは後置的な存在とされ,従事期間にも制限が設けられ,他方でワークフェア的な「市民労働」という新たな取組が緒についている。さらに,1ユーロジョブが,日本で2015年に導入予定の「中間的就労」に与える示唆についても検討し,労働者保護上の措置や所得保障の併用の必要性などを指摘した。
著者
西川 長夫
出版者
京都大学フランス文学研究室
雑誌
Francia
巻号頁・発行日
vol.8, pp.38-53, 1964-12-28