著者
朱 捷 ZHU Jie
出版者
京都
雑誌
総合文化研究所紀要 = Bulletin of Institute for Interdisciplinary Studies of Culture Doshisha Women’s College of Liberal Arts (ISSN:09100105)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.107-122, 2021-07-29

The Chinese character luan (亂) bears two contradictory meanings: “chaos” and “order.” Scholar and commentator Guo Pu (郭璞, 276-324) was the first to note the phenomenon of a single character possessing two diametrically opposed meanings. Over the centuries, theories about the phenomenon have proliferated, a debate which has given rise to the scholarly term fanxun (反訓, enantiosemy).Those who resist the concept of fanxun claim that these contradictory meanings are more recently accreted additions that result from the process of jiajie (仮借, phonetic borrowing) rather than meanings that inhere in the character from the start. Supporters of the idea of fanxun -- especially contemporary supporters -- attempt to parse the contradictory meanings as a dialectical conflict.In contrast to these viewpoints, the present paper advances two claims. The first is that, when taking into account the conventions of character creation and the history of character development, the phenomenon of a single character bearing two diametrically opposed meanings is the result of the phenomena of zhuanzhu (転注, derivative cognates) and jiajie (仮借, phonetic borrowing). That is, this paper asserts, even if one accepts the claim that the second, contradictory meaning was a later accretion through the process of jiajie, the conventions of character creation make the appearance of fanxun inevitable. Meanwhile, zhuanzhu and jiajie are conventions of character creation that work to increase the number of characters and the meanings that they bear, and both are based in the same sources of sound and meaning.From this foundation, the paper offers an additional formulation: “opposite meanings, intimately entwined (相反相因, xiangfan xiangyin).” That is, the paper asserts that a character that bears diametrically opposed meanings is not to be understood as a dialectic, but as “opposite meanings, intimately entwined” (i.e., contradictions which exist in intimate relation to each other) -- an understanding of the phenomenon that is characteristically Chinese.
著者
星野 晴彦
出版者
文教大学
雑誌
人間科学研究 = Bulletin of Human Science (ISSN:03882152)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.115-122, 2010-03-01

When we look at the history of earlier social workers and the zeal of people who apply to the social work section of Japan Overseas Cooperation Volunteers, we can feel the power with which they have improved themselves through devotion to people in difficult situations who need support. I believe this power derives from the following process centered on mission awareness. "Social workers devote themselves to their practice. When they have mission-awareness (i.e., when they consider not what they want to do, but what society needs them to do, and give it their own significance) they transcend thinking about themselves and reintegrate with the meaning of their own lives."In this paper, I examine the above process by surveying the literature. In particular, I discuss the significance of this mission-awareness and how it is formed in a social work practice. I put special emphasis on the significance of transcendence and reintegration.社会福祉の先人たちの足跡や、青年海外協力隊のソーシャルワーク部門に志願する人々の熱意を見ていると、苦難の状況にあって、支援を必要とする人々のために献身し、自分たちを高めていくパワーを感じさせられる。このパワーはソーシャルワークの地道な実践の継続を支えてきたと言えよう。筆者はこのパワーは、ミッション意識を中核とする次のようなプロセスにあるのではないかと考えている。「ソーシャルワーク実践に専心し、ソーシャルワーカー自身の中に、ミッション意識(自分たちがやりたいことでなく、社会から何を求められているのかを考え、自ら意味付けする)を抱くことで、自分へのこだわりを超越し、そして自分自身の生きる意味へと再統合していくプロセスである。」本稿は上記のプロセスに関して、文献研究により検討した。特に、このミッション意識の意義について、そして実践現場においてこのミッション意識がいかに形成されるのかについて論じていく。筆者はあえてこの「超越」と「再統合」の重要性を強調したい。
著者
錦 康二 加藤 明 宮崎 浩一
雑誌
情報処理学会論文誌数理モデル化と応用(TOM) (ISSN:18827780)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.43-52, 2008-09-26

株式における投資判断の指標として株価レーティングがある.今日,株価レーティングは個人投資家,機関投資家の間で定着してきているが,株価レーティングの精度や特徴について詳細に検証した論文は少なく,実際の投資判断の指標として用いるには十分であるとはいえない.そこで,本研究では,統計的観点から株価レーティングが対象とする銘柄の割安割高を適切に評価しているのかについて検証を行い,レーティングは超過リターンの推移に依存し決定されているのではないかとの観点から,超過リターンの推移がアナリストの評価にどのような影響を与えるのかについても検証を行う.また,予測精度向上のアプローチとして,評価を行っている会社の数と株価レーティングの予測精度の関係について検証を行い,最後に株価レーティングの特徴とその利用可能性について考察を与える.
著者
中西 一彦
出版者
関西国際大学教育総合研究所
雑誌
教育総合研究叢書 = Studies on education (ISSN:18829937)
巻号頁・発行日
no.13, pp.71-79, 2020-03-31

オノマトペは日常的に数多く使用されていて,特に感覚的なものを共有したいときにその力を発揮する。オノマトペは幼児語や母親語と共通点があると思われるので,オノマトペは幼児にも親しみやすく,多用されやすいと推察できる。そこで,幼児期の言語獲得において,オノマトペはどのような役割があるのかを文献を通して検証する。結果として,オノマトペは音の印象と抽象的なことばを結びつける役割を果たしていることが明らかになった。
著者
栗田 尚弥
出版者
法学新報編集委員会
雑誌
法学新報 (ISSN:00096296)
巻号頁・発行日
vol.121, no.9・10, pp.185-232, 2015-03-10

本稿は、幕末の海防論者であり、陽明学者である平戸藩士葉山佐内の思想について分析するとともに、その思想の吉田松陰への影響について論じたものである。著者は、海防論、対外観、陽明学(王陽明および大塩平八郎)に視点を置いて佐内の思想を見るとともに、「西洋兵学への開眼」、「対外観の変化」、「民政の重視」、「陽明学との邂逅」の四点について、佐内の思想が松陰に与えた影響について論じている。これまで、平戸留学が吉田松陰の思想に大きな影響を及ぼしたということはしばしば論じられたきたが、葉山佐内との関係性において論じられたものはほとんどなく、佐内自体の研究も極めて少なかった。本稿は、佐内の思想の持つ合理性、脱中華思想性、平等性を論証するとともに、この思想を受容することによって、松陰が単なる伝統的兵学者から「思想家」へと脱皮したことを明らかにした。
著者
國廣 美桜 栗木 珠美 太田 正哉
雑誌
2021年度 情報処理学会関西支部 支部大会 講演論文集 (ISSN:1884197X)
巻号頁・発行日
vol.2021, 2021-09-10

NAND等を用いた電子工作はコンピュータ等の理解に効果があるが,配線が多いと大人数授業で全員が回路を完成させることが難しい.本研究は複雑な回路の電子工作を支援するためのARツールを開発する.
著者
神作 研一
出版者
大学共同利用機関法人 人間文化研究機構 国文学研究資料館
雑誌
日本古典籍講習会テキスト
巻号頁・発行日
no.19, pp.1-6, 2021-07-06

本テキストは、「第19回日本古典籍講習会(2021年度)」(2021/7/6-8:国文学研究資料館、国立国会図書館共催)で使用された資料の一部です。
著者
横井 修一 現代行動科学会誌編集委員会
出版者
現代行動科学会
雑誌
現代行動科学会誌 (ISSN:13418599)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.1-11, 2012-08-31

「学問にはどんな意義があるのか」という疑問や悩みをもつことは、近年少なくなったと言われるが、恐らく現在も大学では、漠然とであれ新入生から教師まで一度は持たれる問いであろう。それは大学卒業後の人であれば、学問・研究に関わらない立場で学問と関わる意味は何かという問題であり、本紙の読者には職業上の専門知識との関係なしに<行動科学>という学問に関わる意味は何かという問題で、より広げて言えば<行動科学>(注1)という学問は私たちの生活でどのような意義をもつかという問題である。 この『現代行動科学会誌』の読者である現代行動科学会会員の大半が<行動科学>を学んだ卒業生であるが、職業として学問(教育・研究)に関わる人は一部であるし、臨床心理学関連の専門職のように<行動科学>が職業的な専門知識として必要とされている人々も多数派ではない。大多数の会員にとっては職業上の「専門知識」と直結しないとすれば、その<行動科学>の学問的な知識はどのような意味を持つのであろうか。 本稿では以上の問題について、<行動科学>をひとまず「社会学」に置き換え、私たちの日常生活において社会学がどのような意味をもつかという問題として、M.ブラウォイの「公共社会学」論を踏まえながら考えてみたい。 ブラウォイ(Michael Burawoy)は公共社会学論に関する論文を2004年以前にもいくつか著しているが、中心となるのはアメリカ社会学会における会長講演(2004年)をそのまま活字化した次の論文である。講演の全文はきわめて明晰なもので、その後に書かれた論文で取り上げられている論点が、本稿に関連する限りではすべて展開されている。 Michael Burawoy, 2004, For Public Sociology PRESIDENTIAL ADRESS, American Sociological Review, 2005, Vol.70(February:4-28) 本稿におけるブラウォイの紹介は主としてこの論文に基づいており、その引用や参照箇所は単に該当頁だけを付記する。引用文中の「・・・・」は省略を、「[]」は原文にない補いを示す。なお、本稿の「注」は研究論文の作法としての論拠の提示や補足であり、本稿の内容自体は本文だけでも理解されるのではないかと思う。 本稿の1~4節はブラウォイの公共社会学論の―本稿の主張の基礎となる部分の―紹介で、5~6節がブラウォイの議論を踏まえた筆者の主張である(注2)。
著者
松成 圭悟 岩井 将行
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2022-HCI-196, no.25, pp.1-5, 2022-01-04

近年,コロナ渦の影響でアウトドアレジャーが注目を集めている.2021 年の東京オリンピックではサーフィンにて日本の五十嵐カノア選手が銀メダルを取り,盛り上がりを見せた.海ではサーファが増えてきて,混雑が目立ってきている.サーファー同士の衝突事故の原因は波を見るのに夢中になり他の人の存在を認知できなくなることや,日の出や日没間近の暗い時間帯に他の人が見えなくなってしまい衝突してしまうことが挙げられる.そこで本研究ではサーフボードに M5Stack Core2 と NeoPixel LED 防水テープを付け加えることでサーフボードのパフォーミング性を拡張しつつ,事故防止のために自分の存在を周りに認知してもらうことで海での衝突事故を未然に防ぐことを目的とした機能を付与する.つまり,サーフボードの角速度,加速度を 6 軸 IMU で検知し,姿勢角度を算出して,ユーザの状態に応じた光を提示することで周囲に対して危険度に応じた色の可視化を行う.