著者
青木 深
出版者
京都大学
雑誌
京都大学高等教育研究 (ISSN:13414836)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.65-74, 2015-12-01

Hitotsubashi University, which specializes in the humanities and social sciences, has provided both academic and professional career support to graduate students since April 2011. This article discusses the content, characteristics, and problems associated with academic career support, particularly with regards to the school's academic career seminars, which are held approximately seven times yearly. These seminars cover topics such as the submission of articles, publication of dissertations, applying for research grants and academic jobs, academic career and life events, tips for teaching undergraduates, and overseas education and research. Speakers at the seminars are generally young faculty members and postdoctorates who earned a Ph.D. at Hitotsubashi University. A variety of graduate students attend the seminars, wherein lecturers impart attendees with knowledge concerning academic job-hunting, while also addressing study skills, the diversity of career paths in academia, and the mental preparation required to write persuasive job applications and grant proposals. These academic career seminars are managed by a "young researcher, " who attempts to internalize the viewpoints of graduate students and postdoctorates. The support system facilitating this, however, is complex given that the aforementioned young researcher, who is in charge of academic career support, is also applying for tenure status in a manner similar to "supported" graduate students and postdoctorates.
著者
梅崎 薫
出版者
埼玉県立大学
雑誌
埼玉県立大学紀要 (ISSN:13458582)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.65-71, 2013

【目的】修復的司法または修復的正義Restorative Justiceと呼ばれる対話アプローチを用いて、葛藤のある家族関係の修復を早期から支援し、高齢者虐待を予防する家族支援法(以下、RJによるFGC)を開発する。 【方法】研究方法はアクションリサーチで、実践モデルの開発においては芝野が日本における児童虐待領域で用いて修正を加えたModified-Design and Development(M-D&D,2002)を採用する。 【結果および考察】共同開発する実践家から予防に対して期待と難しさがあげられ、社会への啓発、地域住民の参加、専門職の役割、加害側の参加、ライフイベント、世代交代での不適応、深刻度と継続期間、アドボカシー、軽度知的障害者等支援、アルコール依存、状況での暴力、経済的搾取とネグレクトという論点が抽出された。 【結論】RJによるFGCのたたき台を検討するには、適用対象の特定が必要で、援助技術の獲得にはシナリオロールプレイが効果的と考えられる。プロセティック・アプローチとして、地域住民にRJという対話方法を啓発する必要がある。
著者
宮沢 厚雄
出版者
桜花学園大学
雑誌
桜花学園大学研究紀要 (ISSN:13447459)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.211-221, 2002-03-31

図書館は補助金と許認可で守られた公営の保護組織である。図書館の提供するサービスは,国民の「知る自由」「知る権利」を保障することが前提となり,そのために無料原則が存在する。しかしながら複写サービスやILLサービスなど図書館の一部ですでに有料サービスが定着しているものもある。ネットワーク情報資源の提供にさいしても,「図書館の自由」,費用構造,媒体変換,「市場の失敗」の観点から有償化が認知されている。しかしながら図書館の無料原則はあくまでも民主主義の政治体制を支えるものと考えなければならない以上,その貫徹は必要なのではないだろうか。さらには図書館の持つ提供機能と保存機能とを分離させて図書館の運営形態を多様化させ,改めて図書館理念の再考を求める必要がある。
著者
園田 博文 中村 孝二 齋藤 昭子 横山 優子
出版者
山形大学
雑誌
山形大學紀要. 教育科學 (ISSN:05134668)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.57-81(415-439), 2009-02-15

要旨 本稿は、散在地域の典型例とも言える山形県を例として、詳細な実態調査を行い、現状を示し、課題や問題点を指摘したものである。まず、JSL児童生徒(JSLとは、Japanese as a Second Languageの略で「第二言語としての日本語」を指す)の定義を明確にした上で、散在地域における小学校、中学校、高等学校の現状を示し、課題を提示した。関連して、ボランティア団体の行動についても考察を行った。今回の実態調査では、文部科学省が行っている調査だけからは見えてこない面を指摘することが出来、問題の所在が明らかになった。今後、より正確な実態の把握に努め、分析を進めてしいく。本研究を拠り所として、各方面において、実際に問題を解決していく取り組みがなされることを望む次第である。
著者
渡部 玄 富田 哲司 佐野 千寿子 今村 太郎 宮ノ下 明大
出版者
家屋害虫研究会
雑誌
家屋害虫 (ISSN:0912974X)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.49-53, 2007
被引用文献数
2

ヒラタチャタテ(Liposcelis bostrychophila Badonnel)を誤食した場合のヒトの体調への影響について知見を得る目的で,ヒラタチャタテの摂取試験を実施した.健常者8名(男性)は,小麦粉に混合したヒラタチャタテ成虫1,250頭を油で揚げた被験食を1日1回,3日連続で摂取した.その結果,摂取の前後において血圧,血液検査における指標はいずれも基準値の範囲内で,有意な変動は見られなかった.医師による問診においても異常は見られず,チャタテムシを摂取した場合の健康への影響は極めて低いことが示唆された.
著者
長谷川 芳典
出版者
岡山大学環境管理センター
雑誌
環境制御 (ISSN:09171533)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.3-12, 1993-12-15

本稿は,B・F・スキナー(1904~1990)の徹底的行動主義(radical behaviorism)の流れをくむ行動分析学の立場から人間と環境とのかかわりの問題を論じることを目的とする。行動分析学は,ひとことで言えば,生活体と環境とのかかわりを客観的・機能的・実験的に分析することによって行動の原理が実際にどう働くのかを明らかにする学問である。行動分析学の研究がすすめば,個体や集団の望ましい行動を形成・維持するための環境変数を適切に整備できるようになると期待される。しかしこれまで行動分析学は,特に理工系の研究者には殆ど理解されず,むしろ誤解・曲解されてきたように思う。そこで,本稿では,まず主な誤解の解消をめざし,行動分析学は環境制御の問題にどのような新しい視点を与えられるのかを論じることにしたい。
著者
堀畑 正臣
出版者
日本語学会
雑誌
國語學 (ISSN:04913337)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, 2001-09-29

「(さ)せらる」(尊敬)の例は,文禄元年(1592)成立の『天草版平家物語』において多用されている。室町期の尊敬の「(さ)せらる」については,先学によりいくつかの用例が指摘されているが,それらは後世の写本段階の用例や,解釈の誤りによるもので,未だキリシタン資料以前の中世文献での「(さ)せらる」(尊敬)の指摘はない。「(さ)せらる」(使役+尊敬)は古記録とその影響のある文献に多くの用例が見られるが,室町期の軍記・説話・物語・抄物等には,「(さ)せらる」(使役+尊敬)はあるが,「(さ)せらる」(尊敬)の例はない。今回,記録年代の長い,仮名交じりの古記録文献で調査を行った。『言国卿記』(1474〜1502)の一部,『お湯殿の上の日記』(1477〜1625)の一部,『北野天満宮目代日記』(1488〜1613)の全体,『家忠日記』(1577〜1594)の全体である。調査から,『言国卿記』の「(さ)せらる」は「御庭ノ者ニウヘナヲサせラル」(文明六〔1474〕年3・8)のように(使役+尊敬)の例である。一方,『北野天満宮目代日記』では「八嶋屋ノ井のモトヱネスミ(鼠)ヲいぬ(犬)かオイ(追)入候,ネスミモいぬ井ヘヲチ候間,ネスミハ井内ニテシヌル,いぬハヤカテ取上候,井の水を早々御かへさせられ候へのよしうけ給候,則御門跡さまへ申」(延徳二〔1490〕年12・25)のような例が多く見える。この例は,御門跡に対して「水を御かへさせられ候へ」と頼んでいる。この時「水をかえる」行為は配下の者達が行うが,その行為全体は御門跡の行為として相手には意識される。このように上位者の行為に収斂されるような「(さ)せらる」の例を経て,尊敬用法が成立する。自動詞についた尊敬の「(さ)せらる」は,『お湯殿の上の日記』「御かくらにならせられまし。」(永禄六〔1563〕年3・29〔写本〕)が早い例である。自筆本では「こよひの月またせらるる」(元亀三年〔1572〕3・23),「こよひの月おかませられ候」(同年4・23)の例等がある。