- 著者
-
樋浦 善敬
河野 憲太郎
- 出版者
- Japan Poultry Science Association
- 雑誌
- 日本家禽学会誌 (ISSN:00290254)
- 巻号頁・発行日
- vol.19, no.5, pp.286-291, 1982-09-25 (Released:2008-11-12)
- 参考文献数
- 35
本研究は採卵鶏の産卵開始期における2黄卵の産卵の機序を調査した。供試鶏120羽に脂溶性色素, スダンIII或いはスダンブラックを連日24時間間隔で静脈内注射した。これら鶏から産卵開始後30日間に産卵された正常卵2,914個と2黄卵157個の各卵黄内の色素輪を観察して, 卵巣卵胞の成長と排卵の様相を検討した。2黄卵の内, 約85%は2個の卵黄内の色素輪数が同じく, 残り約15%は両卵黄内の色素輪数が異なっていた。また前者における2個の卵黄の平均重量差は0.28gであり, 後者の場合には両卵黄の重量差は平均1.08gであった。両者の平均値の差は0.1%水準で有意であった。1日に休止期から急速成長相へ転移する卵胞の数は0, 1及び2個の場合があり, それらの出現相対比率はそれぞれ23.6%, 62.9%及び13.5%であった。同日に急速成長相へ転移した2個の卵胞の内, 約27%はほぼ同時に排卵されたが, 残りは互に排卵日を異にした。本実験結果から, 産卵開始期においては急速成長相へ転移する卵胞数, 卵胞の序列制及び卵胞の排卵反応性などがまだ充分に確立されていないことが明らかとなった。従ってこのような状況下で2黄卵もまれに産卵されるものと推察された。