著者
吉田 真 新海 明
出版者
Arachnological Society of Japan
雑誌
Acta Arachnologica (ISSN:00015202)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.21-25, 1993 (Released:2007-03-29)
参考文献数
9
被引用文献数
5 8

富士山麓の溶岩洞の一つである蝙蝠穴とその付近で, サンロウドヨウグモの捕食行動と網構造の調査を行った. このクモはヤマジドヨウグモと同様に, 網にかかった特定のタイプの餌に対して糸の投げかけによって攻撃した (攻撃ラッピング). オオドヨウグモ属の各種は攻撃ラッピングを行わず, ドヨウグモ属の2種はそれを行うことから, 攻撃ラッピングはドヨウグモ属の行動上の一特性かもしれない.
著者
住谷 昌彦 井上 隆弥 松田 陽一 精山 明敏 宮内 哲 真下 節 宮内 哲 精山 明敏 井上 隆弥 松田 陽一 眞下 節
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

難治性疼痛疾患の幻肢痛やCRPS を対象に、視覚系と体性感覚系(疼痛系)のcross-modalityについての心理物理研究を行い、疼痛患者の視覚情報認知が障害されていることを明らかにし、さらにその視覚情報認知を修飾することによって疼痛が寛解することを明らかにした(Sumitani M et al. Neurology 2007 ; 68 : 128-33 ; Sumitani M et al. Neurology 2007 ; 68 : 152-4 ; Sumitani M et al. Rheumatology 2008 ; 47 : 1038-43 ; Sumitani M et al. Eur J Pain 2009 in press)。これらの知見はこれまで知られていた難治性疼痛疾患の発症メカニズムに、体性感覚系だけでなく運動系が密接に関連していることを示唆し全く新規の治療への応用展開が期待できるものである。光トポグラフィーに加えfMRI による運動系と体性感覚系(疼痛系)との相互作用についての脳機能画像研究も継続して行い、deep somatic allodynia と呼ばれる運動時痛の発症メカニズムについての知見を得た。
著者
市来 弘志
出版者
学習院大学
雑誌
研究年報 (ISSN:04331117)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.47-63, 1995

2 0 0 0 OA 東紫哇文庫

著者
仮名垣魯文 作
出版者
辻岡屋文助
巻号頁・発行日
vol.三, 1862
著者
山本 淳
出版者
山形県立米沢女子短期大学
雑誌
山形県立米沢女子短期大学紀要 (ISSN:02880725)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.167-184, 2002-12-27

庄内地方「郷土本」の一つ、『筬の千言』に登場する人物の言葉に注目し、そこには上方語と庄内方言とが語法上対立的に描かれている事実を示した。また、そのうち上方語を話す人物の会話部には、ごく一部庄内方言が混入しており、こうした事例から、異郷にあっていわゆるお国言葉を用いての対話が許されること、またそのような状況下にあっては当該社会の言葉の混入を避けきれないこと、の二つの可能性を指摘した。また、このような異なる言葉を用いる人物を登場させる手法は、中央の酒落本における文芸的趣向としてすでに存しており、その延長上にあって、作品に幅を持たせると同時に、方言の資料的価値も付与することを説いた。
著者
濱口 佳和 藤原 健志
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.59-75, 2016
被引用文献数
6

本研究は, 高校生用の自記式能動的・反応的攻撃性尺度の作成, 能動的・反応的攻撃性と身体的攻撃・関係性攻撃との関連, 能動的・反応的攻撃性類型の心理・行動的特徴を明らかにすることを目的として行われた。高校1~3年生2,010名に対して, 中学生対象に開発された自記式能動的・反応的攻撃性尺度を実施し, 探索的因子分析を実施したところ, 中学生同様の6因子が得られた。検証的因子分析の結果, 仲間支配欲求, 攻撃有能感, 攻撃肯定評価, 欲求固執からなる能動的攻撃性と報復意図と怒りからなる反応的攻撃性の斜交2因子モデルが高い適合度を示した。6下位尺度については, 攻撃肯定評価でやや低いものの, 全体として高い信頼性が得られ, 情動的共感尺度や他の攻撃性尺度等との相関により併存的妥当性が実証された。重回帰分析の結果, 性別と能動的・反応的攻撃性によって, 身体的攻撃の約40%, 関係性攻撃の約30%が説明されることが明らかにされた。クラスター分析の結果, 能動的攻撃性・反応的攻撃性共に高い群, 反応的攻撃性のみが高い群の2種類の攻撃性の高い群が発見され, Crapanzanoの重篤モデルを支持する結果が得られた。
著者
小谷野 敦
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究
巻号頁・発行日
vol.38, pp.297-313, 2008-09-30

田山花袋の『蒲団』については、さまざまに評されているが、中には、伝記的事実を知らず、ただ作品のみを読んで感想を述べるものが少なくなく、また伝記的研究も十分に知られていないのが実情である。本稿では啓蒙的意味をこめ、ここ十数年の間に明らかにされた手紙類を含めて、その成立経緯を改めて纏め、「横山芳子」のモデルである岡田美知代と花袋の関係を纏めなおし、花袋がどの程度美知代に「恋」していたのかを査定するものである。

2 0 0 0 OA 榎本武揚子

著者
一戸隆次郎 著
出版者
嵩山堂
巻号頁・発行日
1909
著者
大沼 久夫
出版者
共愛学園前橋国際大学
雑誌
共愛学園前橋国際大学論集 = Maebashi Kyoai Gakuen College ronshu (ISSN:2187333X)
巻号頁・発行日
no.16, pp.9-30, 2016

1957(昭和32)年1月30日、当時の米軍群馬県相馬が原演習場内で弾拾い中の日本人農婦を米兵ジラード(William S. Girard)が射殺した事件、「ジラード事件」(当時の外務省は相馬ヶ原事件と呼称、また相馬が原演習場事件とも呼称)が起きた。事件は日米両政府(岸信介政権とアイゼンハワー=Dwight D. Eisenhower政権)間で、政治外交問題化し、特に刑事裁判権をめぐり両国政府と世論が対立した。これまでこの事件に関する先行研究 は極めて少数であった。事件の発生から裁判に至る詳細な経緯、日米両国政府の対応やマスコミ報道等の検証はほとんど行われていない。わずかに日米行政協定研究関連での検討、日本外務省公電による論究、米国議会の事件対応に関する研究、そして事件解決への日米両政府の「密約」の存在批判などである。しかし、最近、事件の全貌を解明しようとする本格的な研究書 (以下、山本2015と略)が刊行された。本論文では、山本(2015)の研究をふまえ、1950年代後半の米ソ冷戦当時の日米両政府の「ジラード事件」への対応、協議、合意、両国の世論、さらに日本をはじめとした米軍基地(米軍駐留)をめぐる問題等について、公開されている米国国務省の米国外交文書(U.S. Department of State, Foreign Relations of the United States, 以下、FRUSと略) 、公文書、新聞報道等により具体的に論述し、事件の意義と日米関係について検討を加える。
著者
山藤 和男
出版者
一般社団法人 ターボ機械協会
雑誌
ターボ機械 (ISSN:03858839)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.566-574, 1975-03-10 (Released:2011-03-18)
参考文献数
27

2 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1952年02月19日, 1952-02-19
出版者
公益財団法人 史学会
雑誌
史学雑誌
巻号頁・発行日
vol.126, no.1, pp.39-66, 2017

本稿の目的は、1887年に制定された近代日本最初の官僚任用制度である試補及見習規則期における文部省の官僚任用と文部官僚に要求された専門性・専門知識について明らかにすることである。従来、文部省・文部官僚への言及は、主に教育史領域からなされてきたが、そこでは政策過程を解明することが主眼であり、文部省・文部官僚自体がいかなる組織・集団で、官僚制度の進展とどのように関連したのかといった視角は希薄であった。本稿では、多数の帝国大学法科出身者が各省へ入省する契機となった試補規則期に焦点を当て、文部省による官僚任用の実態を明らかにした。そのうえで、雑誌『教育時論』を用いることで、文部官僚が同時代的に要求された教育行政の専門性・専門知識に関する議論を浮き彫りにした。<br> 本稿の成果は以下の三点である。<br>(1)試補規則期の文部省の試補の採用は、多数を占める帝国大学法科出身者の任用は各省中最少であり、対照的に文科出身の試補全員を任用するという点で、各省の中でも独自の人事任用を行っていた。そして、省内多数を占めた省直轄学校長兼任者・経験者とともに、文科出身者は教育行政を担うに足る専門性・専門知識を持っていると考えられていた。<br>(2)文科出身者とは異なり、井上毅文相期の省幹部が「法律的頭脳」と批判されたように、法科出身者は教育行政官としての資質において批判を受ける可能性を持った。根底には、教育とは「一科の専門」であり、法学領域の能力とは別のものであるという見解があった。<br>(3)「法律的頭脳」と批判された木場貞長は、「行政」を主として教育行政を考える自身を「異分子」と認識した。そして、木場は文部省直轄の学校長などから学校の実情を理解しないと批判されに至った。木場のような思考を持つ文部官僚が主流となるのは、文官高等試験を経て、内務省の官僚が文部省へ異動し、局長などの省内幹部を占める明治末期まで待たなければならなかった。
著者
大内 一成 土井 美和子
雑誌
研究報告 ユビキタスコンピューティングシステム(UBI)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.3, pp.1-8, 2011-05-20

社会の高齢化に伴い,高齢者・障がい者など社会生活弱者の家庭内の生活状態を見守ることの重要性が増してきている.我々は,環境側へ機器を設置せず,携帯電話などの小型情報端末にすでに搭載されている加速度センサとマイクのみを活用した生活状態見守りを検討している.小型端末上での処理を念頭に置き,計算量を抑えた認識手法として,まず加速度センサを活用してユーザの動作状態を大まかに推定し,推定した状態に応じてマイクを起動して環境音の分析を行う方式を提案する.胸ポケットに格納した試作デバイスと PC の構成でリアルタイムに生活行動を認識する 「ActivityAnalyzer」 を開発し,実際の家庭生活のデータを収集して評価した結果,加速度センサのみで歩行,作業,安静の 3 状態を概ね 95% 以上の精度で分類でき,環境音の分析により,「歯磨き」,「電気シェーバーによる髭剃り」,「ドライヤーの使用」,「トイレ水洗/手洗い」,「掃除機がけ」,「皿洗い」,「アイロンがけ」の各作業を 75.8% の精度で,本人の学習データを用いた場合は 85.9% の精度で分類できた.In aging societies, such as that of Japan, there is a growing need to watch over elderly people. We propose a low-throughput recognition technique for in-home context awareness using only off-the-shelf sensors, namely, an accelerometer and a microphone, which are commonly applied in mobile phones. The proposed technique firstly estimates a user's movement condition roughly by acceleration sensing. Secondly, it classifies the working condition in detail by acoustic sensing based on the estimated condition. As a result of our experiment, three movement conditions are classified with more than 95% accuracy by acceleration sensing: quiet, walking, and working. Moreover, it classified working into brushing teeth, shaving, drying the hair with a blower, flushing the toilet, vacuuming, washing the dishes, and ironing with 75.8% accuracy by acoustic sensing and improved the accuracy to 85.9% by training subject's own data.