著者
駒澤 敦子 鈴木 伸一 久保 義郎 丸石 正治
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.20-29, 2008-03-31 (Released:2009-04-01)
参考文献数
13
被引用文献数
1 2

本研究の目的は,社会的行動障害が生活の中でどのような情緒・行動面の問題として現れているかを明らかにする「社会適応障害調査票」を作成し,信頼性と妥当性を検討することであった。外傷性脳損傷者451 名を対象に,その家族に回答を求めた。因子分析および確認的因子分析の結果,本調査票は,自己中心性・感情のコントロール低下,自立性の低下,意思疎通の困難さ,記憶力の低下,抑うつ,状況把握の困難さの6 因子,36 項目からなることが明らかにされた。信頼性はCronbach のα係数によって,妥当性は内容的妥当性,FIM ・FAM との相関によって検討した。その結果,高い信頼性と妥当性を有することが示された。
著者
山内 知子 阪野 朋子 小出 あつみ 間宮 貴代子 松本 貴志子 勝崎 裕隆 今井 邦雄
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成26年度(一社)日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.15, 2014 (Released:2014-08-29)

【目的】愛知の地元野菜であるアシタバに着目し,生活習慣病予防を目指した機能性パンの開発を試みた。試料のアシタバの構成成分の分析と粉末アシタバ置換量が製パンの機能性亢進に与える効果について,製パン中のポリフェノール量及び抗酸化活性の変化を明らかにした。【方法】】アシタバは,2012年11月に稲沢市の栽培農家から購入し,凍結乾燥(-80℃)し粉末(250μm)にした。強力粉重量400gの内、1%(4g)、3%(12g)、5%(20g)をアシタバ乾燥粉末で置換してパンを作成し、試料とした。対照としてアシタバ無置換パンを作成した。パンの材料配合は置換したアシタバ以外は、使用したホームベーカリーに示される方法で焼成した。アシタバ成分の構造はLC-MSとNMRで分析し,ポリフェノール量はFolin Denis法,抗酸化活性はDPPHラジカル捕捉活性測定法を用いて測定した。データは多重比較法によりTukey-Kramer法で解析し,統計的有意水準は1%とした。【結果】成分分析の結果,今回実験に使用したアシタバの主要成分の一つがChlorogenic acidであることを明らかにでき, Quercetin やkaempferol の配糖体が含まれていることも示唆できた。アシタバ置換パンにおいて,ポリフェノール量・DPPHラジカル捕捉活性能は対照パンと比較して,両者ともにアシタバの置換量増加に伴い有意(p<0.01)に増加する傾向を認めた。日常的に食するパンの強力粉の一部をアシタバに置換することにより、効率的に機能性成分を摂取できる可能性が示唆された。今後,より生理活性の高まるアシタバを用いた調理・加工法について検討していきたい。
著者
村田 絵美 志方 万莉奈 岡田 真実 佐橋 磨衣子 横山 実香 小西 洋太郎
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成26年度(一社)日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.14, 2014 (Released:2014-08-29)

【目的】本研究は,玄米の発芽過程で生じる内因性酵素や機能性成分を利用し,製パン性(品質と機能性)を向上させる最適条件について検討した.【方法】強力粉100%パン(コントロール)および10%発芽玄米粉(2012年産コシヒカリを0,1,2,5日間発芽)を添加した計5種類のパンを,Panasonic SD-BMS104ホームベーカリー(約2時間のShort Course, SCおよび4時間のLong Course, LC)で焼成した.パン材料,発酵生地,焼成後のパンについて,還元糖量(BCA法),総遊離アミノ酸量(TNBS法),フィチン酸量(Wade法),GABA量(酵素法)を測定した.またパンのクラムについては卓上型物性測定機TPU-2CLを用いて硬さと凝集性を測定した.【結果】(1)発芽玄米の還元糖量は発芽2日目までは減少し,3日目以降は増加した.総遊離アミノ酸量とGABA量は,発芽日数を長いほど増加する傾向にあった.フィチン酸量は発芽3日目までは増加したが,その後減少した.(2)製パン工程において,還元糖量,総遊離アミノ酸量,GABA量はいずれも,発酵生地の段階で有意に増加し,パン焼成により減少した(しかし材料中の含量よりは高い).フィチン酸量は材料,発酵生地,パンの順に減少した.(3)SC, LCにかかわらず,焼成後のパンの比容積はコントロールと差はなかった(4~5 ml/g).SC, LCにかかわらず,発芽日数の長い発芽玄米を使ったパンほど,柔らかくなる傾向にあり,5日発芽パンが最も柔らかかった.発芽玄米パンの凝集性はいずれもコントロールよりも低かったが,発芽玄米パン同士で比較すると1,2日発芽玄米パンにおいて高かった.
著者
角田 美紀子 野村 希代子 淺井 智子 杉山 寿美
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成26年度(一社)日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.9, 2014 (Released:2014-08-29)

【目的】和食の美味しさは汁や菜を白飯と組み合わせることで成立し,汁は欠かせない。一方,生活習慣病の増加により食事全体,特に汁の塩分量の減少が求められている。しかし,飯と組み合わせた時の汁の塩味の嗜好性,すなわち食事の美味しさを保つ塩味の範囲に関する検討はなく,実際の食事における「減塩」の許容範囲は明らかでない。我々は,これまでに汁と飯の食べ方や汁の具により,汁物の塩味の嗜好性が影響されることを報告している。本報告では,レモン外皮を加えた汁物の塩味の嗜好性について報告する。【方法】官能評価は,レモン外皮を加えた塩分濃度0.4-0.9%のみそ汁,すまし汁について行った。汁に白飯あるいは桜飯(0.6%塩分)を組み合わせ,「汁の次に飯を食す(汁→飯)」「飯の次に汁を食す(飯→汁)」の場合について,汁物として最も好ましい塩分濃度,汁物として許容できる塩分濃度を選択させた。【結果】レモン外皮を加えた汁の最も好ましい塩分濃度は,レモン外皮を含まない場合と比較して,みそ汁では低濃度側に,すまし汁では高濃度側に移行した。また,すまし汁では,幅広い塩分濃度の汁が許容された。飯と組み合わせて食べた場合は,すまし汁と白飯の組み合わせを除き,最も好ましい塩分濃度は低濃度側にシフトし,低濃度(0.5-0.6%)の汁を許容できるとした者が増加した。これらのことから,レモン外皮を加えた汁物では,汁単独では低い塩分濃度の汁の嗜好性が低くなる場合がある一方で,飯と組み合わせて食べた場合では低い塩分濃度の汁物が許容され,実際の食事における「減塩」へのレモン外皮の活用の可能性が示唆された。
著者
淺井 智子 杉山 寿美
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成26年度(一社)日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.20, 2014 (Released:2014-08-29)

【目的】乳化特性を有する卵は油脂を配合しやすく,その加熱ゲルは特有のテクスチャーとなる。我々は,これまでに,乳脂肪クリームを配合したオムレツは脆弱な,菜種油を配合したオムレツはしなるような硬さ(軟らかさ)テクスチャーとなることを確認している。本報告では,これら特有のテクスチャーへの配合油脂の影響について,冷却遠心分離による脂質分画等によって検討した。【方法】オムレツは,卵液(卵黄35gと卵白65g)に,「乳脂肪クリーム30ml」,「菜種油18ml+水12ml」,「水30ml」のいずれかを加え,200℃で攪拌加熱して調製した。分析には,加熱前(10℃)および加熱過程(65℃,75℃),加熱後(80℃)の試料を用いた。試料をストレーナーに通した後,冷却遠心分離による脂質分画を行った。得られた3画分からBligh&Dyer法で脂質抽出を行い,脂肪量,リン脂質中リン量を測定した。また,SDS-PAGEは,Laemmliの方法で行った。【結果】冷却遠心分離による脂質分画の結果,卵黄脂肪は加熱前には中層に,その後は下層に多く分画され,乳脂肪クリームは加熱前後ともに上層に分画された。菜種油を配合したオムレツは,卵黄単独の場合と同様に,加熱後に,下層の脂肪量が多くなり,上層にも多く分画された。乳脂肪クリームを配合したオムレツは,加熱前においても下層の脂肪量が多く,加熱後も上層の脂肪量は少なかった。このことから,加熱により菜種油や乳脂肪クリームが卵たんぱく質に抱合され,乳脂肪クリームでその程度が大きいことが推察された。このことは,脂肪酸組成等の結果からも確認された。SDS-PAGEからは,乳脂肪クリームを配合したオムレツではオボアルブミンの加熱変性の程度が低いことが示唆された。
著者
磯部 由香 平島 円 堀 光代 長野 宏子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成26年度(一社)日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.4, 2014 (Released:2014-08-29)

【目的】調理の重要な操作として「切り方」が挙げられる。本研究では,大学の調理実習で「切り方」の扱うための知見を得ることを目的とし,大学生と専門学校新入生の「切り方」の知識とその操作を行う自信度について分析し,学生の調理技術について検討した。 【方法】2010~2013年に大学・短大・専門学校に入学した学生1,149名に対し,20種類の「切り方」の知識とその自信度についてアンケート調査した。それぞれの項目について「できる」「ほぼできる」「少しできる」「たぶんできる」「できない」「知らない」から選択回答させた。その結果から20種類の切り方をクラスター分析により分類した。 【結果】学生が「知っている」切り方は「リンゴの皮むき」「みじん切り」「ジャガイモの皮むき」の順で多かった。しかし,学生が「できる」と回答した,すなわち自信度の高い切り方は「輪切り」「みじん切り」「いちょう切り」の順だった。「皮むき」については自信度が低かった。学生の自信度により切り方を分類したところ,自信度の高い切り方が7種類,個人差の大きい切り方5種類,自信度の低い切り方8種類と3つに分類された。自信度の高い切り方は高等学校までの教科書に多く記載されている切り方で,自信度の低い切り方は教科書にほとんど記載されていなかった。したがって,学生の調理技術を高めるためには経験することが重要であり,大学の授業で扱う必要があるとわかった。また,大学で調理実習を行う予定の学生と行わない学生に分けて切り方を自信度別に分類したが,調理実習を行う学生のほうが自信度の高い切り方が少なかった。実習を行う予定の学生のほうが調理の難しさを理解しているのではないかと推察された。
著者
野田 敏郎 松浪 斉
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
ポリマー材料フォーラム講演要旨集 第13回ポリマー材料フォーラム
巻号頁・発行日
pp.230, 2004 (Released:2010-03-29)

プラスチックは軽量性や透明性に優れ、加工が容易で経済的なため幅広く用いられている反面、軟らかく傷付き易いため、表面にハードコート処理を施す必要性がある。しかしながら昨今の市場要求は、単純に硬さだけをもたせるのではなく、防汚性、帯電防止、防曇性といった機能性を付与したものが多く、弊社でもそれらの機能性を有するUV硬化型ハードコート剤の開発を鋭意検討している。本報では、防汚性コーティング剤の開発について報告する。日常生活のなかで、「汚れ」は避けられないものである。携帯電話やタッチパネルのディスプレイ、プラスチック成形物、壁紙等は、人の手に触れることで指紋や皮脂が付着する。また、時にはマジックインキなどの拭き取り難い汚れが付着することも考えられる。これらの汚れが付着すると美観を損ねるだけでなく、場合によっては機能の低下をもたらすこともある。これらの弊害を防ぐため、従来はハードコート剤にシリコーン系添加剤を添加するといった処方が用いられてきた。シリコーン系添加剤は、表面自由エネルギーが低いという特性も有するため、有効成分が表面にブリードした塗膜となる。その為、シリコーン系添加剤においては、繰り返し使用において効果が持続し難いといった防汚耐久性に問題点がある。我々は上記の課題に着目し、シリコーン成分をUV架橋オリゴマーに導入することで、防汚耐久性に優れた特性を有するUV硬化型の防汚性コーティング剤を開発した。本報では、弊社開発品に関する特性について紹介する。
著者
実生 史朗 藤村 俊伸 脇 一徳
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
ポリマー材料フォーラム講演要旨集 第13回ポリマー材料フォーラム
巻号頁・発行日
pp.217, 2004 (Released:2010-03-29)

電気・電子機器には数多くの有機材料が用いられているが、その多くは可燃吐物質であり、難燃性を付与するべく難燃剤が添加されている。これまで主流として用いられてきたハロゲン系難燃剤は、難燃化能は高いものの、加工時・燃焼時に発生する有毒ガスや廃棄燃焼処理時に発生するダイオキシン類似化合物の副生が指摘されており、その使用は規制されつつあり、ノンハロゲン化の動きが活発になってきている。我々は、カルボン酸をビニルエーテルにより熱潜在化する技術(以降、ブロック酸技術と呼ぶ)をキーテクノロジーとした電子材料の開発を行っているが、そのブロック酸技術を取り入れた新規反応型リン系膨然剤(潜在性リン系硬化剤)を見出し、ノンハロゲン難撚性コーティング材についての検討を行った。
著者
石川 英章 室賀 嘉夫 星 徹 萩原 俊紀 矢野 彰一郎 澤口 孝志
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
ポリマー材料フォーラム講演要旨集 第13回ポリマー材料フォーラム
巻号頁・発行日
pp.207, 2004 (Released:2010-03-29)

我々は気体の拡散性と液体の溶解性を併せ持つ超臨界二酸化炭素(scCO2)流体を用いて、汎用結晶性高分子のラメラ繰り返し構造間の全ての非晶層に通常熱力学的に混じり合わない非晶性高分子を結晶が融解しない条件で分子分散させるナノハイブリッドの創製を目指している。既にイソタクチックポリプロピレン(ipp)にメタクリル酸メチル(MMA)を含浸・重合して調製したハイブリッドはiPPの結晶領域をほとんどそのまま保持し、生成したPMMAがPPのラメラ繰り返し構造間の非晶層にナノメートルオーダーで分散していることを見出した。本研究では結晶が融解する温度においても形成されたナノ分散構造が容易に崩壊しない分散系を調製し、その構造を解析した。
著者
森川 聖士 井上 眞一
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
ポリマー材料フォーラム講演要旨集 第13回ポリマー材料フォーラム
巻号頁・発行日
pp.206, 2004 (Released:2010-03-29)

ポリウレタンエラストマー(PUE)はゴム弾性および機械的特性に優れる反面、耐熱性に劣る欠点を持つ。PUE の特性を生かしつつ、耐熱性を改善する手法の一つに有機-無機複合化が挙げられる。1990年頃から金属アルコキシドを出発原料とするゾルーゲル法を用いた有機-無機複合化に注目が集まるようになり、ナノメートルオーダーで無機物を有機高分子化合物中に分散させることが可能であることからさかんに研究が行われるようになった。当研究室では金属アルコキシドに類似し、原料として非常に安価な水ガラス(ケイ酸ナトリウム)を用いたシリカ-ヒドロゾル法によるPUE の有機-無機複合化に関する研究を行っている。今回は、PUE の構造が有機-無機複合化に与える影響について検討した結果を報告する。
著者
元橋 一之
出版者
公益財団法人 医療科学研究所
雑誌
医療と社会 (ISSN:09169202)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.55-70, 2007 (Released:2009-06-27)
参考文献数
10
被引用文献数
1 2

米国と比較して日本のバイオベンチャーの活動は遅れているといわれている。本稿ではこの点について日米のバイオベンチャーに関する企業レベルデータ(日本については443社(うち上場企業12社),米国については1,446社(うち上場企業431社)の2004年時点データ)を用いて定量的な分析を行った。分析結果によると,まず日本におけるバイオベンチャーは設立からの年月や技術分野をコントロールしても米国企業より相当程度規模が小さいことがわかった。また,日本のバイオベンチャーは時間とともに企業が大きくなっているのに対して,米国企業は設立年によって規模は大きく変わらない。これは日本のバイオベンチャーは米国と比べて比較的新しい企業が多いことから規模が小さいのではなく,そもそも事業モデルが違うことを示唆している。更に,米国のベンチャー企業はリスクが比較的高いといわれている「医療・健康」分野において飛びぬけて多額の研究資金を投じているのに対して,日本においては総じて研究開発費の額が小さく,技術分野による違いがみられなかった。つまり,日本のベンチャー企業はリスクの高い研究プロジェクトに多額の研究資金を投じるのではなく,低リスク分野で研究サービスなどの「日銭」を稼ぎながら事業を行っているということである。このような日米のバイオベンチャーの違いの背景にはベンチャーキャピタルなど資金環境が異なることの影響が大きいのではないかと考えられる。