著者
遠藤 次郎 中村 輝子
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.435-444, 2005-05-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
19
被引用文献数
2 1

初代曲直瀬道三 (1507-1594) 原著, 二代目曲直瀬道三 (曲直瀬玄朔, 1549-1631) 増補と言われている江戸時代のベストセラー,『衆方規矩』を検討し, 以下の結果を得た。(1)『衆方規矩』は, 曲直瀬玄朔の弟子, 岡本玄冶 (1587-1645) が口述し, 岡本玄冶の弟子が編纂したと推測される。(2)『衆方規矩』に収載されている処方の70%は〓廷賢の医方書からの引用である。彼の著作の中でも, 殊に『万病回春』からの引用が多く,『衆方規矩』の処方の約60%は『万病回春』からの引用である。(3)『衆方規矩』は「基本処方とその加減方」という医学体系を基本にしている。本書が『万病回春』を採用した理由として,『万病回春』が加減方を数多く記していることが挙げられる。(4)『衆方規矩』には非常に多くの版本があるが, それらは3つの系統に大別される。
著者
鈴木 達彦
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3, pp.289-298, 2010 (Released:2010-09-07)
参考文献数
29

『古今方彙』の各種版本における引用の傾向,甲賀通元の編纂の姿勢,および後代の影響について検討した。1.甲賀通元以前の『古今方彙』は,『万病回春』を初めとする龔廷賢の医書や,『医学入門』などの新方を中心とした処方集である。2.通元は,『刪補古今方彙』,『重訂古今方彙』において,2度考訂している。現在一般的な『重訂古今方彙』は,『万病回春』,『医学入門』,薛己医書等の新方が中心の処方集である。3.通元は処方の増補以外に,旧版の出典文献を訂正し,処方名や処方中の薬物や分量を訂正した。4.原『古今方彙』は,新方を選集する立場に立って成立した処方集であるが,通元の時代に良質の経験方を選集する見方が加わっている。後の日本漢方では経験方が重視されるが,『古今方彙』はその先駆けと見ることができる。5.『衆方規矩』は,基本処方と加減方という体系で治療を組み立てる処方集である。時代が下るとともに同書は『古今方彙』と同じ性格をもつようになる。
著者
坂本 毅啓
出版者
大阪健康福祉短期大学
雑誌
創発 : 大阪健康福祉短期大学紀要 (ISSN:13481576)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.77-92, 2009-03

介護の現場において起きている介護職員の不足と、将来必要とされる介護職員の確保は、現在の介護保障制度において重要な課題となっている。本論では厚生労働省による『「社会福祉事業に委従事する者の確保を図るための措置に関する基本的な指針」の見直しについて』と総務省による『介護保険事業等に関する行政評価・監視<評価・監視結果に基づく勧告>』を基にして、介護職員の不足問題を整理し、現状とその背景を分析した上で、将来必要とされる人材の確保が難しい見通しを示した。それをふまえて、労働経済学を用いて介護職における労働供給曲線と労働需要曲線を導きだし、現在の労働市場の均衡を示した。それにより、介護職員を増やすためには民間企業と同様に賃金の引き上げが必要であることを明らかにした。またそのためには介護事業所における事業収入を増やすことが必要であると指摘した。そして事業収入を増やしつつ、あわせて平等消費型介護保障制度を維持するには、介護報酬を引き上げることが不可避であると明らかにした。それに伴う国民の負担増については、介護保険料の定額制から定率制への移行、収入分の使途を社会保障に限定した消費税率の引き上げによって行うことを提案した。
著者
田村 亮子
出版者
清泉女学院大学人間学部
雑誌
清泉女学院大学人間学部研究紀要 = Bulletin of the Faculty of Human Studies Seisen Jogakuin College (ISSN:21893632)
巻号頁・発行日
no.14, pp.41-60, 2017-03-15

Levels of Japanese learners’ proficiency in English have been divided into two extremes. Proficiency level of the one extream is B1 or higher on the CEFR scale, while that of the other is A2 or lower. What is needed for English learners to attain B levels is intensive and extensive reading training on the basis of an integrated understanding of English Grammar. The number of those who do not have enough opportunities for this training is increasing, however. This is the first of my papers in which I examine the reasons which underlie this bipolarization, the problems it has been causing in the fields of English education, society, culture, and politics, and suggest ways to solve those problems.
著者
小笠原啓
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1480, pp.106-108, 2009-03-02
被引用文献数
1

こぐ力をモーターで補助する電動アシスト自転車の売れ行きが好調だ。業界団体のまとめによると、2008年の国内出荷台数は31万5663台。昨年初めて排気量50cc以下の原付きバイクを台数ベースで上回った。 今年はさらなる普及が見込まれる。キーワードは「新基準対応」。
著者
星野 豊
出版者
学事出版
雑誌
月刊高校教育
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.96-97, 2009-01
著者
Youichi Yanagawa Kouichirou Nishi Naoyuki Kaneko
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
Internal Medicine (ISSN:09182918)
巻号頁・発行日
vol.47, no.7, pp.659-661, 2008 (Released:2008-04-01)
参考文献数
18
被引用文献数
1 2

A 65-year-old woman with a sore throat and cough suddenly collapsed. She regained spontaneous circulation following resuscitation, but hypoxic encephalopathy was identified. Her vocal cords and the results of chest radiography were normal and no obstructive mass was identified in the neck on computed tomography (CT), but she demonstrated signs of obstructive upper airway. Bronchoscopy revealed tracheal stenosis. Chest CT showed tracheal compression by an esophageal tumor. Investigation of the trachea and surrounding organs by bronchoscopy and CT is important even when a patient with suspected respiratory arrest displays normal findings on chest radiography.
著者
高松 里江
出版者
関西社会学会
雑誌
フォーラム現代社会学 (ISSN:13474057)
巻号頁・発行日
no.11, pp.54-65, 2012-05-26

これまで、アメリカを中心とする多くの研究は、性別職域分離は賃金格差の要因になることを示してきた。また、いくつかの研究は、技能とその指標となる制度をコントロールすることで、性別職域分離がどのようなメカニズムで賃金に影響するのかを明らかにしてきた。一方、日本ではいくつかの研究が性別職域分離は賃金格差の要因であることを示唆してきたが、対象となる職種が少なく、また、技能について十分に考慮されていないという課題があった。そこで本稿は、日本において、性別職域分離が日本型雇用制度と専門職制度のなかの技能とどのように結びつき、賃金に影響するのかについて分析を行った。分析には2006年および2008年に日本全国を対象に実施したJGSS調査を用い、対数変換後の時給を従属変数とする重回帰分析を行った。職種の女性比率から、男性職、混合職、女性職の3つに職種に分けて分析を行ったところ、(1)混合職と比べると女性職では賃金が高いこと、(2)女性職は混合職と比べて対物技能が高いために賃金が高いこと、(3)女性職の多くは専門職として対人技能が高いために賃金が高いことが示された。従来の研究では、性別職域分離は女性の地位を低める効果があるとされてきたが、本稿の結果からは、性別職域分離が対物技能や専門職制度を通じて女性の賃金を高めることが明らかになった。
著者
大蘇芳年 画
出版者
井上茂兵ヱ
巻号頁・発行日
vol.1, 1880
著者
SENGOR A. M. C.
出版者
Cambridge University Press
雑誌
The Tectonic evolution of Asia
巻号頁・発行日
pp.486-640, 1996
被引用文献数
1
著者
可児徳子 末高武彦編
出版者
医歯薬出版
巻号頁・発行日
2005
著者
小山 憲司
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.65, no.9, pp.372-378, 2015-09-01 (Released:2017-04-13)

本稿は,情報通信技術の発達に伴うコレクション構築の現状と課題について,国内の大学図書館を中心に検討した。その結果,情報通信技術はオンライン出版物をはじめ,電子的に提供されるコンテンツの増加をもたらすとともに,多様な提供方法を開発しつつあることが確認された。一方,今なおハイブリッド図書館の時代にあるなか,冊子体資料,電子資料のいずれにも対応しつつ,コレクションを維持・管理することが図書館に求められていることも明らかとなった。情報通信技術によって,より電子的な情報入手の環境が整備されつつある現在,利用者の情報利用行動をも考慮した情報アクセス環境を整備していく必要がある。