著者
柳 京煕
出版者
養賢堂
雑誌
畜産の研究 (ISSN:00093874)
巻号頁・発行日
vol.63, no.6, pp.598-602, 2009-06

2007年6月30日に米韓の両政府代表による米韓FTA協定書の署名が行われ、2007年12月に韓国の新大統領に当選した李明博氏は米韓FTAを強く支持していたことや、与党が国会の過半数を占めたことから、米韓FTAの国会批准は楽観的に思えた。しかし米韓FTAの推進の引き換えに、BSE問題で輸入が禁じられていた米産牛肉輸入の再開が進められたことが明らかになり、政権運営に大きな支障を来たしている。一方米国では民主党政権誕生により、米韓FTAの再交渉の話まで浮上しており、両国の国会での批准が遅れている。本稿ではこれら政治状況を含む最新の動向を紹介しながら、米韓FTAに伴う農業関連の交渉結果と、とくに畜産業へ及ぼす影響について考えたい。
著者
橋本 貢士 小川 佳宏
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.104, no.4, pp.697-702, 2015-04-10 (Released:2016-04-10)
参考文献数
10

肥満症の発症と進行には,遺伝因子である肥満関連遺伝子と,栄養や運動などの環境因子が密接に関与している.近年,次世代シークエンサーの登場により全身の遺伝子多型が網羅的かつ迅速に解析することが可能になり,新たな肥満関連遺伝子であるfat mass and obesity associated(FTO)遺伝子が同定された.また,環境因子による遺伝子発現制御機構であるエピジェネティクスの肥満症における新たな知見,特に,DNAメチル化による遺伝子発現制御機構の知見が急速に蓄積している.
著者
兼保 直樹 吉門 洋 水野 建樹 田中 敏之 坂本 和彦 王 青躍 早福 正孝
出版者
Japan Society for Atmospheric Environment
雑誌
大気汚染学会誌 (ISSN:03867064)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.80-91, 1994

関東地方で初冬季に出現する広域・高濃度NO<SUB>2</SUB>現象の要因として, 数値実験的にはその寄与が指摘されていたNO<SUB>x</SUB>-炭化水素系光化学反応を, 野外観測によって捉えることを試みた。 NO<SUB>2</SUB>の高濃度 (>90ppb) が観測された1991年11月26, 27日および12月6, 7日に東京都都心部の高層ビル屋上および地上, 東京湾岸の東京都環境科学研究所, 関東平野内陸部の4地点および筑波山頂上において光化学反応に関与する物質の測定を行い, 各物質濃度の経時変化を検討した。<BR>東京都都心部でのperoxyacetylnitrate (PAN) 濃度は最高3.9~11.7ppbと高濃度を示し, 経時変化は [PO (=NO<SUB>2</SUB>+O<SUB>3</SUB>)-NO<SUB>2</SUB><SUP>Prime</SUP> (直接排出起源のNO<SUB>2</SUB>)] の経時変化と類似した挙動を示した。 高層ビル屋上で測定されたNO<SUB>3</SUB><SUP>-</SUP>濃度は12月7日以外の3日間は日中に顕著な増加を示し, 特に12月6日に最高59μgm<SUP>-3</SUP>と非常な高濃度に達した。 アセトアルデヒド/CO比は12月6, 7日の日中に顕著な増加を示した。 これらの指標物質の挙動から, 高濃度NO<SUB>2</SUB>の出現時に光化学反応が生じていたことが明らかとなった。 また, 船舶による東京湾内での観測結果より, 東京湾上空ではPOはO<SUB>3</SUB>の形で存在する割合が大きいことが示唆された。 さらに, 関東平野内陸部での観測結果より, 冬季光化学大気汚染はNO<SUB>3</SUB><SUP>-</SUP>の生成を通して高濃度SPM現象の一因となる場合があることが明らかとなった。
著者
広田 知良 山﨑 太地 安井 美裕 古川 準三 丹羽 勝久 根本 学 濱嵜 孝弘 下田 星児 菅野 洋光 西尾 善太
出版者
日本農業気象学会
雑誌
生物と気象 (ISSN:13465368)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.34-45, 2017 (Released:2017-04-10)
参考文献数
67
被引用文献数
10

Although climatic conditions had hindered the introduction of Pinot Noir, a cultivar of wine grape (Vitis vinifera), to areas such as Yoichi and Sorachi, Hokkaido, northernmost Japan, the growing region of the cultivar has recently extended. We analyzed meteorological data to obtain the rationale for the successful cultivation of Pinot Noir in Hokkaido; climate shift since 1998 pointed by Kanno (2013), i.e., rise in summer temperature, facilitated cultivation of the variety. Today, Yoich and Sorachi have become the right locations for growing the cultivar, and it has also been grown in other areas. Indeed, the vintage chart in Tokachi indicated the consistent, good harvest of grape since 1998. There is negative correlation in the average monthly temperature between April and August, and positive correlation between August and September ever since the climate shift. We hypothesize the benefits of the climate shift in terms of wine production as follows: 1) in years with low April temperature and high summer temperature, the growth rate in early stage delays, but the temperature required for grape maturation is secured by high temperature in August and September; and 2) in years with warm April and subsequent cool summer, early growth start keeps the growing season long enough, which may have compensated the risk of poor grape maturation in cool summer. Thus, climate change is considered to have favored the cultivation of Pinot Noir in Hokkaido.
著者
大嶋 光昭
出版者
[出版者不明]
巻号頁・発行日
2006-02

制度:新 ; 文部省報告番号:乙2020号 ; 学位の種類:博士(工学) ; 授与年月日:2006/2/24 ; 早大学位記番号:新4189
著者
近藤 淳実
出版者
日本箱庭療法学会
雑誌
箱庭療法学研究 (ISSN:09163662)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.29-40, 2015

本論文は,性的虐待の疑われた女児の児童養護施設内でのプレイセラピーの事例検討である。5歳8カ月で児童相談所に保護されてから,今までとはまったく異なる世界で適応していかなければならなかった。本児童がその生活に安住するためには,今までの生活は何であったのかを心の中に収めるための物語が必要であった。過去の生活を垣間見るプレイと今の生活を確認するプレイを繰り返しながら,本人の過去を収めていく過程を考察した。
著者
森岡 周 大住 倫弘 坂内 掌 石橋 凜太郎 小倉 亮 河野 正志
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
第52回日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
2017-03-24

【はじめに,目的】運動イメージの想起を求める臨床手続きはメンタルプラクティス課題を含め,脳卒中後の上肢運動障害に対して効果を示すことが数多く報告され,医学的根拠も明確になっている(Langhorne 2009)。加えて,運動イメージ時の脳活動は実運動と等価的であることが我々の研究(Nakano, Morioka 2014)他,多くの研究で明らかになっている。しかしながら,運動イメージの定量的評価が臨床場面に導入されていない背景から,運動イメージ能力が直接的に片麻痺上肢機能に関与するかは不明である。本研究では,両手協調運動課題(bimanual circle-line coordination task:BCT)を用いて,運動イメージ能力を定量的に調べ,運動イメージ能力が片麻痺上肢の運動機能や麻痺肢の使用頻度に関係するかを明らかにする。【方法】対象は認知障害のない脳卒中片麻痺患者31名である。BCTにはタブレット型PCを使用し,その課題はunimanual-line(UL):非麻痺側のみで直線を描く条件,bimanual circle-line(B-CL):非麻痺側で直線を描き麻痺側で円を描く条件,imagery circle-line(I-CL):非麻痺側で直線を描き麻痺側で円を描くイメージを行う3条件で行い,各々12秒間3セット,ランダムに実施した。描かれた直線を記録し,その軌跡をMatlab R2014b(MathWorks)を用いて解析した。解析は軌跡を1周期ごとに分解し,その歪みを数値化するためにovalization index(OI)を求めた。OIは[X軸データの標準偏差/Y軸データの標準偏差]×100により算出した。運動麻痺の評価にはFugl-Meyer Motor Assessment(FMA),日常生活での使用頻度にはMotor Activity Log(MAL)のAmount of Use(AOU),動作の質にはMALのQuality of Movemen(QOM)を用いて評価した。一元配置分散分析後,多重比較検定(t-検定)を用い3条件のOI値を比較した。また,I-CLのOIとFMA,AOUおよびQOMの関係を調べるためにピアソン相関係数を求めた。有意水準は5%とした。【結果】ULに対しB-CLおよびI-CLのOIで有意な増加を認めた(p<0.00001)。I-CLのOIとFMAの間に有意な相関がみられないものの,I-CLのOIとAOM(r=0.3883,p<0.0154)およびQOM(r=0.3885,p=0.0153)に有意な相関関係を認めた。【結論】本結果から,非麻痺側で直線を描き,麻痺側で円を描くイメージを行う条件であっても有意な楕円化を認めた。すなわち,運動イメージの存在を定量的に確認することができた。一方,それは運動麻痺の程度に直接に関係しないものの,麻痺肢の使用頻度や動作の質に関係することが明らかになった。今後は,運動イメージ能力が向上することで,麻痺肢の使用頻度が増加し,それに基づき運動障害が質的に改善するか,縦断的調査を試みる必要がある。

2 0 0 0 OA [喜多正本]

著者
喜多六平太 著
出版者
江島伊兵衛
巻号頁・発行日
no.1, 1911
著者
佐藤 成基
出版者
茨城大學政経學會
雑誌
茨城大学政経学会雑誌 (ISSN:02865734)
巻号頁・発行日
no.74, pp.27-43, 2004-03
著者
岡 邦信
出版者
法制史学会
雑誌
法制史研究 (ISSN:04412508)
巻号頁・発行日
no.48, pp.1-34,en3, 1998

Regarding the legislative process of the Kamakura-Bakufu Government's Law, nothing more than the general explanation "being legislated through the discussion of Hyojoshu (_??__??__??_)" is known.<BR>The purpose of this article is to clarify the concrete process of legislation of the Kamakura-Bakufu Government's Law. Firstly, this article takes notice of the Re-abolishment of Human Traffic executed from 1239 to 1240 (_??__??__??__??_-_??__??_).<BR>Consequently, this article presumed Tsuikaho (_??__??__??_) item 112 (contained in volume I of Chusei Hosei Siryoshu (_??__??__??__??__??__??__??_)) was the Mandokoro (_??__??_)'s draft and item 111 was Hyojokotogaki (_??__??__??__??_).<BR>Accordingly, the Mandokoro (_??__??_) was ordered to make draft of Reabolishment of Human Traffic by the Bakufu.<BR>Then this draft showed it was discussed and settled by Hyojo (_??__??_).<BR>And then this article clarified that this series of law contained in Chusei Hosei Siryoshu enacted as an attachment of Tokusei Rei (_??__??__??_) in 1297 (_??__??__??__??_) was the draft of Monchujo (_??__??__??_).<BR>And those laws shown to make draft was ordered by the Kamakura-Bakufu Government.<BR>Lastly, referring to Eninsannenki (_??__??__??__??__??_), this article examined the whole process from the beginning when an organ of the Kamakura-Bakufu Government was ordered to make draft by Tokuso (_??__??_) until the law was legislated.
著者
古橋 健斗 松本 拓也 福田 浩章
雑誌
研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:21888795)
巻号頁・発行日
vol.2017-OS-140, no.1, pp.1-6, 2017-05-09

クラウドサービスでは,アプリケーションを提供するサービス提供者が物理マシンやネットワークを保有するインフラ提供者から必要に応じてリソース (e.g., 仮想マシン) を確保し,サービスを提供している.サービス提供者は,最大負荷 (必要になる仮想マシンの最大数) を見積もることでサービスの円滑な運用を目指しているが,予め見積もることは難しい.一方,インフラ提供者は,物理マシン,仮想マシンの負荷状況 (e.g, CPU やメモリ使用量) をもとに仮想マシンを再配置し,データセンタ全体の運用効率向上を目指している [1] [2].この検証には実運用に適用することが望ましいが,サービス提供者の SLA を保証する必要があり,実現は難しい.また,大規模なデータセンタを準備することも難しいため,シミュレーションでの検証を行わざるをえない [3].そこで本研究では,RaspberryPI を利用し,サービス提供者,インフラ提供者それぞれの要求を容易にテストできる環境を提供する.具体的には,複数の RaspberryPI を使用した仮想データセンタの構築と負荷状況の監視,仮想マシンの操作を実現する.また,必要に応じて仮想マシンを増減し,スケールアウトする機能を実現する.そして,仮想マシンの移動,スケールアウトを本環境で実行し,その機能性能を示す.
著者
清水 祐太郎 山田 浩史
雑誌
研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:21888795)
巻号頁・発行日
vol.2017-OS-140, no.14, pp.1-11, 2017-05-09

メモリ技術の発達により,メインメモリサイズの巨大化が進んでいる.こうした主記憶が大規模な環境では TLB ミスによるレイテンシが問題となる.TLB ミスを減らす手法の一つとして,HugePage の利用が挙げられる.HugePage を利用することによって,ページテーブルの 1 エントリあたりがカバーできるアドレスの範囲が拡大し,TLB のカバレッジも同様に増加する.これまでに HugePage を利用するための手法がいくつか提案されている.しかしながら,アプリケーション自身がメモリ管理を行う場合では,いずれの手法でも十分に効率的な割り当ては行えない.本研究では,アプリケーションレベルでのメモリ管理を考慮しながら,効率的に HugePage を割り当てるための手法を提案する.今回提案する手法によって,必要とする分だけ HugePage を利用することが可能になる.本研究では,提案手法を Linux kernel 4.7.10 と memcached 1.4.31 上に実装を行った.性能評価を行い既存手法と比較した結果,実メモリ使用量のデフォルトからの増加量を 93.6% 程度削減しながら,既存手法の約 99.4% のスループットを達成した.
著者
Emile Mehanna Hiram G. Bezerra David Prabhu Eric Brandt Daniel Chamié Hirosada Yamamoto Guilherme F. Attizzani Satoko Tahara Nienke Van Ditzhuijzen Yusuke Fujino Tomoaki Kanaya Gregory Stefano Wei Wang Madhusudhana Gargesha David Wilson Marco A. Costa
出版者
日本循環器学会
雑誌
Circulation Journal (ISSN:13469843)
巻号頁・発行日
vol.77, no.9, pp.2334-2340, 2013 (Released:2013-08-23)
参考文献数
23
被引用文献数
15 67

Background: Coronary artery calcification (CAC) presents unique challenges for percutaneous coronary intervention. Calcium appears as a signal-poor region with well-defined borders by frequency-domain optical coherence tomography (FD-OCT). The objective of this study was to demonstrate the accuracy of intravascular FD-OCT to determine the distribution of CAC. Methods and Results: Cadaveric coronary arteries were imaged using FD-OCT at 100-μm frame interval. Arteries were subsequently frozen, sectioned and imaged at 20-μm intervals using the Case Cryo-Imaging automated systemTM. Full volumetric co-registration between FD-OCT and cryo-imaging was performed. Calcium area, calcium-lumen distance (depth) and calcium angle were traced on every cross-section; volumetric quantification was performed offline. In total, 30 left anterior descending arteries were imaged: 13 vessels had a total of 55 plaques with calcification by cryo-imaging; FD-OCT identified 47 (85%) of these plaques. A total of 1,285 cryo-images were analyzed and compared with corresponding co-registered 257 FD-OCT images. Calcium distribution, represented by the mean depth and the mean calcium angle, was similar, with excellent correlation between FD-OCT and cryo-imaging respectively (mean depth: 0.25±0.09 vs. 0.26±0.12mm, P=0.742; R=0.90), (mean angle: 35.33±21.86° vs. 39.68±26.61°, P=0.207; R=0.90). Calcium volume was underestimated in large calcifications (3.11±2.14 vs. 4.58±3.39mm3, P=0.001) in OCT vs. cryo respectively. Conclusions: Intravascular FD-OCT can accurately characterize CAC distribution. OCT can quantify absolute calcium volume, but may underestimate calcium burden in large plaques with poorly defined abluminal borders.  (Circ J 2013; 77: 2334–2340)