著者
中川 久嗣
出版者
日本哲学会
雑誌
哲学 (ISSN:03873358)
巻号頁・発行日
vol.1998, no.49, pp.271-279, 1998-05-01 (Released:2009-07-23)

ミシェル・フーコーの思想を前期と後期に分けるよく知られたやり方に従うならば、『知の考古学』 (L'archéologie dusavoir, 1969) は、前期最後の著作として位置づけられ、一般には知のシステム性へと向けられた彼の前期の思想内容を方法論的レヴェルで総括したものと言われている。そこでのフーコーの主要な眼目は、言表や言説の特殊な規則性とその自律的性格を明確化し、それに基づいて知の特殊な布置の構造を、実定性やアルシーヴや歴史的先験性といった諸概念を用いて分析する、いわゆる考古学的方法論の理論化を行うことであった。ところでドレィファスとラビノーの研究 (以下、D/Rと略記) は、フーコーの前期の考古学を、あまりにも自律的な言説の構造に捕らわれ過ぎた点で方法論的失敗であるとし、フーコーがそれを放棄して権力分析を目指す後期の「系譜学」へ移行したことをより高く評価する。実際フーコー自身、考古学にかわって系譜学を自らの方法として全面に打ち出すようになるであろう。しかし前期フーコーの思想と言われるものは、D/Rの言うように、本当に失敗であり、つまりは意味のないものなのであろうか。本稿ではこのような視点から、構造主義に最も強く影響されていたとされるこの時期の著作『知の考古学』における「言表/言説」と「実定性」の概念を取り上げ、そのうちに、後期の権力論へと続いてゆく基本的な考え方と可能性が存していることを明らかにしようとするものである。
著者
佐藤 毅 安井 一民 中川 軍夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1996, 1996-09-18

多重プログラミングにおける主メモリの管理方式は、大別して実記億方式と仮想記億方式に分けられる。いずれにおいてもシステム動作に伴う主メモリの未使用領域発生がメモリ利用効率を低下させる。そのための改善策として、可変区画割当てにおける外部フラグメテーションの解消にコンパクション(compaction)やシステム資源の利用効率改善のためのスワッピング(swapping)などが適時実行される。ここでは実記憶方式をもつ主メモリ管理システムにおいて、システム資源の効率的利用の視点からコンパクションとスワッピングの2つの機能を組み合わせた新しいメモリ管理モデルを確率モデルとして定式化し、主メモリのコンパクション(ガベジコレクション:以下GC)間隔について議論する。
著者
鈴木 慎一 中川 孝之 池田 哲臣
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.36, no.30, pp.49-52, 2012-07-12
被引用文献数
1

ハイビジョ映像を低圧縮・低遅延で無線伝送する高性能なワイヤレスハイビジョンカメラ「ミリ波モバイルカメラ」の開発を進めている.このミリ波モバイルカメラは,42-GHz帯電波と複数の送受信ダイバーシティ技術を用いて伝送容量や回線信頼性の向上を実現しており,ゴルフ中継などの屋外中継や,紅白歌合戦などの屋内撮影で数多く使用されている.今回,屋内および屋外の実撮影環境におけるミリ波モバイルカメラの伝送テストを通して4系統の受信IF信号を連続記録し,伝搬特性の解析を行った.そして,屋内および屋外の実撮影環境における伝搬特性について,それぞれ定量的評価を行ったので,報告する.
著者
鈴木 慎一 中川 孝之 池田 哲臣
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EMCJ, 環境電磁工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.464, pp.1-6, 2010-03-05
被引用文献数
2

ハイビジョン映像を低圧縮・低遅延で無線伝送する高性能なワイヤレスハイビジョンカメラの研究を進めている.これまで,伝送容量の増大と回線信頼性の向上を目的として,ミリ波帯(42GHz帯,55GHz帯)の電波とを受信ダイバーシティ技術含むMIMO-OFDM伝送技術を用いたワイヤレスハイビジョンカメラ「ミリ波モバイルカメラ」の開発を行ってきた.そして,屋内撮影用・屋外撮影用のミリ波モバイルカメラを試作し,複数の番組撮影で使用した.今回,使用された番組の中からオープンゴルフ選手権,第60回NHK紅白歌合戦,ジャンプスキー競技の撮影で使用したミリ波モバイルカメラのシステム構成と運用方法について報告する.
著者
鈴木 慎一 中川 孝之 池田 哲臣
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.35, no.10, pp.35-38, 2011-02-18
被引用文献数
2

ハイビジョン映像を低圧縮・低遅延で無線伝送する高性能なワイヤレスハイビジョンカメラ「ミリ波モバイルカメラ」の開発を進めている。この開発には、カメラから副調整室に撮影映像を無線伝送する「本線伝送」と副調整室からカメラにカメラ制御信号や確認用映像を無線伝送する「送り返し伝送」の実現が必要となる。今回、42GHz帯電波と複数の送信アンテナを用いるSTBC伝送技術を適用して高い回線信頼性を実現した42GHz帯送り返し伝送システムを開発し、送り返し用ハイビジョン映像や双方向通信が必要なカメラ制御信号の無線伝送、ハイビジョンカメラのゲンロック同期およびインカム通信を実現した。また、開発した42GHz帯送り返し伝送システムは第61回NHK紅白歌合戦の撮影に使用され、安定した送り返し無線伝送に成功した。
著者
中川 ヒロミ
出版者
日経BP社
雑誌
日経コミュニケーション (ISSN:09107215)
巻号頁・発行日
no.427, pp.72-82, 2004-12-01

「我々が参入しなかったら,→ADSLは今ほど普及しなかった。そして今度,我々が選んだのはFTTHだ」。ソフトバンクの孫正義社長は10月,自慢気にFTTHサービス「Yahoo! BB 光」を発表した。いつものように「世界初のギガ・サービス」,「テレビの見方を変える」などの孫節を連発して,自社サービスを強力にアピールした。
著者
中川 種昭 島田 篤 宮下 博行 坂下 顕照 北村 秀和 大島 みどり 島 信博 角田 正健 山田 了
出版者
特定非営利活動法人日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.907-915, 1992-12-28
被引用文献数
22 1

本研究は,各種電動歯ブラシを用い,ヘッド部の動きの違いによるプラーク除去効果および手用歯ブラシとの比較検討を行った。被験者は東京歯科大学学生(平均23.6歳)10名とし,刷掃時間は3分とした。プラークの付着状態を各条件のブラッシング前後で比較した結果,毛束反復回転式の電動歯ブラシが最も高いプラーク除去効果を示し,特に隣接面部,舌面部において高い刷掃効果を示した。円形植毛部反復回転式も手用歯ブラシと比較して統計学的に有意に高い除去効果を示し,隣接面における刷掃効果も比較的高かった。他の電動歯ブラシも手用歯ブラシと同程度以上のプラークの除去効果を示した。本研究の結果,各種電動歯ブラシは手用歯ブラシと同程度かそれ以上のプラーク除去率を示し,プラークコントロールの一手段として有効であることが示唆された。
著者
井上 学 エスマイルザデ リアズ 中川 正雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CAS, 回路とシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.716, pp.105-110, 2004-03-08

近年,無線通信システムにおいて,複数アンテナを送受信機に用いて,同一時刻,同一周波数で信号伝送を行なう多入力多出力(MIMO: Multi-Input Multi-Output)方式,特に,各送信アンテナから独立な信号系列を送信するMIMO-Multiplexing方式について,同一チャネル干渉の影響低減,周波数利用効率の改善を目指す研究が盛んに行なわれている.本稿では,MIMO-Multiplexing方式において,誤り検出符号の一種である巡目冗長検査(CRC:Cyclic Redundancy Check)を用いた信号分離方式と再送方式について検討を行なった.前者においては,最も良い受信特性を示す信号分離方式である最尤検波法(MLD:Maximum Likelihood Decision)を適用して送信信号を検波した後に,さらにバッファにためておいた受信信号からMLDにより検波された信号を差し引くことで,新たに送信信号を復元する方式を提案した.また,再送時における信号の送信方法として,誤ったパケットのみを効率良く再送する方法を検討しており,前回送信時に誤ったパケットを誤りが生じなかった送信アンテナから再送する選択送信ダイバーシチ法(STD: Selection Transmit Diversity),そして,誤ったパケットに対して時空間ブロック符号化(STBC:Space-Time Block Coding)を適用して再送する方式を提案した.計算機シミュレーションによる特性評価より,各々の場合において提案方式の有効性が確認された.
著者
中川 学 永瀬 文昭 橋本 洋一 下川 義弘
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B-I, 通信I-情報通信システム・理論 (ISSN:09151877)
巻号頁・発行日
vol.80, no.6, pp.322-329, 1997-06-25
被引用文献数
12

衛星回線と地上回線を組み合わせ, インタラクティブなマルチメディアサービスを時間や場所の制約にとらわれることなく容易に提供可能なシステムの実現を目指し, 東海大学とNTTは共同で遠隔教育を適用例としたマルチメディア双方向衛星通信システムを構築し, フィールド実験を行っている. 今回はその基礎的なシステム特性として遅延時間, TCP/IPによる1:1通信, UDP/IPネットワーク同報のスループットの測定, 評価を行った. 受信端末からping (ICMP echo) によりラウンドトリップタイムを測定し, その結果から実際のTCP/IPによる通信でのラウンドトリップタイムを見積もった. またTCP/IPのスループットを測定し高速な情報転送が可能であることを確認し, その値は見積もったラウンドトリップタイムから求めた理論値によく一致した. UDP/IPでは使用している専用線の帯域による上限である約6Mbpsのネットワーク同報が可能であることを確認した. TCP/IP, UDP/IPともウィンドウサイズや専用線の帯域の変更により更に高速の情報転送が可能である見通しをえた.
著者
東口 和代 森河 裕子 三浦 克之 西条 旨子 田畑 正司 中川 秀昭
出版者
一般社団法人 日本健康心理学会
雑誌
健康心理学研究 (ISSN:09173323)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.64-72, 1998
被引用文献数
9 9

This paper describes the development of an instrument, the Nursing Job Stressor Scale (NJSS). The statements on the job stressors were identified from the literature and redesigned to describe nursing situations that result in stress. A 55-items questionnaire was administered to a sample of 568 hospital nurses. Nurses were asked to indicate on a 5-point scale how intensively they experienced such situations as stressful. Factor analysis using a principal factoring with a varimax rotation resulted in 7 subscales that closely paralleled the conceptual categories of stressor on which the scale was based. These subscales were: conflict with other nursing staffs, nursing role conflict, conflict with physicians and autonomy, death and dying, qualitative work load, quantitative work load, conflict with patients. By selecting 33 items, a new set of the Nursing Job Stressor Scale was developed. Test-retest reliability as well as internal consistency indicated that the seven subscales were reliable. Validity was determined by correlating the total score from the Nusring Stresssor Scale with measures of burnout. These examinations showed the usefulness of the scale.
著者
中川謙二郎 著
出版者
富山房
巻号頁・発行日
1925
著者
近藤 忍 西尾 昭彦 中川 徹 北川 一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1997, no.1, 1997-03-06

人工ニューラル・ネットワーク (ANN) の異常とも思えるブームがバブルの崩壊とともに過ぎ去り, 今は真に実用性が問われる時代になっている. ところが, 従来の電子技術応用製品等に比べてANN応用製品の種類と数が未だに少なく, 実用的な見地からの研究・開発がなお一層必要と思われる. その際, 得られた技術を世に広く普及させるため, ANNの学習過程で必要となる計算機資源は普及型PC程度に, また, 実際の応用製品に組込むCPUは安価な量産型μ-CPUに押えられることが望ましい. 本稿では, モザイク状の荒い動画素と, ホルマント周波数に基づく音声波形とを共通の識別器に直接入力する方式を考案し, 基本形ANNを二段重ねにしただけの単純な識別器でも, 学習データを工夫することで, 動画と音声の識別が行えることを示す.
著者
半澤 信智 油井 辰憲 高野 勝美 近藤 和弘 中川 清司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OCS, 光通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.349, pp.51-56, 2006-11-09
被引用文献数
1

光信号を電気信号に変換せずに波形処理できる技術は,高速光変調の進展に役立つと考えられる.本報告では,光ファイバを用いて基礎的なFIR型フィルタを構成し,その特性を実験的に検証した結果を報告する.実験には,構成が簡単な1次差分システムを用い,理論値との比較を行った.