著者
中村 誠司 前原 隆 新納 宏昭 森山 雅文 柴田 琢磨 安河内 友世 坪井 洋人
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究では、代表的罹患臓器である唾液腺を解析し、特異なT細胞、B細胞、マクロファージ(Mφ)のサブセットが病態形成に関わっていることを明らかにした。しかし、詳細な病態形成の分子機構や病因は判っていない。そこで、本研究では、従前の研究成果を基盤とし、IgG4-RDの病因を解明し、新規治療法開発の基盤を築くことを目指す。第1にサブセット間の相互作用を解析して病態形成機序を明確にし、第2に発症に関わるT細胞とその認識抗原を同定し、第3に特異なMφを遺伝子導入により誘導したマウスを同定した抗原などで刺激することにより病態を再現する疾患モデルマウスを完成させる。
著者
織田 貞四郎 中村 誠
出版者
社団法人 日本金属学会
雑誌
日本金属学会会報 (ISSN:00214426)
巻号頁・発行日
vol.6, no.10, pp.729-738, 1967-10-30 (Released:2011-08-10)
参考文献数
15
被引用文献数
1
著者
田中 昭彦 森山 雅文 安永 純一朗 中村 誠司
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

唾液、血液など採取の容易な検体での解析を行った。今回、細胞から分泌される直径50-150nmの細胞外小胞の一つであるエクソソームはその内部にマイクロRNA(以下 miRNA)含むことが知られており、そのmiRNAに着目し、能動的に分泌されるエクソソーム内miRNAを検出することで、より精度の高い診断への応用を期待した。結果として、血液、唾液、うがい液からmiRNAを検出することが可能であった。疾患特異的な分子の確定にはいたらなかったが、非侵襲的に採取できる唾液やうがい液検体がSS等の口腔内疾患の検査法として有用である可能性を示した。
著者
太田 美穂 松原 良太 川野 真太郎 大部 一成 緒方 謙一 中村 誠司
出版者
日本口腔内科学会
雑誌
日本口腔内科学会雑誌 (ISSN:21866147)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.47-51, 2014 (Released:2015-09-06)
参考文献数
16
被引用文献数
1 2

抜歯後出血は局所的要因に起因することが多いが,出血性素因から生じる場合もある。本報告は,80歳代女性の抜歯後出血を契機に明らかとなった慢性播種性血管内凝固症候群(DIC)の1例である。血液検査でDICに起因する止血凝固異常と診断され,トロンボモジュリン製剤投与にてDICは改善したが,その原因となる基礎疾患は認められなかった。治療終了後は経過観察を行っているが,DICの再燃なく経過良好である。
著者
山本 真也 中村 高志 芹澤 如比古 中村 誠司 安田 泰輔 内山 高
出版者
公益社団法人 東京地学協会
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.129, no.5, pp.665-676, 2020-10-25 (Released:2020-11-13)
参考文献数
40
被引用文献数
3 5

Lake bottom springs play an important role in maintaining water quality in the Fuji Five Lakes. However, the sources of these springs and the hydrological delivery mechanisms have yet to be identified. To determine the sources of spring water of Lake Kawaguchi, samples were collected directly from lake bottom springs, and oxygen and hydrogen stable isotope ratios were obtained, along with vanadium concentrations. Visual observations and water-quality analyses of the samples reveal that cold and oxygen-rich water is discharged from the lake floor, which is covered by gravel with diameters of 10-50 cm over an area of approximately 9 m (east–west) by about 13 m (north–south). The water temperature of the springs remained relatively constant at around 11.3°C during the stratified period in 2016; however, the temperature fluctuated significantly in 2017, even during the stratified period, suggesting a temporary decrease or stoppage of water being discharged from springs into the lake. Oxygen and hydrogen stable isotopic ratios of lake bottom springs were determined to be higher than those of groundwater in the southern part of Lake Kawaguchi; however, they displayed values close to those of groundwater in the northern part of Lake Kawaguchi, suggesting that spring water primarily originated from groundwater in the Misaka Mountains.
著者
中村 誠宏 吉川 雅之 松田 久司 藤本 勝好 田邉 元三 中嶋 聡一 松本 崇宏 太田 智絵 小川 慶子 村岡 修
出版者
天然有機化合物討論会実行委員会
雑誌
天然有機化合物討論会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.PosterP-6, 2013

<p>1.序論</p><p> 花は古くから観賞用のほかに食用や薬用にも供されてきた.中国伝統医学 (中医学) や漢方医学では,紅花,槐花,菊花,金銀花などの花部由来の生薬が処方中に配剤されている.西洋ハーブとしても,マリーゴールド,カモミール,デージー,エバーラスティングなどの薬用花が数多く知られている.欧州においては,アロマセラピーなどにおいて花の精油がしばしば用いられてきた.また,1930年頃にイギリス人医師のエドワード バッチによって花エキスを用いた"フラワーレメディ"の考え方が提唱され,今日でも信奉する人も多い.しかし,花の成分レベルでの薬効解明研究はまだ十分ではない.そこで著者は,伝統医学で用いられる重要な薬用花である椿花 (Camellia japonica, 花部) および蓮花 (Nelumbo nucifera, 花部) の生体機能性成分の探索を行った.</p><p> </p><p>2. 中国産椿花 (Camellia japonica, 花部) の新規サポニン成分とメラニン生成抑制作用</p><p> ツバキ科植物ツバキ (C. japonica) は日本を原産とする常緑広葉樹の一種で, 台湾, 朝鮮, 中国,インドネシア等アジア各地に広く分布する. その花部である椿花は中国では「山茶花」と記載され,古来より抗炎症薬,健胃薬,止血薬および打撲傷の治療 (外用薬) 等に用いられてきた.我々はこれまでに,日本産椿花からノルオレアナン型トリテルペンサポニン camellioside A–D を得て,胃粘膜保護および血小板凝集作用を有することを明らかにした.<sup>1,2</sup> 今回,椿花の生体機能性成分の探索研究の一環として,中国産 (雲南省) 椿花の抽出エキスの生物活性評価を行ったところ,マウスのメラノサイト由来 B16 melanoma 4A5 へのテオフィリン刺激によるメラニン生成抑制作用を示すことを見出したことから,含有成分の探索研究に着手した.すなわち,中国産椿花のメタノール抽出エキスを,酢酸エチル,n-ブタノールおよび水にて分配抽出し,n-ブタノール移行部を各種カラムクロマトグラフィーおよび HPLC を用いて繰り返し分離精製した.その結果,8 種の新規サポニン sanchakasaponin A–H (1–8) および 8 種の既知サポニン 9−16を単離した (図 1).得られたサポニン成分のメラニン生成抑制作用について検討を行ったところ,サポニン 2–6, 8, 10, 12−14, 16 は強い抑制作用 [IC<sub>50</sub>: 1.7−4.7 mM] を示すことが明らかとなり,その作用は positive controlであるアルブチン [IC<sub>50</sub>: 174 mM] よりも強いことが明らかとなった.一方,サポニン 3–6, 8, 10, 16 にはメラノーマ細胞に対する細胞毒性 [10 mM による細胞増殖抑制率: 78.7–88.3%] が認められた.以上の結果から,16位,21位および22位に結合したアシル基の存在は,メラニンの生成抑制や細胞毒性において重要であることが示された.<sup>3,4</sup></p><p>図 1. 中国産椿花の新規サポニン成分</p><p>3. 韓国産椿花 (Camellia japonica, 花部) の新規サポニン成分とメラニン生成抑制および繊維芽細胞増殖促進作用</p><p> 中国産椿花の成分探索と同様の方法を用い,韓国産 (済州島) 椿花のサポニン成分の探索を行った.その結果,2 種の既知サポニン [camellioside A (17), D (19)] とともに2 種の新規サポニン camellioside E</p><p>(View PDFfor the rest of the abstract.)</p>
著者
中村 誠司 篠原 正徳 原田 猛 廣木 朗子 岡 増一郎
出版者
Japanese Society of Oral and Maxillofacial Surgeons
雑誌
日本口腔外科学会雑誌 (ISSN:00215163)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.62-69, 1995-01-20 (Released:2011-07-25)
参考文献数
25
被引用文献数
2 1

Sixty dentigerous and 10 primordial cysts were examined clinically and pathologically. Fifty-six of the dentigerous cysts had non-keratinizing epithelium and 9 of the dentigerous cysts had keratinizing epithelium. However, 5 keratinizing dentigerous cysts and 1 non-keratinizing primordial cyst were observed as exceptions.Radiographically, the dentigerous cysts were generally of unilocular round shape with a well-defined border. However, the well-defined border was often lost due to severe infection. In contrast, the primordial cysts were more frequently shown to be of irregular and multilocular shape, and the well-defined border was well preserved even with severe infection. Thus, keratinizing epithelium was suggested to be involved in the formation of irregular and multilocular shape and to be more resistant to infection.Pathologically, non-keratinizing epithelium often showed proliferation, a lacy appearance, and ridge elongation in association with inflammatory cell infiltration. In contrast, such changes in keratinizing epithelium were rarely observed even with heavy inflammation. Interestingly, ameloblastoma-like epithelial proliferation and calcification in the absence of inflammation were partially observed in 6 and 7 cases, respectively, independent of keratinization of epithelium. Thus, odontogenic epithelial cells were suggested to have high proliferative and differentiative activities.
著者
橋本 圭輔 牛木一成 中村 誠 渡邉 岳彦 小河原成哲
雑誌
情報処理学会研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.3(2006-HI-117), pp.75-81, 2006-01-13

IP配信による動画視聴が普及の兆しをみせ インターネット広告が一層の注目を集めている. 動画の再生中に視線の性質を利用した広告を提示できれば 有効な広告表示技術が確立出来ると考えられる. そこで 動画再生と同時に周囲で色刺激を提示した場合に 視線が向きやすい性質である誘目性の高い色による影響を調査する. また 自然な方向への視線移動の起こりやすさを 動画視聴中の視線計測を用いて調査した結果を報告する.
著者
中村 誠一 NAKAMURA Seiichi
出版者
金沢大学人間社会研究域附属国際文化資源学研究センター
雑誌
金沢大学文化資源学研究 = Kanazawa cultural resource studies (ISSN:2186053X)
巻号頁・発行日
no.21, pp.23-32, 2019-03-31

The World Cultural Heritage "Maya Site of Copan" is located at the town of CopanRuinas, Honduras, Central America. A digital museum was established here in 2015under Japanese cooperation. The main theme of the digital museum is the history of thecommunity of Copan Ruinas from ancient times to the present. While other museums atCopan Ruinas are managed by the Honduran Institute of Anthropology and History( IHAH)-which is a national organization of the country-, the digital museum is co-managedbetween the municipality of Copan Ruinas and IHAH in which community's idea plays apositive role in the installment and management of the exhibition. Kanazawa University'sliaison office at Copan Ruinas -set in 2017- has cooperated with the exhibition of thismuseum through the students' overseas internship program. The digital museum at CopanRuinas serves as a place of cultural exchange between the students and the people of thecommunity. It also serves as a good place of practice for the research on museums and thecommunity.
著者
中村 誠 NAKAMURA Makoto
出版者
名古屋大学国語国文学会
雑誌
名古屋大学国語国文学 (ISSN:04694767)
巻号頁・発行日
vol.113, pp.43-58, 2020-11-10

資料性に関しては、一部検討の余地は残るものの、近世後期の富士登山を知る好個の資料であること、近代的登山者像が現れていることを示した。文芸性については、叙景の特色、事実を描くことを越えた虚構性の問題等について論じた。また、従来登山記としてのみ読まれてきたとして、紀行全体の構造を通して読むことの必要性を指摘した。そしてそのことによって、登山記とは異なる紀行の相貌が現れることを示した。
著者
中村 誠 三村 治 若倉 雅登
出版者
日本眼科学会
雑誌
日本眼科学会雑誌 (ISSN:00290203)
巻号頁・発行日
vol.119, no.5, pp.339-346, 2015-05
著者
中村 誠 加藤 啓介
出版者
石川県公立大学法人 石川県立大学
雑誌
石川県農業短期大学研究報告 (ISSN:03899977)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.45-49, 1981 (Released:2018-04-02)

食肉凍結の技術は近年進歩が著しく,また家庭用冷凍庫の普及に伴なって今後は凍結肉の家庭での利用がますます多くなるものと期待される。ところが,凍結肉の解凍方法に関しては研究が比較的少ない。凍結肉はそのまま調理される場合もあるが,ふつうは解凍して利用される。解凍方法として一般的なものは,低温または高温空気解凍と流水解凍であるが,低温空気中で緩慢に解凍するのが良いと一般に言われている。家庭でこれを行なうには冷蔵庫を利用することになるが,温度変化が著しいことや汚染の機会か多くなることに加えて長時間を要することを考えると,もっと高い温度で短時間のうちに解凍する方法も捨てされない。そこで,冷蔵庫を利用した長時間解凍と室温,流水を利用した短時間解凍を比較し,それらが食肉の諸性質に及ぼす影響を調べた。
著者
奈良 奈美子 池辺 哲郎 蔵原 慎一 竹之下 康治 中村 誠司 白砂 兼光
出版者
Japanese Society of Oral and Maxillofacial Surgeons
雑誌
日本口腔外科学会雑誌 (ISSN:00215163)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.55-57, 2001-01-20 (Released:2011-07-25)
参考文献数
11
被引用文献数
1

A case of pyostomatitis vegetans associated with ulcerative colitis is reported. A 57-year-old man with a history of ulcerative colitis was referred to our hospital because of pain in both sides of the buccal mucosa and malnutrition. A snail-track-shaped ulcer and miliary pustules with a cobblestone appearance were found in both sides of the buccal mucosa and soft palate. Treatment with topical corticosteroids had no effect on this lesion. The presence of abdominal pain and hematochezia led us to suspect a recurrence of ulcerative colitis. Immediately after the systemic administration of corticosteroids was started, the oral mucosal lesions resolved. This case suggests that treatment of ulcerative colitis with systemic corticosteroids is required to cure pyostomatitis vegetans.
著者
平野 敦之 伊藤 恵介 川井 祐輔 山本 俊勇 濱野 真吾 長谷川 千尋 水野 芳樹 柴田 康行 小川 久美子 中村 誠 城 卓志
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.52, no.6, pp.1533-1540, 2010 (Released:2011-11-07)
参考文献数
33
被引用文献数
1

症例は57歳男性.上部消化管内視鏡検査にて頸部食道に異所性胃粘膜に連続する0-I+IIc病変を認めた.同部からの生検により腺癌と診断し,頸部胸部食道切除+遊離空腸移植術を施行した.切除標本の病理組織的検索にて異所性胃粘膜より発生した食道腺癌,深達度sm3と診断し,さらにMUC5AC,MUC6,MUC2,Cdx2の免疫染色により腸上皮化生を伴った異所性胃粘膜より発生した胃腸混合型の腺癌と診断した.
著者
金子 政彦 中村 誠寿
出版者
九州理学療法士・作業療法士合同学会
雑誌
九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 (ISSN:09152032)
巻号頁・発行日
vol.2004, pp.6, 2004

【はじめに】<BR> 当園では、1997年より地域療育等支援事業を行っており、施設機能を活用して在宅重症心身障害児(者)(以下在宅重症児者と略す)への療育、相談、指導を提供している。この中、作業療法士はリハビリテーションの実施のみならず、家屋改造や生活に即した各種福祉用具製作等に関わりを持っている。<BR>今回、当園の通園事業を利用していた進行性の疾患を持つ対象者について、経時的な状態低下から生活様式が変容し、これに必要な生活援助をその都度検討して作業療法アプローチを行ったので報告する。<BR>【症例紹介】<BR> 脊髄小脳変性症、精神発達遅滞、てんかんを基礎疾患にもつ19歳の女性。身長163cm、体重40kg。家族構成は父母と8歳上の姉(同疾患で、H医療センター入所中)。40週、体重3230gで出生し出生時異常なし。4歳時、痙攣発作、物につまづく、持っているものを落とすなどの症状により発症。5歳時、性格変化、社会的な不適応行動が見られるようになる。10歳時、S医大で検査入院の結果、脊髄小脳変性症の診断があり、身障手帳1級、療育手帳Aの交付を受ける。<BR>【作業療法評価】<BR> 頚座不安定で、自力での姿勢変換は困難。寝たきりであり、随意的な動きはほとんど無く、関節拘縮と非対称肢位での固定化が進んでいる。感情表出に乏しく、外部からの働きかけに対する反応がほとんどない。光に対して痙攣発作を起こす為、日中も遮光カーテンの中で過ごす。摂食機能も近年低下し、誤嚥性肺炎から胃ろうによる栄養管理となっている。日常生活活動はすべて全介助である。<BR>【経過及び作業療法アプローチ】<BR> 1995年(11歳):姉がH医療センター入院。通園が始まる。歩行困難となったため作業療法士による機能訓練を重点的に行う。また、当園の短期入所利用がある。<BR>1998年(14歳):つかまり立ちが困難となる。母の介護負担が増え、通園への出席が困難となる。地域支援事業に登録し、ボランティアによる外出時の付き添いが開始される。作業療法士による訓練は外来にて継続された。<BR>1999年(15歳):痙攣重積し、長期臥床が余儀なくされる。母の介護負担は一層増加し、来園困難となる。外来訓練が中止となるが機能訓練に対する家族の希望から、地域支援事業での訪問リハビリテーションが開始となる。<BR>2000年(16歳):養護高等学校訪問教育となる。家庭での良姿勢保持の為、室内用座位保持装置とトイレチェアを作製。母の介護負担、腰痛、膝痛が悪化し、介護の方法に関する相談がある。高さ可変式のギャッジベッドを導入する事で介護負担の軽減を図る。また、父が踵骨骨折し、父母で行っていた入浴介助が困難となる。浴室改造(居室から浴室までの段差解消と入浴リフト)とシャワーチェアの作製希望あり。地元の訪問看護にて入浴サービスが開始。年末に、浴室改造完了し、シャワーチェア納品。<BR>2001年(17歳)自力での姿勢変換困難となり、寝たきりの状態となる。摂食機能の低下が進み、誤嚥性肺炎を頻発、経鼻管栄養を経て、胃ろう造設術施行。自家用車が介護用のリフトカーになり、車に合わせる形で外出用(通院用)の座位保持装置を作製する。<BR>2002年(18歳):過労により、母が体調不良となる。短期入所サービスの利用がある。コーディネータと利用可能な社会資源の検討を行う。<BR>2003年(19歳):養護高等学校卒業。居住地であるN市の障害者支援センターから、訪問保育2回/月、訪問リハ2回/月、ホームヘルプ1回/週が開始となる。地元施設が支援事業を開始した為、高校卒業を機に、遠隔である当園のサービスを地元施設に移行する見直しを行い、訓練頻度を1回/月とする。<BR>【考察・まとめ】<BR> 今回、当症例に対して様々な作業療法を提供するに至ったが、進行性の疾患で機能低下が進む事、介護者が高齢化する事、取り巻く環境が整備されていない事など数多くの問題が相互に影響を及ぼし、在宅生活の遂行を妨げる要因となって表面化した。これに対して機能低下を緩徐にし、『出来るADL』維持に努めたが、目的達成には至らなかったように思われる。しかし、介護者の高齢化による負担増加や腰痛などの介護疾病に対して各福祉機器の導入や家屋改造あるいは訪問看護といった社会資源を活用することで在宅生活の維持につながったものと考える。この中、作業療法士は症例の身体機能に即した福祉用具の製作や浴室内リフターの導入に関わり、実際の介護をシミュレーションして介護負担の軽減に努めた。<BR> このように在宅重症児者とその家族が在宅生活を続けていく為には、施設の役割として各専門職において症例の生活全般の評価を共通認識し、長期的な予後予測をもとに、生活援助を行なう必要があると考える。また、施設機能として地域で可能となる他の社会資源に繋ぐ役割も特に重要と考える。