著者
宅見 央子 中村 弘康 福田 真一 松田 紫緒 小城 明子 大野 友久 白石 浩荘 米谷 俊 藤島 一郎 植松 宏
出版者
一般社団法人 日本摂食嚥下リハビリテーション学会
雑誌
日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌 (ISSN:13438441)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.183-191, 2009-12-31 (Released:2020-06-28)
参考文献数
35

本研究の目的は,①健康成人30 名,②試験食品であるビスケットの摂食・嚥下に問題のない一般高齢者20 名,③リハビリテーション科外来通院中の脳血管障害後遺症患者11 名(以下,「リハ患者」)に一般のクリームサンドビスケット(以下,一般品とする)と,口どけのよいクリームサンドビスケット(以下,低付着性品とする)を摂食させ,摂食時の咀嚼回数・時間,嚥下回数・時間の観察評価と,自由嚥下後の口腔内残留量を測定することにより,安全性および日常の食生活への応用の観点からビスケットの物性と摂食・嚥下機能との関係を検討することである.健康成人と高齢者の咀嚼回数および,全3 群の咀嚼時間においては,一般品に比べて低付着性品が有意に低値を示した.対象者間の比較においては,一般品と低付着性品の両方で,リハ患者と高齢者の咀嚼回数および咀嚼時間は健康成人に比べて有意に多かった.また,健康成人と高齢者の嚥下回数,および健康成人の嚥下時間においては,一般品に比べて低付着性品が有意に低値を示した.健康成人では,一般品と低付着性品の口腔内残留量に差がなかったが,高齢者とリハ患者では,一般品に比べて低付着性品の口腔内残留量が有意に少なかった.健康成人と高齢者では「口の中での付着」「口どけのよさ」などにおいて,一般品と低付着性品に有意な差がみられ,低付着性品のほうが高い評価を得た.摂食・嚥下機能の低下しているリハ患者や高齢者は,一般品と低付着性品のいずれにおいても,咀嚼回数・時間を健康成人より増加して対応していた.しかし,口腔内残留量は健康成人より有意に多かった.以上の結果より,低付着性品は,高齢者などの咀嚼・嚥下機能低下者に適した食品であり,咀嚼・嚥下機能低下者には,口腔内に残留しにくい食品の提供が重要であることが示唆された.
著者
平井 裕子 井上 敏江 中野 美満子 大瀧 一夫 児玉 喜明 中村 典
出版者
Journal of Radiation Research 編集委員会
雑誌
日本放射線影響学会大会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.147, 2009

広島の原爆被爆者より提供された大臼歯のエナメル質を用いて、電子スピン共鳴法(ESR)により、放射線被曝線量を推定している。今回、歯の提供者で末梢血リンパ球の染色体異常頻度を測定した92人(FISH法とギムザ法の両方またはいずれか一方の方法で測定)について、ESRによる測定を行い、両者を比較した。ESR信号強度はコバルトガンマ線量の検量線を用いて線量に換算した。染色体異常検査はギムザ法とFISH法を用いた。前者はギムザ染色した100個の分裂像を、後者は染色体1,2,4をFISH により蛍光染色して500個の分裂像を観察し、得られた頻度から年齢ならびに中性子の影響を差し引いてガンマ線量に換算した。調査した被爆者の中で、両方の方法で染色体異常頻度を調べた37人については得られた結果は互いによく一致していた。これらの被爆者のデーターとしてはFISH線量を用いることとし、その他のギムザ染色法によるデーターしかない35人とFISH染色法によるデーターしかない20人計92人について、ESR線量と染色体線量を比較したところ良い相関が得られた。しかし、染色体線量は高いのにESR線量が低い例が7例あった。これらは1例を除いては知歯や被爆時年齢が5歳以下であったので、測定した歯が被爆時に十分発達していなかったと解釈される。他方ESR線量が染色体線量よりもかなり高い例が9例あった。これらについては医療被曝の可能性を調査したが、現在までのところ医療被曝の情報は得られていない。以上の生物学的線量評価の結果を被爆時の爆心地からの距離と遮蔽条件を基に計算したDS02線量に対してプロットすると分布の幅が大きくなることが分かった。今回、92名という少ない対象数ではあるが、全く異なる方法(ESR法 とFISH法)を用いて推定した個人線量が良い相関を示したことは、既に4000人もの被爆者から情報を得ている染色体異常頻度から推定した個人線量を、DS02線量と比較すれば、個人線量の偏りの程度と方向を推定できる可能性がある。
著者
中村 久男
出版者
同志社大学言語文化学会
雑誌
言語文化 (ISSN:13441418)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.261-284, 2005-12

日本ではいまだに知名度の低いアメリカ南部再建期から世紀転換期にかけ作家活動を行ったアフリカ系アメリカ人チエスナツトの第二短編集『彼の若き日の妻とその他のカラー・ラインの物語』を扱った論文である。カラー・ラインとは肌の色による差別が歴然と存在するが、その見えざる人種の境界線を指す。彼は、短編集を編むにあたり、9編の物語の配列に最善の努力を惜しまず、その結果に満足した。では、彼が目指した最良の配列とはどのようなものであり、それによって彼が伝えようとした作家の意図とは何であるのかを探求した。第一には、各短編が次ぎの物語と相互に関係しあい、相互に対照・照射し合う、間テクスト的配置が認められた。第二には、ブルー・ヴエインズと呼ばれる裕福な中流黒人層を描く物語で始め、カラー・ラインを越えようとする黒人の生活の諸相が描かれるが、最後には、貧しい黒人の悲劇的な物語を二編配置することによって、カラー・ラインは恣意的な見えざるの境界線ではあっても、それを越えるのは非常に困難であること、白人読者が興味をもち受け入れ易い短編から次第に南部黒人が置かれた厳しい現実を突きつけるような物語の流れを作ることによって作者はカラー・ラインへの挑戦姿勢を明確に打ち出しているのである。
著者
中村 颯篤 真鍋 義文
雑誌
第82回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, no.1, pp.291-292, 2020-02-20

2敗した時点で敗退となる、ダブルイリミネーショントーナメント方式が一部の競技で採用されている。ダブルイリミネーショントーナメントにおいてわざと負ける戦略の有効性について述べる。早い段階でわざと負けて敗者復活戦のトーナメントに進んだ方が優勝する可能性が高くなる場合が存在することを示す。さらに、わざと負ける戦略が有効ではない、ダブルイリミネーショントーナメントの敗者復活戦の対戦相手設定法が存在しない場合があること、およびその場合にわざと負ける戦略が有効である場合を少なくすることのできる 対戦相手設定法を示す。
著者
橋口 伸之介 新山 順子 中村 光
出版者
岡山体育学会
雑誌
岡山体育学研究 (ISSN:1348947X)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.1-9, 2020-03-31 (Released:2020-09-30)
参考文献数
17
被引用文献数
1

As basic materials for the review and renovation of kindergarten playgrounds, this study surveys the actual artificial mounds in the playgrounds of all municipal kindergartens and authorized centers for early childhood education and care in City S, categorizing their shapes and locations within the playgrounds. In addition, based on interviews with parents/guardians, it clarifies the actual state of children’s play on the artificial mounds. The survey found that the mounds could be categorized into a hill type and a type combined with play equipment. Categories of locations within the playgrounds included a type next to fixed play equipment and a free-standing type. Children’s actual play, as seen from the parents’ perspective, was analyzed according to the five areas of nursery care, with play in all five areas confirmed. The above enables a examination of the multivalent possibilities of artificial mounds, providing insight for the renovation of kindergarten playgrounds.

1 0 0 0 荘園の研究

著者
中村 直勝
出版者
京都帝国大学
巻号頁・発行日
1946

博士論文
著者
中村 吉治
出版者
東北大学
巻号頁・発行日
1951

博士論文
著者
兵頭 圭介 勝又 宏 川本 竜史 只隈 伸也 田中 博史 中間 和男 中村 正雄 宮城 修
出版者
大東文化大学
雑誌
大東文化大学紀要. 社会科学・自然科学 (ISSN:09122338)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.209-228, 2006-03-31

Educational and research activity of physical education teaching staffs in Daito Bunka University were assessed by Corporation of the University Physical Education (Japan). Data for assessment were obtained from reports published in The Bulletin of Daito Bunka University and other published reports by Daito Bunka University. Physical education teaching staffs in Daito Bunka University were highly evaluated and awarded a prize of model for promoted faculty development in physical education. The performance of physical education teaching staffs were well improved by establishment of the Department of Sports and health sciences at Daito Bunka University in 2005.
著者
中村 史
出版者
小樽商科大学
雑誌
小樽商科大学人文研究 (ISSN:0482458X)
巻号頁・発行日
no.95, pp.304-282, 1998-03
著者
竹井 健 中島 祥介 錦織 直人 小山 文一 中村 信治 浅田 秀夫 畠山 金太 大林 千穂 西久保 敏也 藤井 久男
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.342-349, 2016

Muir-Torre症候群は脂腺腫瘍と内臓悪性腫瘍を併発する遺伝性疾患で,Lynch症候群の一亜型と考えられている.症例は61歳の男性で,既往歴は36歳,38歳,46歳,56歳時に大腸癌,50歳時に胃癌があり,家族歴は父と叔父に大腸癌と多数の発癌患者を認め,Lynch症候群を疑い経過観察していた.61歳時に背部に1 cm大の出血を伴う結節が出現し,局所切除術施行し,病理組織学的検査にて脂腺癌と診断した.内臓悪性腫瘍の既往と脂腺癌の併発よりMuir-Torre症候群と診断した.診断後にも計5回の脂腺腫瘍と計2回の大腸癌の発生を認めたが,早期に加療し現在無再発生存中である.また,遺伝学的検査を行い<i>MLH1</i>の病的変異を認めLynch症候群と診断した.Lynch症候群はMuir-Torre症候群を呈することがあり,内臓悪性腫瘍だけでなく皮膚腫瘍も念頭に体表観察を行うことも重要と考えた.
著者
笠間 友博 山下 浩之 萬年 一剛 奥野 充 中村 俊夫
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.116, no.4, pp.229-232, 2010
被引用文献数
1

The Futagoyama lava dome, one of the post-caldera central cones of Hakone volcano (Kanagawa, Japan), is though to have formed by a single eruption at 5 ka. However, in this study, we show that the dome formed over the course of at least three eruptions. We discovered a relatively old block-and-ash flow deposit (Hakone-Futagoyama Yamazaki block-and-ash flow deposit [Hk-FtY]) that originated from the Futagoyama lava dome, as indicated by its chemical composition and its age of 20,390 &plusmn; 40 yr BP. We also re-examined the source of the Shinanoya pyroclastic flow deposit, which was previously interpreted to be of Komagatake origin and was dated at 17,920 &plusmn; 320 yr BP (reference), and concluded that this deposit also originated from the Futagoyama lava dome. The recent eruptive history of Futagoyama suggests that its eruptions may have been synchronous with those of Kamiyama. In addition, the eruptive centers of Futagoyama and Kamiyama are aligned with each other along a linear trace.
著者
伊藤 弘樹 中村 千枝 井上 勝雄 関口 彰
出版者
日本感性工学会
雑誌
感性工学研究論文集 (ISSN:13461958)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.11-18, 2006 (Released:2010-06-28)
参考文献数
9
被引用文献数
7 2

Though a lot of glasses design for women are proposed and displayed in a shop recently, it is difficult for a customer to select them. For the purpose, the fundamental research on what kind of glasses design is liked from a viewpoint of a customer is thought to be required. Then, the purpose of this research would analyze about the glasses design liked by women.As the method of research, image words contributed to the attitude of liking the glasses design were calculated by multiply regression analysis, and cognitive parts (form elements) affected to each image word of the glasses design were extracted by rough sets. Before the calculation, these image words and cognitive parts were extracted by the evaluation grid method. Samples of seventy-one kinds of glasses were evaluated into five steps about each image word on the subject of twenty women. Four image words “foppish (fashionable), pretty, decent, intellectual”in twelve contributed to liking were calculated using the data mentioned above. Next, the relationship between four images and cognitive parts was extracted based on the decision class of Rough sets (the non-linear technique of the ability to avoid of Multicollinearity) using the data of each image word. From the result, the hierarchical relation from the attitude to cognitive parts about the preference has been clarified.Furthermore, the verification experiment of the result of the hierarchical relation was conducted on the subject of a designer working a design office, who proposed three design sketches reflecting the whole result of the attitude and emphasized pretty and intellectual in it with some useful comments to improve the method.