著者
中村 昌太郎 松本 主之
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.109, no.1, pp.47-53, 2012 (Released:2012-01-06)
参考文献数
18
被引用文献数
2

胃MALTリンパ腫の診療に関する最近の知見について,Helicobacter pylori除菌後の長期予後を中心に解説した.本邦における多施設大規模追跡試験により,H. pylori除菌後の胃MALTリンパ腫の長期予後がきわめて良好であることが明らかとなった.対象420例の除菌による完全寛解率は77%であり,3~14.6年(平均6.5年)の追跡の結果,除菌10年後の治療失敗回避率は90%,全生存率95%,無イベント生存率86%であった.多変量解析の結果,H. pylori陰性,粘膜下層深部浸潤およびt(11;18)/API2-MALT1転座が除菌抵抗因子として抽出された.本症に対する除菌治療の保険収載により,H. pylori依存性胃MALTリンパ腫症例が減少し,将来は除菌抵抗例やH. pylori陰性例の診療が問題となることが予想される.
著者
中村 一明
出版者
特定非営利活動法人 日本火山学会
雑誌
火山.第2集 (ISSN:24330590)
巻号頁・発行日
vol.20, no.TOKUBE, pp.229-240, 1975-12-25 (Released:2018-01-15)

Volcanoes are generally classified into monogenetic and polygenetic types. Monogenetic volcanoes erupt only once to form smaller volcanoes, such as maars, pyroclastic cones and lava domes. Polygenetic volcanoes erupt repeatedly from the same general vents (summit or main crater) for up to 105 years to form larger volcanoes such as strato-volcanoes (composite volcanoes of Macdonald, 1972) and shield volcanoes of Hawaiian type. Monogenetic volcanoes tend to occur in clusters as flank and post-caldera cones. Some of the clusters are however, independent of polygenetic volcanoes and appear to be equivalent to them. The essential part of the conduit of a monogenetic volcano is inferred to be a simple dike, intruded into a newly formed crack, whereas a long endured pipe-shaped conduit may exist under a polygenetic volcano. The common occurrence of xenoliths in the eruptive products of monogenetic volcanoes may be related to this difference. Various lines of evidence, indicating the existence, depth, shape, volume and internal structure, of magma reservoirs are tabulated. A shallow magma reservoir appears to exist beneath polygenetic volcanoes with one to one correspondence, which is not the case for monogenetic volcanoes. Most flank volcanoes are monogenetic, thus indicating dikes within the polygenetic volcanic edifice. Dike formation is understood as a magma version of hydraulic fracturing. For the dike to intrude and propagate, would require either the increase of differential stress due to a decrease of minimum compression or increase of pore pressure over the sum of the minimum compression and the tensile strength of the rocks. Earthquakes are understood as the generation of elastic waves associated with an acute release of tectonic stress due to faulting. Accumulation of tectonic stress and strain prior to earthquakes is, then, a necessary part of earthquake phenomena in a broad sense, as well as their release after the event. Based on the above-stated understanding, possible mechanical correlations between volcanic eruptions and earthquake occurrences have been studied. Contractional strain around the magma reservoir can cause the squeezing up of magma within an open conduit causing a summit eruption on the one hand, and dike formation resulting in a flank eruption through the increase of pore pressure, on the other. Second boiling triggered by both the magmatic pressure decrease caused by dilatational strain and the dynamic excitation due to seismic waves might have the same effect as contraction. Decrease of minimum compression causing the increase of differential stress leading to dike formation will also contribute to the liklihood of flank eruptions. Both volcanic eruptions and earthquake occurrences can precede each other depending on geographical location in terms of faulting-related stress-strain changes which are calculated by the fault model of earthquakes. Actual possible examples of volcanic eruptions and earthquakes which are allegedly mechanically related are given. In order to demonstrate which mechanism is responsible for the correlation of the two phenomena, continuous strain measurement on and around volcanoes is necessary together with the observation of changes in the level of magma in crater bottoms.
著者
宮木 稜司 吉田 行宏 中村 剛士 加納 政芳 山田 晃嗣
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 (ISSN:18820212)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.288-291, 2018

<p>近年、家庭やオフィスにRoombaに代表されるような掃除ロボットが普及されている。掃除ロボットは掃除作業を実行するロボットであるが、作業の妨げになるような障害物がある場合は人からの支援が必要となる。このとき、ロボットから人に対して支援を必要とする旨の意図伝達を行い、支援行動を喚起することができれば、タスクがよりスムーズに遂行できる。ロボットからの意図伝達を試みた研究に聴導犬ロボットAcToRの研究があり、接触を行うことで緊急性に関する意図を人に伝えられることが報告されている。本研究では、接触を行う対象を人だけでなく第3の物体にも適用することを提案する。ペットの犬はドアを開けてほしいときにドアを引っかくなどの動作を行うことがある。ロボットも同様の動作を行うことで意図伝達と行動喚起に効果があるのではないかと推測する。本実験では、実験室の外に出たいという意図の伝達と実験室のドアを開けてもらう行動の喚起の方法として「接触有り」と「接触無し」の2条件でそれぞれ実験を行い比較する。</p>
著者
中島 雄介 伊香賀 俊治 苅尾 七臣 安藤 真太朗 桑原 光巨 中村 正吾 海塩 渉 大橋 知佳 本多 英里
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会大会 学術講演論文集 平成27年度大会(大阪)学術講演論文集 第6巻 温熱環境評価 編 (ISSN:18803806)
巻号頁・発行日
pp.177-180, 2015 (Released:2017-11-15)

近年、室温が血圧に及ぼす影響が注目されている。加えて、床近傍の室内温熱環境が血圧に影響を及ぼす可能性がある。しかしながら、ほとんどの研究は床近傍室温に着目していない。そたがって、本研究では床近傍室温と血圧の関係を分析することを目的とする。2014年の冬季に家庭血圧、床近傍室温、個人属性に関する実態調査を実施した。結果として、床近傍室温1℃低下により、起床時収縮期血圧が1.0mmHg上昇することが明らかにされた。
著者
中村 徹
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.10-19, 2006

<p>燃料電池自動車の普及実現のために注意深く検討しなければならない問題の一つとして,水素ステーションのリスク評価がある.リスク評価によって明らかにされたリスクをどのように制御・低減していくかがプロジェクトの成否を左右すると言っても過言ではない.市街地設置を前提とした水素ステーションの設置場所選定と設計に必要な対策を,設置場所の立地環境・関与する人・設備(必要な安全対策レベル)の面からリスク評価することによって,実規模水素ステーションの設計へ反映させることが望まれる.</p>

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著者
中村長次郎 著
出版者
東京興信新報社
巻号頁・発行日
vol.松の巻, 1936
著者
石川 莞爾 中村 安夫 仁木 良夫 鍬塚 昭三
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:03851559)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.17-25, 1977-02-20
被引用文献数
2

^<14>C-標識および非標識化合物を用いて, 紫外線および太陽光線下でのベンチオカーブの光分解を研究した.水溶液中でベンチオカーブは紫外線により速やかに分解し, 比較した他の7種類の農薬より速やかに分解した.ベンチオカーブの分解生成物として, ベンチオカーブスルホキシド, デスエチルベンチオカーブ, 4-クロルベンジルアルコール, 4-クロルベンツアルデヒド, 4-ヒドロキシベンツアルデヒド, 4-クロル安息香酸のほか, 同定された化合物8種類および未同定の化合物約20種類が検出された.これらのうち, 4-クロルベンジルアルコールおよび4-クロルベンツアルデヒドが多量に生成した.太陽光線下でも水溶液中でベンチオカーブは速やかに分解し, そのさい検出された分解物の大部分は紫外線照射で生成した分解物と同じものであった.ガラス板上の薄層へ紫外線を照射した場合も, 水溶液と同様の分解物が生成した.
著者
阿部 貞夫 和泉 秀彦 嶋田 明子 中村 洋一
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.559-567, 1974
被引用文献数
3

抗ヒスタミン剤を中心とした抗アレルギー剤治療にて調節しえない蕁麻疹症例はかなりの数にのぼる。今回, それらの難治性のあるいは遷延化した蕁麻疹症例にたいして使用したHistaglobinの効果を明らかにする目的で100治験例の治療経過の分析を試み, 治療の目安ともいうべき2, 3の集計結果をえたので報告すると同時に, Histaglobinの作用機序についてもいくらかの考察を試みた。結果1) 明かな改善がみられた92症例中88例(95.7%)に4本以内の注射で効果がみられた。2) 93症例について調べた総注射使用本数は, 39例が5本以内, 30例が6~10本以内であつておよその必要本数が明らかにされた。3) 以上を総括すると有効90例, やや有効4例, 無効0, 経過不明6例であつた。4) 忌むべき副作用はまつたくみられなかつた。
著者
田井 政行 関屋 英彦 岡谷 貴之 中村 聖三 清水 隆史
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
AI・データサイエンス論文集
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.378-385, 2021

<p>耐候性鋼橋梁の点検・診断は,防食機能の劣化状態の判定に基づき行われており,その判定には外観評点法が用いられる.しかしながら,外観評点法により的確な評価を行うためには,相応の経験を要するが,昨今の人材不足や点検費用の確保などの課題があり,簡易かつ精度が高い評価手法の確立が求められている.本研究では,耐候性鋼橋梁のさび近接画像と既存の CNNモデルを活用し,外観評点の識別精度について検討を行った.また,識別精度に及ぼす学習・検証用近接画像の画像サイズの影響についても検討を行った.その結果,VGG19及び SEnetの CNNモデルが高い識別精度を示した.また,入力画像サイズが大きいほど識別精度が向上することを明らかにした.さらに,学習と検証に用いた画像の解像度が異なる場合,識別精度が低下する傾向があることを示した. </p>
著者
中村 仁 佐々木 厚子 相川 拓也 市原 優 田端 雅進
出版者
日本菌学会
雑誌
日本菌学会大会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.98, 2011

岩手県の栽培ウルシ林の衰退原因について紫紋羽病の関与が疑われている.日本では紫紋羽病の病原菌として知られる<I>Helicobasidium mompa</I>の他に,<I>H. brebissonii</I>が青森県に分布することから,当該ウルシ林で発生している紫紋羽病菌の種同定を行った.2009年および2010年10~11月に岩手県北部10ヶ所のウルシ林で採集した子実体60試料から得た分離菌株の形態観察を行い,一部菌株についてはrDNA ITS領域の塩基配列を決定した.また2011年5月にウルシ林3ヶ所で胞子形成している子実体を採集し,形態観察を行った.その結果,46菌株のうち32菌株(8ヶ所由来)が<I>H. mompa</I>,7菌株(3ヶ所由来)が<I>H. brebissonii</I>と同定された.<I>H. brebissonii</I>については青森県以外での初確認であり,本種は東北地方北部に分布していることが示された.残り7菌株(2ヶ所由来)については,上記2種とは異なっていた.本未同定菌は,酸性V-8ジュース寒天培地上では菌糸塊形成がまれで気中菌糸の少ない菌叢となり,オートミール寒天培地上では貧弱な菌叢生長を示すなど上記2種の培養菌叢と区別できた。子実体上では前担子器のない,2個の小柄を有する,湾曲した円筒状の担子器を形成し,担子胞子は無色,卵形~楕円形で,大きさは7.5-12.8 x 4.5-8 &micro;mであり,これら特徴は<I>H. brebissonii</I>とほぼ一致あるいはその範囲内であった.また,国内の他紫紋羽病菌との分子系統関係を類推するためrDNA ITS領域を用いた系統樹を作成した結果、<I>H. brebissonii</I>とは異なるクレードを形成した.<I>H. brebissonii</I>と近接した場所で発生している場合があり,生殖的な隔離が存在すると推察されたことから,本菌を国内既知種とは異なる種,<I>Helicobasidium</I> sp.と同定した.以上から,岩手県の栽培ウルシ林には,国内初確認の種を含む,<I>Helicobasidium</I>属3種が分布することが明らかになった.
著者
近藤 勝則 中村 彰宏 三友 仁志
出版者
公益財団法人 情報通信学会
雑誌
情報通信学会誌 (ISSN:02894513)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.35-44, 2015

近年、インターネットを利用すると同時に、テレビやラジオも視聴する、あるいは音楽も聞く、といった他の消費行動も同時に行う「インターネットのながら利用」が増加している。このようなインターネットのながら利用は、時間を多重的に使っている点に特徴があり、予算制約式に時間を含めて効用最大化行動を分析する枠組みでは、その便益を推計することは困難である。本研究では、その推計の1つの手法として、技術の進歩によってインターネットのながら利用ができるようになった点を新サービスの市場への投入と捉え、新サービスの登場による消費者便益の増加を推計する手法を援用して、インターネットのながら利用による便益の推計を試みた(推計の対象は「ながら利用ができること(機能)」ではなく、「インターネットをながら利用すること(利用実績)」)。<br>推計の結果、インターネットのながら利用による消費者余剰は平均的な利用者において約3,500円/日程度となっており、こうした新サービスは相応の便益を生じていることが示唆される。<br>また、本研究では利用できるデータの制約上スマホ普及前の時点でのインターネットのながら利用の便益を推計したが、現在のスマホの利用環境下ではさらに大きな便益が生じていることが推測される。
著者
吉野 博 中村 安季 池田 耕一 野崎 淳夫 角田 和彦 北條 祥子 天野 健太郎 石川 哲
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会環境系論文集 (ISSN:13480685)
巻号頁・発行日
vol.74, no.641, pp.803-809, 2009-07-30 (Released:2010-01-18)
参考文献数
15
被引用文献数
4 3

In order to make clear the relationship the chemical substances concentration and symptom of sick house syndrome, an investigation of 62 houses in Japan has been done for 9 years. The results showed that the indoor air of many sick houses was polluted with high carbonyl compounds and Volatile Organic Compounds (VOC) concentrations exceeded the criterions of Japan Standard. In addition, high concentration was found not only in the houses which were just built or renovated, but also in the houses with well-air-tightened and low air change rate.