著者
丸山 伸 中村 素典 岡部 寿男 山井 成良 岡山 聖彦 宮下 卓也
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.1021-1030, 2006-04-15
被引用文献数
5

電子メールが広く利用されるようになるにつれて,メールを遅延なく即時に配送することが求められている.しかし,メール配送エージェント(MTA)に大量のメールが送りつけられて負荷がかかったときには,メールの配送に遅延が生じるだけでなく,MTA の運用の継続すら困難な事態となってしまう.このような高負荷時においても特定のメールを優先的に配送する技術が求められている.本論文では,メールが配送される直前に行われるネームサーバ(DNS)に対する問合せに着目し,DNS問合せのソースアドレスに基づいて信頼できる発信者からのメールを他のメールから分離し,遅延なく優先して配送する手法を提案する.まずDNS の問合せに対してその応答として毎回異なる回答を送り,回答したサーバにメールが送られてくるのを待つ手順を繰り返すことで,DNS 問合せ元のIPアドレスとメールの発信者との対応表を作成する.次に優先して配送するべきメールの基準に基づき,優先して配送するべきDNS 問合せ元の一覧「White DNS Server List」を抽出する.この表に基づいてメールの配送先を振り分けることで,大量のメールが配送されてくる際にも信頼できる発信者からのメールを他のメールとは独立したサーバで取り扱うことができ,遅延を引き起こすことなく配送できる.そのためのシステム構築方法を示すとともに,実験により有効性を確認した.Delivering e-mails without unnecessary delay is one of the very important issues as the spread of e-mail service and its use become very common. But in case that a "Mail Transfer Agent (MTA)" is heavily loaded by huge amount of mails sent to the MTA, not only the delay on mail delivery is inevitable but also managing the MTA service becomes difficult. Thus, a delivery method that treats legitimate mails with priority is requested. In this paper, we focus on the query to the "Domain Name Service (DNS)" which is usually processed just before the mail transfer, and propose a new delivery method which separates legitimate mails from others according to the source IP address of the DNS query. That is, employing a crafted DNS server which responds to each DNS query with separate IP address, and wait for incoming mails at each address, we get a correspondence table between a DNS query and the incoming mail. And we also show that we can lead legitimate mails to the separated mail servers by dynamically changing the DNS response based on this table, and deliver them with short delay even in the case that others servers are loaded by many other mails.
著者
中村 昌志 天海 良治 山崎 憲一 吉田 雅治 竹内 郁雄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. 記号処理研究会報告
巻号頁・発行日
vol.94, no.3, pp.9-16, 1994-01-14

実時間記号処理カーネルTAO/SILENTのパッケージシステムについて述べる.言語TAOは記号処理専用マシンSILENT上でOSとしての役割を果たすため,一般的なプログラミング言語の機能の他に,OSの機能を併せ持つ.TAOのパッケージシステムでは,パッケージとシンボルの保護機能およびインクリメンタルリハッシュがOSの機能である.一般的にプログラミング言語の機能としては,パッケージパスによるパッケージの継承がCommon Lispと異なった特徴的なものとなっている.これらの機能を組合わせることにより多様な構造の名前空間を実現することができ,マルチユーザ環境や複数言語の共存などに対応できる.
著者
堀内 美穂 中村 徹 永井 賢吉
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.32-42, 2009 (Released:2009-04-01)
参考文献数
2

科学技術振興機構(JST)が作成,提供しているJSTPlusファイルおよびJMEDPlusファイルを用いて索引に関する調査を実施した。検索時に利用される検索フィールドといった検索動向の分析や検索テーマ(52テーマ)ごとの検索フィールドによる再現率・適合率への寄与の調査分析を行い,利用者は索引を意識して検索することは多くないが,気付かぬうちに索引およびシソーラスのメリットを受けていること,索引を検索対象とすることで検索精度が向上し,書誌のみではたどり着けない文献も検索できていることを確認した。また,論文の標題・抄録・全文中における索引語の出現割合の調査により,索引語の4割は,その同義語も含めて論文中には存在しないものであり,索引者が本文から判断して付与していることを明らかにした。これは人手による索引の有効性を意味する。
著者
岡部 めぐみ 瀬川 大勝 宮村(中村) 浩子 斎藤 隆文
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告グラフィクスとCAD(CG) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.86, pp.29-34, 2004-08-18
参考文献数
5
被引用文献数
3

本論文では,多重スケール解析を用いて非写実的顔画像を生成する手法を提案する.サイズの異なるGaussianフィルタを複数組み合わせて周波数分解を行い,複数の異なる周波数帯域の情報を得る.そして,各帯域の詳細度を考慮し,それぞれに重み付けを行なうことで,輪郭などの局所的な情報や,陰影などの大域的な濃淡情報を得ることができる.これにより,輪郭線で表現できるフラットな情報だけでなく,陰影によって顔の凹凸情報も同時に表現する.さらに,色の情報を組み合わせることによって,よりアトラクティブな画像を得ることを可能としている.この手法の特徴は,少ないパラメタで描画結果を制御でき,また,照明条件に依らず,安定した結果が得られることである.We propose a new method to create non-photorealostic facial images. Our method is based on a multi scale analysis which uses Gaussian filters for frequency decomposition. By recomposing with proper weight for each band-pass image, we can get non-photorealistic facial images which include both local edge information and rough shading information of the source image. Furthermore, color information is added to create more attractive images. This method has the robustness against lighting conditions. Also, a user can control the drawing result with a few parameters.
著者
陣崎 明 中村 修 村井 純
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CPSY, コンピュータシステム
巻号頁・発行日
vol.98, no.234, pp.15-22, 1998-08-05
被引用文献数
2

「並列ネットワークサーバComet」のアーキテクチャを述べ、Cometによる並列分散システムの構築および分散型インターネットルータへの応用について検討する。CometはPCIバスをもつ計算機にCometネットワークアダプタを搭載したもので、ネットワークアダプタにハードウェアサポートによる高速プロトコル処理機能をもたせることにより、Gigabitレベルのアプリケーションネットワーク性能やアダプタ内でのパケットフォワーディング機能を実現する。すでにCometネットワークアダプタの試作を完了し、広域のCometネットワークサーバ実験システムの構築を終わって、IEEE1394overIPを用いた実験評価を行っている。
著者
佐野 洋 中村 隆宏
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.117, pp.39-44, 2004-11-20

筆者らは,中学校,高等学校で利用される英語教科書を調査し,英語教育過程で教授される英語文型を網羅的に調査した。その結果絵を基に,(株)小学館・マルチメディア局との共同開発により,BNC(British National Corpus: 一億五の英文コーパス)から文型を基に英文用例を抽出するための検索式を作成した。検索式を用いて英文用例を抽出した。英文用例はXMLデータベース化し,XMLデータベースからHTLMデータを自動生成して,インターネットを通じて英語教育素材を提供するWebサイトを構築した。本サイトは,小学館コーパスネットワーク(SCN)のサービスとして提供される。We have released a website that allows users to download sentence patterns for English educational purposes. These sentences were extracted from the BNC, and collected by writing search formulas using the LTB. Prior to the creation of the formulas, we surveyed major English textbooks used widely at Japanese educational institutes, for the purpose of covering This project was done in collaboration with Shogakukan and Sano Laboratory at TUFS. The site is provided as a part of SCN services.
著者
中村 隆文 ナカムラ タカフミ NAKAMURA Takafumi
出版者
千葉大学大学院人文社会科学研究科
雑誌
千葉大学人文社会科学研究 (ISSN:13428403)
巻号頁・発行日
no.17, pp.1-17, 2008-09-24

現代哲学思想において「ヒューム主義(Humeanism)」というものは、反実在論(anti-realism)、あるいはそれに准ずるような、性質に関する「非.認知主義(non-cognitivism) 」として、一般的には主観主義に近い形で理解される傾向にある1。そのような傾向のもと、或る種の反実在主義者(そして、そのほとんどが非-認知主義者であり、たとえば、A.J. エアーのような表出論者やS. ブラックバーンのような投影論者たち)はヒュームの主張を好意的に取り上げる一方、或る種の実在論者たち(たとえば、J. マクダウェルのような認知主義者)はヒュームの主張それ自体を批判しながら反ヒューム主義を提唱するという対立の図式が出来上がっている。しかし、そもそもそうした反実在論vs. 実在論の対立が、あたかもヒューム思想を認めるかどうかであるように図式化されていることについて、私はそこに違和感を感じる。もちろん、その対立図式のもとで生み出された各種議論はそれぞれ重要な意味をもっているのであるが、そもそもヒューム思想がそのような二分法によって理解されるべきものであるかどうかについて、本論考全体を通じて考えてゆきたい。 本論考で紹介するヒューム主義的思考法とは、簡単にいってしまえば、通常は当たり前とされるような関係(いわゆる「分かっている」)を分析し、それが必然的なものではないこと(しかし、同時にそれが不可欠な形で採用されてしまっていること)を論じる手法である。そうした手法を通じて、我々が通常当たり前のように用いている「私」「われわれ」の概念を分析しながら、ヒューム主義というものが奥深く、かつ非常に哲学的な態度であることを論
著者
中村 英郎
出版者
早稲田大学法学会
雑誌
早稲田法学 (ISSN:03890546)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1-2, pp.261-304, 1967-03-20

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著者
中村 英郎
出版者
早稲田大学法学会
雑誌
早稲田法学 (ISSN:03890546)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2-3, pp.55-92, 1951-02-15
著者
井澤 美樹子 中村 惠子
出版者
青森県立保健大学
雑誌
青森県立保健大学雑誌 (ISSN:13493272)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.111-118, 2004-03-31

糖尿病患者は、糖尿病の療養のため、今までの生活習慣を変え療養行動を生活に組み入れることが求められる (行動変容)。しかし行動変容の必要性を認識していても行動を実際に変えることは難しい。そこには、自己存在価値と行動変容ができない原因の帰属が関連していると考えた。そこで糖尿病患者7事例の療養行動の考え方と自己存在価値について学習理論の視点から分析した。その結果以下のことが示唆された。1) 自己存在価値の捉え方は、「他者との比較による価値付け」と「自身による価値付け」という2つに特徴づけられた。(1)「他者との比較による価値付け」をする人は、自己存在価値観が低く、行動変容できない原因が外的統制要因に帰属していた。(2)「自身による価値付け」をする人は、自己存在価値観が高く、行動変容できない原因が内的統制要因に帰属していた。2) 療養行動の目標では、「他者との比較による価値付け」をする人は「今を無理しない・楽に」、「自身による価値付け」をする人は「これからを考える」という特徴があった。3) 療養行動の評価の視点は、「他者との比較による価値付け」をする人は結果で判断する、「自身による価値付け」をする人はプロセスで判断するという特徴があった。看護職者が糖尿病患者の行動変容を支援する場合、行動変容ができない原因の帰属傾向、自己存在の価値付け、及び療養行動の目標と評価の視点を理解し、その情報を患者教育に活用することで糖尿病患者はエンパワメントされることが示唆された。
著者
川俣 純 山口 治 村松 浩幸 高崎 満 中村 雅俊 吉田 吉美
出版者
日本教育情報学会
雑誌
年会論文集
巻号頁・発行日
no.23, pp.256-257, 2007-08-20

茨城県南地区の中学校技術・家庭科(技術分野)におけるロボット製作とそのロボットコンテスト大会において,CMSを用いた情報共有システムを構築し共同学習をおこない、その効果を検証した。実践の結果、10校の生徒達から参考資料を明記した120件のアイディアが出願された。さらに出願時に参考資料を明記させたことで,アイディアが学校を越えて連鎖し,新たな技術開発につながったことも確認することができた。これらの成果は情報共有システム上に残され次年度へ継承された。生徒を対象した調査でも、学校を越えたアイディアの交流の効果が確認された。
著者
市來 雅啓 茂出木 理子 中村 恭之 柴尾 美紀子
出版者
Tokyo Geographical Society
雑誌
地學雜誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.109, no.6, pp.993-1005, 2000-12-01

The comprehensive Earth science database, GeoRef, is introduced in this paper. GeoRef is one of the Earth science databases with the largest number of references (about 2.2 million), and is managed by American Geological Institute (AGI). GeoRef provides not only an environment for searching references, but also for delivering the necessary references and for making written reference lists.<BR>To verify the usefulness of GeoRef, we compared several cases of searches using GeoRef, Web of Science and Swet Scan. Although GeoRef was not able to pick up more references than Web of Science, GeoRef generally collected suitable references and showed its usefulness of searching particularly in the geological category. However, it was revealed that GeoRef was relatively slow to incorporate the latest information.
著者
中村(笹本) 雅子
出版者
一般社団法人日本教育学会
雑誌
教育學研究 (ISSN:03873161)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.281-289, 1997-09-30

アメリカにおいて1960年代の「文化剥奪論」論争でたたかわされた、マイノリティ集団の子ども達の学業成績不振を説明する諸理論は、支配的文化とマイノリティ文化の関係のとらえ方に即して、「欠陥モデル」「差異モデル」「二重文化内化モデル」の三つに区別される。マイノリティ集団にとって、支配的文化との差異が不利な条件になっていることの指摘から、「文化剥奪」を解釈するための二つの枠組みを本稿では設定するか、それは「支配的文化を剥奪されている」という枠組みと「自らの集団の文化を剥奪されている」という枠組みである。この二つが実は「支配的文化による剥奪」として統一的に把握されるとの理解から導き出されるのは、支配的文化を構成するものとしての「文化剥奪力」の想定である。多文化教育の実践は様々に類型化されている。その多くが、文化剥奪の二つの枠組みのとちらか、あるいはその両方の側面に対処するものであるか、社会構造や人種主義等の、支配的文化の問題にとりくむものはほとんとない。ローマンか「多元主義としての差異」イテオロギーと表現ずる、差異や多様性そのものを価値として称揚するアプローチも多いが、それは差異に内在する権力関係の認識を欠くものとして批判されねばならない。アイリス・ヤングの「差異の政治」の議論は、同一性の理想とのがかわりで集団間の抑圧を分析するものとして注目に値する。社会関係と抑圧を構成するものとしての集団間の差異の重要性を明らかにするヤングは、抑圧を崩していくために集団の差異に注目し、それに対処する「差異の政治」を主張する。特に重要なのは、同化の理想、あるいは普遍的人間性の理想が; (1)特権化された集団と異なる文化をもつ集団を不利な立場におくこと、(2)特権化された集団の規範が中立的で晋逼的とみなされるのを許すこと、(3)標準から逸脱する集団のメンバーに自己否定をもたらすこと、を通じて抑圧を永続化させるという彼女の分析である。文化の支配は、普遍性や規範性の占有に基づくということがここでは示されている。教育の問題として考えるとき、この普遍性の占有の問題は、カリキュラムの批判的分析の視座を提供すると共に、白人教師と白人生徒が抑圧された集団との関係で自らをどのように位置づけ理解するかという問題を提起する。多様性を付加するだけではなく、カリキュラムの規範性の検討が必要である。「白人性の肌構築」を課題として提起するスリーターとジルーの議論への注目から、さらに教育における文化政治の可能性を探ることが課題として位置づけられる。
著者
高橋 大志 中村 春樹 篠田 和文 福本 一朗
出版者
日本医療機器学会
雑誌
医科器械学 = The Japanese journal of medical instrumentation (ISSN:0385440X)
巻号頁・発行日
vol.77, no.1, pp.23-29, 2007-01-01
参考文献数
15

Cryosurgery, an operative method that applies freezing to produce a specific response in tissue, is probable and may be used in treatment of tumor. Liquid nitrogen, argon gas are used as cryogen, but these cryogen are weak controlling agents in freezing rate and thawing rate. Destroying tumors by hyperthermia treatment is known, but there are few studies including hyperthermia condition after cryosurgery, therefore the aim was to produce freezing-thawing rate controllable cryosurgery system and to investigate the effect of cryosurgery-hyperthermia in mice livers. Cryosurgery system includes Peltier device and Stirling refrigerator, using 1 cycle method of rapid freezing and slow thawing. Hyperthermia was performed after cryosurgery and contact probe were in contact all the time during freezing, thawing and heating. 24 hours after operations mice livers were stained by Hematoxylin-Eosin and observed under optical microscope. The result showed measured temperatures of rapid freezing and slow thawing during operations. Stained tissue showed necrosis and injury was more serious in cryosurgery-hyperthermia group. This suggests the possibility of electrical temperature rate control during cryosurgery and the effect of hyperthermia treatment after cryosurgery would supply a more effective treatment system. This method may contribute to cryosurgery in the future.