著者
伊藤 一成
雑誌
情報教育シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, no.16, pp.110-120, 2017-08-10

ピクトグラムとは日本語で絵記号,図記号と呼ばれるグラフィックシンボルであり,意味するものの形状を使ってその意味概念を理解させる記号である.特に人自体を表現したピクトグラムは数多く存在し,本論文では人型ピクトグラムと称する.Papert は,自分自身の体を使ってタートルになったふりをすることで,LOGO の命令を実行することができるという特徴に大きな重要性を見いだし,これを同調的学習と呼んだ.これは,人型ピクトグラムに対する本人との同一視効果や感情移入の効果に相当するものと考えられる.また Papert は,タートルは文化活動に結びつく一種の文化同調も見られるとしている.ピクトグラムは,観光,異文化コミュニケーション,語学,認知,心理,防災,福祉,医療,情報デザインなど様々な領域で人々の生活や文化に広く根付いており,人型ピクトグラムを題材とすることで文化同調の効果も期待できる.そこで,人型ピクトグラムを用いたプログラミング学習環境 「ピクトグラミング」 を実際に構築し,評価した.
著者
伊藤 一成 辻 麻衣子 三宅 剛史
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.110, no.10, pp.670-677, 2015 (Released:2018-05-21)
参考文献数
14

現在普及している速醸?や生もと系酒母の原型とされる菩提もとは,速醸もとの技術が全国に普及したのと同時に姿を消したとされている。近年,奈良県において菩提もとの製造メカニズムが解析され,菩提もとを用いた清酒が再現復活している。これと同時期に岡山県内の蔵元において,独自の方法で製造したそやし水を使用するもと造りが確立されていた。本稿では,このそやし水の解析から明らかになったことを解説していただいた。
著者
伊藤 一成
雑誌
情報処理学会論文誌教育とコンピュータ(TCE) (ISSN:21884234)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.47-61, 2018-06-06

本論文では,人型ピクトグラムを用いたプログラミング学習環境「Pictogramming(ピクトグラミング)」を提案する.PictogrammingはPictogramとProgrammingを合わせた造語である.ピクトグラムは表現の抽象度の高さから,それを見た人物が自分自身や本人に関わる人物事物を想起させる効果があるといわれている.人型ピクトグラムを人間の動作に模倣して動かす,今回実装したプログラミング学習環境は,構築主義の提唱で知られるPapertが重要視する同調的学習の概念と相性が良い.人型ピクトグラムを変形する“ピクトアニメーション”コマンドと移動の軌跡を図として表示する“ピクトグラフィックス”の2種類のコマンドを併用することで,コンパクトな命令セットで,かつスモールステップ学習可能な環境のため,短時間でピクトグラムのデザイン指針に準じた多様な作品を作成することができる.実際に100人程度の中学生を対象とした実践授業を行い,提案アプリケーションの有用性や教育現場での利活用の展望について観察,アンケート,理解度テストの3点から評価・分析した.観察の結果,“ピクトグラフィックス”を学習した授業で,人型ピクトグラムの動作を学習者自身が模倣する動作が見られた.またアンケート,理解度テストいずれも概して良好な結果を得,同調的学習を喚起させたと思われるアンケート回答もいくつか見られた.ただし,条件分岐を学習する授業については,他の授業よりアンケート,理解度テストともに有意に低い結果となっており,検討・改善の余地がある結果となった.
著者
伊藤 一成 阿部 和広 新目 真紀
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE)
巻号頁・発行日
vol.2012-CE-116, no.14, pp.1-7, 2012-10-06

青山学院大学社会情報学部では,大学1年生を対象としたプログラミング導入教育を行っている.大学の情報科目は,他の科目に比べ学生のバックグラウンドの個人差が大きい.この問題を解決するため相互学習に着目した.相互学習を行うためには,異なるバックグラウドの学生の発想を引き出すことが重要になる.また学習者が出来るだけ早い段階で,世代や組織の枠を超えた他の学習者に対する教授者になれるような仕組みを構築するのが重要と考えている.本稿では,Scratch,センサーボード,LEGOを組み合わせた本学部の実践について報告する.
著者
伊藤 一成
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.56, no.9, pp.897, 2015-08-15

世界最先端IT国家創造宣言が策定され,ますますプログラミング教育,ディジタル教科書,タブレット教育,アクティブラーニング,教育ビックデータ等々,教育関係のキーワードが乱舞し,騒がしくなっている.経済の先行きへの不透明性や,SNSの影響も相まって,なにか情報教育の「さりげなさ」が失われている.本会のコミュニティが長年にわたり培ってきた「さりげなさ」を吹き込むのは,筋の良い,妥当な方策であると考えられる.
著者
中野 由章 久野 靖 佐久間 拓也 谷 聖一 筧 捷彦 村井 純 植原 啓介 中山 泰一 伊藤 一成 角田 博保 鈴木 貢 辰己 丈夫 永松 礼夫 西田 知博 松永 賢次 山崎 浩二
雑誌
第57回プログラミング・シンポジウム予稿集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.155-169, 2016-01-08

わが国の初等中等教育における情報教育は多くの問題を抱えているが,その中に「どのような評価を行うのがよいかの合意がない」「大学入学試験において情報の内容が出題されることが少ない」という点が挙げられる.筆者らは情報入試研究会として2012 年からこの問題に取り組み,シンポジウムなどを通じて各大学に情報の出題を促すとともに,望ましい情報入試の問題について探究し,公開模擬試験を通じてデータを収集してきた.本発表では,情報入試研究会の活動について紹介するとともに,作題に関する考え方,公開模擬試験で使用した問題や試験結果について紹介し,望ましい情報入試のあり方について議論する.
著者
伊藤 一成 福崎 智司 産本 弘之 三宅 剛史
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.106, no.10, pp.687-693, 2011 (Released:2017-03-13)
参考文献数
18
被引用文献数
1

我々は,生もとの小仕込み試験を行い,そこに含まれるオリゴペプチド成分について速醸もとと比較し解析を行った。その結果,生もとでは苦味ペプチドを含む全オリゴペプチドが速やかに減少するのに対し,速醸もとでは多くの苦味ペプチドが残存することを見いだした。こうしたオリゴペプチド成分の動向には酵母は関与しておらず,完成時の苦味ペプチド含量が麹歩合による顕著な影響を受けたことから,麹由来の酵素による苦味ペプチドの分解様式が生もとと速醸もとで異なっていると思われた。
著者
吉田 葵 伊藤 一成 阿部 和広
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2016-CE-134, no.12, pp.1-10, 2016-02-27

青山学院大学では,2015 年前期 (4 月から 8 月) に,社会情報学部 1 年次必修科目として 「社会情報体験演習」 を開講した.この授業科目の目的は,構築主義を背景としたフィジカル・コンピューティングを通して,プログラミングの知識や技術を身に付けるだけでなく,主体的に学ぶ姿勢を身につけることである.授業では 「(教師は) 教えない」 を合言葉とし主体的に学ぶことを促した.また,学生の興味を惹き,アイデアを引き出せるよう,センサーボードをはじめとした様々なアイテムを提示し,自らのアイデアを形にするという体験を提供した.本稿では,授業設計について報告するとともに,履修学生に対するアンケート結果及び成果物から,技術の習得及び学ぶことに対する意識の変容について考察する.
著者
佐々木健 伊藤一成
雑誌
第77回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2015, no.1, pp.983-985, 2015-03-17

平成24 年度より中学校の技術家庭科で,計測や制御を伴うプログラミングが必修化された.これまで様々な取り組みが報告されてきたが,社会教育や家庭教育も含めた視点での一層の整備が急がれる.そこで本稿では,プラレールに着目した.世代を超えて親しまれるプラレールを使用することで,親と子が共に学習への興味を持続する事が可能だと考えられる.さらに,各種センサを利用した情報機器の多様化や低価格化が進んでおり,一般の人でもセンサデバイスを,身近なものとして捉えるようになってきた.本研究ではこれら両者を組み合わせた学習教材を試作したので,報告する.
著者
岩山 直樹 伊藤 一成 長谷川 春生
出版者
日本デジタル教科書学会
雑誌
日本デジタル教科書学会発表予稿集 日本デジタル教科書学会第7回年次大会 (ISSN:24326127)
巻号頁・発行日
pp.1-2, 2018 (Released:2018-10-03)
参考文献数
3

小学校学習指導要領総則には「コンピュータ等を上手に活用してよりよい社会を築いていこうとする態度を育む」とある。小学校におけるプログラミングのねらいにはコンピュータと社会や生活とのつながりを意識することが大切であることから、本研究では、生活とプログラミングをつなげる授業実践を行った。実践を通して、生活の中にある課題を解決するためにプログラミングを活用していくことが、子供の態度育成と主体的な学びにつながることが明らかとなった。一方、プログラミングを行う上で必要な技能等を系統的に習得していくことが課題として残った。
著者
御家 雄一 米田 貴 伊藤 一成
雑誌
2017年度 情報処理学会関西支部 支部大会 講演論文集 (ISSN:1884197X)
巻号頁・発行日
vol.2017, 2017-09-15

人型ピクトグラムを形取った教材を用いてCSアンプラグドの複数のアクティビティを横断的に学ぶ手法を提案している。人型ピクトグラムも参加者の一員とみなし一人称視点と三人称視点をうまく融合した解説動画を制作したので報告する。
著者
谷 聖一 佐久間 拓也 筧 捷彦 村井 純 植原 啓介;中野由章 中山 泰一 伊藤 一成 角田 博保 久野 靖 鈴木 貢 辰己 丈夫 永松 礼夫 西田 知博 松永 賢次 山崎 浩二
雑誌
情報教育シンポジウム2016論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.7-14, 2016-08-15

情報入試研究会と,情報処理学会情報入試ワーキンググループは,2013年と2014年に引き続き,2015年と2016年に「大学情報入試全国模擬試験」を実施した.「大学情報入試全国模擬試験」の目的は,「どのような試験方法、どのような範囲・内容・水準の問題が適切であるかについて意見を交換し、その成果として具体的な入試問題の試作を行い世の中に公開すること」ことであった.2015年実施の模試には約2000名の高校生が,また,2016年実施の模試には約750名の高校生が参加した.本報告では,その実施概要と結果について報告する.適切な範囲・内容・水準を確立するためのの議論の素材となりうる具体的な入試問題を提示したという点で,目的をある程度達成できたといえる.
著者
中野 由章 谷 聖一 筧 捷彦 村井 純 植原 啓介 中山 泰一 伊藤 一成 角田 博保 久野 靖 佐久間 拓也 鈴木 貢 辰己 丈夫 永松 礼夫 西田 知博 松永 賢次 山崎 浩二
雑誌
情報教育シンポジウム2014論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, no.2, pp.11-17, 2014-08-17

情報入試研究会と,情報処理学会情報入試ワーキンググループは,2013 年と2014 年に「大学情報入試全国模擬試験」を実施した。2014 年に試行した試験は,920 人が受験し,その内容について分析した。その結果,全体としてみれば,得点分布,解答時間,問題数などは極めて良好であり,出題範囲や難易度についても問題はなかった。ただ,「情報の科学」領域,とりわけプログラミングについては,問題点が明らかになった。これはすなわち,大学側が求める内容と,高校側で行なわれている内容の乖離を意味する可能性がある。入試問題という狭い範囲ではなく,教育内容まで含めて,今後,総合的に検討を要する内容である。
著者
飯島 泰裕 伊藤 一成 香川 秀太 皆木 健男 村田 和義 勝谷 紀子 松澤 芳昭 吉田 葵 上野 亮
出版者
青山学院大学社会情報学会
雑誌
青山社会情報研究 (ISSN:18837638)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.59-65, 2016

The School of Social Informatics at Aoyama Gakuin University has a course called PBL (Project-Based Learning), which is taught using an LMS (Learning Management System). However, difficulties are sometimes experienced in the course that sometimes inhibits the achievement of good results. One method to address potential problems is to encourage a sense of competition among the students. In addition, support is often necessary for the creation of cooperative relationships. Therefore, in 2014 we introduced a case management support system called Salesforce. The preliminary effects of Salesforce are presented in this study. The results revealed that instructors were able to respond more quickly to the students' questions. Furthermore, it was confirmed that competition among the students was greatly enhanced using the Salesforce system.
著者
藤森 誠 伊藤 一成 DÜRST Martin J. 橋田 浩一
出版者
日本感性工学会
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18845258)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.575-583, 2009-02-28 (Released:2016-01-25)
参考文献数
12
被引用文献数
1

Pictograms are graphic symbols also called picture symbols. They are widely used, mainly in public accommodations. However, it is hard to say that meaning can be grasped quickly from a single pictogram. In most cases, pictograms are accompanied by some explanatory written text. In this paper, we propose a new method of displaying pictograms, displaying two slightly different pictograms successively, using the difference between the two frames to promote understanding. We limit ourselves to two frames because a higher number of pictograms makes it difficult to clearly express difference information and risks to confuse viewers more than help understanding. We experimentally evaluated the recognition properties of our new method. We showed one-frame and two-frame versions expressing the same content to 165 subjects and measured action time, percentage of correct answers, and semantic transparency. Using a Mann-Whitney U test, we found that in some problems, the semantic transparency was significantly (p < 0.05) higher for two-frame pictograms than for one-frame pictograms. Also, two-frame pictograms generally showed a better percentage of correct answers. We conclude that two-frame pictograms making use of difference information may contribute significantly to increasing pictogram recognition.
著者
藤森 誠 伊藤 一成 DÜRST Martin J. 橋田 浩一
出版者
日本感性工学会
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18828930)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.575-583, 2009
被引用文献数
1

Pictograms are graphic symbols also called picture symbols. They are widely used, mainly in public accommodations. However, it is hard to say that meaning can be grasped quickly from a single pictogram. In most cases, pictograms are accompanied by some explanatory written text. In this paper, we propose a new method of displaying pictograms, displaying two slightly different pictograms successively, using the difference between the two frames to promote understanding. We limit ourselves to two frames because a higher number of pictograms makes it difficult to clearly express difference information and risks to confuse viewers more than help understanding. We experimentally evaluated the recognition properties of our new method. We showed one-frame and two-frame versions expressing the same content to 165 subjects and measured action time, percentage of correct answers, and semantic transparency. Using a Mann-Whitney U test, we found that in some problems, the semantic transparency was significantly (p < 0.05) higher for two-frame pictograms than for one-frame pictograms. Also, two-frame pictograms generally showed a better percentage of correct answers. We conclude that two-frame pictograms making use of difference information may contribute significantly to increasing pictogram recognition.
著者
伊藤 一成 橋田 浩一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. DBS,データベースシステム研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.140, no.2, pp.505-510, 2006-07-14
参考文献数
14
被引用文献数
3

文法の理解を必要としないで直感的に理解できる表現形態として絵文字(ピクトグラム)があげられる.我々はその応用として二次元的に配置された絵文字群の空間的な位置関係を意味構造化した"絵文"という概念を提唱している.絵文の構成素となる絵文字間の相対位置関係に基づく関係と既存のオントロジーをマッピングすることで,絵文字の作成や理解を支援する仕組みについて提案する.