著者
佐々木 健 池田 和博
出版者
一般社団法人 日本老年歯科医学会
雑誌
老年歯科医学 (ISSN:09143866)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.29-35, 2014-07-22 (Released:2014-08-15)
参考文献数
10

歯科訪問診療において,歯科医師が認知症患者対応に際し直面する課題や問題点を把握する調査を行った。北海道歯科医師会員から歯科医師 760 人を抽出(抽出率約25%)し調査対象とした。質問紙を用い,平成 22 年 1 月における歯科訪問診療実施の有無,歯科訪問診療対象患者に占める認知症患者の割合,他の医療・介護分野との連携状況,認知症患者への対応に際し直面する課題や問題点等などについてデータ収集した。同月に歯科訪問診療を実施した者のみを分析対象者とした。 分析対象者が実施した歯科訪問診療の対象患者の約 40%は認知症であった。 他の医療・介護分野との連携は,介護事業所・施設との間が 33〜35%,ケアマネジャーとの間が 16%であり,十分とは言いがたかった。 直面する課題や問題点については,「義歯関係の治療の場合,認知症のない方と比べかみ合わせの調整が難しい」75.3%,「言語によるコミュニケーションが難しい」70.0 %,「認知症を考慮した上で,療養上の指導を行うことが難しい」62.4%など,いずれの項目も頻度が高かった。 大半の歯科医師は認知症患者に手探りあるいは試行錯誤しながら対応しているものと推察され,歯科医療従事者向けに何らかの研修システムの導入が望ましいと考えられた。
著者
佐々木 健
出版者
京都工芸繊維大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

シクロデキストリンの非共有結合性相互作用を利用する大規模自己組織化体の人工的な構築法を開発し,この手法を光合成系光集光過程の人工的モデルであるポルフィリン多量体形成に応用した。今回,ポルフィリン平面の上下に4個,計8個のシクロデキストリンを有するホスト分子の合成に成功し,水溶性ポルフィリンと錯形成することでポルフィリン多量体が構築できることを示した。また,光機能分子の数と配置によりエネルギー移動効率が大きく変化し,多量体内での光機能を自由に制御できる可能性を示した。
著者
佐々木 健 黒田 裕久
出版者
京都工芸繊維大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

シクロデキストリンの非共有結合性相互作用を利用する大規模自己組織化体の人工的な構築法を開発し,この手法を光合成系光集光過程の人工的モデルであるポルフィリン多量体形成に応用した。ポルフィリンのアトロプ異性を利用することにより分子の立体的な空間配置の制御が可能であり,水溶性ポルフィリンと錯形成することでポルフィリン多量体構築の際に光機能分子の配置を自由に制御できることを示した。
著者
安藤 雄一 八木 稔 佐々木 健 小林 秀人 小林 清吾 堀井 欣一
出版者
有限責任中間法人日本口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.440-447, 1995-07-30
被引用文献数
11

新潟県内のフッ化物洗口(以下,F洗口)の実施地域(36市町村)と未実施地域(37市町村)における12歳児DMFTの経年的な推移について検討した。評価期間は1982〜1993年度とした。分析対象はF洗口を管内のすべての小学校で6年以上継続実施している市町村と未実施の市町村とした。F洗口を実施している料については,開始時期別に,1970年代開始群,1982〜1985年度開始群,1986年度開始群の3群に分類して分析を行った。未実施群のう蝕は漸減傾向にあり,全国平均に極めて近い傾向を示した。評価期間以前にF洗口の効果が現われていたと考えられる1970年代開始料は,未実施群と同様,漸減傾向を示したが,う蝕は一貫して少なかった。1993年度における未実施料と比較した1970年代開始群のDMFTの差は43.2%であった。一方,評価期間中に注目を開始した群では,F洗ロ開始以後のう蝕の減少量が未実施料よりも大きく,その減少傾向は統計的に有意であった。未実施料のう蝕減少量を考慮して1993年度時点のF洗口の補正減少率を算出した結果,82〜85年度開始群が45.1‰86年度開始群が31.1%であった。以上より,F洗口によるう蝕の予防効果は,F洗口以外の要因の影響によるのう蝕の減少を除外しても高いことが確認された。
著者
佐々木 健 小泉 輝 岡崎 俊郎 森岡 崇 井東 道昌 宮武 秀樹 森 密雄 鈴木 隆司
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.435-439, 2011

Control issues on haptic device control for virtual prototyping of power window switches are presented. A one degree-of-freedom haptic device was designed to display a virtual switch. The difference in the mass of a real switch and that of the haptic device was the main cause of the difference in the operational feeling. Dynamic equivalent mass was reduced by assisting the operational force. Hysteresis was also incorporated in the force-stroke curve. Sensory evaluation has verified that these control methods have enhanced the reality of the operational feelings of the virtual switch.
著者
岩城 徹 清原 裕 佐々木 健介
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

一般住民の連続剖検症例を用いて、認知症の病理変化と生活習慣病関連因子との関連を病理疫学的に検討した。アルツハイマー病は病理学的に老人斑と神経原線維変化を特徴とする神経変性疾患であり、耐糖能異常、特にインスリン抵抗性が主に老人斑の形成に関与することを明らかにした。続いて脂質代謝異常とアルツハイマー病の病理所見との関連を解析し、総コレステロール高値、特にLDLコレステロール高値の場合、老人斑形成のリスクが高まることを示した。
著者
水越 一郎 佐々木 健
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.402-406, 2012-03-15
著者
牧野 司 海瀬 卓也 佐々木 健志 大村 直人 片岡 邦夫
出版者
The Society of Chemical Engineers, Japan
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.27, no.5, pp.566-573, 2001-09-20
被引用文献数
6 12

本研究の目的は,アスペクト比2のテイラー渦流反応装置に層流条件下で存在する孤立混合領域(IMR)を観察することである.IMRは,レイノルズ数が200以下で装置環状部の上下循環流にそれぞれトロイド渦形状で明瞭に観察された.滑らかな表面の回転内円筒では単純なトーラス構造が観察され,表面に突起を設けた内円筒では細いトーラスが中心トーラスをスパイラル状に囲む構造が観察された.また突起の数が異なれば,レイノルズ数が極近い条件でも,細いトーラスの数が異なることを確認した.したがって,IMRの構造は突起付きの内円筒の回転により生じる周期的な摂動に依存すると考えられる.ラグランジェ法を用いた数値計算より得た仮想流体粒子の2次流循環1周期当たりの摂動回数<i>n</i><sub>e</sub>が細いトーラスの数と対応することがわかった.このことから,IMRの幾何学構造はポアンカレ・バーコフの定理の適用により,理解可能であることがわかった.
著者
小倉 剛 佐々木 健志 当山 昌直 嵩原 建二 仲地 学 石橋 治 川島 由次 織田 銑一
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.53-62, 2002 (Released:2008-07-23)
参考文献数
40
被引用文献数
4

沖縄島に移入されたジャワマングース(Herpestes javanicus)の食性と在来種への影響を把握するために,沖縄島の北部地域において捕獲した83頭のマングースの消化管内容物を分析した.餌動物の出現頻度と乾燥重量は,昆虫類(71%,88mg),爬虫類(18%,27mg)および貧毛類と軟体動物(12%,33mg)が高い値を示した.また,哺乳類,鳥類,両生類および昆虫類以外の節足動物もマングースに捕食され,マングースの餌動物は極めて多岐にわたっていた.マングースが捕食した餌動物の体重を算出すると,哺乳類,鳥類,爬虫類および昆虫類がほぼ均等の重量で消失していることが示唆された.一方,餌動物の個体数と繁殖力を考慮すると,爬虫類への影響は極めて大きいと考えられた.さらに餌動物として,固有種や絶滅のおそれが高い動物種が同定され,マングースがこれらの動物に直接影響を与えていることが明確になった.現状を放置すれば,海外の多くの島嶼で起こったマングースによる在来種の減少および絶滅が,沖縄島でも繰り返されることは明らかである.沖縄島では2002年3月までの予定で,やんばる地域に侵入したマングースの駆除が実施されているが,やんばる地域における駆除の完了は急務であり,これ以降の駆除事業の継続が強く望まれる.さらに駆除した地域へマングースを侵入させない方法を早急に確立する必要がある.
著者
佐々木 健一
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

研究報告書には、「モダン・ポストモダン」「ポピュラー(民衆的)」「日常性」「美術館」の4概念についての研究を収録する。それぞれについて、概念的定義を与え、歴史的な展開(事実と概念/理論)をたどり、今日的問題点を指摘している。また、「直感的・美的」「感情・情緒・感動」「感性・感受性」についての研究を継続中で、このうち、感情/感性に関する英文の論文を脱稿した。
著者
佐々木 健太 長野 伸一 長 健太 川村 隆浩
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.25, 2011

近年,ライフストリームと呼ばれるWebデータ(Twitter,ブログなど)が注目を浴びている.ところが,これらにはユーザが実際に体験した出来事以外に,単なる事実や感想なども多く含まれる.そこで,本研究ではライフストリームから,ユーザが主体的に行った行動に関する情報のみを抽出する手法を提案する.そして,Wikipedia上のデータとの比較による手法評価について述べる.
著者
佐々木 健介 小林 秀幸 岩村 英志 西木 玲彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OCS, 光通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.255, pp.1-5, 2003-08-14
被引用文献数
4

位相シフトを持つファイバブラッググレーティング(FBG)の作製において、ユニフォーム位相マスクをスライドさせる方法によりFBG中に位相シフト部を形成した。そのFBGを評価した結果、FBG中の所望の位置にλ/4の位相シフト部が形成できることを確認した。また、位相マスクを振動させることで屈折率変調量を調整する方法も検討した結果、位相マスクを正弦波で振動させ、その振幅量を変えることで、シミュレーションと一致する屈折率変調量が得られた。これらの方法により、位相シフトを持ち、かつ、アポダイズが施されたFBGが作製できた。
著者
佐々木 健介
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

プリオン持続感染細胞ScN2aに治療薬を投与して異常プリオン蛋白の動態を解析する研究で、種類の異なる薬剤を投与して蛋白重合度変化の違いを詳細に検討した。薬剤投与によりプロテアーゼ抵抗性異常プリオン蛋白だけでなく、プリオン蛋白オリゴマーも抑制された。しかし、コンゴ・レッドおよびその誘導体化合物を投与した場合には、分子量数100kDa程度の比較的小さなオリゴマーの抑制効果が乏しいのに対して、ペントサンポリ硫酸投与では十分な抑制効果が示された。これが生体での治療効果に影響を及ぼしている可能性があり、低分子オリゴマーが神経細胞毒性に関与することが示唆された。全反射顕微鏡を用いた解析で、蛍光標識した抗プリオン蛋白抗体を培養細胞から調製したサンプルと反応させて、プリオン蛋白と結合したと考えられる輝点を検出・測定した。未反応の遊離蛍光抗体およびプリオン蛋白モノマーと結合した低輝度の輝点をガウス分布のあてはめにより除外して、重合プリオン蛋白に複数の抗体が結合したと考えられる高輝度のスポットを定量化した。異なるエピトープを認識する抗体を用いて比較解析を行ったところ、高輝度のスポットの割合は抗体ごとに異なり、オリゴマーを構成するプリオン蛋白分子の異常な重合や構造変換を示唆している可能性がある。また、ヤコブ病剖検例の検討を継続して、ヒトのプリオン病におけるペントサンポリ硫酸脳室内投与例のうち、4例の剖検データを蓄積した。治療群では、非治療コントロール群と比較してプリオン蛋白オリゴマーの割合が低下している傾向を認めた。プリオン病の病態解明にプロテアーゼ抵抗性という指標だけでなく、蛋白重合度や構造変換という指標も重要であることが示された。