著者
佐々木 朝子
出版者
北海道大学大学文書館
雑誌
北海道大学大学文書館年報 (ISSN:18809421)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.77-107, 2020-03-31

筆者は、演習林における管理体制や研究・教育体制を明らかにするにするための準備作業として、「札幌農学校・東北帝国大学農科大学の演習林に関する一考察」(『北海道大学大学文書館年報』第14号、2019年3月)において、第一基本林(後の雨龍演習林)が設置された1901年から、北海道帝国大学が設置される1918年4月までに期間を限定し、北海道大学の前身である札幌農学校及び東北帝国大学農科大学における演習林について、概況及び職員配置をまとめた。本稿では、北海道帝国大学(1918年4月~1949年5月)の時期を対象として、先の論考では取り上げることができなかった、北海道帝国大学における演習林の概況及び職員配置について考察する。
著者
藤木 弘之 天谷 康孝 佐々木 仁
出版者
国立研究開発法人 産業技術総合研究所
雑誌
Synthesiology (ISSN:18826229)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.127-144, 2015 (Released:2015-09-04)
参考文献数
28
被引用文献数
2

国家標準の交流電圧標準は、サーマルコンバータと呼ばれる交直変換器を用いて、直流電圧標準と交流電圧を比較測定して導かれている。しかし、サーマルコンバータを作製可能な標準機関は少なく、入手が困難であるため、国家標準の範囲拡張が難しい状況であった。また、従来のサーマルコンバータは、壊れやすく、大量の校正を行う校正事業者の校正器物として使いにくいため、国家標準機関で普及するのみであった。今回、作製方法の簡易化と従来の性能を改善する目的で、新型のサーマルコンバータの開発を行った。新型サーマルコンバータは窒化アルミ基板を採用することで、耐久性が向上し、産業現場に近い校正室でも校正器物として使用可能となった。
著者
佐々木 宏二 増田 昇 井原 縁 竹田 博康 加我 宏之
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究(オンライン論文集) (ISSN:1883261X)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.59-69, 2020-11-20 (Released:2021-01-15)
参考文献数
65

This study aims to clarify forest characteristics and formation process of wooded flat areas inhabited by deer in Nara Park, known for its beautiful scenic landscape, and to explore key factors contributing to the forest formation. We probed into a wide range of past and present documents relating to afforestation of the park, including those written in the Edo period before the park opened. The study found that the wooded areas are classified into six categories, each dominantly comprising a group of tall trees. It has also revealed that there are three factors that have shaped their distinctive forest formation, including the eating habit of deer inhabiting Nara Park, preservation of historical or cultural spaces of religious, historical, or cultural values, and landscape creation based upon newly developed or improved park environments of integrative and scenic values, while presenting basic concepts conducive to future forest protection and sustainability in response to each formation factor.
著者
佐々木 沙和子
出版者
日本笑い学会
雑誌
笑い学研究 (ISSN:21894132)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.39-47, 2020 (Released:2021-04-19)

本研究は、発達障がい幼児と保育者との笑いを伴う関わり合いに関する実践を行い、幼児の言葉の拡がりに着目してその変化を検証することを目的とした。児童発達支援センターに通所する幼児と担当保育者との関わり合いの記録を分析した。その結果、笑いを伴う関わり合いによって幼児が言葉で意思を伝えたいという思いが強まり、本人なりの言葉の拡がりが見られた。本研究を通して、保育者による本人の興味・関心に合わせた寄り添い方に重点を置いた取り組みの必要性と共に、笑いを伴う発達支援の可能性について示唆された。
著者
岡田 理沙 後藤 悦 愼 重虎 佐々木 典子 今中 雄一
出版者
一般社団法人 日本医療・病院管理学会
雑誌
日本医療・病院管理学会誌 (ISSN:1882594X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.44-52, 2023-04-30 (Released:2023-04-28)
参考文献数
42

介護保険サービス利用の地域差については,多角的な分析を行い,適切に対応していくことが求められている。本研究では,市区町村単位での介護保険サービス利用の地域差を明らかにしたうえで,その地域差に関連する因子を検討した。まず,介護保険者単位で居宅,地域密着型,施設サービスの利用割合を,全国及び大都市部,地方都市部,過疎地域の3つの地域別に記述した。次に,各サービス利用割合と5つの曝露因子の関連について,交絡因子を調整して調べるため,回帰分析を行った。本研究の結果,各利用割合は大きなばらつきを認め,特に居宅サービスは0%から20.4%まで分布していた。また,居宅サービス利用は大都市部,地域密着型及び施設サービス利用は過疎地域に多い傾向にあった。さらに,高齢単身者世帯の割合,女性の就業割合,高齢者の就業割合,居宅介護支援事業所のケアマネジャー数,施設サービス定員数の全ての曝露因子が各利用割合と関連を示した。
著者
松田 隼 小島 直樹 野原 春菜 有野 聡 松吉 健夫 佐々木 庸郎 一瀨 麻紀 山口 和将 稲川 博司 岡田 保誠
出版者
日本救急医学会関東地方会
雑誌
日本救急医学会関東地方会雑誌 (ISSN:0287301X)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.341-343, 2019-01-31 (Released:2019-01-31)
参考文献数
3

当救命救急センターを受診する患者の中で, 発熱を主訴に受診する患者は比較的多いが, 初療の段階では確定診断が困難なことがある。【対象・方法】2016年9月~2017年8月に当院一次, 二次救急外来を受診された16歳以上の患者のうち, 発熱の原因を確定することができず, かつ入院を要した患者の特徴・臨床経過を後方視的に検討した。【結果】総受診者数16,282例のうち, 対象となったのは24例であった。男性は13例, 平均年齢は74.5歳 (16~98歳), 平均入院日数は18.4日 (3~57日) であった。最終診断として, 感染性13例, 痛風関節炎1例, 膠原病1例, 退院まで原因不明であったものは9例であった。血液培養は全例で採取され, 陽性率は37.5%であった。帰宅後に血液培養陽性となったため, 再受診させ入院となった例が3例あった。【考察】原因不明の発熱で入院となった症例を後方視的に検討した。原因不明の発熱患者では, 血液培養の採取が重要である。
著者
佐々木稔編
出版者
吉川弘文館
巻号頁・発行日
2003
著者
山本 俊策 二之宮 謙一 合志 光平 牟田口 滋 佐々木 大 坂本 悠磨 蛯原 宗大
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.447-448, 2021-09-25 (Released:2021-11-12)
参考文献数
5

【緒言】手指粘液嚢腫に対する手術治療は嚢腫を切除し,皮膚欠損部に皮弁形成術を行うのが一般的である.近年,嚢腫の原因となる関節包と骨棘を切除する手術治療が報告されており当院もこの方法を実施しているので報告する.【対象】2012年4月から2018年11月までに手術治療を行った25例で,男性2例,女性23例,平均年齢73歳(51-84歳)平均経過観察期間18ヶ月(12-84ヶ月)罹患指は母指4指,示指8指,中指8指,環指4指,小指1指であった.【結果】再発は認めなかった.【まとめ】嚢腫の切除は行わず,関節包および骨棘切除を行い良好な結果が得られ有用な方法と考えている.
著者
佐々木 裕一 北村 智 山下 玲子
出版者
一般社団法人 社会情報学会
雑誌
社会情報学 (ISSN:21872775)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.17-33, 2021-09-30 (Released:2021-11-10)
参考文献数
25

本稿では,YouTubeスマートフォンアプリ利用者のアーキテクチャ利用のパターンを明らかにした上で,アーキテクチャ利用のパターンとアプリでの視聴時間および動画ジャンルの視聴頻度の関係を明らかにした。この課題に取り組んだのは,(1)インターネットサービスにおいてアーキテクチャが利用者行動に対して影響力を持ちうる,(2)個人同定と情報推奨というアーキテクチャが接触情報内容の幅を狭めるのか広げるのかという議論には決着がついていない,(3)高選択メディアにおいては視聴動画ジャンルの分断が生じうる,という主として3つの先行研究との関わりゆえである。動画サービス利用が進む中で,動画ジャンルレベルでの利用者行動についての実証研究が乏しいという背景もある。YouTubeアプリを過去7日間に1回以上利用した15〜49歳までの男女604名に対するWebアンケート調査を分析した結果,アーキテクチャ利用のパターンとして5つが確認され,この中でアプリ視聴時間の長いものは「全アーキテクチャ高頻度」群と「登録チャンネル」群であった。また動画推奨アルゴリズムが機能するアーキテクチャを高い頻度で利用する者が高頻度で視聴する動画ジャンルは「音楽」であること,登録チャンネルに重きを置いて利用する者において「スポーツ・芸能・現場映像」,「学び・社会情報」,「エンタメ」の3ジャンルの視聴頻度が平均的な利用者よりも低いことを示した。論文の最後では,この結果について議論した。