著者
林 永昌 西村 亮平 野崎 一敏 佐々木 伸雄 廉沢 剛 後藤 直彰 伊達 宗宏 竹内 啓
出版者
JAPANESE SOCIETY OF VETERINARY SCIENCE
雑誌
Journal of Veterinary Medical Science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.1017-1022, 1992-10-15 (Released:2008-02-15)
参考文献数
19
被引用文献数
25 30

膝蓋靭帯欠損を作製したウサギに対し, 磁場強度0(対照群), 2, 10および50Gauss(G)の変動電磁場刺激を連日6時間行い, 各群に対し1週ごとに4週後まで肉眼的観察, 病理組織学的検索および力学的強度試験を行った. その結果, 欠損作製2週後における肉眼および病理組織学所見では, 対照群および2G, 10G群で, 靭帯欠損部が依然陥没していたのに対し, 50G群では出血, 壊死像はすでに消失し, 他群に比べ走行性のより一致した膝原線維が増加した. この傾向はその後も持続し, 50G群で最も早期の修復像が認められた. 一方, 引張り強度試験では, すべての刺激群で, 対照群よりいずれの週も高値を示し, かつ50Gが最も高値を示した. 以上の結果から, 50Gの変動電磁場刺激は靭帯の修復機転の少なくとも初期段階に対し, 組織学的, 力学的な促進効果を示すことが示された.
著者
結城 拓海 佐々木 葉
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.3, pp.22-00191, 2023 (Released:2023-03-20)
参考文献数
28

本研究では,東日本大震災に関連して整備された国営追悼・祈念施設を含む震災復興祈念公園の一つである石巻南浜津波復興祈念公園を対象として開園後約半年の時点での来訪者に対するアンケート調査を実施した.これによって来訪者の属性,状況,利用行動,印象の観点から利用実態を明らかにした.さらに,来訪者の認識に基づいた来訪者像の分類を行った結果「日常利用追悼」,「象徴的追悼伝承」,「防災学習特化」,「場所記憶追憶」,「レクリエーション重視」,「不定形想起」と解釈した6類型が抽出された.これらは外部から観察可能な単独の指標によって説明されうるものではなく,来訪目的や園内での行為との関係を反映したものであることを具体的に説明した.
著者
中田 忍 三崎 旭 佐々木 郁美 角田 万里子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成24年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.139, 2012 (Released:2012-09-24)

【目的】 “果物の王様”と言われ、日本の果物消費量で常にトップのバナナは、未熟な段階で収穫、熟成後に店頭に並べられる。そこで、バナナが完熟する過程に起こる成分変化を検討した。また、これまでバナナ果実のパルプ中にα-マンナンやグリコーゲンに結合するレクチンが存在し、末端のα-Man/Glcだけでなく、多糖類の特定の内部糖鎖も認識することを明らかにしてきた。このことから、消化酵素の作用に影響を及ぼす可能性も考えられ、バナナレクチンの糖鎖結合性についても検討を行なった。 【方法】収穫後のバランゴンバナナを25℃で熟成させ、経時的に水抽出した甘味成分を陰イオンカラムクトマトグラフィーで分析した。また、市販の新鮮なバナナより調製したタンパク質画分をα-1,3またはβ-1,6/1,3グルカンを結合したアフィニティーカラムおよびゲル濾過を行い、レクチンを精製した。 【結果】糖濃度は収穫直後に5%以下で、1週間後から徐々に増加し、20日後には22%となった。糖質の主成分はGlc、FruおよびSucであり、熟成が進むほどFruの比率が増加した。また、バナナ果実レクチンはSDS-PAGEで均一(14kDa)で、ゲル濾過の結果から二量体と考えられた。各種糖鎖との定量沈降反応の結果、α-グルカンのうちα-1,3結合を含むelsinanやnigeranには結合するが、pullulan(α-1,6)には反応しなかった。β-グルカンではpustulan(β-1,6)には結合し、curdlan(β-1,3)とは結合しなかったがschizophyllan(β-1,3、O-6分岐)にはある程度結合した。これらの結果からバナナ果実レクチンは非還元末端の関与しない特定の内部結合を認識しうるユニークな特異性を有することが明らかとなった。
著者
菊池 康紀 平尾 雅彦 大久保 貴史 佐々木 章亘
出版者
日本LCA学会
雑誌
日本LCA学会研究発表会講演要旨集 第6回日本LCA学会研究発表会(会場:東北大学)
巻号頁・発行日
pp.91, 2010 (Released:2011-02-14)

ポリメタクリル酸メチル(PMMA)はガラスのように高い耐衝撃性と透明性を有しており、熱可塑形成、着色が容易であり、液晶の導光板や看板、建物や乗物の窓材などに利用されている。本研究では、工場内加工ロスや家電・自動車に含まれるPMMAを回収しリサイクルするシステムが導入されたときに、実際にPMMAに関わる物質の流れがどのように変化するか、解析する。特に、PMMAのグレードに合わせてリサイクルの実行可能性を考慮する。

1 0 0 0 OA 母のない子

著者
佐々木 俊一[作詞]
出版者
ビクター
巻号頁・発行日
1953-08
著者
佐々木 亮
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.183-188, 2017 (Released:2018-11-01)
参考文献数
45

ヒトが空間内を自由に動きまわり,同時に動く物体を知覚し,判断するとき,脳は実に複雑な計算処理にさらされることになる.網膜から入力される視覚情報に基づく脳神経細胞の活動を,いかにして知覚,判断へと結び付けているのだろうか.本稿では,物体の動きに関する座標表現について取り上げ,視覚-前庭情報統合の神経基盤について,覚醒行動下のサルの空間物体運動知覚を対象とした,心理行動,神経生理及び計算論的アプローチから得られた総括的な知見を基に解説する.
著者
加藤 大貴 佐々木 周作 大竹 文雄
出版者
行動経済学会
雑誌
行動経済学 (ISSN:21853568)
巻号頁・発行日
vol.15, no.Special_issue, pp.S22-S25, 2022 (Released:2023-03-20)
参考文献数
6

本研究は,日本の風しん追加定期接種において2019年度から実施されたクーポン券送付施策の効果を,地方自治体の行政データと全国規模のオンライン調査データを用いて検証する.追加定期接種は,日本が風しんに対する集団免疫を獲得するために,抗体保有率の低い40~57歳の男性を対象に実施されるものである.クーポン券は自治体を通じて段階的に送付され,初年度の2019年度には,40~46歳の男性に限定して送付された.47~57歳の男性がこの年度中にクーポン券を受け取るには,居住地域の自治体に自分から申請する必要があった.分析では,年齢によって2019年度にクーポン券が自動的に送付されるかどうかが決まることを利用した回帰不連続デザインで,クーポン券の送付の効果を推定した.その結果,クーポン券の送付は,申請の取引費用の抑制と追加定期接種の認知度の向上を通じて,抗体検査の受検率とワクチン接種率を高めることが明らかになった.
著者
佐々木 千尋 大島 千佳 梶原 薪 中山 功一
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2020-HCI-187, no.29, pp.1-8, 2020-03-09

集団での議論による意思決定を円滑かつ適切に行うための有効な手段としてファシリテータの活用がある.本研究ではファシリテータ機能の一部分の再現を目的として “Discussion Board System” を開発し,議論参加者の意思をリアルタイムで把握し円滑にサポートすることを試みた.議論全体の進捗と参加者の個別意識による行動を比較し,最終合意への影響を観察した結果,これまで暗黙の了解のうちに隠れていた沈黙する否定者の意思をくみ取れる可能性が見られた.意思決定に多様な価値観と背景を取り入れる必要が高まる中で,人ではなくシステムがサポートすることの意義を検証した.
著者
宗 祐人 小山 洋一 中林 正一 八尾 恒良 佐々木 悠 池田 稔 二宮 健
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.79, no.8, pp.1083-1084, 1990-08-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
3

多くの内分泌疾患が受容体異常症の概念で捉えられ注目されている.症例は20才男子.著明な女性化乳房,尿道下裂手術既往,染色体46XY,血中テストステロン, 5αジヒドロテストステロン,エストラジオール高値, LH・RH負荷正常,睾丸生検組織像などよりアンドロゲン不応症のReifenstein症候群と考えられた1例を報告した.本症の本邦報告例は十数例を認めるに過ぎない.
著者
山本 格 田中 芳雄 佐々木 正治 服部 久雄
出版者
一般社団法人 日本エネルギー学会
雑誌
燃料協会誌 (ISSN:03693775)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3, pp.179-187, 1982-03-20 (Released:2010-06-28)
参考文献数
10

In this paper, a study of useful temperature range of heat pipes em-ploying ThermS 300, mercury, sulphur and sodium as the working fluid are presented.A ThermS 300 heat pipe is made from a SUS 304 stainless steel tube with 25mm diameter and 1.5mm thickness and is wickless type. The total length of the heat pipe is 1000mm, the length of heating zone is 180mm, adiabatic zone is 320mm and the remaing part is the condenser.Mercury heat pipe is manufactured from SUS 304 stainless steel tube with 12.7mm diameter and 1. 5mrn thickness. The capillary structure is two layers of 50 mesh stainless steel. The total length of heat pipe is 300mm, the length of heating zone is 60mm, adiabatic zone is 60mm and the remaining part is condenser. Sulphur heat pipe is made from STPA steel tube for boiler with 27.2mm diameter and 4. Omm thickness and is wickless type. The total length is 500mm. The length of heating zone is 100mm, adiabatic zone is 100mm and condenser zone is 300mm.Sodium heat pipe is manufactured from SUS 316 L stainless steel tube with 25mm diameter and 1. 5mm thickness and the capillary structure is two layers of 50 mesh stainless steel. The total length is 1000mm, in which heating zone is 265mm, adiabatic zone is 235 mm and condenser zone is 500mm.The experiment is carried out mainly by means of bottom heating, in which surface temperature fluctuation at evaporator and condenser zone and pressure fluctuation in heat pipe are measured at low pressures.As a result of the tests, the useful temperature range of these heat pipes is discussed.
著者
西村 優一 徳留 大剛 寺田 直正 佐々木 健 渡辺 英樹
出版者
一般社団法人 日本体外循環技術医学会
雑誌
体外循環技術 (ISSN:09122664)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.388-392, 2019 (Released:2019-12-20)
参考文献数
10

逆行性心筋保護(retrograde cardio plegia:RCP)の欠点として、右心系灌流不全が知られており、原因の1つに冠状静脈(coronary vein:CV)の血管走行が挙げられる。右心系に関連するCVは、小心静脈(small cardiac vein:SCV)、中心静脈(middle cardiac vein:MCV)を中心に構成される。これらは、冠状静脈入口部(coronary sinus ostium:CSos)近位部に合流するため、RCPカニューレを深く挿入してはならないことが知られているが、CV走行には個人差があり、許容される深さは症例によって異なると言える。本研究では、RCPに関連するCSos周囲の3D画像を作成し、CV走行の個人差がRCPに与える影響について解剖学的に検討した。全50例中、SCVは36%しか存在せず、すべてCSos近位部ではなくMCVに合流しており、最も右房側に合流するCVはMCVであった。CSosからMCVまでの距離は中央値6.0mm(1.8~15.6mm)と非常に近接しており、比較対象としたRCPカニューレ付属バルーンの最小サイズが10.0mmであったことから、MCVより深く挿入される可能性が高い。RCPにおける右心系灌流不全を最小限にする条件として、RCPカニューレをすべてのCVより右房側に留置可能、かつSCVの発達が良好である必要があるが、今回の検討で条件を満たす症例はなかった。